トリビュナル(The Elder Scrollsシリーズ)

登録日:2012/11/18(日) 05:47:02
更新日:2025/01/29 Wed 18:09:59
所要時間:約 13 分で読めます




言葉の終わりは


『アルムシヴィ』である。


トリビュナル(Tribunal)とは、ゲーム『The Elder Scrolls』シリーズに登場する3人の現人神、もしくはそれらを崇める宗教団体の名称。
TES本編ではナンバリング3作目の『Morrowind』とそのDLCに主に登場する。4作目『Oblivion』と5作目『Skyrim』では名前のみ、外伝の『The Elder Scrolls Online』ではトリビュナルの全員が各地のメインクエストに関わることとなる。

ちなみにアルムシヴィとは、トリビュナル3人の名前の頭文字をとって合体させたものである。
日本語訳では『トリビュナル』『トライビューナル』『三大神』と翻訳にバラつきがある。

+ 目次

概要

トリビュナル(Tribunal)とは、上述の通り3人の現人神と、それらを崇める宗教団体のことを指す名称である。
TESシリーズをプレイしてきた者たちにとっては馴染み深いとも言えるデイドラや、エイドラとは違い、トリビュナルの3人は定命の者の姿をしているのが大きな特徴。

第一紀700年に起きたドゥーマー(ドワーフ)とチャイマー(後のダークエルフ)の戦争の後、チャイマーが灰色の肌と赤い目を持つダークエルフ(ダンマー)へと変化した後に、モロウウィンドの地に現れたと伝わる。
その後は第三紀427年までの約3500年にわたり、その超常的な力と英智、慈悲を持ってモロウウィンドを治めていた。
しかし第三紀427年にモロウウィンドに伝わる『ネレヴァリンの予言』*1が成就すると、トリビュナルは全員がその姿を消してしまう。
トリビュナルの加護を失ったダークエルフたちは後に多くの災難に見舞われることとなった。第三紀433年のオブリビオン危機*2ではデイドラの軍勢が押し寄せ、国土が蹂躙されてしまった。続く第四紀005年には隕石が衝突した。これに追い打ちをかけるかのように火山であるレッドマウンテンが噴火した。*3
これによってモロウウィンドはその国土の殆どが壊滅し、現状最新作であるスカイリムの時点で多くのダークエルフたちが難民となってしまっている。

しかしトリビュナルがダークエルフ達を導いていた時代、モロウウィンドは繁栄を極めた。第二紀に起きたアカヴィリの侵略*4の際にはトリビュナルがこれを撃退。
さらに破壊と変革を司るデイドラ公メエルーンズ・デイゴンのタムリエル侵略を返り討ちにしているなど、彼らの功績はタムリエルの歴史においても非常に大きい。
TES:III時点のモロウウィンドは、タムリエル大陸を支配するセプティム帝国の自治州として組み込まれており、初代皇帝タイバー・セプティムとの協定によってトリビュナルが皇帝に代わってモロウウィンドを統治しているという形になっている。

モロウウィンドのメインストーリーでは、レッドマウンテンから流れてくる疫病を封じ込めるために力を割いており、モロウウィンドに伝わる『ネレヴァリンの予言』を異端とし、これを信じる人々を反体制派として弾圧しているなど、慈愛に満ちた現人神としての姿が段々と薄れているように見えたが…?

+ ネタバレ
トリビュナルは元々ただのチャイマーであった。
第一紀700年にドゥーマーと戦争が起きた当時、チャイマーを導いていたのはネレヴァル(Nerevar)と呼ばれる英雄であった。
彼はトリビュナルの3人を相談役に、さらに親友であるダゴス・ウルの4人でモロウウィンドを統治していた。ドゥーマーとの決戦であるレッドマウンテンの戦いが起きた際、ネレヴァル達はドゥーマーが禁忌に触れようとしていたのを目撃した。

ドゥーマーの司祭カグレナクは神を信じず、科学の力で都合の良いドゥーマーの神を生み出そうとしていた。そしてカグレナクはレッドマウンテンで創造の欠片であるロルカーンの心臓*5を発見した。
ドゥーマーの科学力でロルカーンの心臓の力を引き出し、神を作ろうとしたカグレナクと、それを止めようとするネレヴァル達はついに戦闘へと発展する。

