NovelAI

登録日:2023/10/31 (火) 18:54:27
更新日:2025/04/22 Tue 18:03:54
所要時間:約 6 分で読めます






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NovelAIとは、AIを利用して小説や画像の生成を行えるWebサービス。


【概要】


アメリカのデラウェア州に拠点を置くAnlatan社が運営しており、2021年からサービスが開始された。
後述するがAIイラストの生成サービスは当初は運用されておらず、サービス初期はAIによる小説生成のみを行うサイトだった。

日本においては、AIイラストに関する機能が大きく注目されたことで知名度を上げた。

【料金プラン】


海外産のサービスなので料金の設定に関してはドル払い。クレジットカードやPayPalなどで支払いをする。
経過日数に応じた差額を支払うことで上位のプランへのアップグレートも可能。
プランにおいて与えられるサイト内の通貨「Anlas(日本人ユーザーからはアナルと呼ばれることも)」は、プランでの付与分が尽きても追加で課金することで貰える。
また、プラン解約後でもプラン加入時に得たAnlasは維持されるので使い切らなくても基本的に問題はない。

◇Free Trial(フリートライアル)

金額:無料
小説機能において100個のストーリーの生成、約4096文字の記憶まで可能。
無料なのでAnlasは付与されないことからこの状態ではイラスト機能に触れることはできない。

◇Tablet(タブレット)

金額:10ドル
小説の生成が無制限になるなど、Freeよりも小説で使える機能の制限が緩和される。
1,000Anlasが付与されるため、イラストサービスも使用可能(基本設定のサイズだと月に約200枚の画像の生成は出来る計算になる)。

◇Scroll(スクロール)

金額:15ドル
小説生成における記憶文字数や記憶トークンなどがTabletよりも増える。
付与されるAnlasはTabletと変わらないため、小説の生成に関心が無くてイラストの生成が目当ての場合は加入する意味が薄いプランと言えるだろう。

◇Opus(オーパス)

金額:25ドル
最高額のプラン。付与されるAnlasが10,000Anlasと下位のプランから10倍にも及ぶAnlasが付与される。
イラスト機能において基本設定の画像サイズ以下の画像を生成する際にはAnlasの消費が無くなるため、事実上の無制限の画像生成が可能になる。
AIイラストは構図や人体が破綻することも少なくないため、Anlasの消費が無くなることでやり直しがしやすくなるということを考えれば非常に恩恵が大きい特典と言える。
また、導入予定の新機能を先行で試すことができるという所謂βテストへの参加が出来る。

【サービス】


▼小説機能

NovelAIにおけるメインコンテンツ。プロンプトや文章を入力することでAIがその内容を元に文章を作り出すサービス。
GPTという自然言語処理AI技術を利用しており、機械による文章としてはハイレベルな表現を可能とした。
通常の小説を表現するストーリーテラーやシチュエーションなどを設定してAIと物語を進行させるテキストアドベンチャーなどの機能を持つ。
基本は英語なので日本人的に縁がないコンテンツに見えるが、「Genji」というモデルで日本語の文章にも対応している。

▼イラスト機能

『NovelAI Diffusion』と呼ばれるサービスで2022年10月3日から追加されたAIイラストの生成機能。
画像生成AI『Stable Diffusion』をベースにしており、画像投稿サイト『Danbooru』に存在する画像を主な学習元にしている(『Danbooru』は無断転載が頻発しているサイトであり、そこから学習していることが議論されることもある)。
利用には月額プラン加入時に獲得する「Anlas」の消費が必要となり、消費量は生成枚数やサイズで変化する。

プロンプトとも呼ばれるキーワードを入力することでAIが画像を瞬時に生成(txt2img)してくれる。
また、既に存在する画像を元にして新たなイラストを生成する機能(img2img)も搭載されている。
定期的にアップデートも行われており、日本人ユーザーの多さを受けてか後に日本語への対応も行われている。

モデルの特徴としては日本方面の二次元コンテンツのキャラクターの表現や類似した絵柄を出すことに強い。
アニメや漫画のキャラクターや画風を出すこともできるが、再現度は『Danbooru』への投稿数やネット上における作品の知名度に左右されるようで、上手く表現できない或いはそもそも対応していない作品・画風も多い。
人体パーツや装飾の表現においては破綻も少なからず起こるが、NovelAI以前のAIイラストと比較すると少ない範囲に収まっている。
2022年当時においてハイクオリティなイラスト表現は各所において非常に大きな衝撃と議論を呼び、AIイラストというジャンルにおける一種の節目的な存在と化した。

主なモデル

  • NAI Diffusion Anime(Curated)
デフォルトで設定されているモデル。高品質なイラストを学習させているので低品質なイラストを出しにくい。
デメリットはR-18要素のあるイラスト(NSFW)は生成不可能であり、全裸の女性のイラストを生成するように指示しても乳首が全くないか或いは乳首っぽいピンクの物体が胸に小さくあるという程度の不自然な裸体になる。
R-18イラストを作りたい人には向いていないが、性器の露出が無い健全なイラストを作る際にはこちらのモデルが優先される。
なお、上述のようにNSFW要素は排除されているが、プロンプト次第では服の上から乳首などの女性器の形が浮き出ている(所謂胸ポチ)といったR-18寸前のイラストは表現することができる。

