イワンの馬鹿(ロシア民話)

登録日:2023/03/17 Fri 00:56:10
更新日:2024/09/29 Sun 12:12:52
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イワンの馬鹿』は帝政ロシア時代の小説家レフ・トルストイによる1885年9月頃に書かれた作品。
正確には「イワンの馬鹿」というのはロシアの民話にしばしば登場する男性キャラクターではあるが、トルストイによって書かれた彼を主人公とした作品が特に有名なため、この項目ではそちらを扱う。

原題は『イワンのばかとその二人の兄、軍人のセミョーンとたいこ腹のタラスと、口のきけない妹マラーニャと大悪魔と三匹の小悪魔の話』そのまんまである

和訳として長谷川天渓 訳『大悪魔と小悪魔』や内田魯庵訳『馬鹿者イワン』などがあるが、
この項目では青空文庫にも収録されている菊池寛訳『イワンの馬鹿』を元として解説する。



【あらすじ】


とある国の田舎に、兵隊のシモン(発音の違いでセミョーンとも)、デブ肥満の商人のタラス、馬鹿のイワンという三人の息子と、彼らの妹で聾唖者のマルタという娘がいた。
ある日、上の兄弟二人であるシモンタラスが実家に帰ってきて「生活に金がかかって困っているので、財産を分けてほしい」と父親に言った。彼らの親不孝ぶりに憤慨している父親がイワンにそのことを言うと、ばかのイワンは「どうぞ、みんな二人に分けてお上げなさい」というので父親はその通りにした。
しかし、三人の間に財産を争う諍いが起きることを期待していた年寄り悪魔はその様子を見て腹が立ち、三匹の小悪魔を呼び寄せて三人の兄弟の仲違いを命じるが...?


【主な登場人物】


◆イワン
百姓兄弟の三男。
この小説の主人公であり、自他ともに認める馬鹿。なんなら地の文で真っ先に馬鹿呼ばわりされてしまっている。
「いいとも、いいとも。」が口癖。
だが作中の行動から見るに馬鹿というよりも「底なしのお人好し」という表現の方が正しいかもしれない。彼のお人好しっぷりのお陰で悪魔たちの計画は頓挫したと言ってもいい。
誰にでも優しく、馬鹿と言われても仕方ないほど実直な面もあると同時に、ダメだと思うものには毅然として首を縦に振らない強かさや背徳をよしとしない愚直な信仰心も持ち合わせている。
あと悪魔のような汚いものには容赦がない「神様がお前をお守り下さるように」。


◆シモン
百姓兄弟の長男。
王の姫と婚姻した上で軍人になる大出世をしたものの、金策が下手な上嫁の浪費癖で金欠になり、金持ちの父に三分の一の財産を強請りにくる。その際、仮にも弟と妹のイワンとマルタをバカにする発言をするなど、人格に難がある。
ポジションとしてはやられ役。

◆タラス
百姓兄弟の次男。
商家の娘と結婚して商人になっただけあり、兄と違って金欠ではなかったようだが欲深かったため、兄と同じく父親にたかりに行く。兄と同じくイワンとマルタをバカにする発言をする。
そして兄と同じくやられ役。

◆父
三兄弟の父であり、お金持ちの百姓。本名不明。
金をたかりにくる上の兄弟二人には苦い顔をするなど常識人。
序盤、中盤のみの出番。

◆マルタ
聾唖者*1の妹。兄二人からは見下されてしまっている。
終盤のみの出番だが、その際に怠け者には厳しく対応する姿が見られる。


◆年よった悪魔
人を凋落させたり争わせたりすることを仕事とする悪魔。
例えるならばこの作品のラスボスポジ。
三兄弟を陥れるべく最初は部下の小悪魔を送り込み、最後には自ら策謀を張り巡らせるが…

◆三人の小悪魔
年よった悪魔の部下たち。
上司にプランを聞かれたときにはちゃんと筋道立てて答えたり、一人が作戦に難航して助けを求めると他二人も快く応じたり、イワンの攻略に三人とも四苦八苦したり、イワンに見つかると必死で命乞いしたりどこか憎めない奴ら。


【ストーリー】

イワンとマルタが稼いだ家の財産をたかりに来たシモンとタラスだったが、イワンは快く分け与える。
しかしそれを見ていた年よった悪魔は不満だった。財産の分前で兄弟が喧嘩すると思っていたところをイワンのお陰で台無しになってしまったからだ。
そこで年よった悪魔は部下である三匹の小悪魔を呼び寄せ、三人を仲違いさせるようにいいつける。
三匹はそれぞれ兄弟を一人ずつ担当し、凋落させるために作戦を開始した。


