KILLER'S HOLIDAY

登録日:2021/05/17 Mon 18:48:00
更新日:2025/06/15 Sun 17:54:47
所要時間:約 4 分で読めます




KILLER'S HOLIDAYとは、松(A.TYPEcorp.)*1の漫画。


概要

ホラー映画の殺人鬼をモチーフとした登場人物たちの休日を描く。基本的には後述する3人のほのぼのとしたやり取りが描かれるが、元ネタが元ネタだけに殺人の話題で盛り上がるなど恐ろしい描写も随所に入ってくる。ホラー映画をよく知らなくても読むのに支障はないが、知っていればより楽しめるかも。

登場人物

●ハリー

メイン登場人物その1。モデルはジェイソンなどのシリアルキラー。
モデルになったキャラクターが基本的に喋らないのを意識してか、彼の会話は吹き出しではなく「○○とハリーは言った」のような説明文で表現される。*2

本名ヘンリー・カニンガム。ウサギの仮面をかぶった大柄な男性。普段は鹿狩りで生計を立てているが、オフシーズンには近所にある行きつけの雑貨屋でアルバイトをしている。時給は15ドル。
意外と手先が器用で、リチャードに依頼されて後述する人形を作ったり、極小サイズの携帯電話を日常的に使ったりしている。
殺人鬼・カニバリストである事を除けば普通の猟師のような生活を送っているが、腕が取れてもくっつけて寝れば治るなど身体的には割と人間をやめた感じの生き物と化している。
ナイフが首と頭に三本勢いよく突き刺さっても『痛い』で済むらしい。

仮面を被っているのは殺人鬼としてのトレードマークの他、素顔が相当なものの為にリチャードやヨシエに対する気遣いと思われる。
実際悪魔に堂々と意見を述べられるリチャードも素顔を見て動揺する程。

自宅近くのキャンプ場にやってくる騒がしいカップル達を殺害している殺人鬼。死体は森の中に置いておくと森の中にいる"何か"が処理してくれるほか、自分で食べることもある。何度か通報をされたようだが、彼の住んでいるあたりの警察はいい加減なので適当に調べて何もなければ帰ってしまうらしい。

弱点はオカルトが苦手なこと。ヨシエ本人のことは平気だが、彼女が起こしたり話したりするオカルト現象には恐怖を感じている。


●リチャード

メイン登場人物その2。モデルはジグソウなどのサイコキラー。

本名リチャード・トーマス・ギャツビー。本業は脚本家だが不動産などにも手を出している実業家で、豪邸をポンと買えるほどの財力の持ち主。
常に顔に影がかかっているが勿論漫画的な演出であり、本人は(内面はともかく)いたって普通の人間。ヨシエ曰く「すっごいイケメン」。
サイコである事を除けばとても良心的な紳士であり、若干天然の気こそあるものの周囲への気配りも忘れない良識人。サイコである事を除けば。

自分で用意した殺人ゲームを拉致した人間にやらせるのが趣味の危険人物。被害者達の様子は撮影した上で編集を施し、映画感覚で時々自宅で鑑賞している。一度鑑賞会を開いたときにはハリーとヨシエが深刻なトラウマを負う羽目になった。
あるゲームの時に死体を処理するために森に入ったところ、同じく死体処理中のハリーに出会い意気投合。以後は無二の親友となった。

スポーツ全般を難なくこなせる程の身体能力を持っているが、殺人ゲームの合間の趣味には至らないらしい。
ファッションにも精通しており、少なくとも普段着、寝る時、ゲーム時の3種類に分別して着こなしている。
その他にも作中では色々と万能かつ博識な面を見せているが、ヨシエとの会話では度々ズレた日本観を語っていたり、オカルトも専門外など常人らしく限度はある。

