エンジェラン(電脳戦機バーチャロン)

登録日:2022/05/12 (木) 12:06:11
更新日:2022/07/16 Sat 09:45:21
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エンジェランとは、『電脳戦機バーチャロン』シリーズに登場する女性型バーチャロイド。第二作『オラトリオ・タングラム』から登場している。
いささか複雑怪奇な設定や事情があるものの、全体的に変則的な射撃性能やターボ近接性能、女神様のようなビジュアルを特徴とする。

開発の発端-招かれざる客人-

第4プラント「TSCドランメン(TSC)」と第8プラント「フレッシュ・リフォー(FR-08)」は、ある脅威に頭を抱えていた。
その脅威とは、VRが歴史の表舞台に立ったVCa0年代前半から突如出現した謎の戦闘体・アジムであり、双方の陣営にいるエースパイロットですら対抗しきれず、まともな対抗馬となるのは商用ではないからこそ許されたオーバースペックな機体とパイロットを擁する白檀艦隊(ホワイトフリート)くらいであった。

しかし、TSCはアジム討伐の為にいちいちFR-08に頭を下げるのを嫌い、FR-08もシャドウを放置してまで自社のトップシークレットを何度もアジムにぶつける気になれなかった。
TSCは独自の対抗策を得るため、FR-08に一つの提案を持ちかけた。

「現行の戦闘VRを超えるアジムに対抗できるのはオリジナルVRしかいないのでは?」

この提案はある意味では理に適っており、FR-08は厳格な条件の下に提案を受理。
オリジナルVRの能力を代行するレプリカ機の製作が始まった。

VR-017 アイス・ドール

レプリカ機の開発に際し、TSCは既に自身の管理下に置いていたオリジナルVR「アイス・ドール」を基にした。
プラジナー博士が独自に手掛けた内の一つであるアイス・ドールは、VR-014 ファイユーヴVR-011 アプリコット・ジャムと同じく自我を持ち、単独での電脳虚数空間と実空間の往来能力など、ムーンゲート内で発見された方のオリジナルVRに匹敵する能力を併せ持っていた。

最大の特徴は人工V-クリスタルの実装にあった。再現率40%とはいえあらゆる人々が試みて果たせなかったV-クリスタルの複製化を人知れず実現していたプラジナー博士は、それをはめ込んだロッドを自らの創造物に託していた。それは、ひとたび武装として機能した際には、絶大なる力をVR-017に供給するはずであった。

自由奔放なファイユーヴに振り回された経緯から、当時のV-プロジェクトの最高責任者でもあったTSCの長・アンベルIVは新たな損失が出ないうちにVC.9c年に回収したアイス・ドールを強制的に凍結して第4プラント内に監禁保存していた。アイス・ドールという名前も、この時に付けられたものである。

SGV-417 エンジェラン

「氷雪魔法系神聖機体」という別名を持つ、フェイ・イェンに次ぐ第二の女性型バーチャロイド。型式番号のSGVは「Special_Gospel_Virtuaroid(特殊福音バーチャロイド)」を意味する。

本機は他の戦闘VRとは異なり、駆動カの大半はアイス・ドールによって供給される。また、制御のイニシアチブも彼女が持つ。つまりパイロットは、アイス・ドールの見守る中、彼女が認める範囲内での戦闘行動がとれるに過ぎないのである。―見不便に思われるが、対アジム戦ではパイロットの精神に大きな負荷がかかり、人間による制御では戦闘カの維持にも事欠く状況が多発していたため、むしろ安全な方であった。

エンジェランの主装備である「対偶の法杖」は、アイス・ドールだけが所持する人工V-クリスタルの作用を増幅発現させる機能を持つ。これによって、C.l.S.にある様々な事象を瞬時に実体化させることができる。

実体化事象はすべて氷の属性を有するが、その理由は完全に解明されているわけではない。長らく強制監禁を強いられてきたアイス・ドールの、頑なに閉ざされた孤独な心が、実体化機能の起動時に氷の属性として具象化されているのではないか、というのが有力な説となっている。

また、"エクロージョンモード"という羽化を伴う本機の特徴的機能については、当初から想定して組み込まれたものではない。本来アイス・ドールが何らかの事態に対応して発現させる機能であるとされているが、実際に目撃されたわけではない。

