謎の老人(骸区)

登録日:2024/06/02 (日) 11:15:02
更新日:2025/03/04 Tue 01:30:07
所要時間:約 11 分で読めます




「~~~~~~~」





鈴木祐斗の読み切り漫画『骸区』の登場人物。



概要

見た目はスーツ姿の老人。目を閉じ、口を一文字に結び、他人には意味を理解できない言葉で常にブツブツと独り言を喋っており、一見タダのボケてるお爺ちゃんにしか見えない。

ただ一点、異様なのは老人らしく杖を持ち歩くでも無く、一振りの日本刀を無造作に鞘の部分を掴み持ち歩いているという点。





作中での活躍

殺人事件が多発するとある街・ガラ区のある暴力団の青年は窮地に陥っていた。

組の金を持ち出し行方不明になった組員と当時たまたまその場に居たというだけで共犯と疑われ、とばっちりを受けた青年は犯人捜しをさせられ、見つけられなければ殺すと先輩組員に脅されていた。

先輩組員もこの青年に組の金を盗むような度胸は無いとアタリを付けていたのだが、上にバレれば自分が殺されると考え、保身のためバラ売りにすれば補填できると強引にでも青年に責任を取らせるつもりでいた。



…と思いきや、実際に金を盗んだのはこの青年。行方知れずになった組員はスケープゴートとして殺害しており、彼が組の金を持ち逃げしたことにすれば自分は疑われずに済むと考えていたのだが、誤算だったのは日頃の行いからか、自分まで共犯だと疑われたこと。

このままでは殺されると考えていたが、青年は昼間の出来事が気になっていた。





昼間、この状況をどのように打開すべきかと考えていると、広場のベンチに座っている老人が持っている刀目当ての半グレ二人組に絡まれる場面に遭遇。

青年は野次馬に混じり、現実逃避のためか見世物気分でその様子を見ていた。その次の瞬間。



刀を奪おうとした半グレの腕が斬り飛ばされた。

続けざまに、半グレはいつの間にか刀を抜いた老人に袈裟掛けに斬られ、恐れをなして逃げ出そうとした片割れも、投擲された刀に勢い良く頭をブッた斬られて沈黙した



白昼堂々行われた惨劇に動揺する青年だったが、周りの住人はそんな光景はもはや慣れっこといった具合に、淡々と投げられた刀を老人に返し、老人を家に帰すかどうか相談していく。いや、それでも警察に通報はせんとアカンやろ…

あまりにも気安く接する様子に危なくないのかと問う青年に、人々は「敵意にしか反応しないから大丈夫」と返した。住人たちが粛々と老人を介護する様を見て、青年はこの特性と戦闘能力に目を付けた。

上手く使えば武器になる、と…。





翌日、青年は所属事務所に老人を連れていく。既に青年を始末するつもりで自身を含めて銃を持った組員5人で囲んでいる先輩組員に対し、青年は敢えて暴言を吐き挑発した。

ブチ切れる先輩組員をよそに、青年は老人の背後に下がり、先輩組員は老人を押しのけて襲いかかろうとした、その刹那。





突如として腹を切り裂かれ、倒れ伏す先輩組員。

予想だにせぬ殺戮者の来襲に動揺した他の組員は銃を手に迎え撃とうとするも、残りの4人全員次々になます切りにされ、あっさり全滅。



全て計画通りに事が運び、窮地を脱した安堵から青年は思わず高笑いするのであった。










……が。










お前ェ



俺がボケてると思ってんだろ





突如、老人は残った青年に対し流暢に言葉を発した。
実は老人はボケてなどいなかったのである。*1
老人が明確に思考能力を持っているのであれば、次に自分がどうなるのかは明白であった。



ったくこの街には…



生かしちゃあおけねェ


クズばかり…





ガラ区に殺人事件のニュースが流れる。雑居ビルで合計6人の暴力団員の死体が見つかった、と…。





追記・修正はクズを斬り殺してからお願いします。






















・「プ~ン」

「!」

「おいっ…!」

「あ…」

「大佛伏せぇ‼」
















「~~~~~~~」





同作者・鈴木裕斗氏の連載漫画『SAKAMOTO DAYS』にまさかの登場。『骸区』と世界観を共有した同一人物であるかは不明であるが、ここからは『SAKAMOTO DAYS』における彼(タカムラ)について解説する。



概要

人物像は『骸区』の時とほぼ同様。

「日本殺し屋連盟」通称・殺連直属の特務部隊「ORDER」のメンバーの一人。
「ORDER」は殺連が選定した危険性の高い殺し屋や殺連に仇なす者の抹殺を任務とする、殺し屋界の秩序を維持するための部隊であるが、れっきとした殺し屋の集団であり、所属のORDERも殺連も自身が忌み嫌う「生かしちゃあおけねェクズ」の掃き溜めのようなモノの筈だが、何の目的を以て殺連に所属しているのかは不明。
というより、何もかもが不明な人物。
「いつからORDERに所属しているのか」「殺連にとってどういう存在なのか」「何を考えているのか」「そもそも自分が殺連およびORDERに所属していることを理解しているのか」そういった一切の出自を誰も知らず、後述の強さ以外の全ては謎に包まれている。

少なくとも主人公の坂本が全盛期にORDERに所属していた頃から在籍していたが、その当時から一切容姿が変わっておらず、もはや生きている人間なのかどうかすら怪しい。
スラーも「サンタや幽霊のような、人の念が作り出した空想上の人物なのではないか」という仮説を冗談交じりに言うレベル。