そしてカグレナクが心臓の力を引き出した時、世界から全てのドゥーマーが姿を消した。*6

ドゥーマーの消失を目の前で見たネレヴァルは、カグレナクが遺した祭器を親友であるダゴスに託し、3人の相談役と共に下山。
チャイマーの守護神であるデイドラ公アズラを召喚し、月と星の元で心臓の力を引き出さないことを誓った。
そして祭器を回収するため再びレッドマウンテンへと向かったが、そこに居たのは既に心臓の狂気に呑まれた親友の姿であった。
祭器を渡そうとせず、心臓を自分が守護すると叫び攻撃してくるかつての親友を見たネレヴァルは、苦悩しながらも彼を討伐することに成功した。
しかし3人もまた心臓の狂気に飲まれつつあり、ダゴスとの激戦で疲弊したネレヴァルに3人がかりで卑劣な不意討ちを仕掛ける。
ネレヴァルも妻、そしてかつてのダゴス同様の信頼を置いていた相談役らの裏切りと変貌に深く悲しみつつもアズラとの誓約を守る為に戦うが疲弊した身では力及ばず、そしてネレヴァルが死亡するとかつてアズラに誓ったはずの3人は遂に心臓への魅力に逆らえず、レッドマウンテンで祭器を使用して心臓から力を引き出した。

これによって3人は不老不死の現人神へと変貌した。
禁忌を犯し、あまつさえネレヴァルを殺すという最悪の形で誓いを破った3人の元へ激怒したアズラが現れる。
『3人の過ちを正すためにいつの日かネレヴァルが、"ネレヴァリン"として月と星の元に再臨し、モロウウィンドを正しき姿へと導くだろう。』と予言した。

現人神はアズラへ啖呵を切った。
『我々はあなた方のような古い神々とは違う。この力で公平で新たな世界を創るのだ。』と。
そしてアズラによって禁忌を犯した3人への罰としてチャイマー全体に呪いがかけられた。黄金の肌は灰色へ、目は赤い色へと変化した。

こうしてトリビュナルの真相は闇へと葬られた。
トリビュナルは亡きネレヴァルに代わってモロウウィンドの神王として君臨した。そしてネレヴァルの再臨とアズラの予言を恐れた3人はネレヴァリン信仰を異端として弾圧し始めた。
トリビュナルを認めないダークエルフ達は彼らを偽りのトリビュナルと唾棄しながらも、身を隠し反体制派となってひっそりと生きていくか、モロウウィンドの野に下って独自にネレヴァルを信仰する部族達となること余儀なくされた。
さらにネレヴァルが討伐したと思われていたダゴス・ウルはトリビュナルの3人より先に心臓の力を引き出していた為に不老不死となっており、邪悪な神としてレッドマウンテンの中で行動を開始し始めた。

第二期のある日、トリビュナルの3人は年に一度、心臓から力を供給する為の沐浴の儀式を行おうとレッドマウンテンに向かった。
しかしそこに居たのは復活したダゴス・ウルと彼を信奉するカルト信者たち、そしてダゴスの力によって怪物へと変化した者たちだった。
これを見た3人はダゴスを倒そうとするも失敗し、カグレナクの祭器の大半を奪われてしまう。これ以降、トリビュナルは心臓をダゴスから奪還し、力を供給する為に何度も戦いを仕掛けるも、その度に撃退される。

そしてダゴスは心臓の力をトリビュナルよりも上手く引き出し、人を怪物へと変える疫病を発生させたり、灰の嵐を吹き荒れさせるなどモロウウィンドの各地で暗躍を始める。
トリビュナルもこれに対抗すべくダゴスの力を押さえ込もうとするも儀式を行えない状態ではジリ貧になる一方であった。そしてこの状況が続く中、トリビュナルも徐々に心臓の狂気に呑まれていくこととなる…。

