彗星

登録日:2018/11/08 Thu 18:12:00
更新日:2024/09/13 Fri 05:33:12
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彗星が衝突することが分かったからこそ、この星を利用したのだ」


彗星(comet(コメット))とは特定の軌道を浮遊する天体である。


概要

太陽系の周辺を周回していることが多く、周回には最低でも数十年、長いものだとなんと数百年もかけて周回するケースすらある。
特定の軌道を持って周回する天体は数多く存在するが、その中でも彗星は極めて大きな質量をもっていることが多い。
ぱっと見は石に見えるが、主に塵と氷で構成されているため太陽に接近すると急速に溶解し、尾を引いて飛ぶお馴染みの姿になる。
ちなみに彗星が軌道上に残した塵に地球が差し掛かると多量の塵が大気圏に突入し「流星群」となる。

隕石」とは似て非なるものであり、上述の通り特定の軌道を周回している彗星が地球の引力に引かれて落ちてくるという事はまずない。

但し地球と彗星の軌道が偶然被ってしまい異常接近、最悪の場合衝突してしまうというケースは十分あり得る事であり、実際に衝突したと断定できる記録はないものの太古の時代に衝突したのではないかと推測されるものはあるのだとか。

人類史においても太古から彗星は切っても切り離せぬものであり、ヨーロッパではドラゴンズテイル(竜の尻尾)、アジアでは計都星と呼んで恐れられていたという。
例えば1910年のハレー彗星接近の際には事前の観測データにより、地球が10分間尾に飲み込まれてしまう事が分かっていたのだが、彗星の尾にはシアンなどの有害物質が含まれている事が知られていた為、

「尾の水素と大気の酸素が化学反応を起こし、地球の酸素が10分間希薄になる」
「大気がシアンに汚染される」

というとんでもないデマが流れ、世界中でタイヤチューブを求めパニックが起き、しまいには自殺者まで出た
しかし実際には彗星の尾の濃度は、地球の大気に比べると遥かに希薄な物でしかなく、地球の大気が彗星の尾のガスを遮断し、地球には何の被害も及ぼさなかったという逸話がある。
(※ただしスペイン風邪の原因としてこのハレー彗星が挙げられることもある)
偶然か否か、彗星の接近と歴史的な大事件は何故か重なっていることが多く、このような言い伝えが語られるようになったのも無理はない話である。

また、シュメール神話に登場する神アヌンナキは彗星に住むという言い伝えがあり、後述するオカルトにおいても引っ張りだこの存在となっている。

なお、フィクションにおいてはよく無視されるが、彗星の特徴的な「尾」は上述の通り彗星の物質が太陽風に吹き飛ばされて作られるものなので彗星の進行方向とは関係ない。常に太陽とは反対方向にできるものなのである。
流星や隕石は大気の摩擦で、進行方向の反対側に尾ができるが、このへん、流星や隕石などといっしょくたにされることが多いための誤解と言える。



オカルトにおける彗星

オカルトにおいても彗星は切っても切り離せない存在である。
将来人類が滅亡するときにその引き金を引くのは彗星の衝突によるものであるといったものから、
人類の進化はニビルに住むアヌンナキという宇宙人が関与した結果である…
とか、聖書や神話、伝説に描かれた異常事態は実際に彗星によって起きたものであるといったものがよく語られるか。



フィクションにおける彗星

隕石同様に重要な存在であることが多い。
人類滅亡を題材とした作品で彗星の周回する軌道が地球と被ってしまった為に何らかの手段で破壊しなければいけないというケースから、彗星そのものが何者かの移動手段であったなんてケースすらある。



フィクションにおける有名な彗星

彗星そのものが移動手段だったパターン

彗星を装った侵略国家として白色彗星帝国が登場。
パイプオルガンで演奏された荘厳なBGMや、ズォーダー大帝の「ハハハハ…アッハッハッハッハッハッハッハッハ!」という豪快な笑い声と共に迫ってくる様子はインパクト抜群。
勿論アニメ版であるヤマト2やリメイク版である2202でも登場する。

ちなみにPS2ゲーム宇宙戦艦ヤマト・暗黒星団帝国の逆襲では太陽系外縁にあるとされる彗星の集まり「オールトの雲」*1がステージとして登場。
氷のような白い背景と尾を引く彗星が見られる幻想的なステージ。速度を落とした彗星が敵として現れるが動かず攻撃せず全くの無害。
うっかり壊してしまうと彗星が飛び散りレーダーが一時的にブラックアウトしてしまうので注意。

わんぱく宇宙人ピッコロが意志ある彗星「ハーシー彗星」に乗って地球にやってきた。
心無い地球人の蛮行に憤慨して暴れまわるも、タロウによりハーシー彗星に投げ返された。

