だるま屋ウィリー事件

登録日: 2010/06/18(金) 12:06:28
更新日:2025/05/31 Sat 15:29:06
所要時間:約 3 分で読めます




水曜どうでしょう」の企画、「原付東日本縦断ラリー」内で起こった事故。


【あらまし】
ロケ初日、2台の原付の後ろ姿を映し続けるというあまりにも代わり映えしない画に危機感を抱いたD陣は、群馬県高崎市にて大泉の原付の荷台に特産品だるまを積む。

「時間通り届けないと安くさせられんだから」
ピザ屋かお前は」

と案外盛り上がる。

翌日の夕方。だるま屋と、新潟産コシヒカリを札幌に配達しに行く米屋(鈴井)は、並んで国道345号を北上し、新潟県北端の山北町(現:村上市)の勝木まであと少しという地点まで来た。

工事による片側交互通行信号に出くわした大泉と鈴井。
信号が切り替わる5秒前から大泉がカウントダウンを始める。
約2分の長い待ち時間を経て、ちょっと盛り上げようと思った大泉洋氏の脳裏には本能的な闘争心が湧き上がったに違いない。

自分はレーサーである。横にいる鈴井氏に、スタートダッシュで負けてはならない。

この心理的状況を表すように、彼はカウントダウンを始めた…。

5、4、3、2、1、ゼロ!
GO!!

このとき、彼の闘争心は頂点に達していた。
それを煽るかのような「GO」の表示…!
そして彼は背後から見て分かるほどスロットルを全開にしたのだ。

しかし、彼のバイクは発進しなかった。

実はこのとき、彼のギアがニュートラルに入っていたのである。
ライバル鈴井氏はこのとき既にスタートを切っている。

負けてはならない…!!
焦る大泉洋。

そして彼はこの瞬間、スロットル全開の状態で1速にギアをチェンジしてしまったのである。

1速に入った瞬間の急激なショックが、衝撃となって大泉の身体を揺さぶる。
そして彼のバイクは荒馬となって天高く嘶き、それでも必死に乗りこなそうとする*1大泉氏の抵抗もむなしく、目の前にあった「安全●第一」のバリケードへの激突を余儀なくされたのである。
この間に再び信号は待ち時間表示に切り替わってしまった。

事故直後、呆然とする大泉に対し藤村は笑いを噛み殺しながら「大泉さん、大丈夫ですか?」と問う。
すると大泉は編集の事を考えてか「何がですか?」と声を裏返しながらシラを切っていた。

大「あれ?ミスターは?」

藤「ミスター先行っちゃいましたけど」

大「あれ?なして先行っちゃったの。赤…赤だったのにねぇ」

と事故そのものをなかったことにしようとしていたが、藤村が「いやいや、こっから見てたらエラい勢いで前輪が上がりましたけど」「その『安全第一』って書いてある所に突っ込みましたが、大丈夫でしたか?」と聞くと、

ついに「大丈夫じゃねぇよ!なまら恐かったよ!!」と本音を吐き出した。

追走車のドライバーをしていた土井巧プロデューサーも珍しく喋り、「ロデオのようだったねぇ」というコメントを残した。

「原付の旅」の第1弾の上、原付の運転に慣れていなかったこと(あるいはちょっと慣れてきて油断したこと)が原因の一つと思われる。
そもそも大泉は企画開始までカブに乗ったことがなく、数分練習していきなり放り込まれたのである。この事件が発生したのはロケ2日目であり、東京〜新潟間を約12時間運転した前日の夜には「もうギアが3つじゃ足りない」と運転に慣れた旨の発言をしている。ヒューマンエラーは慣れた時が一番危険であり、増して大泉はかなり器用なため少し安心して運転できるようになった頃合いだったのだろう。

なお本編を見れば分かるが、『安全第一』のバリケードに直撃した拍子にカブのレッグシールドかなにかが引っかかったようで大泉1人では脱出できず、藤村Dが手助けをしたのちにバック、バリケードも元に戻している。
「ハーッハッハッハ 大泉さんどぉーしたの」

もちろん編集で事故そのものを無かったことにするなんてことはなく、放送時は藤村の美声のナレーション*2付きでリプレイして『だるま屋ウィリー事件』の検証が行われた。この番組ならではである。

その後先行したミスターに追い付くべく、信号が切り替わった時にソローリと慎重に発進。
数キロ先で停車していたミスターは「何してたの?(北海道訛り)」とまるで心配していなかった。
この時大泉がミスターに報告した「動かないからアレっと思ってギアいじったっけ、ロー入っちゃって、もうウィリーさ」はどうでしょう史に残る名言となる。
それを知らされた後もミスターは「いいなぁ。オイシいなぁ」「さすが魅せるもの」と完全に他人事だった。
それどころかインキーとかガス欠なんてもんじゃない」「見せとくだけでOKだもんなー」「それでまたケガ一つ無いんだもん (オンエアに)使える、使える」と(声色からして)割と本気で羨ましがっていた。
事務所の社長に事故報告してる状況なんですけど…。


北海道でこの日の模様が放送された『原付東日本 第4夜』は、放送日当日、高校野球が雨天中止。
「熱闘甲子園」も中止となり、放送時間が繰り上がったため見られなかったという視聴者からの声を受け、1ヵ月後この模様が「だるま屋ウィリー事件」として再び道民のお茶の間に流された。

さらに動画配信サイトimpress TVが水曜どうでしょうを配信する際の無料サンプル映像にも選ばれる。
この動画内で大泉は「みんな笑ってたけど、俺は『あ、死ぬな』って思った」と当時を振り返った。

2011年の「原付日本列島制覇」でも似たようなシチュエーションに遭遇するが、事故には至らなかった。
「みなさん、僕はだるま屋を乗り越えました。」


追記修正は本能的な闘争心を湧き上がらせてお願いします。

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最終更新:2025年05月31日 15:29

*1 ウィリーの最中にブレーキランプが2度点滅しているため、大泉は『荒馬』と化したカブを必死に止めようとしている。DVD副音声では該当の場面で「スロットルは戻せなかった?」という嬉野Dの疑問に大泉は「戻せないですね」と返している。

*2 ウィリーした瞬間の足のばたつきがツボに入りナレーションができずミステイクを重ねたと語っている。