肝試し

登録日:2024/05/09 Thu 16:23:00
更新日:2025/06/20 Fri 11:45:30
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「肝試し」とは、主に夏の夜に野外で行われるゲーム・アクティビティの一種である。

【概要】

文字通り、肝を試す行為。
もちろん、ここでいう“肝”は肝臓の事でなく、所謂「肝っ玉」のこと。
なので、アルコールを痛飲しても肝試しではない。

主に、夏の夜間にひと気のない場所に赴き、平常心を保って行動できるかを以って行う度胸試しである。


◆現代日本において

現代日本において、現実に行われる肝試しには主に以下の2パターンがある

1.林間学校やスポーツクラブの合宿、サークルの合宿などで、公式なイベントとして行われるもの

2.私的に、個人またはグループで行われるもの

1の場合は明確なルールが定められていることが多い。
メジャーなのは「スタート地点からある地点までを往復する」というもの。
中継地点まで行ったことを証明するために、そこにおいてあるものを持ってくる、または事前に配布されたものを置いてくる、というルールが設けられることが多い。
また、2人などのペアで行われることが多い。
これは男女ペアを作って、疑似恋愛的なドキドキ感を愉しむといった意味合いの他に、夜間野外で一人で行動することを避けるためでもあるだろう。

場合によっては教師や引率者などの大人が「脅かし役」として、おばけなどに変装して道中に潜み、参加者を脅かすこともある。

会場となるのは、当然ながらキャンプ場や合宿場内で、安全が確保された場所である。

かつて放映されていたテレビ番組『ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー これができたら100万円!!』内の企画「スーパー肝だめし 泣かずにゴールできたら100万円」もここに類する。


2の場合は、単純に「その場所に足を踏み入れる」ことを目的として行われることが多い。
場所として選ばれるのは廃墟や墓場、寺社仏閣などだが、いわくつきの「心霊スポット」が選ばれることも多い。
廃墟などが舞台の場合、肝試しというよりは「探検」といったニュアンスが強いとも言える。
2024年現在では落ち着いたが、一時は「廃墟ブーム」と呼ばれる現象が起きて、廃業したホテルや病院、観光施設といった場所に足を踏み入れる人が多く現れ、その中にはあえて危険な夜間に探検を行う人もいた。
さらに、個人での動画撮影・アップロードの広まりにより、いわゆる「映え」を狙って廃墟や心霊スポットで動画撮影するために入り込む人も多くいる。


このような私的な肝試しであるが、原則、絶対にやらないほうがいい


霊的なものに憑りつかれる……とか、悪いものを連れて帰ってしまう、異界に誘い込まれる……とかいったオカルト的な脅威の以前に、より現実的な事故に遭う確率が高いためである。

考えてみればわかるが、管理者がいなくて安全が保障されているわけでもない廃墟などに侵入するのは、それだけで事故につながる危険な行為である。
ましてや暗い夜間であればなおさらだ。

加えて危険な野生動物、そういう場所を「たまり場」にしている治安の悪い方々との遭遇、暗い夜道での交通事故などなど、危険な要素を挙げればキリがない。

そして多くの場合、そういう場所は携帯電話の電波が届きにくいことが多い。
そのため万一にも怪我などをした場合、取り返しのつかない結果につながりかねないのだ。

実際に、若者が廃墟に肝試しに出かけたまま行方不明になり、後に事故死していたことが判明した、という事例が、日本で実際に起きている(「坪野鉱泉神隠し事件」で検索)。
興味本位からの行動の結果、命まで失うことだってあるのだ。


加えて、現代日本においてきちんと管理された場所以外での肝試しは、違法行為として責任を追及される可能性が高い。
私有地に無断で立ち入るのは不法侵入だし、行政などによって立ち入り禁止にされている場所でも同様だ。
建物だけでなく、山地などであっても、多くの場合は私有地であることが多い。
もちろん、肝試しの最中にうっかり物を壊したりしたら、その責任も負わなければいけない。

また、そもそも、都会人から「オカルトスポット」などと呼ばれている山林などでも、地元の人たちにとっては大切な生活の場や思い出の場であることが多い。
そんな場所に、興味本位で土足で足を踏み入れて荒らすようなことは、決して許されないことはおわかりいただけるだろう。
特に情報の伝達が発展した現代では一度肝試しスポット扱いされると瞬く間に人が集まるようになり、迷惑行為などのトラブルに発展しやすい。
肝試しスポットとして妙な人気が出てしまったために不心得者が増えて迷惑行為にいい加減うんざりした地元住民が、およそ肝試しスポットに似つかわしくない軽快でゴキゲンな音楽を延々流す事でムードをぶち壊すという手に出た例も報告されている。

同好の士のためにも、オカルトや怪異はルールを守って楽しもう。


実際に肝試しを行う場合は、
  • 必ず複数人で
  • 引率してくれる大人に付き添ってもらって(未成年者だけではやらない)
  • 安全が確保された場所で
  • 場所の管理者の許可を得た上で
  • 万一の場合に備えて外部との連絡手段を確実に確保して
行うようにしよう。


◆二次元世界において

二次元世界では、肝試しは夏の風物詩として、おそらく現実世界以上に頻繁に行われている。
特にラブコメ作品では、水着回と並んで必ずと言っていいほど出てくる。
主人公とヒロインの距離を心理的に近づけるための絶好のイベントとして活躍するのが肝試しである。

一方、ホラー作品では肝試しの最中に本当に失踪者が出る。
また、ミステリー作品では死者が出る。

《二次元世界の肝試しでありがちなこと》

  • 普段強気なキャラが、クオリティの低いおばけの変装や単なる自然現象などにビビって悲鳴を上げるor気絶する
  • 「脅かし役」がいる場合、脅かし役の台本通りにはことが進まない
  • 脅かし役同士が鉢合わせして、お互いに悲鳴を上げて逃げ回る
  • 主人公とヒロインが良い雰囲気になるが、おばけから逃げてきたお調子者キャラあたりが乱入してきてうやむやになる
  • 無口キャラが「このキャンプ場には幽霊が出るといういわくが……」などと言い出す
  • 漏らす(R15作品限定)
  • 普段は豪快で鳴らしている屈強な男キャラが、ペアの女キャラを置いて逃げ回る
  • オチで、仕込みではない本当の怪奇現象が起きていたことが判明する(ラブコメ・日常作品)
    「でも、あの時の仕掛けは凄い本格的だったな~。それは認める!」「えっ?そんなの知らないけど...」「えっ」「えっ」「「ま、まさか...」」
    *1
  • チャラ男系の先輩キャラが、肝試しの説明をしている最中にガチの怪奇現象が起きる(ホラー作品)
  • 死体が出てくる(ミステリー作品)
  • ギミックや脅かし役かと思ったら本物の殺人鬼や怪物に襲われ惨劇が始まる(ホラー作品)
  • 肝試しの最中に殺人が起きた場合、高確率でペア決めのくじ引きに何らかのトリックが行われている(ミステリー作品)
  • 脅かし役が待機している最中に今週の怪人と鉢合わせする→ヒーローにもばれてそのまま戦闘に発展(特撮及び戦闘系作品)

《(フィクション上の?)薩摩の肝試しでありがちなこと》

「そら、充分にヨリがかかったぞ!」「では!火縄に、点火じゃ!」
「避けてはならん」「逃げてはならん」「戦場で臆しない肝練りじゃ」「ああよか酒じゃ」
ドカ!!



追記・修正はゴール地点まで行ってロウソクを置いてきてからお願いします


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最終更新:2025年06月20日 11:45

*1 怪奇現象ではなく、別の人や動物などの仕業というパターンもある。