そしてネレヴァルの死から数千年後の第三紀427年。
ネレヴァリンの予言に一致する一人の囚人がモロウウィンドへと辿り着く…。*7

トリビュナル一覧

アルマレクシア(Almalexia)

慈愛の女神と呼ばれるトリビュナルの一柱。紅一点。
後述する2人がダークエルフへと変化してしまったのに対して彼女のみは在りし日のチャイマーの姿である。
かつてはネレヴァルの妻であり、相談役の一人であった。
慈愛に満ちた優しい女神として人々から熱狂的に支持されており、第二紀のアカヴィリの侵略の際にはソーサ・シルと共にこれを撃退している。
かつてはその力を持って傷付いた人々を癒し、現人神として街中の人達と触れ合うなど、フランクに接していたようだ。
しかしTES:III時点ではモロウウィンドの首都モーンホールドにあるトリビュナルの総本山である大聖堂に居住しており、"アルマレクシアの御手"と呼ばれる直属の兵士を使って反体制派を弾圧し、投獄している。
さらにこの時期にはセプティム皇帝の代理人とも言えるモロウウィンドの王であるヘルセスと水面下で対立している。
ダゴス・ウルの暗躍に加え、帝国の干渉が強まる中で自身の神としての力が徐々に失われつつある現状、いくら慈悲深いアルマレクシアと言えど戦いに備えてなのか苛烈な女神へと変貌してしまっているようだ。

ゲーム本編のクエストでは、モーンホールドへ来たネレヴァリン(主人公)と接触し、様々な事を頼んでくる。
どうやら彼女は夫の生まれ変わりであるネレヴァリンを待ち続けていたようで、幾人ものネレヴァリン(僭称)の死を見届けてきたと言う。
ようやく真のネレヴァリンに会えて嬉しいのか、2人で力を合わせて帝国を打倒しようなど色々と興奮気味。
また最近モーンホールドには機械の蜘蛛が度々襲撃してくるようで、その黒幕を盟友であるソーサ・シルだと疑っていたが…?

ゲーム本編で会うにはDLC『Tribunal』が必要である。
またネレヴァルと結婚した際にカグレナクから送られたという二対の剣の片割れである『ホープスファイア』を所持している。

外伝作品「ESO」ではモーンホールドのシナリオで登場。

+ 顛末
実はモーンホールドを襲撃させていた張本人
どうやら既に心臓の狂気に呑み込まれていたようで、盟友であるソーサ・シルを殺害していた。それに飽き足らず自分のみがモロウウィンドの神として君臨しようとする野望を語り、ネレヴァリンを「最高の殉教者」とするべく殺害しようと試み、襲いかかってくる。
しかし既に心臓の力を失いつつあった彼女にネレヴァリンを倒せずはずも無かった。ネレヴァリンによって返り討ちにされ、かつての夫の前で死亡する。

ちなみにソーサ・シルの遺体を見つけると、アルマレクシアの彼に対する愛憎入り交じった心情を聞ける。
またプレイヤーの性別が女であった場合、アルマレクシア×ネレヴァリン(女)という百合展開(?)が生まれる。誰得…?

その死後、デイドラ信仰へと回帰し復権したネレヴァリン派司祭達が聖堂を掌握すると、トリビュナルはダークエルフを欺き続けた愚か者として聖人へと"格下げ"され、その信仰が禁じられることとなった。
しかし200年経ったスカイリムの時代になっても未だにトリビュナルを唯一の神として崇める狂信者達も多く、スカイリムのAE版では「トリビュナルの亡霊」というクエストでドヴァーキンがトリビュナル信者に関わることとなる。


ヴィヴェク(Vivec)

戦詩人と呼ばれるトリビュナルの一柱。両性。
半分は灰色、半分は金色というキカイダーみたいな姿をしている現人神で、坐禅を組みながら常に浮遊している。
かつてはネレヴァルの相談役の1人で、最年少だった。
北モロウウィンドの中心地であるヴァーデンフェル島のヴィヴェク・シティという人工都市の宮殿に居住している。
戦詩人と呼ばれるだけあって詩を制作する文化人の一方で、デイドラ公メエルーンズ・デイゴンを返り討ちにしたり、タムリエルを守護するために結界を貼ったり、津波を引き起こしたり、さらには隕石を衝突する前に空中で留めたりと色々とスケールがおかしい魔力の持ち主。

