ニート

登録日:2009/11/14 Sat 17:52:44
更新日:2024/04/17 Wed 01:31:57
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以下の記述には多分に偏見が含まれているかもしれませんが、判断することは不可能です。真実かどうかは貴方自身で確認して下さい。

概要

ニート(NEET: Not in Employment, Education or Trainingの略)は、就業も就学もしておらず、就業訓練や就職活動もしていない人を示す。

本来の定義では、上記の状態の若者が該当する。
日本では、15〜34歳までの非労働力人口の内「通勤、通学、家事、職業訓練、就職活動を行っておらず、なおかつ就業意欲の無い人」を指す。後述の通り、働く意欲はあるが、持病・介護等で働けない場合はニートには該当しない。
35歳以上になると単に「無職」と呼ばれることが多いが、近年ではこちらもニートと呼ばれることも珍しくはない*1。「スネップ(孤立無業者)」という呼び方も提唱されたが、あまり普及していない。
とはいえ、現実には世代や事情関係なく「理由もないのに無職の人」の代名詞と化している。
2010年代後半以降は引きこもりの若者がそのまま歳を重ねた「ニートの高齢化」も指摘され、80代の親が50代の引きこもりの子の面倒を見ている「8050問題」と絡めて社会問題とみなされ始めた。

なお、日本国憲法27条1項には「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」とあるため、 「ニートは憲法違反」などと言う人が偶にいる。
しかし、同22条で職業選択の自由を保証し、29条で私有財産を認めている。さらに言えば18条で意思に反して強制労働させられることもない様にしている。
じゃあこの義務は何なのかという解釈だが、これは道徳的な義務・倫理的な指針にとどまるという解釈が一般的である。

自宅、極端な場合は自室から殆ど出てこない、所謂「引きこもり」になっている人も少なくない。*2
かといって、よく表に出て友人などと明るく遊び歩いていたとしても、就労していない以上ニート扱いである。

傾向としては男性が多いとされ、統計では全体の7割を占めている。
だが女性の場合、「(専業主婦になるため)家事を行っている」と回答したために定義から外れ、少なくなっている可能性がある。
かつては「専業主婦になるための職業訓練をしている者」と見なされていた女性の家事手伝いが、女性の社会進出も当たり前になったことでニート同然と見做される場合もあるなど、ニートとそうでない者の境界は社会情勢によって変化するようだ。

そもそも“職業”とは「生計を得るための仕事」という意味であるため、雇用形態や仕事内容よりも金を稼いでいるかどうかが大事な点。
いくら世のため人のために動いていたとしても、金を稼いでいなければ定義上は無職となる(専業主婦など)。
ただし上記のように、専業主婦は無職ではあるが、ニートではない。

定義を端的にまとめると、要するに「働く意思があるか否か」。
なので、自分だけの都合で求職活動を止めて引きこもっていたら就業意欲が無いのでニートに該当する。
ただし、就業意欲が無いとは言っても、自身の状況や将来に不安や危機感を抱えている者は多いと思われる。

日本では2004年頃から知られるようになったが、「働いたら負けかなと思ってる」といった某コメントや、「親に寄生」といった悪い面のクローズアップ、かつてのフーテンやヒッピーなどのイメージと重ね合わされた事などから、
「怠け者」「パラサイトシングル」のようなマイナスイメージが付き纏う蔑称となってしまっている。実際、レッテル貼りとして使われることも多い。

そのためにニートは「いい年して怠け癖が抜けないだけ」「仕事を選り好みばかりしている」ような人間ばかりと思われがちだが、実際は社会構造や経済状況によるところも大きい。
学校や職場でのイジメやハラスメントといった問題、過酷な内容に見合わぬ給与の安さ、残業時間の多さや休日が異常に少ないなどブラックな仕事ばかりという状況では意欲も湧くまい。
無理にそういう場所にいても長続きしないどころか、肉体や精神を病む可能性だってある。
また、未就労期間を就職面接で問い質され、それを理由に不採用とされた結果、強烈な自己否定を受けたと感じ病んでしまう(そこが負い目になって踏み出せない)というパターンすらある。

