海の戦士(猿渡哲也)

登録日:2024/09/25 Wed 22:32:55
更新日:2025/05/03 Sat 12:58:36
所要時間:約 6 分で読めます





永遠を生きろ



○目次



『海の戦士』とは週刊少年ジャンプで1982年に連載されていた漫画作品である。
作者はタフ・シリーズでお馴染み猿渡哲也氏。
本作品は猿先生の連載デビュー作であり、数回の読み切りを経て連載化へと至った。

【作品解説】

サーフィンを題材としたスポーツ漫画で、用語の補足がコマ外に書かれているのでサーフィンを全く知らない人でも楽しめる。
若干現実離れしたド派手な演出やライバルとの対決など、少年誌のスポーツ漫画の王道を押さえつつ、猿先生特有の緻密で豪快な作画で海の戦士たるサーファーたちの戦いがダイナミックに描かれている。
昨今の猿漫画でよく見られるようなインパクトのあるコマやセリフ回しもこの頃から片鱗を見せており、「(中点)」もやたらとたくさん出てくる。

しかし残念ながら短期で打ち切りとなってしまい単行本は全2巻。
紙の単行本の入手は今となっては不可能に近いが、電子書籍であれば漫画アプリ等で配信されており、購読は容易にできる。
単行本には本作の読み切り版が収録されており、単行本第1巻に『ブルーサーフシティ』、第2巻に『ロコ・ボーイ』がそれぞれ収録されている。
更に単行本第2巻には『ロコ・ボーイ』に加え、知る人ぞ知る猿先生のラブ・コメ漫画『本気でゲーム』も収録されている。


【登場人物】

リョウ・カタギリ/片桐 良

「危険が多ければ多いほどエキサイトするってもんだ」
「オレは国内だけでプロを気取っている自己満足サーファーじゃねえぜ」

国際プロサーフィン連盟が開催する大会において日本人で初めて決勝に進出したプロ・サーファー。1962年9月25日生まれ。
10m以上の高さに張ったロープにぶら下がり、手足と腹に10kgの重りをつけて筋トレを余裕綽々でこなすなど、人並外れたタフさを持つ。
サーフィン歴は6年だがその技術は非常に高く、世界で数人しかできないような超高難度の技を的確に決めることができる。
一刻も早く世界最高峰のサーファーであるマイクと戦うことを望んでおり、あえてオーストラリアの大会という場で挑発的な態度を取って彼を誘き寄せる。
実は脚に悪性の骨肉腫を患っており、ときおり激痛が走るほど進行している。
しかし彼はサーファーの命である脚を切断することを望まず、残りわずかな人生を海の戦士として捧げることを選んだ。マイクとの対決を急いでいたのもそのため。

ちなみに好物はオムライス。


マイク・ロジャース

「たとえ負ける試合でも全力でぶつかるのがオーストラリアンサーファーだろう」
「神よ いまこそわたしは あなたの作った殺りくマシーンにあえてチャレンジしよう」

怪物と呼ばれるオーストラリアの国民的プロ・サーファー。1956年6月24日生まれ。
サーファーとして活躍する一方で病院の理事長としての顔も持つ。
6歳からサーフィンを始め、以来20年以上のキャリアを積んでいるベテランであり、その鋼のような肉体には歴戦を物語る無数の傷痕が残っている。
人一倍愛国心が強く、祖国オーストラリアの大会で優勝したにもかかわらずナメた態度を取ったリョウの挑発に乗って彼との勝負を受ける。


神谷

「リョウのかわりにオレのことを記事にすれば?」

口ひげを蓄えたモッサリ頭の日本人サーファー。
リョウの友人でサーフィンの腕前は一回戦敗退くらいのものだが、読者にも分かりやすい解説役を務める。


記者

「そんな~~コメントだけでももらわないと編集長に怒られますよ」

オーストラリアで大活躍するリョウの特集記事を作るためにはるばるやってきた日本人記者。名前は劇中で出てこない。
サーフィンのルールなどは詳しく知らないらしく、度々神谷に尋ねて解説を聞いていた。