  • NAI Diffusion Anime(Full)
Curatedよりも学習させている範囲が広いため、表現が可能な範囲が広がっているモデル。
R-18イラストも生成が可能な所が強みで、健全なイラストも作れるモデルと言っても基本的にはエロ用のモデルとして扱われている。
デメリットとしてはプロンプトの調整が難しく、イラストの質もCuratedと比較すると安定しにくい。

  • NAI Diffusion Furry
獣人や動物の擬人化などのイラストを生成することに特化している。要はケモナー向けのモデルである。

  • NovelAI Diffusion Anime V2
上述のモデルよりもイラストの質や一貫性を強化したモデル。
学習元のトレーニング解像度の向上、品質の強化による「masterpiece」の事実上の廃止、ネガティブプロンプトの強度の調整などの変更が加えられている。

  • NovelAI Diffusion Anime V3
V2のリリースから大きく期間を開けないで公開されたモデル。
Stable Diffusion XLをベースにしたモデルであることから以前のモデルよりも高画質でサイズの大きい画像が生成可能だが、プロンプトの癖や消費Anlasの設定などは変わっている。
以前よりも表現能力が上がった(ただし、苦手な表現もある)ことに加えて、これまでのAIイラストでは難しかった構図の表現が可能となり、モデルの学習範囲内の版権キャラの再現能力や絵柄の模倣などの能力が突き抜けて高くなっている。
その能力はローカルや他社のAIイラストサービスの勢いに押されつつあったNovelAIの状況を一気に変えて大きな衝撃を呼ぶと同時に議論も引き起こした。

  • NovelAI Diffusion Furry V3
獣人や動物の表現に特化していたFurryモデルの強化版。
Anime V3と同様にStable Diffusion XLをベースにしているため、生成可能なサイズや表現能力が大きく向上している。

  • NovelAI Diffusion V4 Curated
V3までのようにStable Diffusionなどのモデルをベースにせず、NAIの独自のモデルをベースにしているモデル。
当初はV4のプレビュー版として公開されていたが、後にFullの公開後は後述の仕様の違いもあってか統一化されず、Curatedとして引き続き公開されることになった。
V3と比較すると多人数のイラストの描き分け能力が大きく強化されており、かなり広い範囲の版権キャラの再現などが可能になった。
しかし、V1 Curatedと同様にR-18要素のあるイラスト(NSFW)は基本的に生成不可能になっている。
また、V3と比べると基本的な性能は大きく上がっているのだが、プロンプトによる絵柄の制御が複雑で不安定な部分があり、使いやすさが落ちているという指摘もある。

  • NovelAI Diffusion V4 Full
Curatedの先行公開後、V4の正式版として公開されたモデル。
R-18描写に対応しており、V3どころかV4 Curatedでは不可能だった版権キャラの再現や構図にも対応できるようになっている。
その代わり、V4 Curatedで再現を可能とした一部の版権キャラや絵柄の再現度が著しく落ちているという欠点も指摘されている*1
また、V4 Curatedと同様にV3よりも絵柄などの制御が不安定という部分は変わっていない。
さらにV4 Curatedとも少なからず使い勝手が異なることやプロンプトの仕様に関する変更などもあり、リリース時点ではV3のようにローカル環境などで作られたNAI以外のAIイラストのモデルを圧倒するような勢いにはならなかった。

【余談】


  • NovelAIの登場によって日本や中国といった東アジア圏のネットコミュニティでは高品質なイラストを表現するためのプロンプトに関する考察が盛んになり、その動きとして中国のコミュニティから莫大なプロンプトに関する情報をまとめた『元素法典』と呼ばれる文書が広がることになった。

  • NovelAIにおいて高レベルなキャラクターイラストを描くように指示できる「masterpiece」というプロンプトだが、積極的に利用されたことから似た絵柄のキャラクターイラストが大量生産されたことでキャラクターの顔を「マスピ顔」と揶揄するスラングが生まれた。
    なお、このマスピ顔を根拠に「AIイラストは似たような絵柄しか出せない」と指摘されることがあるが、実際のNovelAIは様々な絵柄を生成することが可能である。
    マスピ顔と揶揄されるイラストが増える原因としては「手軽なプロンプトで単純に大きく工夫しなくても出しやすい」や「masterpieceが流行りの絵柄を学習していることから、ネット上のAIイラストの投稿において様々な絵柄を出しても結局一番評価が高くなるのはマスピ顔のイラストになるから」と言われている。

  • 2022年10月6日にAnlatan社が不正なアクセスの被害を受けたことにより、イラストサービスの情報がネット上に流出する事件が発生した。
    この流出したデータを元に様々な派生モデルが作り出される結果になり、AIイラストにおいて事実上のターニングポイントになったと見る意見もある。




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最終更新:2025年04月22日 18:03

*1 V4 FullはV4 Curatedよりも広い範囲を取り込んで学習をした結果、逆にV4 Curatedよりも再現度が「薄まった・振り落とされた」キャラクターや絵柄が発生している模様