「部屋に篭ってゲームやパソコンをいじっているだけ」「働きもせずに遊んでいる」「寝ているだけ」とかなら、(家族には負担をかけているが)大きな問題とは言えない。
しかし、中には「刑務所に入りたい」という理由で盗みを働くなどの、罪を犯す人がいるのも紛れもない事実である。
また、不良や暴走族、半グレなどの反社会的勢力と交流を持ったり家出などをすることで、非行に走ったり犯罪に巻き込まれてしまうという可能性も否定できない。
そうなると当然家族だけの問題では済まされないし、(ニートの段階では、まだやり直しが効くかもしれないのに)前科がついたりして、復学・就職の難易度が上がるという悪循環になってしまう。

他にも「子供がニートで、親が面倒を見る」というパターンが一般的だが、「親がニート」というパターンも存在し、「定職に付かないまま子供が産まれてしまった」、「または退職した後に再就職しない*3」などの例がある。
子供が成人で既に自立しているのであれば、(納税等は置いといて)とりあえずあまり問題はないのだが、
子供がまだ幼いにもかかわらずニートでいると、子供に十分な食事を与えることができず虐待と判断されかねなかったり(逮捕される可能性あり)、
子供を学校に通わせていなかったら教育を受けさせる義務に違反する可能性もある。

また、劣悪な環境下で育てることは、子供の将来にも深刻な悪影響を与える可能性がある*4ので、その観点でも良くないと言える。

また、ごく稀な話ではあるが、「社会を恨み、凶悪犯罪に手を染める」、「死刑や無期懲役を望んで、凶悪犯罪に手を染める」といった人もいるし、実際にそういった人による事件が起きているため、色々な意味で放っておけない存在になっている。


一緒くたにされがちだが、ニートには該当しない例

  • 正規雇用で働いていない者
アルバイト、パート、派遣、非常勤(臨時.嘱託.契約etc)職員が該当。
勤務形態や条件はどうあれ、就業している事には変わりない為である。転職活動をしつつ働いてる人も多い為、むしろ求職活動と経済活動を両立している熱心な人とも言えよう。

  • 自営業者や経営者
当然「就業=雇用」ではないし、自営業や経営業自体は立派な「労働」であり「就業」しているのでニートには当て嵌まらない。

  • 在宅勤務が主な者、町工場などの職場が自宅という者
こちらも通勤というプロセスを排しているだけで就労しているため当然ながらニートには含まれない。単なる言いがかりである。
似たような例では、長期休暇の学生、主婦/主夫、仕事の少ないフリーランスなども同様である。彼ら・彼女らが、休みの多さや出勤の少なさを理由に(本人または第三者によって)ニートと呼ばれる事もあるが、これも上記と同じく大間違いである。

  • 職人・芸術・芸事などの弟子、漫画家や音楽家などのアシスタント
師匠や兄弟子から教えを受けたり、彼らの作業を補助する役割がある。また将来的には自立を目指して活動するため、給与や雇用形態に関わらずニートには含まれない。
また、法律上の問題を防ぐ目的や福利厚生の充実を目的として、社員やアルバイトとして雇用される場合もある。

  • 家族の介護、心身に就労が困難な病や障害を抱えているなどで、働く意志はあるが働けない状態の者
しかし、前者はともかく後者のように病や障害によって引きこもってしまった人達の場合、ニートかそうでないかを見分けるのはなかなか難しい。就労困難などと明記された診断書や障害者手帳があるなら別だが…

  • ミュージシャン・アーティスト・YouTuber・プロゲーマーなどの収入が不安定な職種に就いてる者
趣味の延長線上と捉えられがちである(特にフリーランスの場合)。
しかし、自身が生活可能な金額*5を稼いでいれば、立派な就労と言えるだろう。また、生計を立てるために別の仕事している場合もあり、あくまでも趣味や副業*6として活動している者もいる。

  • 若くても余生を過ごすためのお金を十分に稼ぎ、働かなくても問題ない場合
莫大な報酬を得ているスポーツ選手や芸能人、印税だけで生活が可能な漫画家や音楽家、株式投資などで財を成したトレーダーなどが該当。就業意欲が無くてもニートに含まれることは少ない。*7
なお、就労しつつも投資などで財を成して早期に仕事を辞める「アーリーリタイア」という言葉も使用され、決して簡単なものではないがライフスタイルの一つとして認知され始めている。