直径200㎞もの巨大彗星が太陽系に飛来し、地球に接近しかねない航路を取る。
主人公のアスカ・シンは父の遺産であるプラズマ百式により彗星を破壊するも、そこから彗星怪獣ガイガレードが出現。
鎌を持ち全身がひび割れたような外見、彗星に住む性質など、おそらくガイガレードのモデルは後述のドラコと思われる。

彗星の接近が異常事態を引き起こしたパターン

惑星に匹敵する巨大な彗星が、主人公たちの乗る脱出艦に迫る。
隊長である城之内のカプセルは彗星の周囲を回る衛星塵が衝突してメインコンピューターが破壊され、衛星の一つになってしまった。

強力な宇宙線を放っている為に核兵器が誘爆する恐れがあり、最悪地球に衝突するという事態に発展。
彗星そのものの衝突は避けられたもののドラコが地球に飛来する事態となっている。

地球に接近しつつあったオオシマ彗星でザムシャーマグマ星人バルキー星人が交戦。
その影響で彗星が砕け散った結果その破片が地球に降り注ぐ事態となり…という展開。

  • スペースバンパイア
厳密には彗星そのものが異常事態を引き起こしたとは違う気がするが一応こちらに記載。
ハレー彗星の接近に紛れ込んだ謎の宇宙船が登場。
調査した際に眠っていた男女正体はコウモリのような化け物を地球に持ち出したためにロンドンが地獄絵図と化すほどの大惨事に…

月より巨大な電脳彗星ノヴァが登場。個別項目参照。

ゲーム作品である『ロックマンエグゼ4』では地球に接近してきた小惑星という扱いだったが、
アニメStreamでは「デューオの彗星」という形で登場。実際には彗星っぽくなる外宇宙ロケットと言った方が正しいが。
冒頭「デューオの試練」を与えて以降はデューオの紋章の持ち主にのみ見えるようになる(彗星がそこから離れているため)。
ちなみに試練の内容に関しては彗星に地球を破壊するエネルギーが溜まる前に、
地球上の何処かに隠されている彗星に13の紋章を持ってくるという内容だった。

いずれも恐竜絶滅の原因とされる。

悪魔の力で転生したノストラダムスが無理矢理自分の予言を的中させるため、魔眼の力で「穢れた地球を祓い清める美しき箒星」を飛来させる。
自分が新世界の支配者になるためだけに人類を粛正する暴挙にドラえもんズは未来を守るため立ち上がる。

  • ウォルフ・ベーダーマン彗星(ディープ・インパクト)
恐竜絶滅に匹敵するサイズの彗星が飛来。人類は核爆弾を炸裂させ破壊させることで軌道を反らそうとするが…?

接近するたびに糸守に岩塊を落としていく。
裏設定では人工天体だとか……伏線らしきものも描写されてはいたのだが、作中の誰も突っ込まないのがギャグに片足突っ込んでいるほど露骨だったためDVD化された時はカットされた。尚糸守に何の恨みがあるのかは不明
余談だが前述のオカルト話でアヌンナキがニビルの衛星をぶつけて砕き小惑星帯とした第五番惑星の名もティアマトである。

パラガス「いいぞ、その調子だ……どんどん近づけ、グモリー彗星よ…ふーっふっふwあーはぁーはぁーはーっwうあぁーはぁーはぁーはぁーはぁーはっwふぁっはっはっはっはぁーっwwひぁっはっはっはっww」

上記のハレー彗星がスペイン風邪の原因と言う説を採用している。
疫病神曰く、彗星には水分が豊富で太陽に近づけば適温のためウイルスが生息しているという。
彗星の接近に合わせてウイルスを呼ぼうとしたが栗田まことが意図せず間接的に儀式を妨害したために断念し去っていった。

最終回で地球にオオボラー彗星が接近してきて地球滅亡の危機が迫る。
主人公たちが打つ手がない中で、三悪(とゲキガスキー)の乗ったアンドロメダマ号の特攻で彗星は破壊され、地球の危機は救われる。
最後の最後で地球を救うのが正義の味方ではなく三悪というところが、彼らがタイムボカンシリーズの真の主役といったところかもしれない。
なお三悪とゲキガスキーは激突寸前にちゃっかり脱出して生きている。

新約13巻にて1700年ぶりに地球に接近した彗星。
この彗星自体に特に問題はなく、学園都市でも探査機打ち上げ計画の他、様々なイベントが催されていた。
ところが、彗星飛来と同時期に上条当麻を魔神『僧正』が襲撃。
人知を超えた魔神相手に打つ手がなく、学園都市中を巻き込みながらの逃走劇が始まってしまうが、最終的に御坂美琴の手を借りて、僧正を探査機打ち上げ用のマスドライバーに誘導し、大気圏外への放逐に成功した。
これで倒されたかに見えたが、僧正は打ち上げられた先でなんとアローヘッド彗星と融合
日本壊滅レベルの大質量を伴って学園都市に向けて落下を始めるが、そこに対魔術式駆動鎧を装備した木原脳幹が迎撃に現れ、地表到達前に僧正ごと粉砕された。

