バーバリライオン

登録日:2021/10/5 Wed 22:36:40
更新日:2023/10/10 Tue 00:10:47
所要時間:約 3 分で読めます




『バーバリライオン』とは、かつてアフリカ北部のマグリブ、リビアからモロッコにかけて生息していた野生絶滅種のライオンである。別名アトラスライオン。

●目次

概要

古代種のホラアナライオンやヨーロッパホラアナライオンやアメリカンライオンを除く近世のライオンというか、地球の歴史上最大ともされるライオンの王と称されるライオンで雄は尻尾まで含めた全長が最大4メートルで体重は270キログラムにも及び、雌でも最大の物は全長3メートル体重250キログラム近くもあった。

しかし、バーバリライオンは他の野生動物と違い飼育下より野生下のほうが巨大化する傾向にあった。これはローマ帝国も動物園も使い捨てとして劣悪な環境で飼育していた影響による餌不足などの為である。
胸板が分厚く黒々とした鬣は腹部にまで達しているのが特徴である。

同じ亜種のケープライオンとも酷似する特徴を持ち、同時期に生息していたカスピトラとは棲み分けにより共存していた。

生態

サバンナのライオンとは異なり、ローマ時代から人間に大草原を追われ続けたたこともありインドライオンと同様に山林に生息していた。

アフリカライオンのような大規模な群れを作らず単独または小規模な群れを作って生活して狩りをし、主にアイベックス、ハイラックスなどのレイヨウ類を獲物としていた。

絶滅

バーバリライオンの受難は古代ローマ時代に始まった。メソポタミアからヨーロッパに分布していたヨーロッパライオンがローマ帝国による乱獲や野犬との競合で絶滅すると、ローマ帝国は次はバーバリライオンの見世物としての捕獲へと精を出す。

ポンペイウスは600頭、カエサルは400頭のバーバリライオンを戦勝パレードに連れて来たとされる。用が済んだらアフリカに帰れればよかったのだが、そうは行かずグラディエーターと呼ばれる剣闘士や他の猛獣であるゾウやサイに当時絶滅していなかったアフリカヒグマやトラと戦う事になったり、罪人やキリスト教徒の処刑に使われたりと散々な扱いを受けて連れて来られたバーバリライオンは全てローマの地で命を落とした。

ローマ帝国が遂に衰亡したもののその数を大幅に減らしたバーバリライオンは繁殖も難しいほどでさらに入植して来た人間に追いやられ森林へと生息域を移す。

しかし近代になり娯楽としての狩猟と動物園用の捕獲がさらに追い打ちをかけてさらに減少、アルジェリアとチュニジアで1893年に絶滅し、モロッコでは最後の一頭と思われていた雄ライオンが1922年に射殺されて野生絶滅とされたが、後の調査でアルジェリアとモロッコでは1960年代まで小規模の群れが生存していた事が判明しているが、現在は同地でも絶滅している。

混血種の再発見

1996年と2007年にバーバリライオンに似た個体が発見されたが、残念ながら混血とされていた。この他にも世界中の動物園やサーカスでもバーバリライオンに似た特徴のあるライオンはいたが、全て別のライオンとの混血であり純血種は再発見されていなかった。

しかしここで一つの奇跡が起こる。

モロッコのムハンマド5世の私的動物園で32頭のバーバリライオンの血統を色濃く受け継ぐライオンが生存していたのだ。実はムハンマド五世の先祖である先代の王が各部族からの贈り物としてバーバリライオンを偶然預かっておりそれをムハンマド家が先祖代々飼育し続けていたのである。

サンキュームハンマド。

2012年にはラバト動物園でバーバリライオンの血統の3頭の赤ちゃんライオンが誕生。さらには2021年になってまた2頭の赤ちゃんライオンが誕生。
バーバリライオンの血統を着実に継承し、バーバリライオンの混血同士が混ざる事でその内に純粋のバーバリライオン復活が実現するかもしれない為、人間の過ちを贖罪している。

追記修正は私的動物園を持っている方がお願い致します。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • バーバリライオン
  • ライオン
  • アニヲタ動物図鑑
  • 動物
  • ローマ帝国
  • ムハンマド
  • モロッコ
  • アフリカ
  • 絶滅×
  • 野生絶滅○
  • 絶滅
最終更新:2023年10月10日 00:10