*
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しばらく後、三匹の小悪魔たちは会合し、作戦の進捗を話し合う。
まず、シモン担当の小悪魔はシモンの性格を”大へんな向こう見ず”にすることで全世界をかすめ取ると大言壮語をさせ、それを信じた王が印度(インド)征伐にシモンを向かわせる。
ところが小悪魔は事前に藁を使って兵隊を作るという能力で印度側に加担する一方で、シモン側の武器の火薬を湿らせておくことでシモンを大敗させる。当然王は怒って逃げ帰ったシモンを死刑にしようとするが、その前にシモンを逃しておくことで、また困窮させて父の元へ帰らせる作戦だった。

一方、タラス担当の小悪魔の作戦は比較的シンプルで、ただでさえ欲張りなタラスをさらに欲張りにすることで借金してもなお盛んにモノを買い込むように仕向ける。そして、借金の取り立ての日までには買い込んだ品物をすっかりダメにしておくことで返品もできない状態にして破産させ、父の元へ帰らせる作戦だった。


しかし、イワン担当の小悪魔は参っていた。イワンが農作業できないようイワンの飲むお茶に自らの唾を混ぜることで腹痛を起こさせ、畑の土を石のように固くする作戦を行ったが、イワンがとてつもない馬鹿であるため、腹が痛く土が固くてもなお畑を耕すのをやめない。そこで小悪魔はこっそり鋤を壊す作戦に出るものの、なお予備の鋤を持ってきて畑を耕す。更に小悪魔は土の中に潜り込んで鋤を掴んで妨害するものの、なお一所懸命畑を耕すため、小悪魔は手を切ってしまったという。

このままでは兄二人がニートになってもイワンが養い続けてしまう。
シモンとタラス担当の小悪魔は、イワンの担当を手伝うことを約束し、三匹は解散した。


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一方のイワンは、腹が痛いながらもまた耕してない一つの畝を耕すため畑にやってきていた。
ところが、耕そうとするとやっぱり鋤が動かない。例の小悪魔が土の中で鋤を足に絡めて妨害していたのだ。
不審に思ったイワンは直接土に手を突っ込んで探りはじめる。それにより何か柔らかい真っ黒な生き物…つまり小悪魔を掴んで引っ張り出したのだ。
イワンは「なんて汚えもんだ。」と言って鋤にぶっつけようとするものの、小悪魔は「どうかひどくしないで下さい。そのかわり何でもあなたの言いなり次第にいたします。」と命乞いする。

小悪魔は言う通りなんでもできるというので、腹痛を治すように言ってみると小悪魔は土の中からなんでも病気を治せるという三本の根がついた木の根を差し出す。そのうちの根の一つを実際にイワンが飲んでみると腹痛はすぐに治った。

こうして不本意な[[マッチポンプ]]によって無事解放してもらえることになった小悪魔だが、その際にイワンは祈りの言葉を伝える。

イワン「じゃ行け、神様がお前をお守り下さるように。」

しかし、邪悪な悪魔にとって祈りの言葉というものはパンチ同然なのか、聞いた小悪魔は地面に落ちて地面にのめり込み、深い穴だけを遺して地の底へ消えてしまった。
イワンは残りの根っこを帽子にしまって畑仕事を終えると、家にはなんと王のところから抜け出してきたシモンとその嫁さんが夕飯を食べていた。
新しい士官先が見つかるまで養ってくれと言うシモンに対し、「いいとも、いいとも。」といつもの口癖で了承するが、なんとイワンが椅子に腰を下ろそうとするとシモンの嫁が騒ぎ出した。

嫁「私はこんな汚い百姓と一しょに御飯をたべるのはいやです。」
シモン「お前の着物が大へん臭いので家内がいやだというのだよ。お前外へ行って飯を食ったらいいだろう。」

なんとも図々しいことを言い出す両者だが、イワンは「いいとも、いいとも。どうせ私は馬の飼葉の世話をせにゃならんから、外へ行こう。」と了承し、少しばかりのパンを持って外へ行くのであった。

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一方、元シモン担当の小悪魔はイワン担当を手伝うために家に向かったものの、仲間の小悪魔の姿はなく代わりに穴を一つ見つけたことで、仲間の身に何かあったことを察する。
改めてイワンの妨害を試みる小悪魔は、手始めとばかりにイワンの秣場に水をまき、草を泥だらけにしておくものの、イワンが鎌を研ぎながら一週間かかろうとも草を刈る決意を独り言で漏らすのを聞いて、さらなる妨害の必要を感じた。
そこで次は草の中に潜み、イワンが草を刈る瞬間に鎌を地面に食い込ませることで体力を消耗させる作戦をとるが、それでもイワンは挫けず草を刈る。次の沼地でも待ち構えて鎌を掴んで妨害するも、思うままに動かない鎌にキレたイワンが力の限り動かしたせいで小悪魔も力負けし、その際に尻尾を半分に切られてしまう。

