変則ギア(遊戯王OCG)

登録日:2024/03/01 Fri 02:26:59
更新日:2024/04/05 Fri 18:10:25
所要時間:約 6 分で読めます




変則(トランスミッション)ギア
通常罠
(1):自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動できる。
相手プレイヤーとジャンケンを行う。
引き分けの場合はジャンケンをやり直す。
負けたプレイヤーはその戦闘を行う自身のモンスターを裏側表示で除外しなければならない。

「変則ギア」とは遊戯王OCGの1枚。
初出は第10期最初のパックである「CODE OF THE DUELIST」。
間違えられがちだが、漢字は「変ギア」であり、「変ギア」ではないので注意。


概要

モンスター同士が戦闘を行うダメージ計算時に条件に応じて自分か相手のモンスターを除外する効果を持つ。

要は「自分のモンスターを除外する」効果を相手に押し付け合い、あいこになった場合にしきり直しをする事になるのだが、
このカードを見て真っ先に目につくのはやはり「ジャンケン」の部分だろう。

遊戯王でのギャンブル系の効果処理はカードの情報(名称や種類など)を当てたり、そうでなければ通常コイントスかサイコロで行われることが多い。


そんな中で「変則ギア」は何故かギャンブルの手段にジャンケンを使用するという非常に珍しい特徴を持つ。


ジャンケンと言う行為そのものは遊戯王ではありふれた行為で、公式カードゲームイベントでは原則としてジャンケンで先攻・後攻を決めることがルールとして定められている。
ゲームではジャンケンせずコイントスで決めているのは秘密。

しかし効果処理のためにジャンケンを行うカードは四半世紀以上の歴史を持ち、10000種類以上のカードが存在する遊戯王においても現状このカードしか存在しない

当然ジャンケンに関するサポートカードもないため、このカードを使う時は自分の運での真剣勝負を行う事になる。

数学的な面で言うと2人でジャンケンする場合、お互いにグー・チョキ・パーの3手をお互いに出せるため、起こりうるパターンは3×3で9通りあり、その中で自分が勝つのは3パターンの為、3/9=1/3になる。
という訳ではなく、あいこになった場合はまたジャンケンをやるため、確率は1/2である。
時間制限がある場合、ずっとあいこが続けばタイムアウトも狙える……かも知れない。

因みに変則ギアのジャンケンには以下の様な裁定が出ている。

Q:相手が「変則ギア」を発動した際に、自分が骨折等でジャンケンを行えない場合、「変則ギア」の処理はどうなるのでしょうか?

A:そもそも、遊戯王オフィシャルカードゲームにおいては、デュエルを開始する際に、先攻・後攻を決定する『じゃんけん』を行っているはずですので、この状況に関しては起こり得ないと思われます。
もし、実際の対戦中や大会等で発生した際には、対戦相手や審判へ処理方法についてご相談ください。

と言うある意味質問を切り捨てる様な回答になっている*1
もっとも、ジャンケンも出来ないほどの状況なら、デュエルなどしている場合ではない
そんな特殊な状況を想定した揚げ足取りのような質問、切り捨てられても当然であろう。








……と、ジャンケンに目がいく「変則ギア」だが効果としては癖があり、何となくイメージできた人もいるかもしれないが、扱いにくい効果になっている。


その理由を2点あげると……

①:ダメージステップにしか発動できない。

このカードを含め、バトルフェイズ中に発動タイミングが限定されている罠カードは相手ターンのメインフェイズの段階で除去されてしまう事が多く、効果を使用しにくい問題を宿命的に抱えている。

そんな中でもこのカードには大きな問題点として「自分と相手のモンスターが戦闘を行う」タイミングでしか発動できない制約がある。

大前提としてお互いの場にモンスターが存在しなければならない上にそのモンスターが直接攻撃可能なモンスターなら当然条件を満たせない。
他にもどちらかのモンスターがトークンだった場合、トークンはルール上裏側表示で除外することが出来ないため、これまた発動条件を満たせない。

また仮に発動することが出来ても同一チェーン上で自分・相手のモンスターの内どちらか片方でも何らかの方法で場から取り除かれると、その後の処理も出来なくなってしまうというのも痛いポイントである。

