スッポンモドキ

登録日:2023/02/14 Tue 11:50:00
更新日:2025/03/11 Tue 11:14:22
所要時間:約 4 分で読めます




スッポンモドキとは、スッポンモドキ科スッポンモドキ属に属する1属1種の水生カメである。


特徴・生態


完全に水生で、陸に上がることはないカメである。
手足がヒレ状になっており、一見するとウミガメのように見える。
名前の由来は、甲羅がスッポンと同じく皮膚に覆われていることから。
ただし、スッポンと違って唇は無い。
鼻の穴が大きく前に突き出していることから、「ブタバナガメ」の別名もある。
甲長は最大で80センチに達するとされるが、通常は50センチほどである。

生息地はオーストラリアとニューギニア(インドネシアおよびパプアニューギニア)。
オーストラリアに棲息する唯一の潜頸類である*1

食性はほぼ完全な植物食性。



まあ、そんなことよりなにより、アニヲタ的にはアニメ版けいおん!に登場する軽音部のペット、トンちゃんで有名だろう。


ペットとしてのスッポンモドキ


古くからペットとして売買されているカメであるが、その歴史は波乱万丈である。

最初に日本に輸入された際は、一匹100万円近くする超高級カメだった。
ちなみに、オーストラリアは自国の野生動物の輸出を認めないため、輸入されるのは全てニューギニア産の個体である。
また、人為繁殖は非常に難しいので、売られているのは全てWCかFHである。

が、1990年代末ごろから一気に流通量が増え、値段は一匹数千円にまで暴落。
デパートやホームセンターでも売られるようになり、「そこらにいる安いカメ」になった。
何年も金を貯めて、ようやく買えた途端に価格が暴落した人もいた模様。悲惨だ…
この頃に購入したことがある人も多いかもしれない。

だが、「けいおん!」に登場したころを境に再び流通量は減少に転じ、一気に数十万円まで戻った。
爬虫類や熱帯魚ではこういうケースは珍しくないのだが、さすがに極端すぎる。

2020年代現在では、年に一回FHのベビーが入荷する(概ね年末年始)。価格は15万円ほど。
育った飼いこみ個体であれば30万円というところである。
アルビノなどの色変個体であれば100万円を超える。
時期を逃すとほとんど見つからなくなる、典型的な「季節モノ」の爬虫類なので、購入したい人は時期を逃さないようにしよう。


飼い方


さて、これだけ飼われてきた歴史のあるペットなので飼いやすいのかというと……
まあ、1にも2にも問題なのはそのサイズである。
上述のように普通でも甲長50センチ、大きければそれ以上になるのだ。

成長はそこまで早くはないが、市販の普通の水槽で飼えるのはせいぜい5年目くらいまでである。
最終的には、最低でも幅180センチクラスの水槽は欲しい。理想的には240センチ。
150センチくらいの水槽で飼っている人もいるが、これでもまだ少し狭い。

このサイズの水槽だと、ガラスでは強度が足りないのでアクリル製、それも特注になる。
費用はざっと数十万円。
当然家の中にこれを置けるスペースが必要だし、このサイズの水槽に水が入ると重量もすごいことになるので、木造建築であれば床の補強工事も必要。
スッポンモドキ自体の値段も含めれば、トータルで費用は100万円は見ていたほうがいいだろう。
誰でも飼えるカメではない。
軽音部のトンちゃんも、最終的には校庭に池でも作って飼うしかなくなるのではないだろうか。

なお、前述のように、2000年代頃まではこのカメは大量に安く売られていた。
なので、今頃超巨大カメを飼っている人がそこら中にいないとおかしいのだが……
もしかしたらこのwikiを見ているアニヲタにも苦い思い出が蘇った人もいるかも知れないし、
あるいはサーバルキャット、フェネック、カワウソ等モルモットなんかに興味を持っている人もいるかも知れない。
終生飼いきる覚悟と予算がなければ生き物に手を出してはダメ、絶対。

大きさの問題を別にすれば、スッポンモドキ自体はわりと丈夫で飼いやすいカメである。
水温は28度くらいと、少し高めにするのがポイント。
(もっと高温でもいいのだが、あまり普段から高くすると、調子が悪くなった時に「水温を上げて様子を見る」ということができなくなるので、普段はやや低めがオススメ)

エサはかなり植物食に偏っているので、普段は野菜やリクガメ用人工飼料をメインにし、たまにミズガメや魚用の人工飼料などを混ぜればいいだろう。
襲われない程度の大きさの魚となら混泳もできるが、基本的に性格はきつくて排他的なので、他のカメなどとは一緒にしないほうがいい。

注意すべきは皮膚病。
皮膚がむき出しなためか、他のカメよりもかかりやすいようなので、こまめにチェックしてやろう。


慣れれば飼い主のほうに寄って来たり、それなりのコミュニケーションも取れるようになる。
金銭とスペースに余裕がある人、もしくは「スッポンモドキのためなら自分の生活を犠牲にしてもいい」と思える人であれば、飼ってみてもいいだろう。


追記・修正はスッポンモドキの繁殖を成功させた人がお願い致します。


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最終更新:2025年03月11日 11:14

*1 首をまっすぐに甲羅に引っ込めるカメ。オーストラリアの他のカメは、全て首を左右に曲げて収納する曲頸類である。