一方で、若い時にお金を使い過ぎてしまったり、莫大な借金を作ってしまったりして、老後に困るというパターンはあり得る。
また、短期間で莫大な収入を得ると税金もその分高額になるため、1年だけ年収が数億円になったとしても安心はできない。

  • 定年退職し、年金で生活する熟年層
日本における多くの労働層が最終的に辿り着く状態であり、就業意欲の有無にかかわらずニートと呼ばれることは稀。
ただし、定年退職後も再雇用制度で引き続き同じ職場で就業したり新たな仕事を見つける人もいれば、引きこもり同然になってしまう人など、ライフスタイルに個人差はある。

  • 暴力団や半グレなど、違法・脱法行為を生業としている者
こちらもニートと言われることは稀。もちろん、公的に職業として認められているわけではない*8が、非合法であっても経済活動を行ってはいるため、ニートの定義に該当し難い。
国によってはスパイやハッカーを国家プロジェクトとして動かしている場合もあり、この様な場合は、当該国では違法行為だとしても職業として扱われる。
一方で、学生でも社会人でもないトー横キッズや暴走族メンバーなどはニートに該当し得る。

  • 受刑者
たまに「税金で衣食住全ての面倒を見て貰っている」とニートの括りとして扱われているが、懲役囚(禁錮刑は希望制)であれば平日に刑務作業が科されるため、一応働いてはいる。
死刑囚は刑務作業が無く、独居房で過ごすだけなので何もしていないが、シャバに出られる可能性が絶対無いため働いてお金を稼ぐ必要がない*9
そもそも彼らが第一にやるべきなのは働くことではなく、下された量刑に従って罪を償うことである。

インドアなイメージからこじつけられ「ニート=オタク」みたいに扱われる事もあるが、本来ならわざわざ語るまでもないが「オタク」とは就労していない人間を指す言葉ではないのでただのレッテル貼り以外の何物でもない。
安定した収入を得て自立してるガチオタも、サブカルとは無縁なニートだって居るのだ。


生活資金

国からの生活保護もしくは親族の資産で賄っている。
……といわれているが、健康体なら求職しないと生活保護は受けられない(給付されていても打ち切りになる)。
また、「親族の資産」と言えば聞こえは良いかもしれないが、有り体に言えば親族が労働で得た生活費で食わせて貰っている者が多い。
中には子供時代のようにお小遣いをもらっている事も珍しくない。

よくニートの親族は資産家なのかという疑問が挙がるが、必ずしもそうとは限らない。
子供時代と変わらない水準の生活であれば、平均的な世帯収入でもどうにか養えてしまうだろう。

ケースバイケースだが、実家暮らしであれば家賃・食事代・水道光熱費などが浮くし、ずっと家にいるのであれば、服や装飾品等のいわゆる「おしゃれ」と言われるものをする必要が無くなる(服が最低限で済む)ので、必然的にそれらの費用も浮く。
なので、一応のところ生活する上では問題はない。*10
ただこの場合、いつか両親が定年を迎えるなどして、現状の世帯収入(=生活)を維持できなくなることは目に見えている。

生活保護の場合、実際のところ、何かしらの精神疾患を患っていると判定されているパターンや、
求職してはいるものの、勤め先の条件が悪過ぎる、面接を受けても落とされるなど、受けるには各種の厳しい条件があり、一概にどうとは言えない。

過去に就労自体はしていたという人は79%もいるらしく、人によっては前職分の失業保険で生活できているという場合もある。
ただし、失業保険はあくまで「次の就職先が決まるまでの繋ぎ」であり、受給するには一定回数の求職活動の認定をハローワークで受ける必要があり、
職を紹介された場合に正当な理由無しで断り続けたりすると認定に響く事もあるので、文字通りのニートでは受けられない。*11
受けられたとしても大抵は90日分、どんなに優遇されても最大360日分しか受けられないので*12、本当に一時のつなぎである。
不正取得しているケースもなくはないが、それはごくごく少数の中の僅か。まあこれは断じて許されないが。

