登録日:2022/11/11 Fri 00:00:00
更新日:2025/03/13 Thu 10:34:53
所要時間:約 20 分で読めます
【概要】
『アウトレイジ 最終章』とは、2017年10月7日に公開された日本映画。
第74回ヴェネツィア国際映画祭では、クロージング作品として上映された。
2012年に「全員悪人 完結。」と銘打って公開されたシリーズ第2作『
アウトレイジ ビヨンド』のヒットを受け、改めてシリーズの最終章として製作された。
監督・脚本は前2作に引き続き北野武で、ワーナー・ブラザース映画 / オフィス北野共同配給。レーティングも引き続き
R15+指定。
海外ではアメリカのフィルム・ムーブベントを始め、4社が配給を行っている。
【ストーリー】※ネタバレ注意
前作での抗争後、大友は旧知の日韓フィクサーである張大成会長の計らいで韓国の済州島に渡り、張グループが仕切る歓楽街の用心棒をしつつものんびりと暮らしていた。
そんなある日、歓楽街で思わぬトラブルが発生する。花菱会の幹部である花田という男から
「買った女が使えない」とクレームが入ったのだ。
大友は配下の市川達を引き連れて現場のホテル部屋に急行。因縁をつけようとしてきた花田を逆に一喝し、詫び料を要求。
大友達の剣幕と武装に内心恐れをなした花田は翌朝に200万円を払うと
約束し、ひとまずこの場は収まった。
その翌朝、金の受け取りに出向いていた張グループのドライバーが花田組の組員に殺されていたことが判明。
仲間を殺されたことに激怒した大友は花田に
復讐するために日本へ帰ろうとするが、張に諌められてやむなく済州島に留まる。
その頃、日本の花菱会本部でも不穏な雰囲気が立ち込めはじめていた。
【登場人物紹介】
張グループ
主人公。本作では韓国の済州島の歓楽街で
用心棒をしつつ、時には魚釣りに耽ったりもする穏やかな日常を送っていたが、度重なる花菱会の暴挙に痺れを切らして復讐の為に配下の市川を伴って日本へ帰国。
花菱会のヤクザ達を次々に抹殺していくが...
演:大森南朋
「兄貴!釣れましたよ!」
済州島の歓楽街の用心棒で、本作における大友の相棒。
大友への忠誠心は非常に高く、「親分でも兄貴分でもでもねぇんだよ」などと同行を突っぱねられても決意は揺るがず、共に日本へ帰国する。
演:金田時男
張グループの会長に君臨する在日韓国人のフィクサーで、日韓両国の他に台湾や香港にも影響力があるらしい。
旧知の仲である大友のことは前作の頃から変わらずに気にかけている。
基本的には平和裏に事を収めようとする穏健派であるが、自身や組織のプライド・面子を傷付けるような輩に対しては厳しい態度で臨む一面もある。
シリーズでも屈指の傑物であったが、本作では苦汁ばかり舐めることになる。
演:白竜
張からの信頼も厚い側近の一人。張の意向を汲んで血気に走る大友を諌めようとするも止めることはできなかった。
「じゃあこれはゴタゴタじゃねえのか?」
演:津田寛治
張の側近でボディーガード。
花田が差し向けたヒットマン達の襲撃に対して、その身に銃弾を受けながらも彼らを返り討ちにするが、後一人というところで力尽きて死んでしまう。
演:仁科貴
花菱会が出入りする焼肉店とバーの従業員。
韓国の済州島出身ということもあって張グループとも繋がっており、大友達が使う偽造パスポートや武器の手配を行った。
幹部である崔も当初知らなかった張の兄弟分である尹会長の妻の訃報を知っていた事から、尹会長と近しい立場である模様。英語版字幕の表記は「Gun」。
花菱会
演:大杉漣
「俺はな、花菱の会長だぞ!」
花菱会会長。先代会長である布施(演:神山繁)の娘婿。
元々は証券マンで、定年退職後に舅の後を継いで今の地位に就いた為ヤクザとしてのキャリアは皆無に等しい。
金になるならどんなビジネスも許容する拝金主義者で、布施が御法度としていた薬物取引も容認しており、
「誰がこの組立て直してきたと思ってるんだ!」などと叩き上げの幹部達に息巻いているが、
西野曰くそんな事を言ってる割には財政に穴ばかり開けているらしく、態度が横柄なことも合わさって非常に評判が悪い。
ネタバレになってしまうので方法は言えないが、大友によって本作屈指のおぞましい最期を遂げることになる…
前作で会長だった布施達也役の神山繁氏が病気療養中(本作公開年の初頭に死去)だった事から代打として登場したキャラクターだが、演じた大杉氏も公開の翌年に急性心不全で死去している。
