登録日:2024/01/21 (日) 11:04:44
更新日:2024/08/27 Tue 18:27:39
所要時間:約 ? 分で読めます
概要
『ドント・ルック・アップ(Don't look up)』とは、2021年
12月24日に配信開始された米映画。
ストリーミング動画配信サービス会社、Netflixが製作したオリジナル映画である。
巨大
彗星の地球衝突を発見した天文学者とその助手が、政府やマスコミに警告しようとするも、彼らの後手後手の対応によって全く事態は良い方向に向かず、ひたすらに右往左往する人間達の様子をシニカルに描いたブラックコメディである。
監督は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』『バイス』のアダム・マッケイ。同2作でも発揮されたマッケイ監督の現代社会をシニカルに見つめた鋭い観察眼が光る作品となった。
出演陣には、レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ジョナ・ヒル、マーク・ライランス、ケイト・ブランシェット、ティモシー・シャラメ等、映画の主役級を務める豪華俳優陣が集結。
「人類滅亡の危機」をコミカルに、大物キャストが悪い冗談のような行動を取りまくるのはある意味痛快だ。
2019年頃から製作を始めた本作は、当初、世界各地で問題となっている環境破壊による異常気象を題材にする予定だったが、2020年初頭に新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中でパンデミックが発生し、「天変地異」というよりフィクショナルな題材による「コミュニケーション」の物語に変更された。
「天体衝突」をテーマにしたSF映画は『アンドロメダ…』『メテオ』『
妖星ゴラス』『ディープ・インパクト』『
アルマゲドン』『ムーンフォール』等数々の作品が存在しているが、最早これほどまでに劇中の登場人物が「真剣に」取り組まず、事態が悪化していく物語はないだろう。
しかし、何より問題なのが、作中の行動が「実際に起こりそう」なことが否定できないことである。
昨今の科学者や専門家の軽視とニュース番組のリアリティショー化……実際の「警鐘」が一過性のミームと化し、一笑に付され見て見ぬふりをされるという現象は最早他人事ではない。
「実際に、起こるかもしれない」シミュレーションとしてあまりに出来の良い本作を見て、見た者は笑うか、それとも怖気るか?
ストーリー
すばる望遠鏡で惑星の爆発を観測していた天文学者のランドールと助手のケイト。
ある日、ケイトは望遠鏡で未知の彗星を観測。世紀の大発見に浮かれたのも束の間、ランドールはその彗星の軌道を計算した結果、地球に衝突することを導き出す。
その猶予はたったの半年、衝突すると人類は確実に滅ぶという。
驚愕の中、二人は知り合いの科学者を経由してNASAに報告し、大統領にまで行き渡り、ホワイトハウスにて直々に大統領に結果を説明することになる。
だが、1日半待たされてようやく面会を許した大統領の目下の心配は中間選挙だけで、「確実じゃないなら心配ない」と全く相手にされなかった。
今度はマスコミに情報を流そうとするも、出演したテレビショーの司会者は笑い話にするだけでろくな警告も出来ず、ケイトに至っては「滅亡論者の誇大妄想狂」扱いされる始末だった。
その後、
セックス・スキャンダルで選挙が危うくなった大統領は地位回復のために彗星の話を信じ、大規模な破壊作戦を立案する。
一時は首尾よく行きそうだった彗星破壊。だが、IT企業の横槍で、事態はますます悪化していく。
これは、半年の貴重な期間を悉く無駄にし、危機感を全く抱かず団結することも出来なかった愚かな人類の最後の記録である。
登場人物
演:レオナルド・ディカプリオ
ミシガン州立大学に勤める天文学者。
妻と3人の子供がいるが最近はあまり顔を出せていない。
頭脳明晰ではあるが人前で話すのが苦手で数字を出した説明をしては周囲に距離を置かれてしまい、パニック障害も患っている。
彗星の発見の功績を称えられて地位が向上していくが、危機をまるで感じていない政府に怒りと呆れを抱いていく。
演:ジェニファー・ローレンス
ランドールの教え子の博士課程院生。
彗星を発見したため、名前を「ディビアスキー彗星」と名付けた。
だが、自身の彗星が地球を壊滅させると知り、焦燥に駆られて周囲に公表を迫るがまともに相手にされず、テレビショーではヒステリーを起こした結果その時の顔がネットミーム扱いされることに。
その後も杜撰な対応をし続ける政府に怒りを抱いて勝手に情報漏洩をしたせいで対策チームから外され、絶望のあまり自然主義に回帰していく。
演:メリル・ストリープ
アメリカ合衆国大統領。この作品の最大のバカにして状況が悪化した最大の元凶。
地球の危機よりも自身の再選が心配で、スキャンダルを常に気にしている権力にどっぷり浸かったダメ政治家。
ランドール達が発した彗星の警告を「慎重に精査する」と言ってまともに取り合おうともせず、事実上放置。
そしてスキャンダルが公になり、支持率が低下した時にようやく対策を練り始めた。
だが、稀代のミッションもピーター・イッシャーウェルの横槍によりレアアースの金儲けに欲が出て中止し、彗星を利用したビジネスまで奨励する始末。
そして、そのビジネスが失敗しても尚、「万が一の計画」だけは考えており……?