なお、一定期間だけ期間従業員(所謂「期間工」)として働き、それ以外は仕事をしないという例外もある。
期間従業員とは一定期間(3ヶ月~およそ2年11ヶ月)だけ勤めるという雇用形態である。
主に自動車の生産ラインなどに多い。有名な自動車メーカーはたいてい期間従業員を熱心に募集している。
基本的に免許や業界経験などが不要なので応募のハードルが低いのが特徴。給与もそこそこ高く、ボーナスに相当する各種手当ても充実している。
休日数や各種福祉も一通り備わっており、遠方からの出稼ぎでも寮が提供され、食事もある程度保証されている(格安の食堂が付属している・食事補助が給付されるなど)。
結果、出費が少なく貯蓄し易いので一定の期間だけ働き、十分な貯蓄ができたらしばらく休み、また働くといったサイクルができる。
条件こそ非常に厳しいが、年齢と会社でのがんばり次第では正社員登用の可能性もある。
ニートのイメージとは違うのではないかと思うだろうが、貯蓄で生活している間は労働をしておらず、求職もしていないので定義上はしっかりニートである。
資産運用や印税等の不労所得で十分豊かな生活が可能になり、経済自立したした人物もこの範疇であろう。
こうした人物は、「高等遊民」「ネオニート」*13とも呼ばれる。
ただしこれらが合法的な手段で稼いだ物で、なおかつ定められた額の税金や公共料金などを支払い自立出来ているなら問題視される云われはない。


なぜニートが増えるのか

ニートが増えた背景には不景気による若年失業率の上昇や、進学・仕事に対する価値観の変化があると言われる。
個性発揮や専門性を過度に求められ、生きていくのにはオールラウンドあるいは生産性のある個性が必要で、自分のやりたい仕事に就けなければ自分の人生は不幸だと信じ込んでしまいがち。
ただしあまり努力家でないタイプは大半はマルチタスク脳だが悪くいえば飽き性で集中力が散漫、定職に就いてもすぐビジネスに無関心になり、ニートになるパターンも見られる。
そういったプレッシャー源になるものとは正反対の位置にいる、個性も専門性も要求されないイメージが持たれ易い肉体労働や兵卒にすら高い専門性が求められるご時世である。
こうしたプレッシャーが家庭や学校、メディアなどあらゆる場所で発信され続けている。

近年問題視されている「YD(やりたいことしかできない)病な若者の増加」もこれが原因であるとされている。
人気は高いが求人の少ない事務職などのデスクワーク、室内作業といった所謂ホワイトカラーな職種にばかり求人が少ないにもかかわらず応募が殺到し、逆に需要が多く人手不足な
  • 就業条件の割に給金が低めの業種
    • 土木・建設業
    • (本物の)警備業
    • 運送業
    • 介護職
  • 極めて専門性の高い技術を要する為、修業期間に長い時間を費やす必要がある業種
    • 伝統工芸職人
    • アーティスト(歌手・画家など)
  • 自然環境によって生産品の量も質もバラつく上、需要に読みが必要となる業種(いわゆる第一次産業)
    • 農業
    • 畜産業
    • 水産業
などの業界は、どんなに求人や教育、労働環境を整えようとその過酷なイメージから(実際過酷だが)見向きもされにくいという厳しい現実も存在する。
先述の伝統工芸やアーティスト系の高い専門技能を要する職種は健常者でも中途転職する場合があるが、
親の背中を見て決意した様な家業として継ぐ者や、幼少期の時点で道を決めた者達に技術や経験の点で劣る場合が大半である事も課題の一つである。
また所謂ニートが本業にステップアップする為の軽作業などは若い世代のフリーターや、賃金や就業条件がより厳しくても働ける発展途上国系の海外労働者に回されがちだったり、脱ニート者向けの負荷が低い作業を一般の健常な若者が取ってしまったり、昨今言われている「AIに置き換えられて無くなる仕事」が多いなどの問題もある。

また、進学・就職をしなかったため、ニートになってしまう例もあるだろう。
日本では義務教育は中学校までであり、それより先は本人の意思無くして進学や就職はできない。
よって義務教育終了後は、受験や就職活動を行わなければ、必然的に無職になってしまう。

少ない例であるが、中卒であるが故にどこからも雇われずニートになってしまったという人も存在する。
というのも、現代日本における中学生の高校進学率は現在では99%、卒業率も90%以上*14と言われており、事実上高校は卒業できて当たり前ということになっている。大学進学率が高まっている現在では、高卒が最早スタートラインと考える人も珍しくない。
なので、「学歴不問」などと応募条件に書いてあっても、高卒以上じゃないとたとえアルバイトであっても相手にされない場合もあり、更に大半の会社は「高卒以上」を求人の最低条件にしている。
大手の間接部門・営業・研究開発などであれば、専門学校・短大・大卒以上もザラ。
現場作業員の類なら、企業によっては必要としている資格免許と業界の従事経験があるなら年齢次第では採用される所も少なくないが。