第二紀末期に起きたタイバー・セプティムによるタムリエル大陸統一戦争の際には暗躍するダゴス・ウルに加え、強大な軍事力を誇るセプティム帝国との対立は分が悪いと判断。
トリビュナルとして帝国と休戦協定を締結し、モロウウィンドを帝国の自治州として組み込まれることを承認し、ダークエルフの文化と生活様式を守った。

「ゴーストフェンス」と呼ばれる魔法の防護壁でレッドマウンテンを囲み、ダゴス・ウルの力と流れてくる疫病を抑えるためにヴァーデンフェル島全域を守護していた。
また彼もかつてはアルマレクシアと同様に人々と密接に接していたが、宮殿に籠りっきりになってしまった。
トリビュナルの中では唯一、ネレヴァルを裏切って現人神になったことを後悔していた。
そのためアズラにネレヴァリンと認定された主人公に接触し、神の力を失うのを承知でダゴスの討伐を依頼する。

ゲーム本編で最初に会うトリビュナルの一人。
ちなみに現人神なのに殺害も出来る。そのためか彼の最期は正史でも曖昧となっている。
日本語訳では『ヴィベク』『ヴィヴェク』『ヴィヴェック』と安定しない。よく分からん。
彼との会話で聞けるモロウウィンドへ対する感情と気持ちを吐露する場面は一見の価値あり。是非聴いてみよう。

ちなみに支配と陵辱を司るデイドラ公、モラグ・バルとはなんと結婚していた時期がある。
外伝作品「ESO」ではDLCのヴァーデンフェルシナリオで登場。

+ 顛末
ダゴス・ウル討伐後、ネレヴァリンによって心臓も破壊された為、現人神では無くなった。アルマレクシアとソーサ・シルの遺体を回収して埋葬すると、ネレヴァリンとモロウウィンドの今後について語り合う。
僅かに残された神の力をモロウウィンドの人々の為に使うこと、そしてトリビュナルに代わってネレヴァリンがダークエルフを導くようにと約束する。
またネレヴァリン信仰の弾圧を停止し、ネレヴァリンをモロウウィンドの救世主として認めると宣言。これにより多くのダークエルフが元々のデイドラ信仰へと回帰することとなった。

その後のヴィヴェクの動向は不明。
だが現人神で無くなった後もその行いが故か一定の地位と権威を保持しつつ、モロウウィンドの良き指導者としてダークエルフ達を導き続けた。
彼の最期は上述の通り正史でも曖昧になっており、オブリビオン危機の最中に行方不明になった、デイドラの軍勢に連れ去られた、心臓の力を失って間もなく息を引き取った、とも様々な説が提唱されている。

その死後、デイドラ信仰へと回帰し復権したネレヴァリン派司祭達が聖堂を掌握すると、トリビュナルはダークエルフを欺き続けた愚か者として聖人へと"格下げ"され、その信仰が禁じられることとなった。
しかし200年経ったスカイリムの時代になっても未だにトリビュナルを唯一の神として崇める狂信者達も多く、スカイリムのAE版では「トリビュナルの亡霊」というクエストでドヴァーキンがトリビュナル信者に関わることとなる。

またヴィヴェクが消えたことによってヴィヴェク・シティ上空で押しとどめられていた隕石「バール・ダウ」が遂に落下。街は壊滅し、その影響でレッドマウンテンが噴火。ヴァーデンフェル島は壊滅してしまった。
この大災害が起きた第四紀5年は「赤い年」と言われる。



ソーサ・シル(Sotha Sil)

