天変地異(遊戯王OCG)

登録日:2022/01/16 Sun 23:46:22
更新日:2025/01/29 Wed 12:21:36
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天変地異
永続魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーはデッキを裏返しにしてデュエルを進行する。

《天変地異》とは遊戯王OCGの1枚。
初出はMythological Age -蘇りし魂-。
互いのデッキを裏返した状態でデュエルを進行する」という非常に変わったルール介入型効果を持っている。
イラストには竜巻・噴火・大雨・地割れ・落雷・大火事と言う、文字通りの「天変地異」の様子が描かれている。

このカード単体で出来るのはそれだけだが、「デッキを裏返す」という事は即ち……

  • デッキの上下(所謂「デッキトップ」と「デッキボトム」)が逆転する。
  • 互いのデッキの一番上のカードが何なのか見えている状態でゲームが進行する。またそれに付随する形で、互いの手札のカードがある程度分かる様になる。

という事であり、これらを生かすことが出来るカードにとっては「天変地異」の名のとおり、非常に強力なサポートカードになる。



まずデッキの一番上が見えるという事で、「デッキの一番上のカードを確認し、カードに応じて効果処理を行う効果」を持つカードと相性がいい。
本来裏向きで参照時にギャンブル性が絡むような状況でも《天変地異》を使えば100%確実な情報を持ってデッキの一番上のカードの参照が出来る。

ちなみに通常こういったカードを使う場合、「デッキの一番上のカードを確認する」という処理が行ったうえで次の処理に移るのだが、《天変地異》発動下ではデッキの一番上のカードが公開情報になっているため、その処理は省略される。


デーモンの宣告
永続魔法
(1):1ターンに1度、500LPを払い、
カード名を1つ宣言して発動できる。
自分のデッキの一番上のカードをめくり、
宣言したカードだった場合、そのカードを手札に加える。
違った場合、めくったカードを墓地へ送る。



最も有名なのはこの《デーモンの宣告》とのコンボだろう。
デッキの一番上が丸見えなので、毎ターン500ポイントのライフポイントを払って手札を1枚増やすことが出来る。
類似効果を持つ《リチュア・ディバイナー》と組み合わせて使うのが【天変地異コントロール】で、相手のデッキの一番を見つつ、デッキ構成やデッキの一番上のカードの情報から手札情報をある程度類推し、得た情報アドバンテージを持って相手の行動を牽制しながら動くというタイプの行動を取るコントロールデッキになる。
その他、「森羅」なども効果でデッキの一番上を確認した際にカードが植物族モンスターなら「デッキからめくられて墓地へ送られたカード」として扱われるため、安定性が上がる。



逆に相手のデッキの一番上を見る活用法もあり、相手のデッキの一番上のカードの種類を言い当てることで効果が使える【SPYRAL】では確実に当てることが出来るため、こちらも相性がいい。
(ただし、ミラーマッチになると相手にまで効果を使わせてしまう事になるので注意。)
そして、この点と非常に相性がいいのがコチラ。

墓守の罠
永続罠
(1):自分の墓地に「現世と冥界の逆転」が存在する限り、相手は墓地のカードの効果を発動できず、墓地のモンスターを特殊召喚できない。
(2):お互いのメインフェイズに、手札を1枚捨てて発動できる。
デッキから「墓守」モンスターまたは天使族・地属性モンスター1体を手札に加える。
(3):このカードが表側表示で存在する場合、相手ドローフェイズのドローの前に、カード名を1つ宣言して発動する。
通常のドローをしたカードを確認し、宣言したカードの場合、墓地へ送る。

この《墓守の罠》の3番目の効果。
ドローカードを予言できれば、引いたカードを即墓地へポイ捨てさせることができる。
つまり……《天変地異》とこの《墓守の罠》がある限り、相手は通常ドローができない
墓地こそ増えてしまうものの、完璧かつ持続コストもないドローロックがたった2枚でできてしまう。
一度決まってしまえば、相手はこのギミックを突破するためのカードを手札に加える事すらできない。
あぁ、こんなの禁止になっちゃう……こともなく、まず、伏せた次のターンのドローは止められない上に、そもそも、インフレするにしまくったせいで1ターンか2ターンでゲーム終了するようになり、ドローロックしてるヒマがあったらその手間で相手を殺した方が手っ取り早い。
満足してる人達には効かないし。