それでも挫けない小悪魔は、今後イワンが燕麦刈りに取り掛かることを聞き、次こそ妨害してみせると決心する。
ところが翌朝小悪魔が畑に向かうと、なんと燕麦刈りは全て終わってしまっていた。イワンが先に徹夜で刈ってしまっていたのだ。
まんまと出し抜かれたことに怒った小悪魔は今度は麦束の中に潜り込むことで麦束を腐らせようとする。しかし不覚にも麦束の中は暖かかったため妨害工作続きでの疲れもあったのかぐっすりと寝込んでしまった。

結果、麦束を荷車に載せようとしたイワンに、小悪魔は見つかってしまう。

イワン「おやおや、また出て来やがった。」
小悪魔「いや、ちがうんです。先来たのは私の兄弟です。私はあなたの兄さんのシモンについていたんです。」
イワン「ふん、どいつだってかまやしない。お前も同じ目にあわしてやるのだ。」

汚いものには厳しいイワンは荷車に叩きつけようとするものの小悪魔は命乞いをはじめる。

小悪魔「何でもあなたのお好きなものから兵隊をこしらえることが出来ます。」
イワン「兵隊は一たい何の役に立つのだ。」
小悪魔「何の役にだってたちます。あなたが命令を下しさえすればどんなことでもします。」
イワン「じゃ唄がうたえるかい。」
小悪魔「ええ出来ますとも、あなたが命令なさりさえすれば。」

イワンが小悪魔の言う通りに麦束を使って呪文を唱えるとそれが楽器を持った兵隊に変わった。イワンは「娘っ子がさぞ喜ぶこったろう。」と喜ぶ。
しかし麦束がこのままだと仕事ができないので、元の麦束に戻す方法もちゃんと聞いた上で小悪魔を解放する。

イワン「神様がお前をお守り下さるように。」

しかしイワンが祈りの言葉をかけたため、二番目の小悪魔もまた穴になって消えてしまった。
そしてイワンが家に帰ると、次男のタラスとおかみさんが晩飯を食べていた。小悪魔の策略による借金で首が回らなくなったため、養ってもらいにきたのだ。
イワンは「いいとも、いいとも。」と快く了承して椅子に座ろうとするが、今度はタラスのおかみさんが騒ぎ始めた。

おかみ「私はこんな土百姓と一しょに御飯はいただけません。この汗の臭ったらがまんが出来ません。」
タラス「どうもお前の臭いはひどすぎる。外で飯を食ってくれないか。」

またもや図々しいお願いをしだす夫婦だが、イワンは「いいとも、いいとも。どのみち私は馬の世話をしなくちゃならん。飼葉を刈る時刻だからね。」と答えるのであった。

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そして最後の元タラス担当の小悪魔も家に向かうものの、仲間の小悪魔はおらず代わりに仲間の形見である切られた尻尾と穴が二つだけ。仲間によくないことがあったのを察した最後の小悪魔は、仲間の後を受け継ぎ仕事をやり通すことを決意。
イワンの様子を見に行くと、彼は樹を切っていた。転がり込んできた二人の兄が家が狭くなったため新しい家を建てるようにイワンに命令したためだった。どこまで図々しいんだこの兄弟

そこで小悪魔は妨害を開始する。イワンが樹を切り倒そうとすると他の樹に引っかかるようにして上手く倒れない。また別の木を切って棒を作って引っかかりを外すことでようやく倒せるも、次の樹を切ろうとしたときにまた同じようなことがおきる。
今日中に百本の樹を切り倒すつもりでいたイワンは、十本も切り倒さないうちに日が暮れてヘトヘトになってしまう。それでもなお作業を続けようとするものの背中に痛みが走ってしまい、斧を樹に食い込ませたままどっかりと座り込んでしまった。

妨害をしていた小悪魔は手応えを感じ、樹の上でクスクスと笑う。しかしその瞬間突然立ち上がったイワンは樹を逆の方からいきなり斧を叩きつけた。それにより樹は倒れ、すっかり油断していた小悪魔も木から落ち、イワンに見つかってしまった。

イワン「おやおや、汚いやつめまた出て来やがったな。」
小悪魔「いや、ちがうんです。私はあなたの兄さんのタラスについてたんです。」
イワン「だれであろうがかれであろうが、もうだめだぞ。」

例によって汚いものには厳しいイワンは斧をふり上げて打ち下そうとするものの小悪魔はテンプレ通り命乞いをはじめる。

イワン「じゃ何が出来る。」
小悪魔「あなたの欲しいだけお金をこさえることが出来ます。」
イワン「よしよし、じゃこさえてくれ。」

小悪魔はイワンに樫の葉を手で揉むことで金貨を生み出す能力を授ける。イワンは「これやお祭に若い者に見せるにゃもって来いだ。」とご機嫌。

小悪魔は解放されたものの、「じゃ行け、神様がお前をお守り下さるように。」という即死呪文祈りの言葉によって、とうとう最後の小悪魔も穴と化してしまうのだった。

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こうして二人の兄の家は無事に建ち、秋の取り入れもすると村ではお祭りの時期となる。イワンは兄たちも祭りに誘うが「百姓のお祭なんてちっとも面白くない。」と兄たちは参加を拒否。
そこでイワンは百姓やおかみさん達と一緒に祭りを楽しむ。その際、皆が踊っている広場で樫の葉を揉んで作った金貨をイワンがばらまいて大騒ぎになったり、兵隊を作って歌を歌わせて村の人達の肝をつぶしたりして、祭りを満喫して終了する。

