トークン

登録日:2018/07/13 Fri 19:16:48
更新日:2025/03/03 Mon 12:33:53
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概要

トークンとは、「証拠」「しるし」「記念品」などの意味合いを持つ英単語。
簡単に言うと、「それそのものにはさほど意味はなく、その場にあって所持していることに意味のある存在」と言えるだろうか。
トークン自体には価値はなく、「ちゃんとお金を払いましたよ」という証拠として用いられるアイテムである。

例えば、海外でよく使われる「コイン型乗車券」なんかは代表的なトークンである。
日本での身近な例だと、メダル式ゲームセンターのメダルはトークンに近い存在だろう。
パチンコの玉は、ゲームに使用する物そのものなので少し違うか。

また、戦中・戦後など正式な貨幣の製造が出来ない、追い付かない際に用いられる「代用貨幣」や昨今流行りの「仮想通貨」もトークンの一種である。
なんなら貨幣そのもの、特に高額紙幣なんかは「その額面だけの商取引を保証するトークン」であると言えなくもない。

TCGでのトークン

アニヲタ的に最もよく聞くのは、トレーディングカードゲーム(TCG)でのトークンだろう。
「カードとしては存在しないが、それと同じように扱う目印」というのが多くのカードゲームでの一般的な認識。
例えば他のカードの効果によって生み出される名もなき兵士とか使い魔などといったものを、カード以外のものを代用して表したもの。

大抵、その辺にあるメモ用紙やらコインなどの小物を持ってきて使う。
「何を表すトークンなのか」がわかると便利なので、数字や情報を表せるものならより良いだろう。
ゲームによってはカードの向きや表裏が意味を持つので、そうした区別がつけれない形のもの*1は適さない。
デジタルカードゲームならゲーム上にトークンが自動で作られるので何の手間も要らない。

カードではないと言ったが、結局のところ「カード」を使うのが最も向いている。
トランプやスリーブ、違うTCGのカードなど、はっきり他のカードと区別がつくものなら何でもいい。
お気に入りのキャラクタートレカを使ったり、何なら自分で作ってみてもいいかもしれない。
「トークン用のカード」が公式などから販売されていたりもする。
非公式にトークンを作る者もいるが、カードのレイアウトや版権物の画像を使用して販売などを行うと商標権や著作権上の問題があるの注意しよう。

カードどころか平らなものですらない場合もあるので、トークンは通常山札とか捨て山には積み重ねられない。
そのためトークンは場から離れると同時に消失してしまう、というルールが多い。

トークンを使うのは例に出したように、即席の戦力を増やすような効果のとき。1枚のカードから2つ、3つと戦力が増えるため強力な能力と言える。
ただし、その代わり生成されるトークンは非常に弱かったり、能力に制限があったりする。
そのため、考えなしに使ってもあまり意味はない。何かしらのコンボを前提にして使用していくタイプの能力である。


マジック・ザ・ギャザリング

最も歴史の古いTCGだけあり、もちろんトークンの概念は存在している。
クリーチャー・トークンは色、P/T、及び特殊能力とクリーチャーとしてのサブタイプが指定されている。
名前が指定されていない場合、クリーチャーのサブタイプがそのまま名前になるというちょっと変わったルールがある(例:兵士・トークンの名前は「兵士」である)。
戦場以外の場所に行った時点で消滅するが、その場所に行ってから消滅するので、例えば「墓地に置かれたとき」のような能力は誘発する。

色のテーマとしてはやはりクリーチャー展開に長けた色である緑が多い。苗木トークンが代表的。
次いで騎士団系クリーチャーなどを多く擁し、小型クリーチャーの大量展開を得意とする白。
ゴブリン系トークンを持つ赤、ネクロマンシーによるゾンビ系トークンを持つ黒がそれに次ぎ、青が末席である。
一方でパーマネントの「コピー・トークン」を戦場に出す能力も存在し、こちらは主に青と赤の得意分野である。

1体当たりの攻撃力は貧弱な場合が多いが豊富なパンプアップや飛行などの回避能力を利用すればトークンだけで殴り勝つこともできる。
【白黒トークン】などは大きな大会で結果を残しており、代表的なトークン生成カードである《苦花/Bitterblossom》は禁止カード経験がある。
また、フィニッシャーとして大量にトークンを出して殴るという豪快なデッキもある。
いくら1体あたりの攻撃力が低かろうが、プレイヤーのライフは20しか無いので1万とか1億とかで殴れば死ぬ。
ストームでゴブリントークンを大量に出す《巣穴からの総出》やモダン禁止経験もある無限トークンコンボデッキ【欠片の双子】などが有名。