SGV-417自体がアイス・ドールの不完全なレプリカであるがゆえに、彼女の持つ能カの全てを正確に再現できておらず、対アジム用という強大な戦闘カとは裏腹に、エクロージョンモードをはじめ様々な歪みが機体各所に散見される。

エンジェランの略奪

エンジェランの開発自体はTSC陣営、つまりRNAによるものだが、型式番号はFR-08陣営、つまりDNA式の番号となっている。これについては、アイス・ドールがとった行動が大きく関係している。
アンベルはファイユーヴの二の舞を嫌い、長期にわたって強制的な監禁保存を取ったが、これが自我を持つオリジナルVRの心を閉ざし、戦闘を強要する者たちを拒絶するきっかけになってしまう。

対アジム用VRの開発が急務であったTSCは自分たちの蛮行を棚上げしたか顧みたかは不明だが土下座してまでアイス・ドールを説得し、エンジェラン開発に協力してもらっていた…が、開発が終盤に差し掛かったところでアイス・ドールが一旦CISへと姿を消し、FR-08へ移籍したのだ。
理由は明らかにされていないが、FR-08は彼女の身柄を受け入れ、TSCからの再三の返還要求に応じようとはしなかった。

エンジェランの駆動力の関係上、VR-017を保有するものだけがSGV-417を運用できる。そしてこの時、アイス・ドールを受け入れたFR-08がエンジェランの運用で主導権を持っている。
傍から見れば、FR-08がエンジェランを寝取った横領したような恰好であり、TSCが略奪行為と非難するのは無理からぬ話であった。

しかし、この両陣営の対立は表面上のものであり…?

ゲーム内性能

防御面に重点を置いた機体。
細い見た目に反してドルドレイに次いで高いVアーマー強度を持つほか、相手の攻撃を無効化する手段が多く、ジャンプ、空中移動性能はトップクラス。
近接攻撃は杖を振り回すかビンタ程度のものだが、短時間だがフィールドに残る氷を設置するユニークなものもある。

欠点として、耐久力自体は見た目通りであり、攻撃手段は追尾性能が高めだが見極められると簡単に回避される。
厄介なのが移動後に若干だが慣性モーションが発生すること。他の機体のように移動後の硬直を回避できるキャンセル入力を行っても「隙」が出来るので相手に狙われやすい。
ジャンプ性能はトップクラス、と記載したが実際は「上昇と移動速度はそこそこ速いが降下速度はやたら遅い」ので使い勝手は並、しかも着地直前を相手に狙われると防御力の低さ故にダウンを奪われやすい。
その為、懐に潜り込まれると脆く、ひたすら相手と距離を離す必要があり、有利な局面だったのが一瞬で引っ繰り返される危うさを持つため引き撃ちに徹さざるを得ない難しさがある。

能動的に直撃を狙える武器が少ないということもネックだが、『相手の高度にも対応する弾幕』という要素はバルバドスのERLコンボを除けばほぼ独自要素といえる最大のセールスポイント。これらによる事故待ち主体ながら、狙いどころではレーザーや前ビ等の確定を取る攻撃的な武装による駆け引きの分厚さがプレイヤーに愛される点といえる。

他の機体より漕ぎが効くため、地上戦はひたすら漕ぎまくるという自分にもスティックにも負担の大きい機体でもある。

なおCPU戦においては必ず5体目に登場し、サンクチュアリステージのやぐらの上に陣取る初期配置になっている。初期配置が違う事があるのだがその際はアジムが出てくる。


TA-17 エンジェラン系列

VCa6年、火星戦線が開闢され各プラントによる群雄割拠の戦国時代に移り変わりつつあった時代。
リリン・プラジナーが立ち上げた独自ブランド「トランスAFG」による独自ブランドとして限定販売された第3世代VR群の中に、SGV-417を踏襲した機体があった。その機体こそ、フォース時代におけるエンジェラン系列機である。
トランスAFGに在籍するスタッフはかつて第二世代型ライデンを手掛けた第5プラント「デッドリー・ダッドリー(DD-05)」に在籍していた経験があり、同じくトランスAFGが手掛けたフェイ・イェン系、ガラヤカ共々可憐なビジュアルと兵器としての地力を併せ持っていた。

