登録日:2024/10/05 Sat 01:00:00
更新日:2025/03/24 Mon 19:09:54
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2019年4月~6月 吉岡剛 SILVER LINK 賢孫製作委員会
『
賢者の孫』は、吉岡剛によるライトノベル作品である。
2015年1月より「
小説家になろう」に連載され、同年7月より「ファミ通文庫」より書籍版が刊行された。
【概要】
いわゆる「
俺tueeee」ものと呼ばれる異世界転生作品の1つである。
主人公のシンは異世界転生の後、大賢者と呼ばれる英雄に拾われ、そこで数々の魔法を学ぶ。
前世での知識と結び付けて、様々魔法を応用することによって規格外の魔法や魔法具を生み出すシンの活躍に、異世界への憧れや
チート主人公の魅力に触れた読者やアニメ視聴者もいただろう。
こうした「
チート能力」を使った主人公の活躍を描く作品は後続の異世界なろう作品でも数多く見られることになる。
こうした単純明快な作品の存在の需要が生じているのは、時代の流れやアニメ・漫画・ラノベ業界の変遷によるもので、本作もその流れに乗ったものと言えるだろう。
ちなみにチートものにありがちなハーレム要素はほとんど無く、ヒロインへの一途な愛を描いているのも特徴の一つ。
2024年3月時点でシリーズ累計部数は810万部を突破しており、後述のメディアミックス企画や続編の連載が行われているなど、注目作品になるまでに成長した。
(メディアミックス)
①コミカライズ版
緒方俊輔作画によるコミカライズ版が「ヤングエースUP」にて連載されている。
②外伝
マーリンとメリダの若かりし頃を描いた外伝漫画作品。
作画担当は清水ケイスケ。
メイとクラスメイトたちの奮闘を描いた外伝漫画作品。
作画担当は西沢秀二
アルティメット・マジシャンズの日常を描いた漫画作品
作画担当は石井たくま
③テレビアニメ版
2019年4月から6月までの期間での朝日放送(テレビ朝日系列)などで放送された。
【あらすじ】
現代日本で働いていた青年は交通事故にあったことをきっかけに、赤ん坊として異世界へ転生!!
賢者と呼ばれる男に拾われ、魔法を教わりながら「賢者の孫」として育っていく。
その孫の名は……「シン」!
シンは前世の記憶と賢者から教わった魔法で誰もが驚く「規格外」な強さを身に付けていく。
15年が経ち、その成長を喜んでいたのも束の間、賢者から衝撃的な言葉が明かされるーーー。
「あ、常識教えるの忘れとった!」
魔法ばかりでこの世界のことを知らなかったシンは、
常識と友達を得るため高等魔法学院へ入学することにーーーー!
魔法も剣術も知識も型破り過ぎる強さに周りがドン引きするほどの異色な主人公がおくる
異世界ファンタジーライフがここに開幕!!
【キャラクター】
(主要人物)
CV:小林裕介
本作の主人公。
前世は20代くらいのサラリーマンだったが、事故に遭い、今の世界に転生した。
しかし不運が重なり、両親は魔物の襲撃により命を落とし、たまたま居合わせた賢者のマーリンに助け出され、人里離れた山奥でマーリンとメリダに様々な魔法や魔道具の知識を授けられた。
前世の記憶を引き継いでいることもあってか、マーリンらから教えられた魔法を現代日本の知識や現代科学知識と結び付けて応用させていった結果、この世界では考えられないような規格外の魔法を習得するにいたってしまった。
にも拘わらず、マーリンがこの世界の常識に関して「教えることをしなかった」ことから、善意でやろうとしたことがとんでもない方向に行ってしまうこともある。(そしてその都度メリダにこってり絞られる)
とは言え、まるで常識外れなのかというとそこまででもなく、自身が荒んだり人間関係を壊したりするようなことはない。むしろ後者に関しては賢者の人脈も相まって、人格者である王国国王やその側近といった恵まれた周囲の存在と接する経験があったため、マイペースであるとは言え善良な主人公であるといって良いかもしれない。