謎の父と呼ばれるトリビュナルの一柱。高身長。
上述の2人がチャイマーの面影を残しているのに対して彼のみは完全にダークエルフの姿をしている。これは2人がアズラの呪いを抑えたのに対してソーサ・シルのみは受け入れたからとも言われている。
トリビュナルの中では最も影が薄い謎が多い人物で、ドゥーマーの技術を解明するのに熱心な学者肌なお人。
クロックワーク・シティ(clockworkcity)と呼ばれる機械仕掛けの異世界を一人で造り上げ、そこに居住している。
その技術力はもはやドゥーマー超えと言っても過言では無いレベルで、ゲーム本編ではネレヴァリンをクロックワークシティへ向かう道中にある様々なデストラップで苦しめた。
実は現人神になろうと提案した本人であり、当初は現人神として公平な社会を築こうと頑張っていたようだ。
また自らオブリビオンの次元に乗り込み、「八柱の高位なデイドラ公」とコールド・ハーバー協定を締結。デイドラ公のタムリエルへの干渉を制限するなど、現人神として申し分ない実力を発揮している。

またダゴス・ウルの暗躍に気付かずにアルマレクシアと共にレッドマウンテンへ沐浴の儀式を行うために向かった際、ダゴスによって返り討ちにされてしまい、カグレナクの祭器の大半をダゴスに奪われてしまった。
この事件以降、元々表舞台を好まない性格が更に悪化。
クロックワーク・シティに引きこもるようになり、半隠居人のようになってしまう。

ゲーム本編で会うにはDLC『Tribunal』が必要である。
アルマレクシアによると、モーンホールドを機械の蜘蛛などで襲撃しており、既に狂気の現人神になっていると
言われていた。
しかしネレヴァリンが会った時には既に…。

外伝作品「ESO」ではDLCのクロックワーク・シティ、及びサマーセットシナリオでご存命中の本人が登場する。


+ 顛末
実は既に彼は現世との関わりを絶ちつつあった。
身体の殆どを機械化させ、別の次元に意識を移す研究に没頭しており、ヴィヴェクもソーサ・シルとは既に何十年も会っていなかった様子。
狂気に呑まれたアルマレクシアに殺害された際、彼は意識を別次元に移していたようで、呻き声すら上げなかったという。
しかしソーサ・シルは自分の死を見越していたのか、クロックワーク・シティの建設を機械のみで出来るように設計していた。そして主がいなくなってからも自動建設が行われ、彼の死から約200年後のスカイリムの時代に遂に都市は完成したという。

その死後、デイドラ信仰へと回帰し復権したネレヴァリン派司祭達が聖堂を掌握すると、トリビュナルはダークエルフを欺き続けた愚か者として聖人へと"格下げ"され、その信仰が禁じられることとなった。
しかし200年経ったスカイリムの時代になっても未だにトリビュナルを唯一の神として崇める狂信者達も多く、スカイリムのAE版では「トリビュナルの亡霊」というクエストでドヴァーキンがトリビュナル信者に関わることとなる。



関係する人物

ネレヴァル(Nerevar)

モロウウィンドの英雄。トリビュナル聖堂の聖人。
アズラの加護を受けたチャイマーの英雄で、トリビュナルが現人神になった際、無念の死を遂げた彼の生まれ変わりがやがて現れるとアズラによって予言された。
その為このネレヴァルの生まれ変わりを『ネレヴァリン』と呼ぶ。彼の最期は戦死とも病死とも言われているが、真相は上述の通りの裏切りの果ての無惨な最期であった。

しかしトリビュナル聖堂が保持している『レッドマウンテンの戦い』という書物によれば、ネレヴァルは病死したと書かれていたり、一方でネレヴァリン信仰を続ける"反体制派"であるアッシュランダー(部族)によると、トリビュナルの3人に殺害されたとも言われている。
これに関してはゲーム本編でヴィヴェクの口から語られる。
ヴィヴェク曰くネレヴァルを殺害したのではなく、ネレヴァルの死後に誓いを破って神の力を得たと言う。
生き証人であるヴィヴェクを信じるか、アッシュランダー達の伝説を信じるかはプレイヤーであるネレヴァリン本人に委ねられる。

カグレナク(Kagrenac)