翌日、イワンが兵隊を生み出せることを知ったシモンが「兵隊さえありゃ何でも出来るよ。国一つでも自分のものになる。」と言って兵隊を生み出すようにお願いする。
兵隊をこちらでは養えないため必ず全員連れて行くように約束した上で、イワンは畑いっぱいの兵隊をこしらえる。

シモン「イワンよ全くありがとう。」
イワン「もっと入るようなら、また来なさるがいい。今年は麦藁はたくさんあるし、いくらでもこさえてあげるから。」

一方、タラスもイワンが金貨を生み出せることを知り、イワンにお願いをしに行く。イワンは快く了承すると手桶三杯分の金貨を生み出して馬車に乗せる。

タラス「さしあたってそれだけありゃたくさんだ。イワンよ、ありがとう。」
イワン「なあにまた入るときには来なさるがいい。葉っぱはどっさり残っているからな。」

こうしてシモンは兵隊を使って一国を倒し、タラスはいっぱいの金貨を使って商売をして金を儲けることに成功。

ある日、二人は出会って悩みを交換し合う。シモンはたくさんの兵隊達を養う金に困っており、タラスはたくさんの金を警護してくれる兵がいないことに困っていた。

そこで二人はさらなる兵隊や金をシモンに生み出してもらうために再び家に向かう。まず兵隊のシモンは、タラスの金の番をさせる兵隊を生み出させようとする。
入り用ならいつでも言ってくれといっていたイワンのことだから、「いいとも、いいとも」と了承してくれる、と思いきや…

イワン「いいや、わしはもう兵隊はこさえない。」
シモン「なぜこさえない、馬鹿!」
イワン「お前さんの兵隊は人殺しをした。わしがこの間道傍の畑で仕事をしていたら、一人の女が泣きながら棺桶を運んで行くのを見た。わしはだれが死んだかたずねてみた。するとその女は、シモンの兵隊がわしの主人を殺したのだと言った。わしは兵隊は唄を歌って楽隊をやるとばかり考えていた。だのにあいつらは人を殺した。もう一人だってこさえてはやらない。」

自分の生み出した兵隊が人殺しをしたことを知ったイワンは、断固として兵隊を生み出すことを拒否するのだった。
一方、タラスはシモンの兵隊を養うための金貨をイワンに生み出させようとしたものの…シモンの時と同じく、イワンは拒否する。

タラス「なぜこさえない、馬鹿!」
イワン「お前さんのお金がミカエルの娘の牝牛を奪って行ったからだ。ミカエルの娘は牝牛を一匹もっていた。その家の子供たちはいつもその乳を飲んでいた。ところがこの間その子供たちがわしの家へやって来て、乳をくれと言った。で、わしは「お前んとの牝牛はどうしたんだ」とたずねた。すると「肥満のタラスの家の支配人がやって来て金貨を三枚出した。するとお母は牝牛をその男にくれてしまったので、おれたちの飲むものがなくなった。」と言った。わしはあの金貨を持って遊ぶんだとばかり考えていた。ところがお前さんはあの子供たちの牝牛を奪って行った。わしはもうお金をこさえてはやらない。」

自分の生み出した金貨が子供を悲しませたことを知ったイワンは、断固として金貨を生み出すことを拒否した。
結局当初の目論見がご破産となった二人の兄弟だが、二人で相談した結果、シモンの兵隊とタラスの金をそれぞれ半分こすることで二人は上手く自分の営みを続けることができ、一国の王様にまでなったのであった。

*
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*


一方、イワンはなおも妹と一緒に畑仕事をして生きていた。あるとき、イワンの家の飼犬が病気にかかり今にも息絶えそうになってしまった。それを哀れんだイワンは妹からパンを貰って犬に上げるために帽子にいれて持っていった。
しかし、そのパンを犬にあげる際に、以前小悪魔からもらったどんな病気を治す根っこのうちの一つを犬が一緒に食べてしまう。すると犬の病気は瞬く間に治ったのであった。驚く両親に残り一つとなった木の根について説明するイワン。
ちょうどその時、イワンの住む国の王様のお姫様が病気にかかってしまったという話が出る。王は町や村にお触れをだし、姫の病気を直した者に嫁がなければ姫を嫁に出すと伝えさせた。

