みにくいアヒルの子

登録日:2020/11/14 Sat 08:41:41
更新日:2024/04/30 Tue 16:13:15
所要時間:約 2 分で読めます




ハンス・クリスチャン・アンデルセン作の、いわゆるアンデルセン童話のひとつ。


【あらすじ】
昔々、とある湖で暮らすあひるの家族がいました。
優しいお母さんとたくさんの子供たちで構成されたその家族ですが、きょうだいの中でなぜか1匹だけ醜い容姿の雛が生まれます。
具体的に言うと黄色く丸っこくて可愛らしいきょうだいと比べ、黒い羽毛で体が大きく、首が長かったのです。
お母さんは「七面鳥の子かもしれない」と思いながら彼にも分け隔てなく接し育てました。
しかしきょうだいはそうもいかず、結局雛はいじめられて育ちました。

やがて巣を飛び出した雛ですが、居場所なんてありません。
どの鳥からも、醜い容姿と生んだ覚えがないのとで受け入れてもらえなかったのでした。
そうこうするうち厳しい冬が訪れます。

いよいよ耐えられなくなった雛は、白鳥の群れに遭遇しました。
いっそ彼らに殺してもらおうと考え近づきますが、白鳥たちは何故か彼を歓迎しているようでした。
不思議に思いながら水面をよく見ると、そこにはみにくいあひるの子……ではなく美しい白鳥の顔が映ってるではありませんか。
冬を越し大人になったことで、やっと自分が何者かを知ることになるのです。


【補足など】
『見た目だけで本質は判断できない』という教訓話。
外見だけで判断する展開は変わらないまま生まれつきの種族がそのまま結末となるため現代日本人の感覚だとやや分かりづらいだろうが、サクセスストーリーのひとつとしても知られている。
まあ、今も昔も生家や環境のせいで潜在的能力を発揮できない人間はいるものか。
若者向けコンテンツのジャンルのひとつ『社会的に追放されたチート能力者もの』に通じる部分は多いにある。

ちなみにあひると白鳥は分類上は共にカモ目カモ科で同じ系統の鳥類である。(オオハクチョウはカモ類の最大種)

話の中で疑われる七面鳥の雛だが、実際は真っ黒ではなくうずらのようなマダラ模様である。あと可愛い。
無理矢理フォローすると、アンデルセン氏が住んでいたデンマークと七面鳥の生息地であるアメリカやカナダは離れてるため、あひるの世界かつ昔の話だという点も同時に踏まえたらよく知らなくてもおかしくないだろう。
一方で白鳥の雛はというと実物も黒ずんでおり、あひると並べたらたしかにパッとしない印象を受ける。これはこれで可愛い。

上記の通り魔法やバトルや死ネタなどインパクトがある要素も無いまま鳥だけで殆ど完結してる話だと弄りにくいからか、有名な童話にしては意外と二次創作ネタや雑貨等のモチーフ展開などは控えめ。
たまに日常系作品の童話パロで取り上げられることはある。
一応数少ない例としてディズニーによるアニメ版が存在し、中盤以降のあらすじは『追い出されたあとの故郷を竜巻が襲い、雛がきょうだいのピンチを救って認められる』という大胆な変更がされている。
捻った例だと藤子・F・不二雄の『世界名作童話』内の本作編があり、そっちでは「自分を白鳥ではと思い込んで家出したアヒルの子が、旅で煤け切ってカラスの仲間にされてしまう」というパロディがされていた。
またポケモンだと、明らかにこの童話をモチーフにしたコアルヒー→スワンナが存在する。

なお『そもそも何故白鳥の卵があひるの巣にあったのか』という根本的かつ野暮な疑問は全く解説されていない。
お互いに托卵する種類の鳥ではないし、あひるは人間が家畜として飼ってるものが野生化するため寒い海で暮らす白鳥と生息地が近しいとも考えづらい(童話内でも冬を越すレベルで渡っている)が、逆にその辺を突き詰めて考察するのも一興だろう。


追記修正は白鳥に成長してからお願いします。

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最終更新:2024年04月30日 16:13