また大杉氏は生前、北野監督の映画に数多く出演していた。
演:西田敏行
「ヤクザの本当の怖さ、教えたるわ…。」
花菱会の若頭。ヤクザとしてのキャリアに乏しい野村が権勢を振るう様を快く思っておらず、反感を隠そうともしない為、仲が悪い。
前作同様卓越した策謀で事を思い通りに運んでいくが、一方で大友の暴走ぶりに取り乱すというらしくない一面も覗かせる。
演:塩見三省
「ヤバいでお前?お前エラいトコと揉めてもうたなぁ…」
花菱会の筆頭若頭補佐。
西野の良き弟分であり、野村による懐柔工作にも応じず、西野に味方して野村の企みを密告した。
前作では悪役初挑戦とは思えない迫力満点の恫喝で武闘派のイメージを欲しいままにしていたが、
演じた塩見氏が前作公開の2年後に脳溢血を発症して左半身に麻痺が残り、歩行もままならない状態だった事から、かつての武闘派幹部から中間管理職の板挟みに苦しむ老幹部に役回りが一変した。
演:岸部一徳
「おどれなんか子分がいてへんかったら、ただの定年迎えたサラリーマンやないかい」
花菱会の会長付若頭補佐。
野村の側近として彼には従順に接していたが、西野潰しの策謀が露見すると態度を翻して西野に付いた。
西野の会長就任後も中田と共に3人で今後の相談をしている事から、早い内から西野派だった事が窺える。
演:ピエール瀧
「ワシを誰やと思ってんねん…花菱の花田やぞ!」
花菱会の直参幹部で花田組の組長。
闇金経営や布施が御法度としていた薬物取引で得た多額の利益を出しており、それを野村に上納することで彼の歓心を買い、直参幹部に取り立てられた(山王会で言うところの石原のような存在)が、それだけの資金力を持っていながら数百万の慰謝料すら踏み倒そうとする守銭奴。
おまけにSMプレイに目がない
マゾヒスト趣向の持ち主であり、西野や森島からは半ば呆れられている。
張グループとの揉め事が起こった一番の元凶であるが、その後も無責任な対応を続けて火に油を注いでいく。
公開の2年後、演じたピエール氏がコカイン使用の疑いで逮捕され、地上波での放送がお蔵入りになる。
前作で小野を演じた新井浩文も逮捕されたことを受け、北野監督は同年の
天皇陛下(現:上皇陛下)即位30周年記念の祝辞にて、
「両陛下が御覧になった映画が、不届き者を2人も出した『アウトレイジ3』でないことを祈るばかりです」と発言し、会場を多いに笑わせた。
演:原田泰造
花田の手下で悪事の実行役を担当する暴走族上がりのチンピラ。青色のジャージを着ている。
花田は他の組による実行人物の特定を避けるため、顔が知られていない暴走族上がりのチンピラである丸山たちを使って様々な悪事を働いている。
花田に張の抹殺を命じられ、数人の仲間を率いて襲撃。
護衛を務める崔らは殺害するが仲間も同時に倒され、自身も銃を向けられても全く動じない張に怯んだ隙に李に殺害された。
演者の原田泰造は本作ではヤクザ役だったが、テレビドラマなどでも悪役を演じる機会も多い。
演:池内博之
「おい!!貧乏ヤクザ…」
花菱会系木村組の組長。事実上花菱会の傘下となった山王会の監視や関西にいる幹部が来た際の足役を担っている。
吉岡自身も花菱会の人間であるものの、本人は本部の人間に足代わりに使われる事を快く思っておらず、張グループと揉め事が起こった際も距離を取ろうとしていた。
花菱会の傘下に入った山王会の白山や五味を「貧乏ヤクザ」と蔑んでいたが、白山たちの策略により高級クラブで白山と五味と一緒に飲んでいるところを韓国から日本に戻ってきた大友によって襲撃され、あっけなく射殺された。
演:桐生コウジ
刑務所から出所してきた花菱会の中堅幹部。自分の子分が犯した殺人事件に連座して逮捕され、5年間服役していたらしい。
釈放を受けて「河野直樹君を励ます会」と題した出所祝いが催されるが、突如割って入ってきた西野に主役の座を奪われた挙句、
更に乱入してきた大友達が乱射するアサルトライフルの流れ弾に当たって死亡した。
山王会
演:名高達男
山王会の3代目会長。
彼の就任以降、山王会は花菱会の影響力にすっかり飲まれてしまい、かつての本部屋敷も花菱会東京支部として取り上げられ、代わりにかつての大友組と同様に賃貸ビルの一室に本部を置く等、著しく弱体化している。
彼自身も格下に威張って格上にへりくだるという、前作以上に狭量な人物に成り下がっており、若頭の五味との折り合いも悪くなっている。