それを聞いたイワンの両親は、残り一つになった病気の治す木の根を使って、お姫様の病気を治す提案をする。イワンは「いいとも、いいとも。」と了承して出かけようとするも、その際に手の萎びたおばあさんに出会う。
お婆さん「人の話で聞いて来たが、お前様は人の病気をなおしなさるそうだが、どうかこの手をなおしておくんなさい。わしゃ一人じゃ靴もはけないからな。」
イワン「いいとも、いいとも。」

最後の木の根をお婆さんにあげることでお婆さんの手は治ったものの、両親はイワンを「乞食女をあわれんで、王様のお姫様をお気の毒とは思わないのだ。」と叱る。
そこでイワンは治せるものを持っていないのにも関わらず、馬に乗ってそのままお姫様の元へ向かう。そしてイワンが御殿の敷居をまたぐかまたがないうちに、突然お姫様の病気が治ってしまう。どういうことなの…?

王様は大層喜んでイワンにこう告げる。

王様「わしの婿になれ。」
イワン「いいとも、いいとも。」

こうしてイワンは姫様と婚礼し王子となる。そしてまもなく王様がお亡くなりになると、イワンはその後を継いで王になった。


こうして三兄弟は全員一国の王になったという。

【エピローグ】


長男のシモンの国は大変豊かになった。
家十軒ごとに立派な兵隊を徴兵し、自分に逆らう者には兵隊を差し向けて始末することで、誰もがシモンを恐れるようになったのだ。欲しいと思ったものは兵隊を差し向けてすぐに手に入れ、面白おかしく暮らしていたのだ。

次男のタラスも愉快に暮らしていた。
イワンからもらった金を上手く増やし、国にはあらゆる税をかけて更に金を集め、自分が欲しいと思ったものは、金の力で何でも手に入れるようになったのだ。


一方のイワンは、亡くなった王様の葬式を済ませると、立派な衣装を棚にしまったかと思いきや、元の粗末な麻のシャツや股引、百姓靴を身につけて、百姓仕事に戻った。

イワン「あれじゃとてもやりきれない。退屈で、おまけにからだがぶくぶくに肥って来るし、食物はまずく、寝りゃ体が痛い。」

イワンはまた、妹や両親のもとで畑を耕し始める。
しかし仮にも国王であるイワンを諌めにきたり、お願いをしたりしに来る人はいた。

人民「あなたは王様であらせられます。」
イワン「そりゃそれに違いない。だが王様だって食わなけりゃならん。」

大臣「金が無いので役人達に給金を払うことが出来ません。」
イワン「いいとも、いいとも。役に就かないがいい。そうすりゃ、働く時間がたくさんになる。役人達に肥料を運ばせるがいい。それに埃はたくさんたまっている。」

訴えに来た人民「こいつが私の金を盗みました。」
イワン「いいとも、いいとも。そりゃこの男に金が要ったからじゃ。」


妃「人民どもはみなあなたのことを馬鹿だと申しております。」
イワン「いいとも、いいとも。」


人民はイワンが馬鹿だということに気づき、賢い人達は愛想を尽かし始めた。
一方のイワンの妃は夫が色々言われている現状を考えた。が、妃もまた馬鹿であった。


妃「夫に逆らってはいいものかしら、針の行くところへは糸も従って行くんだもの」


そう考えた妃は着ていた妃の服を脱いで箪笥にしまい、イワンの元へ赴いてマルタに畑仕事を教わりながら一緒に働き始めた。

そこで愛想を尽かした賢い人はみんなイワンの国から出て行き、馬鹿ばかり残ってしまった。
誰も金を持っていなかったものの、みんなは達者で働き、お互いに働いて食べ、また他の人をも養ったとさ。



めでたしめでたし。



















































ところがどっこい…














【ラスボスの悪魔、動く…!】



一方、年よった悪魔は部下たちが三兄弟をとっちめた報告を来るか来るかと待っていたが、いつまで経ってもこないので小悪魔たちを散々探し回った挙げ句、3つの穴しか見つけることができない。

小悪魔たちがしくじったことを察した悪魔は、ターゲットだった三兄弟がどうなってるか調べてみるが、なんと三人とも没落するどころか王様になっていることを知る。

悪魔「ようし。じゃおれの腕でやらなくちゃなるまい。」

改めて一念発起したラスボスの悪魔。まず手始めに人間の将軍に化けると、シモン王に近づいた。
口八丁でシモン王の側近になった悪魔は、文字通りシモンに悪魔の囁きをする。

悪魔「まず第一にもっと兵隊を集めましょう。国にはまだうんと遊んでいるものがおります。若い者は一人残らず兵隊にしなくちゃいけません。すると今の五倍だけの兵隊を得ることになります。次には新しい銃と大砲を手に入れなくちゃなりません。私は一時に五百発の弾丸を打ち出す銃をお目にかけることにいたしましょう。それは弾丸が豆のように飛び出します。さてそれから大砲も備えましょう。この大砲はあたれば人でも馬でも城でも焼いてしまいます。何でもみんな燃えてしまう大砲です。」