ドゥーマーの英雄にして司祭。
かつてはネレヴァルとは互いを称え合い、その身を立てる証としてネレヴァルに彼以外の者が身に着けると瞬く間に生命力を奪って殺してしまうというとんでも無いトラップ付きの「月と星の指環」を作って贈るなど関係は良好であった。
ロルカーンの心臓から力を引き出す為の3つの祭具・短剣『キーニング(Keening)』、それと対になるメイス『サンダー(Sunder)』、その二つを扱う為の篭手『レイスガード(Wreithguard)』もカグレナクの作であり、特にキーニングとサンダーは安全手袋の役割も兼ねているレイスガード無しで触れようものなら上の指環同様、その愚か者を即座に死に至らしめる程の強烈な魔力が宿っている。
しかし彼もまたロルカーンの心臓に魅入られた末に変貌、チャイマーとの大戦争を引き起こしそして人造神こと巨大ゴーレム「ヌミディウム」を作り上げ、あまつさえその力を以てドゥーマー全てを不死の存在に変えんとした。
…その結末は上述の通りである。

その後、残された指環は遥かな未来に於いてネレヴァリンがネレヴァルの転生者である証として用いられる事になり、ここにアズラの予言は成就されたのだった。
ちなみに未完成のまま放置されていたヌミディウムは第二紀末のタイバー・セプティムによるタムリエル統一戦争の際に休戦協定締結の条件としてヴィヴェクからセプティム帝国へ譲渡されている。帝国側としても強大な力を持つ現人神との戦いは避けたかったようだ。
タイバー・セプティムはこれを利用して戦争を優位に進め、サマーセット島のアルドメリ・ドミニオンとの戦いでは破壊の限りを尽くして圧勝している。
そのせいでタイバー・セプティムが死後に九大神の一柱タロスとなった後の時代でもアルドメリのエルフの大半から延々と恨まれたりしている訳だが

ダゴス・ウル(Dagoth Ur)

いないはずのトリビュナルの4人目とも言える邪神。
かつてはネレヴァルの親友であった人物だが、心臓の狂気に呑まれてしまった為、ネレヴァルに討伐された。
死んだかのように思われたが、トリビュナルの3人より先に心臓の力を引き出していた為、不老不死の邪神となった。
第二紀末期に復活し、以降はレッドマウンテンに潜みながら暗躍を続け、心臓を動力源とする巨大なロボット『アクラカーン』を建造していた。
またレッドマウンテンから疫病を発生させ、アッシュストームと呼ばれる灰の嵐をモロウウィンド各地で吹き荒れさせるなど害悪な行動を数百年続けていた。
トリビュナルはこれを封じ込める為にゴーストフェンスと呼ばれる魔法の柵でレッドマウンテンを囲み、ダゴス・ウルの力を抑えていた。

アクラカーンを完成させた暁にはタムリエル大陸を攻撃し、モロウウィンドを帝国の支配から"解放"し、さらに偽りの神の真相を暴く計画を立てていた。
しかしかつての親友の生まれ変わりであるネレヴァリンと対立し…。

ちなみにその姿が中々にインパクト抜群。
TESシリーズ唯一のネタキャラとして一世を風靡した。
気になる人は調べてみよう。(自己責任)
ちなみに建造していたロボット、アクラカーンはカグレナクのヌミディウムを模したもので、完成すれば偽りのトリビュナルに代わるダークエルフの"神"となる予定だった。


関係するデイドラ公

アズラ(Azura)

宵と暁を司るデイドラ公。
チャイマー、そしてダークエルフの守護神である女神。
禁忌を犯したトリビュナルへの罰としてチャイマー全体に呪いをかけ、ダークエルフに変貌させた張本人。
ネレヴァリンの予言に沿って様々な事をこなして行く主人公を見てついに現世へ降臨。主人公をネレヴァリンとして認め、ダークエルフ全体に宣言する。
ストーリークリア後にネレヴァリンの元へ現れると、トリビュナル亡き後のモロウウィンドとダークエルフの今後について語る。