ただ、発動タイミングが「攻撃宣言時」ではなく「ダメージ計算時」なのは地味に大きな利点であり、ダメージ計算時に発動できるカードは限られているためサクリファイスエスケープなどで逃げられにくい。

②:発動時点で除外対象が確定されない。

単純なボード・アドバンテージで言えば、相手のモンスターが除去される場合は1:1交換、自分のモンスターが除外される場合は0:2交換となり、自分側のモンスターを除外する場合一方的に損をするだけになってしまう

にもかかわらずこのカード自体がジャンケンによるギャンブルカードであるため、狙った方の除去が出来ない不安定さが付いて回る。

除去方法が再利用や効果発動のトリガーに使いにくい裏側除外である関係上、「相手モンスターの除去」として用いるのが合理的かつ扱いやすい使い方になるのだが、上記の点が足を引っ張ってしまう。
また、全てが上手くいったとしてもギャンブルが絡んだ上で1:1交換の実質攻撃反応罠でしかないため、除去の方法を考えなければリスキーな割にはリターンが少ない。

この様に発動タイミングの制約と除外の不確定さがある為、安定性の面で考えると難があるこのカードだが、その分上手く行った時のリターンも大きく、以下のような利点も存在する。


①:裏側除外での除去が出来る。

除去の方法が裏側表示での除外なのは間違いなく強力。

シンプルに再利用が難しい点もそうだが、裏側表示で取り除かれるため、「除外された場合」や「フィールドから離れた場合」のトリガーとして使用する事も出来ないため、一度除外してしまえばそのままそのカードをそのデュエル中封殺する事も可能。


また発動できるのはダメージステップ中のため、発動できる効果が制限される関係上、妨害も受けにくいのも利点。


②:耐性に影響されない。

見落とされがちだがこのカードの効果は厳密には「モンスターを除外する効果」ではなく「モンスターの除外をプレイヤーに強制する効果」になる。

この効果は対象を取らない効果に分類されるため、効果の対象になるかどうかの耐性を無視できる。
更に言うと、この効果で除外する場合は「痛み分け」や「拮抗勝負」などと同様に「効果を受けない」などの耐性などを無視することが出来る。

この状況になった場合、相手は何とかして「変則ギア」の効果が適用される前に自分か相手のモンスターを除去するか、「王宮の鉄壁」などの様なルール介入型の効果で予め除外を出来ないようにしておくかなどの対処を迫られる。



この様にジャンケンと言うポップな印象とは裏腹に、ハイリスクハイリターンな効果を内蔵しているという、ある種のギャンブルの醍醐味と言えるスリルを味わう事ができるため、そういったものが好きな人はデッキに入れてみてもいいかもしれない。


余談

  • 「ジャンケン」と言う特殊な処理に目が行きがちだが、実はこのカード、「プレイヤーに除外を強制する」初のカードと言う称号も持っている。もっともこちらは「拮抗勝負」などが出てきた関係で唯一のカードと言う立ち位置ではなくなっている。

  • このカードの効果でどちらかの除外がなされた後の処理については、戦闘ダメージ計算以降の処理は行わないことになっている。仮に攻撃される側のモンスターが除外された場合でも巻き戻しなどは発生しない。

  • イラストでは「ギアギアーノ」がジャンケンの手を考えているが、このカード自身は特段ギアギアと相性がいい訳ではない。なお、ギアギア達の中にはオリジナルの手を考えている者もいる

  • ジャンケンと言う特殊な処理を行うためか、マスターデュエルでは実装されたのはリリースからおよそ1年が経った、2023年1月10日。なお、ジャンケンの処理時にはイラストを意識してかギアギアーノのような腕が出現してジャンケン結果が出る特殊なアニメーションがある。


追記・修正はどちらかの制限時間が0になるまで気合であいこになり続けながらお願いいたします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 遊戯王
  • 遊戯王OCG
  • 遊戯王オフィシャルカードゲーム
  • ジャンケン
  • 通常罠
  • 罠カード
  • ギャンブル
  • 運試し
  • CODE OF THE DUELIST
  • 裏側表示で除外
  • ギアギア

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月05日 18:10

*1 遊戯王カードwiki「ジャンケン」の項目より。