手掛かりトークンや宝物トークンのような、総合ルール上でその扱いが特別に定義されているトークンもある。アーティファクトやエンチャントのトークンもある。

プレインズウォーカーの唯一性に関するルールがなくなったことにより、
狡猾な漂流者、ジェイス/Jace, Cunning Castaway》は自身のコピートークンを生成する能力で登場した。

公式にトークン用のカードがブースターパックに同梱されており、色、種族、パワー/タフネス、テキストなどがわかりやすいので非常に使い勝手が良い。トークン主軸のデッキなら是非とも使おう。
また、非公式だがトークン用に同サイズのカードを作る職人も多い。
渡辺雄也は自信の似顔絵が刷られた専用のトークンを使っている事で有名。以前所属していたショップが制作しているもので、現在もその縁で新作が作られ続けている。
一応公序良俗に反する画像じゃなければ何でも良いのだが、タップアンタップの状態がわかりやすいように、長方形の物を使うのがベター。


遊戯王

トークンには攻撃力/守備力、種族、属性の指定があるのみで特殊能力はない。全て通常モンスターとして扱う
特殊召喚するトークンに何かしらの特殊な効果を与えそうなカードも存在するが、大抵の場合「トークンを特殊召喚するカードの効果が残っているもの」として扱う。
また、裏側守備表示にはできないため、裏側守備表示に変更する効果は一切受け付けない。
月の書》など裏側守備表示にする際に対象を指定する効果は、その対象に選択する事すらできない。

トークンを主軸とするカテゴリ・テーマは【幻獣機】【相剣】【勇者】などがある。
特に【勇者】はデッキの主役となる「勇者」がトークンという破格の扱い。
個別のカードではアニメでも活躍した《スケープ・ゴート》が有名。
これは攻守0の羊トークンを一気に4体も呼び出す速攻魔法であり、相手の攻撃をせき止める壁としては非常に強力な部類となる。
他に有名なカードとしては《ダンディライオン》《トーチ・ゴーレム》《BF-朧影のゴウフウ》などがある。
基本的に攻撃力は低いため、素材か壁にしかならない場合が殆どだが、【スライム増殖炉】【幻煌龍】等、トークンで殴るデッキは一応存在する。

普通のモンスターと同様に、各種特殊召喚の素材としても使える。時代が下るほど素材指定の緩いモンスターや召喚方法が増えているため、
手軽に出せたり大量展開しやすいトークンを用いて強力な特殊召喚モンスターに繋げる戦法をとることができる。
ただし、こういった特殊召喚のうち 唯一X召喚の素材にだけは使えない という重大な制約が課せられている。
(カードをX素材化する際には「素材カードをXモンスターカードの下に重ねる」必要があるが、カードとして存在していないトークンはこの行動ができない。)
そのためX召喚を主力とするデッキでは、トークンの使用は場を埋めるというデメリットの方が大きくなってくる。

新マスタールール及びL召喚が導入されて以降は、素材指定の緩いLモンスターを間に挟むことで、トークン1体から高レベルモンスターを容易に出せるようになり、
前述したトークン生成カードの価値が爆上がりした。《スケープ・ゴート》が無制限から準制限に戻ったのも時期もこの辺(後に制限解除)。
特に、L召喚に特化したテーマであるサイバース族はトークン生成カードが多く、アニメにも多種多様なトークンが登場する。
そんな訳で環境ではトークンが大活躍し手軽すぎるものが軒並み規制送りになり、《トークンコレクター》というトークンを徹底的にメタるカードまで登場した。

ルール上フィールドに召喚できるモンスターの数には上限があるため、《おジャマトリオ》のように相手フィールドを弱小トークンで埋めて展開を妨害する使い方もある。
S召喚登場以前は、リリースできないトークンを送り付けるのは強力なロック手段の1つであった。
しかし、現在はS・L召喚の素材として使われてしまう可能性が高く、逆効果になりやすい
この方法で運用するには、そうした召喚方法を止める手段を併用する必要があるだろう。