意外と寂しがり屋なところもあり、その反動もあってか日常生活に不便を感じているヨシエを構いたがっている。


●ヨシエ

メイン登場人物その3。モデルは貞子などのジャパニーズホラー。

本名佐山由恵。飼い猫の死骸と共に半年ほど倉庫に監禁された後、自宅の風呂場で殺害された女性の怨霊。死後は廃墟となった自宅の風呂場で自分の遺体と共に過ごしていたが、後にリチャードに買ってもらったアメリカの豪邸に遺体と一緒に引っ越している。
顔立ち自体は美人なのだが怨霊であるためか目元は焼け爛れた爬虫類のような怪物然とした様相になっており、普段は髪の毛で隠している。

怨霊となったことでテレビや鏡を使って移動できるようになり、その能力で身の回りの人間の大半や自分の動画を見た人間を殺して回っていた。
あるとき動画視聴者がリチャードのゲームに巻き込まれ、テレビを通って殺しに行ったはいいものの帰れなくなるという事態が発生。困っていたところをリチャードに助けられて友人となる。
英語を話すことはできないのだが、怨霊だからか自動翻訳される*3ので会話に支障はない。しかしハリー達のアメリカンなノリに困惑したり、勘違い日本観に唖然としたりすることも多い。

自分の動画が拡散することは迷惑に感じており、暇さえあれば動画サイトを巡って違反報告している。
その際は自分が殺した被害者のスマホを使っていたが、遺族が解約して使えなくなってしまうのが悩みの種。後にリチャードの仕事用スマホを譲ってもらったことでこの問題は解決した。

生前は苛めや虐待をされていた節があり、本人も「生前の楽しかった記憶とか全くない」と断言している。*4
そのためなのか怨霊としての資質は悪魔のエンデが手放しで「逸材」と称する程で、特に霊能力の感度・干渉度は最大を5として100以上と文字通り桁違いなレベル。
ハリー達の前では明るく振舞っているが、その資質故に本人も意図していない形で怨念による超常現象が発生してしまうことがある。
また彼女に普通の人間が触れると死んでしまうのだが、なぜかハリーとリチャードは触れても平気。

生前からの趣味か怨霊化してから引きこもり生活が長かったせいかは不明だが、若干オタク趣味や中二病の気があるらしく、本人は自身のセンスを恥ずかしがっている模様。


●エンデ・フリードキン

メイン登場人物その4。モデルは「オーメン」や「エクソシスト」などの悪魔憑き。
リチャードの知り合いである「大御所」。

本名はサン・デメルテ・ベールゼリル・エンデ*5
肉体的には10歳前後の少女だが、その正体は本物の悪魔が孤児の肉体を乗っ取った、いわゆる「悪魔憑き」。肉体側の自我は無く、精神は文字通り悪魔そのもの。
そのため幽霊や霊能力といったオカルト方面に明るく、ヨシエの五感について教えを請うために引き合わされた事でキラー達の飲み会に参加する事になった。

やや尊大な口調に反して明るく人当たりの良い性格だが、悪魔故にすぐに相手を堕落させようとする悪癖がある他、肉体の年齢故に酒を飲ませて貰えない事に不満を感じている。

普段は表向き女学生として過ごしつつ、引き取られた先の義妹を洗脳して従者にしたり、悪魔崇拝者を増やしたり、養母を恐怖体験で苛んだりといった活動に勤しんでいる。
また神父のジョージなど、悪魔としての正体を明かして直接しもべとして従えている信者もそれなりの数がいる模様。
リチャードとは引き取られる前に住んでいた教会に彼が取材に訪れてからの付き合い。

本体が姿を表す事も可能で、その際は赤い肌に翼、尻尾を持つ青年という、典型的な「悪魔」の姿を取る。
この悪魔としての姿は見ている者のイメージに左右されるため、エンデを女性として認識しているヨシエの前では美女の姿となる*6

○身体の持ち主

エンデが憑依している少女。
両親から生命の危機を感じるほどの虐待*7を受けており、助けを求めて悪魔召喚の儀式を実行。
自分の魂と身体を対価に両親への復讐を願った。

エンデは良質な対価への褒美として「両親が落ちぶれ破滅していく様を見せてやる」と約束し、彼女の魂を消さずに昏睡状態にしたうえで憑依している。
ときどき夢の中で彼女に進捗を報告している模様。