演:光石研
山王会の若頭。
小心者なのは前作から変わっていないが、吉岡や白山の不遜な態度には不満を溜め込んでいる。
演:四方堂亘
山王会先代会長の加藤稔の元側近で、前作終盤で側近(演:曽根悠多)とともに木村を暗殺した。
現在はヤクザから足を洗い、スクラップ工場を営んでいる。
警察
演:松重豊
マル暴の刑事。以前と変わらず謹厳実直な性格で、上層部の癒着を通したやり方に不満を持っている。
前作の加藤や片岡の殺害が大友の仕業だと気付いており、彼を連行して取り調べを行うも、張グループと癒着関係にあった上層部の方針で釈放されたことで上司の平山と激しく言い争う。
ポスターがどう見ても「ヤクザの抗争中に
飯を食う場所を探している一般人が巻き込まれている」にしか見えないという意見が続出。
役者が役者故に仕方ない。
演:中村育二
マル暴の刑事で繁田の上司。前作では名無しだったが、今作では名前付きキャラに昇格した。
気弱で長いものに巻かれやすいながらも温和で心優しい性格の為、言い争いをした繁田とも険悪な仲とはならず、花菱会の騒動解決後にも食事を奢っている。
演:長谷川公彦
本名不明。平山達の上司に当たる警察上層部の男。階級・役職等は不明。
李を介した張の圧力に屈服して大友を釈放する等、警察官としての社会正義よりも政治による利権を優先しており、大友釈放後も捜査を止めない繁田を四課から「人が足りない」との理由で二課へと外し、平山に対して「今度から先方に連絡する時には、私を通してもらえるかな」と指示を出した。
李さん、アンタがそんな事しなくたって良いよ。追記・修正は自分でやるから…会長に宜しく。
- 天皇陛下もアウトレイジシリーズ見てるんだろうか 割と人選ぶ内容だと思うけど -- 名無しさん (2022-11-11 05:53:41)
- みないだろ -- 名無しさん (2022-11-11 06:02:32)
- でも現陛下はウルトラセブン大好きだからなぁ。 -- 名無しさん (2022-11-11 06:03:25)
- 組織の対立に巻き込まれたゴローちゃん というツッコミが絶えなかったポスターを思い出す -- 名無しさん (2022-11-11 09:11:37)
- おそらくシリーズファンの多くは花菱会との抗争が見られると期待してただろうけど、西田さんと塩見さんの病気の影響か、花菱会大勝利ENDになったのは残念 -- 名無しさん (2022-11-11 22:58:59)
- 大友と繁田はある意味では対称的と言えるかも。組織のやり方に対してついて行けなくなって警察を辞めた繁田と、最後までヤクザを辞められずに最後はは自殺した大友。 -- 名無しさん (2022-11-13 09:27:25)
- ↑2主人公が暴力まみれの末に死ぬか落ちぶれて巨悪大勝利っていうのは北野映画の定番。 -- 名無しさん (2022-11-13 12:43:11)
- 演じられてた神山繁氏の事情は別として、前作で山王会を翻弄した知略家の布施が、西野を差し置いて野村に会長を継がせたのは失策過ぎる。花菱内に反発と混乱を招くのが読めなかったんだろうか。 -- 名無し (2022-11-14 01:59:12)
- よくヤクザ吹替MADで使われる罵声は大体ここが大元。「魚の餌にしちまうぞこの野郎!」 -- 名無しさん (2022-11-14 11:37:41)
- ピエール瀧氏には敬称あり、新井浩文には敬称無し...w (2022-11-14 11:37:41)
- ↑新井浩文はムショにいるしなぁ -- 名無しさん (2023-01-04 00:47:57)
- ↑4 野村を会長にしたのはボケて娘の言いなりになったとかの裏設定がありそう。 -- 名無しさん (2023-08-11 13:00:00)
- 著作権保護のための編集を行いました。 -- 名無しさん (2023-08-29 23:34:00)
- 野村会長元はサラリーマンで定年後にヤクザの組長になるとかどんなバイタリティしてんだよ -- 名無しさん (2024-08-25 17:19:21)
- ていうかこれ当初は布施を裏切る予定だったってことか?そりゃ前作の時点でこの作品のヤクザらしく二癖もあるジジイではあったけど… -- 名無しさん (2025-03-13 10:34:53)
最終更新:2025年03月13日 10:34