公式が作ったトークン代替カードもあるが、イベントの参加賞であったり限定商品であったりするためなかなか手に入りにくい。
メインデッキとは違うスリーブに入れたカードや別のカードゲームのカードを代用として使う人が多い。いずれにしても表示形式がわかるものでなければならないが。


デュエル・マスターズ

存在しない
MTGがモデルとなっているのだが、トークンを生成する効果を持つカードはない。
恐らく、全てのカードをマナゾーンに置いてマナを作る、と言ったルールとの兼ね合いや、対象年齢が低めなので複雑なルールを排する傾向にあるためだと思われる。

しかし超天篇1弾より登場した「GRクリーチャー」と呼ばれるクリーチャーは、開発関係者より「トークンが元ネタである」と(SNS上ではあるものの)明言されている。

また、アプリ版にあたるデュエル・マスターズ プレイスでは、クリーチャー・クロスギアなどのオブジェクトをプレイヤー1人あたり7つまでしかバトルゾーンに存在させられないという仕様上の問題によりゴッドがトークンに近い仕様に変更されている。
具体的には、原作では複数枚のクリーチャーカードに分割されていたのが1枚のゴッド(カードタイプ)に統合されており、カードに記載されたマナコストを支払うことでゴッド・クリーチャーとしてゲーム外からゴッドを召喚するという挙動をする。
G・リンク(複数体のゴッドを合体させる能力)の際も同様の処理を行い、リンク完了まではそれぞれ単体のクリーチャーとして扱う。

また特筆すべき点として、他TCG・DCGのトークンとは異なりバトルゾーンを離れてもカードとしては消滅せず、非クリーチャーのカードとして移動先のゾーンに残る点が挙げられる*2

バトルスピリッツ

長らくゲーム外部から生成するトークンカードは存在しなかったが、『メガデッキ【豪炎の創世主】』より導入。
使用に際しては、公式商品のトークンカードか公式サイトに用意された画像をカードサイズにカラーコピーしたものを使用する枚数分用意し、ゲーム開始前に相手が確認できる場所に裏向きにして置く。
トークンを召喚することはできず、効果によってフィールドに出す際も召喚としては扱われない。

ちなみにトークン実装以前にトークンの挙動を再現した能力として、緑のキーワード能力【分身】が存在する。
【分身:*】
自分のデッキの上から*枚までを裏向きで自分のフィールドに置き、自分のリザーブのコア1個以上を置くことで、
ゲーム終了時まで、そのカードを"コスト0/系統:分身/<1>Lv1/BP3000/[緑]"の緑の分身スピリットにする。
(分身スピリットは、合体/煌臨できず、手札/デッキに戻るとき破棄される)

これはデッキの上の裏向きのカードを擬似的にスピリットとして扱う能力である。
  • 一般的なコスト0スピリットよりも高いBPを持つ
  • カードの名前がないためフィールドの同名カード対策にかからない
  • 召喚としては扱わないため効果による召喚へのメタを回避しながら場のスピリットを増やせる
といったメリットがある。
これを得意とするテーマデッキとして【バルタン星人】が存在する。

カードファイト!!ヴァンガード

長らくトークンカードは存在していなかったが、Vシリーズに入り幾つかのクランにトークンカード及びトークン生成カードが登場した。各トークンごとにそれぞれ決められた能力を持つのが特徴(無能力もある)。
ネオネクタールの「プラントトークン」は無能力で性能も低いが生成する方法が多く、サポートも多い。一般的に言うところのトークンらしいトークンになっている。
忍者クランであるむらくもの「妖魔変幻(イビルデコイ)トークン」は特定のユニットを場から手札などに戻すことで出現する防御専用のトークンで、いわゆる「変わり身の術」としてデザインされている。
上記以外では、「ドラゴニック・ブレードマスター」や「アーシャ」は自身とほぼ同じ性能のトークンを出す能力を持ち、ぬばたまの「シラヌイ」は「支配の仮面」という相手カードの能力をコピーするトークンを出せる。

またトークン関連では比較的珍しく 公式大会では公式で発売・配布されたトークンカード以外は使えない というルールがある。
トークンを生成する側がトークンの情報を定義するのではなく。各トークンそのものに情報が持たされている為だからだろうか。