いじめや病気、金銭的な事情で高校への進学・登校を諦めざるを得なかった等の仕方ない理由*15であればともかく、「面倒くさいから勉強をサボっている」という本人の努力不足が原因で高校進学をしない人や中退をする人*16がいるのも事実であり、中卒止まりでは人生がハードモードになる*17ということをあまりわかっていなかったりする。
ただし、周囲からははサボっているように見えても、実際には学習障害・発達障害・知的障害などを抱えていることに気付いていない場合もある。
授業内容が頭に入らない、授業に集中できないという人は、一度病院を受診してみるのも手だろう。

他国ではまた事情が異なることもある。
例えばアメリカでは、個人の独立性を重んじる国民性ゆえに、同様の事態が発生するとニートよりも若年ホームレスの方が増えやすいようだ。
これは子供が成人になったら扶養義務がなくなったとして家から追い出す文化があるからである
…と言われていたが、昨今ではなんだかんだで両親が家から追い出すことをしなくなった結果、日本同様のニートが増加しているというデータもあるらしく、もはや世界的な問題になりつつあるのが現状である。


ニートから脱却する為には……

抜け出したければまず現状を変えることが大切であり、行動が早い(年齢が若い)ほど抜け出して軌道修正しやすくなる。
周囲のサポートを得られやすい小中学生の引きこもりならともかく、歳を重ねれば重ねるほど状況が悪化していく事になる。具体的には、
  • 若い内に出来る経験が減る
  • より良い労働条件が減る
  • 身体機能・脳機能が衰えて労働や学習が難しくなる
  • 恋愛・結婚が難しくなる
  • 両親が退職して世帯収入が減る(自分の生活費も減る)
  • 両親が高齢化し逆に介護しなくてはならない
  • 周囲からの目が一層厳しくなる
  • 友人達が就職・結婚して、疎遠・孤独になる
等……。
しかし、だからといって年齢を理由に諦めてしまっては、破滅の未来から逃れることはできない。
たとえどんなに厳しかろうと馬鹿にされようと現状打破のために動いた方が良いことに変わりはない。

親族や友人、知人の協力が不可欠の場合は、土下座するくらいの強い気持ちでお願いしよう。
些細なことからでも良いので、まずは第一歩を踏み出してほしい

ただし、闇雲に就職した結果辞め(させられ)てニートに逆戻り……なんて事になっては意味が無い。
特に長期間ニートであった場合、同世代に比べて体力・学力・経験全てにおいて劣ることもあり得るため、
一旦辞めると立ち直るのにも相当なエネルギーを使うので、逆に状況が悪化することもある。
地固めはキッチリすることと、地固めを進学(復学)・就職しない言い訳にしないことの両方が大切である


一例

ニート脱却に悩むアニヲタ諸君の参考になれば幸いである。
ただし、脱却を保証するものではなく、あくまでも参考程度にしておこう。



ニート対策

さすがに国も対策を打っているが、事態の抜本的解決は簡単ではない。

というのも、全く働く気の無い者を無理に働かせたところで貢献度などたかが知れている。
法律で最低賃金が定められている以上、貢献できないからという理由で薄給にするのにも限界があり*29、意欲のなさゆえボケーっと重大なミスや事故を起こされては雇い主にばかり負担がのしかかってしまう。
また、冒頭でも記したようにニートの背景には精神的な病気等があるケースも少なくなく、そうと知らず無理な対応を取った結果、事態がさらに悪化するケースもある。
抜本的な解決には、本人に最低限度の勤労意欲を持ってもらわなければならないが、これがとても難しいのである。