マイケル・ダニエル

「日本人はみんなボードを持ってるだけで波乗りができないと思ってた」

サーフィン好きの少年。ダニエルコンツェルンという大企業の次期総帥という立場であるが、こっそり使用人の目を盗んでは海へサーフィンを見物しに行っている。
昔からマイクのデータをコンピューターに記録し続けているほどのマイクファンであり、またリョウのパフォーマンスに魅了されて彼のことも気に入る。
1人で小型飛行機の操縦もでき、空からリョウとマイク対決を見届ける。


サムソン

「あの方の御命令を守るためなら人を殺すことすらカンタンにやってのける忠実な犬でこざいます」

マイクの部下。タキシードを着た執事風の紳士だが、身長3m以上の体躯を持つ筋肉モリモリマッチョのタフガイ。
“マイク様にかわれている犬”と自称するほど忠誠心は高く、彼の命令とあらば命を捨ててでも絶対に遂行する。
また長年仕えているのか、マイクのことを知り尽くしているようで絶大な信頼をおいている。
本人曰く地位も名誉も教養もないとのことだが、肉体は誰にも負けないと豪語する。
かつて世界的ボクサーのモハメッド・アリと揉め事を起こした際に、彼の渾身のボディ・ブローを軽く受け止めたこともあるらしい。


ドナ

「またあの白い海が赤い海にかわるのね マイク……」

マイクのガール・フレンドで世界No.1のシンガー。
彼が出ない試合にはさほど興味を示しておらず、サーフィンそのものにはあまり関心が無いと考えられる。


ビッグ・マン・ジャック

「サイレンが鳴ったあ~~~っ 戦闘開始だーーー GOーーーっ」

オーストラリア放送のラジオDJ。リョウが出場したサーフィンの国際大会でハンバーガー片手にノリノリで実況していた。
テンションが上がると「ブヒ~~~」と叫ぶ癖があり、更にエキサイトすると口が悪くなる。


ラビット・アンダーソン

「てめぇみたいな黄色いサルに負けたらオレは一生わらいもんよ」

物語序盤のオーストラリアの大会で決勝に進出したプロ・サーファー。
リョウと決勝戦で一騎打ちとなるが、次々と見たこともないような技を魅せる彼に打ちのめされて全くのいいところなしに終わってしまった。
タフで言うところのシマキンポジションのかませ犬。
あまりに無様な負けっぷりでビッグ・マン・ジャックや観客からボロクソに叩かれ、マイクからもオーストラリアンサーファーの恥さらしと言わんばかりに鉄拳制裁を受ける。


【用語】

作中で注釈があるサーフィン用語は割愛。

レッド・リーフ・ポイント

赤い珊瑚礁とも呼ばれる海域。
そこには刃のように鋭利な珊瑚礁が群生しており、雪崩のような巨大な波が荒れ狂う。
更に10mほどの体躯を持つ化け物のようなサメがウジャウジャ生息しており、この海域でワイプ・アウト*1しようものなら珊瑚礁に切り刻まれるかサメに食われるかで跡形もなくバラバラにされてしまう。
かつてサメを駆除しようとシャーク・トレジャーがこの海域に入ったが、10人の内9人が死亡、生き残った1人も両脚を切断する重傷を負ったらしい。


悪魔の口(デビル・マウス)

日本某所にある海域。リョウと神谷だけが知っているシークレット・ポイントで、神谷が「たとえ知っていたとしても誰もサーフィンなんかやろうとしない」と言うほどの危険地帯。
牙のような尖った巨大な岩が四つ並んで飛び出ており、10m近い高さの大波も相まって悪魔が口を開けているように見える。









さあそろそろ時間だぜ~~~っ

ブヒ~~~アニヲタwikiを見てるみんな~~
この5万人の大歓声が聞こえるか~~~っ

オレもギンギンに乗ってきたぜ~~~~っ





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サイレンが鳴ったあ~~~っ
追記・修正開始だーーー GOーーーっ



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最終更新:2025年05月03日 12:58

*1 サーフボードから落ちること