たださえ十軒につき一人の兵隊を集めていたシモン王国であるが、この悪魔の提言により若者を一人残らず徴兵し、工場を建てまくって新式の銃や大砲を作って隣国に攻め上がった。結果、隣国は震え上がって降参し、シモン王は新たな領地をまるごと手に入れる。

大喜びしたシモン王はかつてボロ負けした印度(インド)王を平らげようと勇む。
ところが、一方の印度王はシモン王のことを聞き、そのやり方を取り入れたばかりか更にその上を行くような手段を考えていたのだ。

いざシモン王が戦に赴くと、なんと徴兵された嫁入り前の娘航空機に乗って爆弾を投下してくるではないか。シモン軍が戦を始めるか始めないかの段階で兵は離散し、シモンは領地を全て取られた挙げ句、命からがら逃げ出す羽目になってしまった。

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まんまとシモンを片付けた悪魔は、続いて商人に化けると、タラス王の国で商売を始める。悪魔は何を買うにしても気前よく高額な値段をだすため、誰も彼もがお金欲しさに悪魔の商人の元へ集まっていく。それにより税金も多く納められるためタラス王も気に入ってホクホクだった。

そこでタラス王は、新しい御殿を建てることにした。材木や石材などを買ったり、人夫を使うことをふれさせ、何によらず高い価を払うことを告知した。そうしていれば、人民たちが揃ってやってくると思っていた…が、誰一人としてやってこない。
なんと、悪魔の商人が材木も石材も人夫もすっかり買い占めてしまったのだ。そこでタラス王が値を引き上げると、商人が更に引き上げる。商人はタラス王よりも金をたくさん持っていたのだ。結局、タラス王の御殿は建たないまま。

それからというものの、タラス王が庭をこさえようとすれば人民は皆商人の池を掘るために雇われてしまい、黒貂の皮を買おうとしても、例の商人が全て買い占めてしまい、馬を買おうとしても、全て買い占められている始末。
やがて人民たちも、タラス王に仕えていたはずの部下も、王よりも金のある商人の元に行ってしまい、タラス王は惨めな暮らしに成り下がってしまった。挙げ句、例の商人は今度はタラス王を買うと言っていばっていることを聞き、肝を潰してしまう。

やがて、印度王にやられたシモンが助けを求めに来ても、「おれももう二日間というもの何一つ食べるものがないのだ。」と答える他なかった。

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王になった二人の兄弟すら容易くとっちめたラスボス。今度はいよいよイワンの元に魔の手が伸びる。
まずはシモン王をとっちめたのを同じ手を使うため、将軍に化けてイワン王に近づいた。

悪魔「軍隊がなくては王様らしくありません。一つ私に命令して下されば私は人民たちから兵隊を集めて、こさえて御覧に入れます。」
イワン「いいとも、いいとも。じゃ一つ軍隊をこさえて唄を上手に歌えるようにしこんでくれ。私は兵隊が歌うのを聞くのは好きだ。」

こうして悪魔は人民たちに「軍隊に入れば酒は飲めるし、赤いきれいな帽子を一つ貰える」
と触れ回るが、人民たちは「酒はおれたちで造るんでどっさりある。それに帽子はすじの入った総つきのでも女たちがこさえてくれる。」と誰一人兵隊になるものがいない。

そこで悪魔は兵隊にならないとイワン王が死刑にしてしまわれるだろう、というお触れを出す。すると人民は悪魔の将軍のもとにやってきて言う。

人民「兵隊にならなければイワン王が死刑にしてしまうと言っているが、兵隊になったらどんなことをするのかまだ話を聞かせてもらわない。兵隊は殺されると聞いているがほんとかい。」
悪魔「うん、そりゃ時には殺される。」
人民「じゃ、兵隊に行かないことにしよう。それよっか家で死んだ方がましだ。どうせ人間は死ぬもんだからな。」

改めて兵隊になることを拒否する人民達。悪魔は「馬鹿!お前たちはまったく馬鹿だ!兵隊に行きゃ必ず殺されるときまってやしない。だが行かなきゃイワン王に殺されてしまうんだぞ。」とご立腹。困った人民たちはイワン王の元へ相談に行くが、イワンは大笑いして答える。

イワン「さあ、わしにもわからん。わし一人でお前さん方をみんな殺すことは出来ないしな。わしが馬鹿でなかったら、そのわけを話すことも出来るが、馬鹿なんでさっぱりわからんのじゃ。」
人民「それじゃわしらは兵隊にゃなりません。」
イワン「いいとも、いいとも。ならんでいい。」