演:ジョナ・ヒル
大統領首席補佐官で、大統領の息子。
見るからにコネ人事で成り上がったバカであり、彗星を巡る応酬でも常に頓珍漢な妄言を吐き続ける。
演:ロブ・モーガン
NASAに勤める惑星防衛調整局局長。
ランドールから彗星の話を聞き、その危険性を政府に訴えることに協力するが、後手に回り続ける彼らを冷静にさせようとする。
演:マーク・ライランス
ITモバイル企業「バッシュ」のCEO。状況が悪化した元凶その2。
彗星破壊ミッションの最中に押し入り、彗星に含まれるレアアースを採集するために破壊の中止を提言し、見事採用されてしまい、チームの中枢となる。
だが、その採集計画は査読もされていない似非科学の寄せ集めであり、机上の空論に等しかった。
にもかかわらず、反対するランドールをアルゴリズムを根拠に小馬鹿にする。結果は……お察しの通りである。
演:ケイト・ブランシェット
ニュース番組の有名アナウンサー。
「暗いニュースも明るく伝える」をモットーに、如何に重要な話も笑い話として伝える、報道者としては最低の部類に入る。
ケイトを笑い者にし、ランドールの魅力に惚れ込んで彼と不倫関係になるが、間違いに気付いた彼から拒絶された。
演:タイラー・ペリー
ブリーの相方のアナウンサー。
彼女と同様、彗星の警告を真剣に捉えようとせず、ネタとして消費した。
演:ティモシー・シャラメ
堕落したケイトが知り合ったパンク青年。
反政府的な言動を繰り返すケイトのファンで、バイト中の彼女と知り合って徐々に親しくなっていった。
演:メラニー・リンスキー
ランドールの妻。
なかなか会えない夫を心配していたが、ある日予感がして彼に会いに行き、そこでブリーとの不倫現場を目撃してしまう。
夫に失望した彼女は別れを伝えるが……。
演:ロン・パールマン
彗星の破壊ミッションに当初パイロットして参加していた軍人。
熱狂的な愛国主義者であり、若干のレイシストが入っている。
米国のためなら死ぬつもりで彗星に特攻をかけようとしたが、レアアース採集計画のために強制帰還された。
演:アリアナ・グランデ
有名歌手。
当初は彼女の熱愛報道が彗星の報道を掻っ攫っていた。
更には、彗星プロパガンダの歌まで歌うことに。
演:スコット・メシュディ
ライリーと熱愛中のラッパー。
演:ヒメーシュ・パテル
記者でケイトの彼氏。
当初は彗星の報道でケイトに協力していたが、彼女が
ミームで炎上した際に彼女を見捨て、「彗星捏造説」まで主張するようになった。
演:ポール・ギルフォイル
ランドールとケイトをホワイトハウスに紹介したペンタゴンの監督。
無料のスナックをぼったくった守銭奴。
追記・修正は必要性を声高に主張してからお願いします。
- これに現実が足を一歩踏み入れ始めている… -- 名無しさん (2024-01-21 12:21:11)
- メリル・ストリープだのケイト・ブランシェットだの、「気品が服を着て歩いてる」と常々称される名女優が、ここまで徹底的に低俗で稚拙な人間を演じきる姿は間違いなく永久保存もの -- 名無しさん (2024-01-21 19:14:44)
- まじでこうなりそうで怖い。最初は半笑いで観てたけどどんどん笑えなくなっていったわ。 -- 名無しさん (2024-01-22 10:36:26)
- この映画に出演したティモシー・シャラメがハマスを揶揄するコントに出て炎上したのが何とも皮肉だわ -- 名無しさん (2024-01-22 22:33:52)
- アンドロメダ・ストレインと比べて、人間というものを完全に逆に認識しているのが笑える。そして笑えない。 -- 名無しさん (2024-08-27 18:27:39)
最終更新:2024年08月27日 18:27