続いて「デッキトップの情報から間接的に手札がある程度分かる様になる」点だが、これで恩恵を得られるカードと言えば……

マインドクラッシュ
通常罠
(1):カード名を1つ宣言して発動できる。
宣言したカードが相手の手札にある場合、相手は手札のそのカードを全て捨てる。
宣言したカードが相手の手札に無い場合、自分は手札をランダムに1枚選んで捨てる。


異次元の指名者
通常魔法
カード名を1つ宣言する。
相手の手札を確認し、宣言したカードが相手の手札に存在する場合、
そのカード1枚をゲームから除外する。
宣言したカードが相手の手札に存在しなかった場合、
自分の手札をランダムに1枚ゲームから除外する。



巻き戻しで有名なマインドクラッシュ》、そして類似効果を持つ《異次元の指名者》が上がる。

これら2枚は相手の手札のカードを言い当てる必要があるため、予めピーピングなどの下準備をする必要があるが、デッキの一番上のカードは通常ドローフェイズのドローで手札に加わるので、加わったカードを宣言すれば100%当たるので能動的な発動が容易になる。
特に前者はドロー直後を襲撃すれば、擬似的な《はたき落とし》と化す上に、運がよければ同名カードも全て捨てさせることができる為、相性は特にいい。


その他では「デッキの一番上と一番下を入れ替える」効果を利用する手もある。
「デッキの一番下にカードを置く(戻す)」効果を持つカードの使用後、すぐにこのカードを使ってデッキを裏返せば戻したカードがデッキの一番上に来るため、間接的なデッキトップの操作ができる。


ゴブリンのやりくり上手
通常罠
自分の墓地に存在する「ゴブリンのやりくり上手」の枚数+1枚を
自分のデッキからドローし、自分の手札を1枚選択してデッキの一番下に戻す。



リンク・効果モンスター
◀   ▶
リンク4/地属性/ドラゴン族/攻2800
カード名が異なるモンスター2体以上
(1):このカードは、このカードのリンク素材としたモンスターの数によって以下の効果を得る。
●2体以上:このカードのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動する。
そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップする。
●3体以上:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
手札からモンスター1体を特殊召喚する。
●4体:このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。
自分はデッキから4枚ドローし、その後手札を3枚選んで好きな順番でデッキの下に戻す。


これらのカードは手札のカードをデッキの一番下に戻す効果を持っているため、《天変地異》と併用すればデッキトップ操作として機能するようになる。
因みに上記とは逆に相手のデッキの一番上が操作された時に、このカードを発動もしくは破壊することでそれらのカードをデッキの一番下へと葬り去る事が出来る。
「デッキの一番下に戻す」はサーチするか、もしくはデッキシャッフルで最下部から移動させない限り、手札に加わるまでにかなりのタイムラグが生じるので単なるデッキバウンスよりも拘束力が高い。
上手く嵌められれば相手にとってかなり嫌な状況に持っていく事が出来る。

ただし上記の2つの使い方は発動時・破壊時にしか効果を使うタイミングがない為、どちらかと言えば副次的な恩恵になる点には注意。









怪奇な裁定・処理

……さて、このカードだが、「デッキの上下を入れ替えてデュエルを進行する」という特殊な効果の関係上、処理において様々な問題が生じることがある。

例えば《天変地異》発動時、シャッフルを行う場合そのままの状態でシャッフルするとデッキの一番上がいつも相手に見えてしまう事になる為、デッキトップ自分の都合のいいカードになるまでシャッフルし続けることで都合のいいように変更できてしまう。かといって相手に任せればやはりデッキトップを相手に都合がいいように変更されてしまう。


そのため、このカードには特殊裁定として「デッキシャッフルの時のみデッキの上下を一度元に戻し、シャッフル終了後に再び裏返す。」という処理を行う必要がある。


もちろんこれは氷山の一角にすぎず、このカードにはプレイヤーやジャッジも頭を抱える様な問題がいくつもある。

ここではその一例を紹介していく。



例①:偶数枚の《天変地異》がフィールドに存在する場合、デッキは上下が通常と同じ状態になるのか?

