SCP-267

登録日:2021/10/17 Sun 22:22:20
更新日:2024/11/28 Thu 23:27:32
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SCP-267はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)のひとつである。
オブジェクトクラスはEuclid。

項目名は『Tumorvore (腫瘍喰らい)』。


概要&プロトコル


SCP-267はとある場所の洞窟内に生息する真性社会動物と思われる生物。
外見および生物学的特徴は ハダカデバネズミ に似ているが、分類学上はハダカデバネズミとは関係ない事が分かっている。

洞窟を巣として地下に生息するという性質上、移動させることができないため、この洞窟がある地域一体をサイト37として囲い込み、これをもって収容としている。
「確保・収容・保護」の理念に従って、この収容されている洞窟内の個体は餌として家畜を与えて維持されるが、
その危険性からここ以外の野生の個体が発見された場合は即座に殺処分し根絶しなければならないと定められている。

真性社会動物であるため、アリやハチのような昆虫のように労働階級・兵士階級などが存在する。
ただしアリやハチにおける女王に相当する個体は確認されておらず、労働階級・兵士階級・繁殖階級・保育階級の4種類に主に分かれている。

SCP-267はハダカデバネズミのように無毛であり、洞窟内での行動に特化した生態のためか、視覚はほぼ存在しない。
聴覚と触覚も鈍く、また単純に痛覚が無いのか真性社会生物ゆえに個の概念を持たないのかははっきりしないが、個体ごとに自己が生き延びようとする行動を取らず、自己が属する集団のためにのみ行動する。

鋭い牙と爪を持つが、最も危険なのは体内で生成される毒素である。
嗅覚によって獲物を発見した場合、兵士階級の個体が複数で襲い掛かってこの毒で獲物の動きを封じ、労働階級の個体が巣の奥へと持ち帰るという狩りを行う。








ここまでなら「何が危険なの?」と思うかも知れない。
一般的に知られる動物にもこの程度の輩は多数存在する。
しかしSCP-267の生態にはまだ書いていない部分が多数あるのだ。

SCP-267の調査などのために洞窟内に立ち入りSCP-267と接触する場合、第四等級耐毒装備*1・護身用鎮静螺旋小銃・電撃銃を装備する必要がある。

SCP-267が体内で生成する毒は、強い麻痺性と発がん性を持つ。
主に鋭い歯や爪によって傷つけられた箇所から体内に入り込み、およそ24時間以内には傷の全ての箇所がコブのように膨れ上がってしまうのだ。

そして最も恐ろしいのは、この毒は対象の自由を奪う効果はあるが命を奪う効果はあまり無いこと。
毒そのものに致死性が無い事に加え、これによりできた腫瘍は対象の生命活動に致命的な影響を及ぼす事が無いように主に皮膚表面に発生する。
さらには獲物の抵抗を防ぐため、獲物の身体の一部を解体してしまう。
こうして腫瘍まみれの異形の姿にされた獲物は、SCP-267の巣の奥に運ばれて保管される。


SCP-267が食するのは、こうしてできた腫瘍の部分だけである。




たちの悪い事ににSCP-267は「獲物を生かせば長く餌を取り続ける事ができる」事を知っており、時に自らの餌を吐き戻して獲物に与えたり、
獲物の体表を舐めて清潔に保つなど「手入れ」を行い、長く生きる可能性のある獲物を可能な限り生かし続ける。
SCP-267に襲われた獲物は寿命が尽きて自然死するまで、SCP-267の餌となる腫瘍を生み続けるだけの肉苗床にされてしまうのである。


さらに最悪な事にSCP-267は人間を好ましい獲物として認識している
これはSCP-267の捕食対象である動物の中で人間が最も寿命が長い生物であることに加え、「腫瘍」を生み出す効率も高い事によるものと推測されている。
実際、データでは同じ程度の体重のブタに比べて人間の方が30%ほど腫瘍の量が多い事が分かっている。


「人間が好ましい餌であること」を知っているということは、過去に人間を捕食した事があるという事にほかならず、
いくつかの調査の結果により、SCP-267が実際に人間を捕食していた事を示す証拠が見つかっている。

SCP-267の封じ込め体制が確立してから約19か月後、洞窟内で後にSCP-267-A26と指定される個体が発見される。
DNAによる検査の結果、複数の有害な変異が確認されたものの、おおよそヒトのDNAと一致する=人間であることが判明する。
この人物は腫瘍による異形化と、人間にあるべき部位の欠損により特定が難航したものの、
19██に家族旅行中に両親と共に行方不明となった当時█歳の█████████████であると推定された。

この人物はSCP-267に襲われた結果、何十年も死ぬこともできず、SCP-267に生かされて腫瘍を食われるためだけに生きていたのだ。

彼の脳は対話調査の結果、長く会話する相手もいない状況に置かれた人間に起こり得る程度の言語野萎縮を起こしていたが、それだけ。
つまり、この時点でも意識があってある程度の会話ができたということで、毒の影響で早々に意識を失うになる事も無いままに生き地獄にいたことになる。

他にもSCP-267の生息する洞窟のうち、既に廃棄されたと思われる区域に数千年前の人骨が発見されている。
SCP-267の巣の中である閉暗所で襲われる危険性、そもそも洞窟が広すぎる等の事情により洞窟内の調査は困難であり、
今までどれほどの人間が犠牲になったのかの把握や、未だ生かされている犠牲者の救出は極めて難しい。



追記・修正は腫瘍を全て切除してからお願いします。


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最終更新:2024年11月28日 23:27

*1 原文直訳では「レベル4隔離装備」。SCP-267の性質から毒物が皮膚に触れないように遮断する気密性のある装備だと思われる