一方、しばしばこの話題になると「ニートを徴兵して鍛え直せ」という意見が出るが、荒唐無稽も甚だしい暴論である。
そもそも軍隊・自衛隊教育機関ではないし、自衛隊を例にとっても隊員には
  • 緻密なチームワーク
  • 一方で命令なしでもある程度臨機応変に対応する機敏な行動(判断)力
  • 徹底した上下関係の礼節の把握
  • 規則正しい生活習慣
  • 相手を選ばない(たとえ日本語も英語も通じない外国の兵士や民間人相手だろうと対応できる)柔軟なコミュ力
  • 海外の軍隊との合同訓練・任務もあるので日常会話を難なくこなすレベルの英語力*30
  • 不測の事態や過酷な状況にも耐えられる肉体能力と精神力
  • 複雑化する現代戦に対応する機器の操作・保守管理
  • 災害救助時には日本国内法、戦時中なら国際法規の知識
これら全てが必要不可欠。
当然こんな超人になろうとすれば何年もかけて徹底的に鍛え上げる事ができて意欲に溢れ、厳しい試験をクリア出来る程度の能力を持った志願兵でなければ到底使い物にならないし、ただでさえ深刻な予算不足に悩む自衛隊に、将来育てたとしても使い物になる見込みの低い自衛官を養う余裕などない。
また、仮に「実は自衛官とかに憧れていた」「俺もそういったのになれるのならやる気を出そう」と、やる気がありそのために努力する気もある者なら見込みはあるにしても、それすらない者は正直どうしようもない。
仮に予算があったところで、そういう自衛官がいれば逆に能力のある自衛官の足を引っ張ることになってしまう。
一刻を争う災害現場や紛争地帯なんかの任務でキョドってマゴマゴされたりしょうもない凡ミスをされようものなら、被災者や部隊の命運すら危ぶむ惨事に繋がりかねない。規律や懲罰などで脅した所で、無能が有能に変わることはない
こういった反論に対して「囮や使い捨ての突兵にはなるだろ」と主張する者もいるが、それは現代においては国家問わず常に国際社会の目の中にある正規の軍隊として断じてあってはならないものだし、「もはや事情がどうであれ、ニートの命はどうなってもいい」という暴論を通り越して、人権無視(かつ世界共通)の危険思想である。
仮に彼らの主張が正しいならば、良心的兵役拒否*31が認められないなど厳しい兵役制度を持つ韓国にはニートなど存在しないはずだが、残念ながらニート・引きこもり・不正な兵役逃れは韓国でも深刻な社会問題となっている。

また、最近はニートを養う事に苦しむ親御さんを自立支援ビジネスの悪徳業者(通称「引き出し屋」)が狙っていると言われ、業者が裁判で敗訴する例も出てきた。
ニートを養っている親御さんは「今は」ニートを一応養うお金がある訳で、しかも精神的に参っていることが多い。
そのため、引き出し屋にとってはいいカモなのである。
「うちにお金を払えばニートのお子さんを自立させられる」と甘言を吐きつつ、実際には何の専門性もやる気も無い怪しい「自称支援団体」が増えてきている。
藁にもすがる思いでなけなしの金銭(大体数百万円になる)をそんな団体に払ってもカウンセリングなどの専門的な支援などなく、理不尽同然の理由で暴行を加え暴力的に拉致して施設に叩き込み、何の意義もない『規律』などで痛めつけるだけ。場合によっては経営陣が責任逃れや証拠隠匿の為に「施設内居住者同士での諍いや私刑を止めさせたり仲裁しない(暴力を振るったのはあくまで連れてきた「更生者」にすり替えるという事)」という形で虐待を行うケースも有る。
結果、ニートは数少ない拠り所だった親に対しての信頼までもなくし、うつ病など心に深い傷を負って就労どころか外出すら出来なくなる。
勿論社会経験や就職した際の技術などは微塵も身に付かない。寧ろ規律や目上の立場に対する徹底的な恐怖ばかり植え付けられるので、就職出来ても却って職場内で委縮・動揺して何も出来なくなってしまう。
最悪、暴行の末自殺に追い込まれたり殺されたりする事すらある。
また、「ニートを更生させる」名目で、ニートに「自立支援」「研修」名目で無給・或いは最低賃金以下・労働基準法なんてクソ食らえな労働条件で仕事をさせる自立支援業者に見せかけたブラック企業も出ている。
ニートから脱却するためだからと言って、安易にブラック企業に就職してはいけない。
更生からは程遠い結果になることも少なくないし、ブラック企業がのさばれば健全な企業が競争に負けて消えてしまうという形でニートとは無関係な所でも社会の害になりかねないのだ。
よく「ニートは仕事を選ぶな」「選り好みしなければ必ず仕事がある」と言われるが、就職出来ても定着出来なければ意味がないし、それで退職なんてしたら本末転倒だろうしそもそも、選ばなさすぎるというのも問題である。