→これについてはフィールドに何枚あっても上下の入れ替わりは1枚分しか行われず、偶数枚あってもデッキの向きは上下が入れ替わった状態でデュエルを続行するようになっている。
ちなみにこれは枚数が減る場合でも同じでフィールドに《天変地異》が複数枚ある状態で破壊されても、1枚でも残っていれば上下は入れ替わらない。


例②:このカードの発動時、デッキの枚数はどのように数えるのか?

→デッキのシャッフルを行うのと同様に、数える時にデッキのカードが相手に見えてしまうのと、自分がデッキを覗くのを防ぐため、デッキを一度裏に戻してデッキ枚数を数え、その後デッキの向きを元に戻す。


例③:デッキから2枚以上カードをドローする場合、いっぺんに全て手札に加えるのか、それとも1枚ずつ手札に加えるのか?

→ドローするカードの内「一番上だけ」か「ドローするカード全て」のどちらの情報を確認できるのかで差が生じる。基本ルールとして遊戯王でのドローは複数枚の場合、1枚ずつ手札に加えるため、《天変地異》適用下でもこのルールにのっとって対応を行うため、この場合相手は「ドローするカード全て」を確認できる。
ただ似た処理でも「デッキを〇枚確認する」の場合は話が変わり、「お互いに確認する」と言う明記がない場合、基本的に相手は「デッキの一番上」だけしか確認できない。


④:デッキの上から裏側表示で除外する場合、どのような処理になるのか?

→《強欲で貪欲な壺》などでデッキの上からカードを裏側除外する場合だが、裏側除外は非公開情報になるので相手は本来除外されるカードを確認できない。
だが《天変地異》がある場合、デッキの上から除外されるカードは(裏向きかどうかに関わらず)当然公開情報になってしまうのが問題となる。
裁定としては「除外するカードを「見る」ことは出来るが「確認する」ことは出来ない」というものになっている。
より厳密にはカードの向きを表から裏に変える過程でカードの情報を「見る」のは可能だが、何のカードかを相手に「確認する」のは不可能となっている。
しかしここで更なる問題として「裏側除外するカードを相手が分かる様にゆっくりめくる必要があるか?」という問題が上がる。
除外する側からすれば相手に情報はなるべく開示したくないし、なるべくカードを相手に見せないようにしながら裏向きに変えて除外したくなる所だろうが、これに対する回答は……







対戦相手の方と話し合うか、大会中の場合はジャッジの判断を確認して進める。(要約)



……となっている。
要するに「プレイする側次第」という事なので、実際にこの状況になった時には双方が納得できる形になる様に対応を行う必要がある。






その他にもこのカードの発動下では特殊な処理を行う必要があるカードもある。
他にもこのカードを使う事で予期せぬ問題が生じる可能性もある為、使用時には注意して使う必要がある。




【余談】

  • ゲームでこのカードが使われている時、一部のサーチカードが発動できなくなるバグがあった事がある。(例:『ワールドチャンピオンシップ2008』での《封印の黄金櫃》など。)他にもデッキをめくる処理でわざわざカードをめくって裏面を見せると言う完全に無駄なアクションを行う事もある。当然だが実際のデュエルではこういった処理は不要なので注意。


  • 実は他TCG経験者、特に遊戯王以外のゲームを精力的にプレイする人が遊戯王のカードを評した時、「いい意味でおかしいと思うカード」としてよく名前があがる1枚。「デッキトップを見られるようにする」というカード自体は割とありふれているのだが、これを「デッキそのものをひっくり返す」という処理で表現するのが非常に珍しいのである。さらにデッキそのものをひっくり返すため、《天変地異》の効果がなくなった時にデッキトップが変化するというオマケまでついている。遊戯王プレイヤーの間ではジャッジ泣かせな調整中の宝庫なのかもしれないが、ところ変われば評価も変わるというわけだ。


追記・修正はこのカードを用いて天地がひっくり返る戦法や質問を考えながらお願いいたします。

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最終更新:2025年01月29日 12:21