結局、年寄った悪魔はこの作戦を諦めざるを得なかった。

*
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次なる作戦は、直接的にイワンの国をめちゃくちゃにしてしまうことだった。
悪魔はタラカン国の王へ、イワンの国へ攻め入るように進言したのだ。

そこでタラカン王は戦備を整え、イワンの国へ侵攻する。

人民「タラカン王が大軍をつれて攻めよせて来ました。」
イワン「あ、いいとも、いいとも。来さしてやれ。」

タラカン軍は、いつイワン国の軍隊が出るか準備しながら進軍するものの、斥候は軍の影すらみつけることもできず、進めど進めど何も出てこない。タラカン軍が村に入っても、イワン国の人民は珍しそうに見るだけどころか、穀物や牛を略奪しても、ちっとも抵抗や嘆願しないのだ。取るだけ取って次の村に行っても、やはり同じ。欲しいものは全部取られるがままどころか、兵隊を引き止めにくるのだ。

人民「かわいそうな人たちだな。お前さんたちの国で暮しが出来なけりゃ、どうしておれたちの国へ来なさらないんだ。」

これには兵士たちもほとほと困り、王にこんな歯ごたえのない国で戦はしたくないと進言する。するとタラカン王はかんかんに怒り、国中を荒しまわって、村をこわし、穀物や家を焼き、牛馬をみんな殺してしまえと命令しだす。その上、これに逆らうと死刑にしてしまうと命令したのだ。

兵士たちは震え上がり、そのとおりにした。家や穀物などを焼き、牛馬などを殺しはじめるが、しかしそれでも馬鹿たちは抵抗しないで、ただ泣くだけだった。おじいさんが泣き、おばあさんが泣き、若い者たちも泣くのだった。

人民「何だってお前さん方あ、わしらを痛めなさるだあ、何だって役に立つものを駄目にしなさるだあ。欲しけりゃなぜそれを持って行きなさらねえ。」

こうなっては兵士たちも士気はガタ落ちになり、もはや言うことも聞かず散り散りになって去っていく他なかった。

*
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悪魔の作戦はまたしても頓挫してしまった。軍事力でとっちめることができないとあれば、今度は金の力を使うしかない。年寄った悪魔は商人に化け、改めてイワンに近づく。

悪魔「一つ私はあなた様にいいことをしたいと思います。よい智慧をおかししたいと存じます。で、まずお国に家を一軒たてて、商売をはじめましょう。」
イワン「いいとも、いいとも。気に入ったらこの国へ来て暮してくれ。」

こうして悪魔は大量の金を持ち、人民達の前で家を作るように触れをだす。その報酬として払う金貨を人民達に見せると、これまで物々交換で暮らしてきた人民たちは綺麗な金貨にびっくりした。

そこで、人民たちは金貨をもらうことを引き換えに、悪魔の家を建てるために働いたり、品物や食料を悪魔に渡し始めた。今度こそ確かな手応えを感じた悪魔はほくそ笑む。この大量の金の力で今度こそイワンを凋落させるのだ。


ところが、人民たちはもらった金貨を首飾りにしたり、子供のおもちゃにするだけだった。皆に金貨が行き渡ると、誰も金貨と引き換えに働いたり交換したりすることはなくなった。悪魔の家は半分もできてないし、金貨と交換にもらった食料も尽きてきた。空き腹を抱えた悪魔がある家に食物を求めて金貨を差し出すが…

おかみさん「もうたくさんです。私の家にゃそれを持って遊ぶような子供はいないし、それにいいもんだと思ってもう三枚もしまってありますからな。」

今度は百姓の家に行って金貨とパンを交換しようとするが…

「そりゃいらない。だが、お前さんが『キリスト様の御名によって』*2とおっしゃるなら、ちょっと待ちなされ、家内に話して一片貰って上げましょうから。」


そう言われたものの、キリストの言葉でナイフで刺されたように苦痛を味わった悪魔は、手下のように消滅こそしないが唾を吐いて逃げ出すしかなかった。


結局、どこに行っても「何か他の品物を持って来るか、でなけりゃここへ来て働くか、またはキリスト様の御名によっているものを貰うがいい。」と言われてしまう悪魔。しかし悪魔は金以外に何も持っていないし、働くことは大嫌い。キリスト様は論外と、打つ手がなくなってしまう。
空腹のままゴロリと横たわる悪魔を見て、人民たちがイワンに相談する。


人民「どうしたもんでしょう、立派な紳士が倒れています。あの人は、食い飲みもするし着飾ることもすきだが、働くことがきらいで、『キリスト様の御名によって』物を貰うことをしません。ただ誰にでも金貨をくれます。世間じゃはじめのうちはあの人の欲しがるものをくれてやったが、金貨がたくさんになったので、今じゃ誰もあの人にくれてやるものがありません。どうしたもんでしょう、あのままじゃ餓え死んでしまいます。」
イワン「いいとも、いいとも。そりゃ、みんなで養ってやるがいい。牧羊者のように一軒一軒かわり番こに養ってやるがいい。」