ニートを養うのが大変でなんとかしたい親御さんは、自己流でなんとかしたり甘言ばかり口走る怪しい団体に高い金を払う前に、まず病院やハローワーク・役所に相談してみよう。
勿論、真っ当な自立支援ビジネスの業者もいる。しかし、インターネットでちょっと検索して見つけた業者が真っ当かどうかは分からない。
業者に頼むなら、せめて業者が本当に信用できるのかどうか、多少は時間をかけてしっかり見極めよう。業者に頼む何百万円ものお金があるなら、その程度の余裕はあるはずだ。
少なくとも、テレビで引き出しの光景を取材・放送させているような業者はアウトである。
たとえ対象者を匿名でモザイクをかけようと衆目の晒し者にし、関係者の心をより頑なにさせかねないことに抵抗感のない業者がまともなわけがないのだ。

そして、悪徳業者に依頼して子どもの心を壊し、業者には逃げられたとなれば、親も(法的なものも含め)責任を問われることになりかねない。
よく「生半可な措置ではニートは社会復帰しないんだから多少の荒療治は仕方ない」という意見もあるが、荒療治には相応に重いリスクもついて回る事を忘れてはならない。
何故医師免許が最高峰の難易度を誇っているのかをよく考えてみよう。

上でも何度か触れているが、自治体によっては各職種での知識や資格などが格安で得られ、企業への斡旋もしてくれる職業訓練制度もあるので、迷ったらこちらも検討してみるといい。

近年では、ニート含め無職の人による「社会への恨み」や「死刑になりたい」といった理由での凶悪な犯罪が増えており、決して家庭内だけの問題ではない。

犯罪に手を染める人が1番悪いのはもちろんではあるが、そこに至るまでの過程で救うチャンスは何度もあったはずなのに、誰も手を差し伸べなかったという事例も少なくなく、一概に犯人のせいだけとは言えない。
「周囲の人ひいては社会全体がどのようにして、良い方向に導くか」が今問われている。


余談

ニートという言葉の流行当初から、「求職ないし休職中の者」、果てには「自分と考えが合わない者」をもニート呼ばわりする風潮がある。
が、先述の通りこれは誤用であり、言葉通りのニートであっても、自分を取り巻く環境に悩む人物は多く、安易に攻撃するような真似はやめよう。
必死で努力する人や悩んでいる人の精神を攻撃すれば、ニート脱却の気力も失われて本来脱却できるニートからも脱却できなくなりかねないし、逆に叩けば脱却できるほどニートは簡単な問題ではない。
そもそも単に職を失った人は「失業者」であって「ニート」ではない。

ネタ・揶揄ではあるが、ネット上では「自宅警備員」とも称される。
「自宅に留まっているのは自宅を警備しているから」という理由を付けて、まるで職業のように紹介することからきている。

ネット上では、しばしば「ゆうすけ」ないし「ゆうちゃん」なる名前がニートの代名詞扱いされ、所謂「ゆうちゃんコピペ」が多く制作されている。
これは2ちゃんねるニュース速報板に存在した「【お盆こわい】 親戚がくるぞー!逃げろー!」というスレッドにて、ニートである>>104がうっかり自分の名前を書いてしまったことが由来。
きちんと働いているゆうすけ諸氏からすればとんだ災難である。

アニメやゲームなどに出てくる正義のヒーローや勇者も定義上はニートとなり得る(プリキュアなどの様に本業が学生の場合を除く)。
世の中に多大な貢献をしてはいるが、労働の対価として給料を貰ったりしていない以上、仕事とは言い難くボランティアに近い。
また、そういった方々は往々にして存在が秘匿になっていることが多く、そういう意味でも公的に“仕事”として認められているとは言い難い。