逆に役に立った例

ヨーロッパを蹂躙していたアンドロイド軍団の電子頭脳を破壊するスプレーザーのエネルギー源に利用された。
おそらく創作史上一番人類に貢献した彗星

その他

999号が停まる停車駅の一つ。彗星の素の集合体で、いわゆるオールトの雲のようなものと思われる。その彗星の素のような空間の中に球状の店舗が浮かんでいる。(上下の感覚はないが、店の中には重力が働いている、とのこと)
太陽系の最外周だけあって治安はすこぶる悪く、ゴロツキとつるんでけが人にわざと機械の手足を移植し、法外な治療費を採ろうとする医者がいたりする。
なお、これでもまだましな方であり、ここから先はメーテル曰く『法の効力があるのは駅構内と線路の上のみ、あとは弱肉強食の世界』だとか。

異名としての彗星

ジオンのエースパイロットであるシャア・アズナブルの異名に赤い彗星というものがある。

別名「天彗龍」
「銀翼の凶星」「恐れ見よ、赤き災厄の彗星を」といった異名も。
上記のシャアは関係ない。
超高空域を飛行する様子は発見されるまで赤い彗星と考えられていた。
龍気と呼ばれるエネルギーで飛行、攻撃を行い、
大技「彗星」は、高高度まで上昇してからハンターめがけて突っ込んでくるとんでもない攻撃。

彗星に関連する技

彗星のようなパンチを繰り出すコメットパンチという技が存在する

タイプ:はがね
威力: 100→90(XYから)
命中率:85→90(XYから)
PP:10
追加効果:2割の確率で攻撃を1段階上げる

かつては威力と命中率を高いレベルで両立した鋼最強技筆頭だったが、XYから何故かマイルドな性能にされてしまった。
主な使用ポケモンはメタグロスルカリオ。というか配布ポケモン以外でタイプ一致習得者がこれしかいない。
ただしメタグロスUSUM以降、威力が落ちるが命中率や追加効果で勝る「アイアンヘッド」を優先させることが多くなっている。「Pokemon GO」では期間限定で習得でき、こちらは主力技になりうる。
一方、ルカリオはUSUMで習得。物理型が大幅に強化された。
因みに英名は「Comet Punch」だと同作の「れんぞくパンチ」と丸被りしてしまうため、「Meteor Mash」と彗星と関係のない名前になっている。

  • 聖闘士星矢、聖闘士星矢Ω
それぞれ主人公の星矢、光牙が「ペガサス彗星拳」という必殺技を披露。



「彗星」と名付けられた例

  • 艦上爆撃機彗星
大日本帝国海軍の艦上爆撃機。
運用開始は1942年5月(ミッドウェー海戦の1ヵ月前)。
ミッドウェー海戦でも空母蒼龍にも数機が搭載されており、敵艦隊を発見するも補給のために帰還、そのまま蒼龍や他の搭載機諸共失われた。
翌年以降には改良型が生産され始め、少なからぬ戦果を上げている。

  • Me163 コメート
第二次世界大戦中にドイツのメッサーシュミットが開発した、世界初にして唯一のロケット戦闘機Komet(コメート)はcometのドイツ語表記。
スピードはともかく航続距離が極めて短く、配備された基地を避けて通れば全く脅威にならないという致命的な欠点があった。
更に使用されている燃料は人体を溶かす恐れがあり、しかもエンジンは爆発しやすいという恐ろしさ。
総じて常に人体を激しく損傷させる液体をぶっかけて来る危険がある戦闘機に仕上がった。

  • 寝台特急彗星
1968年~2005年に渡って運用されていた寝台特急。
宮崎~新大阪を往復し、かつては西日本の長距離旅客の要であったが、
新幹線や旅客機、フェリーなどの新たに登場した足に押され、遂には廃止となってしまった。
なお、寝台特急の名前はいずれも天文用語に由来している。

  • DH.106 コメット
イギリス、デバビラント社が開発した、世界で初めて定期運航したジェット旅客機。
運用開始から僅か2年後に墜落事故で乗客乗員35人全員が死亡する惨事を起こしており、
世界で初めて就航したジェット旅客機にして世界で初めて死亡事故を起こしたジェット旅客機でもある*2
しかしそこから得られたデータや教訓は後発のジェット旅客機の技術や安全設計に大きく貢献している。





追記・修正は彗星の衝突を避けられる方がお願いします。

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最終更新:2024年09月13日 05:33

*1 1950年にオールトが仮説として提唱。現在は天体の軌道観測データから存在予想はされているものの明確な証拠がなく、肯定も否定もされていない状態。

*2 全く余談であるが、日本で初めて運転免許を取得した人と取り消された人も同一人物である。