シャドウバース

プレイヤータイプの一つ「エルフ」は1コスト1/1のトークン「フェアリー」や0コスト1/1のトークン「フェアリーウィスプ」を生成、あるいは場に出すカードが多く、
大量展開して速攻戦を仕掛けたり、場を制圧したり、バウンス効果を持つカードでこれらの出し入れを繰り返して「そのターンのプレイ枚数」を参照する効果のカードを強くしたりするのが基本戦術となる。
他にも「ウィッチ」は2コスト2/2のトークン「クレイゴーレム」等のトークンフォロワーを呼び出すスペルカードを多く所持しており、
特に「スペルブースト」効果の存在からなるべくフォロワーではなくスペルカードを入れたいタイプ特性からしても、相手のフォロワー展開に付き合うためにトークンを場に出す展開が多く見られる。

特徴的なのは、デジタルカードゲームらしく「手札/デッキに加わるカードとしてのトークン」が存在すること。
この手の代表例「ファーストカース」はまず、「3コストでフォロワー1体に2ダメージ、さらに手札にセカンドカースを加える」という効果。
次いでセカンドカースは「6コストでフォロワー1体に5ダメージ、さらに手札にファイナルカースを加える」という効果。
最期のファイナルカースは「9コストでフォロワー1体に8ダメージ」という効果。
使えば使うほどより強力なスペルのトークンが手札に加わっていく、というのは、紙のカードゲームではなかなか再現の難しい効果である。

また、ネメシスのカード群である「アーティファクト」タイプのフォロワーは、基本的にカードの効果でトークンとして生成されるとデッキに直接送られ、
それをドローやサーチで手札に加えて使用するという手順を踏むというデザインである。
もし紙のTCGであった場合、元のデッキとトークンが混ざり合って試合ごとに分け直す面倒な作業を強いられるため、これもDCGならではの効果といえよう。
生成してすぐに使えるわけではないためか、コストにいい意味で見合っていないカード*3が多い…のだが、
「アーティファクトの同調」等、トークンをデッキに送らず手札に直接加えるカードや、進化時効果やファンファーレ効果でそのまま場に出すフォロワーなども出てきている。

第14弾パック「森羅咆哮」では、全クラス共通のトークンアミュレット「ナテラの大樹」に関連する効果を持つ「自然」カテゴリが新たに追加。
「〇〇・マナ」(クラスによって〇〇の部分は異なる)等で手札に加わるこのアミュレットは、既に場に同名カードがある場合は前のものを破壊して1ドローする効果を持つ他、
これの破壊枚数に応じて増加するバーンダメージ効果をリーダーに付与したり、場に「ナテラの大樹」があると恩恵を受けられたりするカードを軸にしたデッキがローテーション環境を席捲。
特に、手札にあるとそのコストが「ナテラの大樹」が破壊される度に-2される(それ以外は-1)「報復の白き刃・アニエス」は、あまりに強すぎて当人と関連カードが下方修正を喰らう羽目になった。

第18弾パック「レヴィールの旋風」からは、乗り物というトークンアミュレット・フォロワーと、それに関連する「操縦」というキーワード効果が追加。
「従順な駿馬」等の乗り物アミュレットは、それが場に存在するプレイヤーのターン中にフォロワーが場に出るとそのフォロワーと融合し、
スタッツが強化される上、「守護」や「突進」などの追加効果を得られる場合もあり、序盤から高スタッツを押し付けて盤面を制圧したり、
「突進」や「守護」の付与によって、それらの効果を本来は持たないフォロワーを進化権なしに盤面処理に使ったり、あるいは相手に処理を強要したり出来るように。
「操縦」は乗り物のトークンフォロワーが持つ効果で、指定されたコスト以上のフォロワーを新たに場に出し、融合しないと攻撃などが一切行えない代わりに、
他の乗り物アミュレットよりも強力な効果を持つ上、これが破壊されても「操縦」したフォロワーは場に残る(ファンファーレや「場に出た時」の効果は発動しない)。



追記・修正はトークンを呼び出してお願いします。

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最終更新:2025年03月03日 12:33

*1 無地の正方形や円形など。

*2 ただし、G・リンクの際に召喚されたがパワー低下による破壊や《聖鎧亜キング・アルカディアス》の召喚ロックに引っかかるなどが原因でリンクに失敗し、バトルゾーンを離れた、または出れなかったゴッドはその場で消滅する

*3 例えば1コストの「アナライズアーティファクト」は、2/1という強めのスタッツに破壊された時に1ドローするラストワード効果が付いている。