その後スカイリムの時代、第四紀頃にはかつてのトリビュナルらがその所業から揃って聖人に格下げされ信仰も禁じられた事で、現在のダークエルフらからは同じく自分らに寵愛を授けてくれるデイドラ公、メファーラとボエシアの二人も加えて「真のトリビュナル」「奪還せし神々」と称され以前にも増して深く信仰されている模様。

メエルーンズ・デイゴン(Mehrunes Dagon)

破壊と変革を司るデイドラ公。
モロウウィンドに限ったことでは無いが、タムリエルの歴史が始まって以来、何度も軍勢を率いてタムリエルへ侵攻してくるという害悪極まりない邪神。*8
第一紀に魔女によって召喚され、モロウウィンドの首都モーンホールドを破壊し尽くしたという。しかし遅れて到着したアルマレクシア、ソーサ・シルの2人によって撃退される。
続く2回戦目ではパッと見トリビュナルの中で1番弱そうな戦詩人ヴィヴェクを狙ってヴァーデンフェルを襲撃するも、ヴィヴェクによって逆に返り討ちにされてしまう。
これに懲りたのか、トリビュナルが姿を消すまでデイゴンはタムリエルへ侵略すること無かった。

しかしネレヴァリンが現れ、トリビュナルが姿を消してから6年後の第三紀433年、ヴィヴェクが貼った結界が消えたのを察したデイゴンは遂に行動を開始。
残る障害である「ドラゴンファイア」を消すべくセプティム帝国の皇帝であるユリエル・セプティム7世を殺害しようと目論む。
つまりトリビュナルの死は破壊の邪神の侵略の遠因となってしまったのである。そしてこれがタムリエルの歴史史上最悪とも言える大事件、「オブリビオン・クライシス」となる。

シェオゴラス(Sheogorath)

狂気を司るデイドラ公。チーズ!チーズをくれ!
ストーリーやダークエルフとは全く関係ないのだが、シェオゴラスはトリビュナルが気に入らなかったのか、はたまたただの暇つぶしだったのか、なんと隕石をヴァーデンフェル島へと放り投げ込む。
この隕石は『バール・ダウ』(Baar Dau)と呼ばれ、ヴィヴェクによって空中で押し留められ、第三紀では真理省と呼ばれる反体制派を投獄する牢獄として使われていたが、ヴィヴェクの失踪後は上述の通り遂に落下してしまう。

関係するエイドラ

ロルカーン(Lorkhan)、その他エイドラの皆さん

ある意味全ての元凶。
元はといえばエイドラ達によるムンダス創造の際にロルカーンが密かに彼らの不死性を奪うよう細工を施していた事が原因で怒った一部のエイドラらに袋叩きにあった末、報復として引き抜かれた心臓を矢に括り付けられてタムリエルの地に飛ばされた事、そして他のエイドラ達も色々事情があれど神の心臓という定命の者には手に余り過ぎるトンデモ品を放ったらかしにしていた事も一因といえば一因である。
ちなみにこのロルカーンの心臓、使用するとどう頑張っても最後には発狂する運命にあるらしく、アルマレクシアとダゴス・ウルは狂気の神へと変貌し、ソーサ・シルは既に狂気に呑まれつつあった。
3人の中では唯一正気を保っていたヴィヴェクも発狂する前に姿を消しているため、また幸運であったのだろう。



追記・修正はロルカーンの心臓から神の力を引き出してからお願いします

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • The_Elder_Scrolls_V_Skyrim
  • TES
  • 現人神
  • モロウウィンド
  • ゲーム
  • デイドラ
  • エイドラ
  • 邪神
  • The Elder Scrolls
最終更新:2025年01月29日 18:09

*1 デイドラ公アズラによって予言されたもの。

*2 TES:IV オブリビオンでのメインストーリー。

*3 オブリビオンとスカイリムの間の出来事。

*4 タムリエル大陸の外からの侵略者。

*5 不在の神ロルカーンの心臓。

*6 正確には偶然にも別次元へ旅をしていた為に難を逃れた、世界最後の生き残りがいる

*7 TES:III モロウウィンドの主人公である。

*8 そしてその度にその時代の英雄たちによって撃退されるのがお約束となっている。