戦闘能力

『骸区』の時と同様、殺気や敵意に反応するのだが、本作では殺連の命令に従って能動的に襲いかかってくる場面も存在する。

そして、『骸区』では卓越した剣術の使い手であってもまだ一般的な人間の範疇に納まるレベルの戦闘能力であったが、『SAKAMOTO DAYS』においてはもはや大災害と形容すべきとんでもない戦闘能力を披露している。
冗談抜きにジャンプ漫画史の最強剣士キャラの一角に食い込むレベル。

作中世界において、主人公の坂本太郎はかつて伝説の殺し屋と呼ばれ、殺し屋としては最強とされた存在であるが、篁はその当時の時点で全盛期の坂本を明確に上回る戦闘能力を持っていた。しかも作中で実際に篁と交戦した当人に「自分がORDERに所属していた時より更に強くなっている」とまで言わしめたバケモノぶり。推定ラスボスと思われ、殺連の壊滅を目指しているスラーも、彼との戦闘は極力避ける方針でおり、対峙した2回のいずれも少なくとも真正面からやり合っても絶対に勝てないと見て、逃げの一手を取る程。

作中での描写を列挙するだけでも、
  • 走行中の車内を飛んでいる蝿を、乗っている車と周囲の道路情報板ごと一刀両断
  • 東京タワーの塔脚を一刀両断し、死刑囚アパートの鋼鉄線による攻撃で倒壊しかけたタワーのバランスを立て直す
  • ビルを自身が居るフロアの全部屋ごと一刀両断
  • 至近距離での捨て身の自爆攻撃も無傷で回避
  • 相手に納刀状態のまま刀を抜かせない立ち回りをされても、逆に鞘の方を捨て抜刀
  • 刃を消耗しても相手が撃った拳銃の銃弾を刀身に滑らせて研ぐ
  • 楽の巨大ミートハンマーの打撃(受け止めてなお地面が陥没する威力)を直立のまま刀の柄で受け止める
  • 切断面が鋭利過ぎるため、切断した物が暫くの間切断される前の機能を維持し、切断面を合わせれば縫合せずとも元通りにくっ付いてしまうことも
というあまりにも無茶苦茶に過ぎるもの。
ただし、最後者については斬った端から接合するのでは敵の撃破に繋がらないため、ちゃんと殺せるようある程度の調整は可能な模様。

また、常に持ち歩いている刀だが、「何でも切れる刀」のような名刀と言うべき程の代物では無いらしく、刃こぼれやヒビが入っている。



作中における活躍

ORDERのメンバーがスラー一派の死刑囚の後始末に動く中、坂本と死刑囚アパートとの戦いによる余波で傾きつつあった東京タワーの橋脚を居合抜きで切断、バランスを取ってタワー倒壊を阻止した。

その後、殺連壊滅を目論むスラー一派に襲撃される殺連関東支部に姿を現す。

関東支部を襲撃していた楽の前に現れ、常識外れの破壊力の剣技で圧倒。楽をして「無理無理!」と言わしめ、即座に逃げに回らせる。
最終的にスラー一派の宇田による捨て身の自爆に巻き込まれてスラーと楽を取り逃がしてしまった。
襲撃事件後、殺連関東支部の被害報告では死傷者多数の中、「行方不明者一名」と記されており、他のORDERメンバーが動いている中、一切の音沙汰が無かった。



のちに、「世紀の殺し屋展」編で再登場。トイレから殺連の護衛に紛れ込んでいたスラー一派のスパイを一瞬で全員斬殺して美術館内を徘徊していたが、殺連会長が坂本とスラー、南雲を特A級抹殺対象に指定したことにより、彼ら3人を殺す為に現れる。
スラーと南雲が一蹴される中、一瞬で痩せて本気モードになった坂本と交戦。

坂本は篁自体を止めるのは不可能と判断し、武器の刀の刃を消耗させることに活路を見出すも、篁は坂本の銃撃を利用し、放たれた銃弾を刀身に滑らせて刀を研ぎ直すというとんでもない芸当を披露し、圧勝。

南雲と坂本にトドメを刺しにかかったが、スラー一派の楽とハルマが乱入。

スラーは乱入した二人に対して撤退命令を下すが、乱入した二人は「篁を殺さずして殺連の壊滅はあり得ない」という意見から戦闘を続行。

交戦の最中、スラーは「篁は殺意には異常に反応して襲い掛かってくるが、殺意のない攻撃、特に「拘束」目的の攻撃については迎撃の優先度を下げてくる」ことを見抜き、楽とハルマが篁と戦う隙を見て得物の蛇腹剣を篁の右腕に巻き付け、そのまま剣を上昇するエレベーターに放り込んで拘束。
篁は即座に蛇腹剣を切断して拘束から逃れようとするも、楽に投擲されたミートハンマーを「殺意のある攻撃」として迎撃したことで隙を作ってしまう。

この隙を逃がすまいと楽とハルマは拘束されて無防備な篁に襲い掛かった。










……が。










テメェら俺のことボケてると思ってんだろ





刀で自らの右腕を切り落として拘束から抜け出し*2、そのまま左手で切断肢を持ち上げて切断面に合わせると、なんと一緒に切った服と共に右腕が一瞬で接合。

即その右腕で刀を握り、ハルマを一刀の下に斬り捨て殺害した。





ったくこの世には……



生かしちゃあおけねぇ


クズばかり……






追記・修正はク/ズを斬り殺してから/お願いします。

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最終更新:2025年03月04日 01:30

*1 実際、街の住人たちは老人がボケてるとは一言も言っていなかった

*2 切断面および切断肢から一切出血しておらず、彼の肉体自体が切断されたことを認識していないと思われる