●ショーン

ゲームの説明役として画面に映すためにリチャードがハリーに依頼して作ってもらった子供の人形。
ヨシエが抱っこさせてもらったところ、彼女の身に渦巻く怨念によって自我が芽生え、殺人人形となってしまった。

当初は殺人衝動のままにハリー達を襲おうとしていたが、彼らが殺人者として自分より遥かに格上なことを察して恐怖し、大人しくなった。
その後はリチャードの家で一緒に暮らしており、家事の手伝いを仕込まれている。

一応喋る事ができるが、「ころす!」「ころさない!」の他には泣き声、呻き声を上げる事しかできないため、基本はボディランゲージ。
殺人人形ではあるが、環境が環境なだけに殺人経験は無いため、単行本の紹介では「殺人鬼見習い」とされている。


●デイビッド・マーケット

ハリーのバイト先の店長にしてリチャードの友人。歯ブラシから大陸弾道ミサイルまで揃えてみせると豪語する裏の調達屋"D・Mグループ"の代表。ヨシエの引っ越しの際に彼女の遺体を日本から運んできた。
元軍人(本人曰く「イラクからの帰還兵」)との事で、公にできない積荷を空輸してもらうなど仕事にも伝手を活かしている。
「お喋り」な上に「仕事が大雑把」と、典型的な「陽気なアメリカ人」的性格。

彼もキラー*8であるが殺害方法は不明。
監禁相手を『話し相手』にしてまくし立てるのが好きらしく、基本的に『話し相手』になる間に殺されることは無いらしい。
どちらかと言えば「殺人が目的」ではなく「結果的に殺す事になる」タイプなのかもしれない。


●トビト

キラー達が海水浴に行った際に出会った喋る鮫。モデルはサメ映画
命名はリチャードだがハリーとエンデからは不評で、エンデは潜水艦(トーピード)と呼んでいる。

ハリーが手でつかめるサイズの小さな鮫。
弾丸のような超高速で突撃する能力を持っているが鮫の中では落ちこぼれ*9であり、狩りが下手で海藻を主食にして生きながらえてきた。
久しぶりの獲物としてキラー達を襲ったことがきっかけで彼らと交流することになり、キラーとしてのアドバイスを受けて成長。
最終的にエンデと「エンデが与えた幽霊鮫と飛行能力を操って海の幽霊を食べ、魂をエンデの元に送る」という契約を結んで超強化を果たす。

なお彼の存在についてリチャードとヨシエはすぐに受け入れ、ハリーとエンデは困惑していた。
エンデも最終的には慣れて普通に接するようになったが、ハリーは最後まで「正しいのは自分のはずだ」と己に言い聞かせている。


●ゾンビ2人組

幕間の4コマ漫画の主役。傍から見ると2人で呻いているようにしか見えないが、実際は「近年の走るゾンビの是非」や「自分達が人間の肉を食う理由」などについて話し合っている。




追記・修正は殺人鬼達との晩餐会に参加して人肉を食べてからお願いします。

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最終更新:2025年06月15日 17:54

*1 なお「(A.TYPEcorp.)」まで含めて名前だが、発音する際は「まつ」と漢字だけを読むのが正式な模様。曰く「Knife(ナイフ)」の「K」みたいなものらしい。

*2 設定上は作中では普通に喋っている。

*3 当初はヨシエ自身もこの事実に気付いておらず、2人の日本語が上手いのだと思っていた。

*4 ヨシエ本人は笑い話として話し、リチャードとエンデも笑っていたがハリーは気まずい思いをしていた。

*5 恐らくは「悪魔としての」本名と思われる。

*6 ただし顔は「悪魔っぽいから」と持っているリンゴで隠されていて読者にははっきりと見えない。

*7 エンデから話を聞いたヨシエが激怒して殺しに行こうとしたほど。

*8 登場時の紹介では「シリアルキラー」

*9 ちなみに上位の鮫には体当たりで船を沈める"大きなもの"やヘリコプターを引きずり込む"恐れ知らず"がいる。