関連項目

アニメ・漫画等における主なニートキャラは こちら。
ニートと揶揄されるだけのキャラクターなども含むので注意。



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最終更新:2024年04月17日 01:31

*1 ただし、34歳以下でもテレビ等で紹介される際は「無職の○○さん」と呼ばれる。

*2 ニートと混同されがちだが、「引きこもり」は不登校の学生なども含むため、厳密には区別される。

*3 定年退職の場合や退職しても十分な稼ぎがある場合を除く。

*4 凶悪犯罪者の多くは家庭環境に問題があったと言われており、幼少期の家庭環境がどれだけ大事かが明らかになっている。

*5 広告収入、投げ銭/スーパーチャット、スポンサー料など

*6 本人の意思としては不安定な職種が本業で、生計を立てるための仕事が副業という場合もある

*7 後述するが「ネオニート」と呼ばれることはある。

*8 ただし、フロント企業(企業舎弟)などを持ち、表向きは会社員(役員)などとして活動している例もある。

*9 当人の意思に関係無く、働くことが許されないため、働けるのに特に理由もなく働いていないニートとは根本的な事情からして違う

*10 働かずに生活させてくれるだけで十分贅沢なのだが、中には遊興費を払ってくれる親もいる。

*11 「職業選択の自由」は憲法でも保障されている正当な権利だが、職業の選択そのものとそれを条件に任意で受ける給付金制度とは話は別である。

*12 20年以上勤務(雇用保険の加入)していて、更に倒産といった完全な会社都合での退職を余儀なくされたり、或いは身体的な障害を患っていた場合の特別枠など。

*13 こちらの場合、どこかに勤めれば税支出が大幅に増える、事業を起こせば不労所得源を危険に晒してしまう等の理由により、「働いたら負け」が冗談では済まなくなる。

*14 高校進学後、わずかに中退する人がいる。

*15 その場合でも編入するなりして、高校卒業を目指した方が良く、場合によっては高卒認定試験を受けるという手もあるだろう。

*16 もっと酷いのだと、学校をズル休みし、出席日数が足りなくて留年→退学というのもある

*17 中卒でも立派に働いている人、中には大きな成功を収めた人物もいるが、大半は険しい道のりとなる。

*18 例えば英語は義務教育でも学ぶはずである。

*19 大手メディアが報じないのは、裏取り(真偽の確認)ができないためである。

*20 2022年時点で、新聞の世帯購読率は60%を下回っている。テレビがない家庭はまだ少数派だが、保有率は90%弱で決して珍しい存在とは言えなくなっている。

*21 言うまでもないが自給自足もラクじゃない。篤い信仰心をお持ちなら宗教に帰依して僧侶や修道士になるという選択もあるが、信仰をすべてに優先してあらゆる未練を断ち切るくらいの覚悟と体力はいる。一応職業ではあるものの、ふつうに就職して働くよりずっと大変であり、そもそも彼らは全ての情報を断ち切っている訳ではない。

*22 ただし、年齢制限を設けている学割や学生版の使用範囲に制限を設けているアプリケーションもある。

*23 実は全く無い訳ではないのだが、法的な強制力はなく進級させる方針が一般的となっている。一部の私立学校では独自の規則があるが、こちらも転校することで留年を回避できてしまう。

*24 16歳以上になると受験可能になる試験で、高卒と同程度の能力がある事を証明する試験。合格すると高卒とほぼ同等の扱いで進学、資格受験、就活ができる(一部例外もあるが少数派)。学校に通う必要が無く受験可能だが、あくまでも高卒と同等レベルであるいう証明だけなので高卒扱いにはならない(学歴欄には「高等学校卒業程度認定試験合格」と書く)。

*25 法律上学校扱いにならない教育施設。

*26 特にトラックなどの特殊な車両を扱う職業や自動車産業ではMT免許を要求する職種が多いと言われている。

*27 外国人が話す片言の日本語が何となく通じるの同様に間違った文法・発音でも理解してくれる人もいるが、トラブルの原因になったり、ビジネスの現場では悪印象を与えてしまう可能性がある。

*28 ホワイトカラーと言われる職種でも、厳しいノルマが課せられたり、激務な割に給与や休暇が少ない、福利厚生が機能していないといった、所謂ブラック企業も少なくないと言われている。

*29 一定の条件が揃えば減給処分も出来るが今はかなり厳しく、減らせる額も限られている。

*30 低く見積もっても英検準2級以上、下手すりゃ英語以外もある。

*31 平たく言うなら、戦場で敵であっても人を殺したくないからといった理由での拒否。