ちなみに、第三世代エンジェランの原型となった機体はツインコンバータリンクシステム(T.C.L.S.)の実証機としての側面もある。
バーチャロイドは撃破されるとVコンバーターの活性が落ち、リバース・コンバートで形成された機体構造が消滅してしまう。さらに言うと、火星戦線自体が辺境でインフラ面に問題を抱えていたため、オラトリオ・タングラム期よりもまして兵站に悩まされることになった。

そうした負担や被害を軽減するために2機一組のバーチャロイドが相補的に活性を維持し合うT.C.L.S.の試験機として生産されたのが本機体の前身にあたる。つまりVO4の2on2バトルのレスキューやライフ共有、MARZのリペアディスク(正式名称:パーシャル・コンバート)といった技術の実証機である。
一方、本機シリーズのみが体力回復・状態異常消去といった能力を発揮している。これについては「ツイン・リンク・コンバーター・システム」の由来となるアイス・ドールの能力の一部を再現することができているためとされている。

ゲーム内性能

三世代型VRの例に漏れず、武装の異なる3(+1)機が登場している。2~3種類のターボ攻撃による攻撃バリエーションは整理され、それぞれの派生機に割り当てられている。
弾速が遅い攻撃も織り交ぜて上手く2機へ攻撃を配分すれば擬似的な一人二役を演出することが出来る点を活かすことに終始した玄人好みの立ち位置。
ちなみに、フェイ・イェン系と同様隠し要素として胸部サイズの個体差が存在する。

TA-17L エンジェラン「慈愛」

フォースにおける基幹機種。指揮官仕様は司祭帽が目印。
第三世代エンジェランの中では機動力に劣るが、相殺性能が非常に高いミラーやテムジンにおけるザッパー系に近いTRWなど、SGV-417における左ターボ系武器に寄った武器性能を持ち、近接を挑んでくる相手への迎撃能力が高い。

TA-17S エンジェラン「治癒」

派生機の一つで、指揮官仕様はナースキャップが目印。
攻撃の燃費が落ちるが、SGV-417における主力攻撃であった氷柱や一時的な敵機の凍結など右ターボ攻撃に寄った武器性能を持っており、単発威力の高さから爆発力やダメージレースに強い。

TA-17H エンジェラン「慰撫」

派生機の一つ。指揮官仕様は天使の輪が目印。
新武装としてLWのウイング・ボール(どう見てもオパオパ)が実装されており、壁越しから使用できる武器であるため系列で最も援護能力が高い。

TA-17B エンジェラン「化鳥」

MARZオリジナルの派生機。唯一指揮官仕様がない。
慈愛をベースとしているが、ソロプレイ主体のMARZに合わせたためか苦手だった近接性能が強化されたほか、立ちCWが設置龍でなくなり、フォースの同系列機群では治療魔法であったTCWが単なる高追尾攻撃となっている。
支給条件もリペアディスクを150枚回収することと、意識していなくてもいつの間にか使えるようになってる事も多い。

だがそのスペックたるやぶっ壊れテムジンこと747J・同じくインチキライデンことgfkライデンE1の影に隠れた、MARSの強機体の一つ。
ターボ以外の近接、特にガードリバーサルの振りがとてつもなく速く迎撃が得意な上、ターボRW近接が杖を使ったポールダンスのような回し蹴りになっている。
この回し蹴り、何とフォースのエンジェラン系列では不可能だった回り込みターボ近接が可能。
発生が更に速いターボ近接を持つテムジン747Aベースの機体には分が悪いが、攻めも十分できる総じて優秀な近接性能となった。
設置龍の廃止も見方を変えればフォースの死に技をシンプルかつ実用的な技に整理したと言ってよく、射程に応じて様々な軌道やスピードで高誘導のCWを使い分けることが可能、と援護能力も上がっている。
機動力や防御力も高水準で、タイマンも援護もこなせるその非常にバランスの取れた性能は「フォースで使いたい」の声が絶えない。
仮にデビューしたら他のバリエーション機をほぼ食ってしまうだろうが





追記・修正は彼女の身柄を受け入れてSGV-417運用の主導権を握ってからお願い致します。

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