こうして、交代制のニートという斬新な役割になってしまった悪魔。ある時、イワンの元で養われる番となった悪魔がイワンの食卓につく。するとその瞬間、今まで空気だったシモンの妹であるマルタが、悪魔の手を観察し始めた。

マルタは今まで、ろくすっぽ受持の仕事はしないで、誰よりも食事に早くやって来て、おまけに人の分まで平げてしまう怠け者に騙されてきたため、食事前に必ず怠け者を見分けることにしていたのだ。多くの仕事でごつごつした硬い手になってる人はすぐテーブルにつかせましたが、そうでない人は、食べ残しのものしかくれてやらない決まりにしていたのだ。
早速マルタが悪魔の手を見てみると、ちっとも硬いところがない、すべすべしていて爪が長く延びている綺麗な手だったため、マルタは唸りながら悪魔をテーブルから引き離す。

自分が残り物しか食べれないことをイワンの妻から聞いた悪魔は大変立腹してイワンにこう語る。

悪魔「誰もかも手を使って働かなきゃならないなんて、お前の国でももっとも馬鹿気た律法だ。こんなことを考えるのも言わばお前が馬鹿だからだ。賢い人は何で働くか知っているか?」」
イワン「わしらのような馬鹿にどうしてそんなことがわかるもんか。わしらは大抵の仕事は手や背中を使ってやるんだ。」
悪魔「だから馬鹿と言うんだ。ところがおれは頭で働く方法を一つ教えてやろう。そうすりゃ手で働くより頭を使った方がどんなに得だかわかるだろう。」

その言い分に驚いたイワンは、早速悪魔に頭で働く方法を教えてもらうことにした。

*
*
*

イワンは国の中で一番高い塔に悪魔を招待すると人民たちを呼び寄せる。頭で働くことを教えることの出来る立派な先生が来たので、皆でそのやり方を習わなければならないというお触れをだした。
それにより人民たちも塔に集まり、そのてっぺんに立つ悪魔に注目した。人民たちは、その悪魔(が化けた紳士)が手を使わないで頭で働く方法を見せてくれるものと思っていた。

…が、悪魔がやったことと言えば、どうしたら働かないで生活を立てて行けるかということを、くりかえしくりかえし演説しただけだった。当然、馬鹿には何が何だかさっぱり分からない。人民たちは悪魔を見たり考えたりしたが、結局わからないので各々の仕事をするために帰っていった。

悪魔は塔のてっぺんに一日中立ち、立て続けに説明し続けた。しかし当然そのうちお腹を空かし始めるものの、誰も悪魔に食べ物を届けようとはしなかった。頭で働けるくらいエラい先生なら食物の用意くらい考えてあるだろうと思っていたからだった。


イワン「どうだな。少しゃ頭で仕事をしはじめたかな。」
人民「いいや、まだはじめません。先生あいかわらずしゃべりつづけています。」


やがて空腹で弱ってきた悪魔が前へよろけだしたかと思えば、頭を柱へぶつけてしまった。心身共に限界に達した悪魔には最早身体を支える力もなく、立ち上がろうにもまたよろけて頭をぶつける有様。それを見た人民が、とうとう悪魔が頭で仕事(物理)を始めたと、イワン夫婦を呼びに行く。

イワン妻「来てごらんなさい。あの紳士が頭で仕事をやりはじめたそうですから。」
イワン「ほう? やっぱりほんとだったな、人間の頭がさけると言ったのは。でも、こりゃ水腫どころじゃない。こんな仕事じゃ、頭はコブだらけになってしまうだろう。」

まるで自分の思惑が通じていないイワンの言葉に悪魔は遂に力尽き、ゴロゴロと階段を転がり落ちていき、地面へ頭を突っ込んだ。その瞬間、悪魔は地面の中へ姿を消し、そこにはただ深い穴が残るばかりとなった。イワンは「まあ何て忌々しい奴だろう。また悪魔だ。大それたことばかり言ってやがって、きっとあいつらの親分だったに違いない。」というのであった。


【本当のエピローグ】

イワンの国には、多くの人がやってくる。
かつての二人の兄も養ってもらうつもりで、イワンの元へ行くと養ってもらえた。
「どうか食物を下さい。」と言ってくる人には、「いいとも、いいとも。一しょに暮すがいい。わしらにゃ何でもどっさりある。」と答えた。

ただし、イワンの国にはたった一つだけしきたりがある。
それはどんな人でも手のゴツゴツした人は食事のテーブルへつけるが、そうでない人はどんな人でも他の人の食べ残りを食べなければならないということだったとさ。


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最終更新:2024年09月29日 12:12

*1 「ろうあしゃ」と読む。耳が聞こえず、喋ることもできない障害を抱えた人

*2 乞食や巡礼者が使う嘆願の言葉