こうした経緯もあり、高等魔法学院に入学。ここでも数多くの友人と恋人(シシリー)と出会う。故あって魔人たちとの戦いに駆り出されることになったが、自身の才能と奇想天外な魔法、仲間やシシリーの支えもあり、挑んでいくことになる。
CV:本泉莉奈
本作のヒロイン。
クロード子爵家の三女。
シンが王都を散策していた際にナンパ野郎に絡まれていたのを助けたのがきっかけ。ちなみにこの時点で彼女の気持ちへシンに対して熱を上げていた模様である。
水色のストレートロングヘア。お淑やかで慈愛に満ちた性格で、THE
メインヒロインな雰囲気。
シンとはお互いに恋愛の価値観が分からず、なかなか進展しない状態であったが、シンの友人であるオーグがシンを焚き付けたことやマリアの後押しもあって、合宿の際に彼から告白を受け了承した。
『私も好きです。大好きです!シン君!』
なお、この告白の模様はオーグやマリアを始めとする友人やマーリンら賢者にもがっつり見られた模様。いわば公開処刑である。
シンとは婚約者になるものの、最初シンやマーリン、メリダはシンがマーリンの実の子孫ではないため、シシリーに対する世間の風向きを気にするところがあった。しかし、シシリーやその両親は彼らの境遇をそのまま受け入れてくれた。
お似合いカップルであるが、シンに他の女の影があると嫉妬することもある。
後に彼と結婚し、養子のシルバーを含む3児の母になる。
CV:小林昌平
アールスハイド王国の王子で通称オーグ。
シンとは入学試験の際、カートとトラブルになりかけた際に出会った。
シンの周囲を気にしない物言いに親近感を覚えたのか、以降は彼を友人として接していく。
やや腹黒い側面もある。
常識がないシンが規格外の魔法でいろいろとやらかすことに対してブレーキ役になったり、シシリーとの関係について真剣に考えるように促したりと、飄々な性格ではある中で王族らしい、決めるところはしっかりと決める頼もしい存在でもある。
雷系の魔法を得意とする。
魔人たちとの戦いでもシンの能力に助力を得ながら、世界各国の国々と連携するなど政治的見聞や視野も備えている。
コーラル侯爵家のエリザベートは婚約者。なかなか会ってくれないことから彼女から怒られることも多いが、家族ともども大事に思っている。
CV:
若井友希
シシリーの友人。
あんましそうは見えないが伯爵令嬢。
勝気な性格でシシリー共々ナンパ野郎に絡まれていたところをシンに助けられた。それ以降、シン・オーグ・シシリーとは友人関係になり、お互い気兼ねない関係になる。最もシンが規格外の魔法や魔道具を開発するのを目の当たりにして、自身はとんでもない事に巻き込まれてしまったのではないかと後悔することもある。
(まあ事実魔人との戦いにマリア自身も身を置くことになるし)
特にシシリーとは親友で彼女のシンに対する想いを応援している。
一方自身はそんな浮いた話1つもないことから、2人のイチャラブオーラに辟易することもある。
「あっちもこっちもイチャイチャしやがって」
「待ってろ魔人ども!この鬱憤を全部ぶつけてやる!!」
CV:
屋良有作
シンの養祖父にして、世界的に有名な「
賢者」。
本作のタイトルの所以となった人物である。
メリダとは共に戦った盟友であり、元妻である。
魔物に馬車が襲われている現場に出くわし、そこでまだ赤子だったシンを助け出した。以降はシンの成長を見守る好々爺になる。
メリダと比較するとシンには甘い。そして彼が様々な魔法を習得していく様を見るのが楽しみになり、どんどん彼に魔法を教え、共に魔物討伐も行った。
しかしその結果…。
「あ、常識教えるの忘れとった」
今のシンの人格が形成されたのはマーリンによるところも大きい。
CV:高島雅羅
マーリンの相棒かつ元妻。彼との間に一人息子がいたが、事故により先立たれたことがきっかけで婚姻関係を解消している。
マーリンと対照的にシンにはそれなりに常識的な振舞をするように諭しているのだが、何かと自身の魔法で厄介事を起こしてしまう彼に頭を悩ませている。魔道具に関する知識は彼女が授けた。
シシリーに対しても、シンと関わることの危うさや甘えなど厳しいことを諭したことがあったが、それ以降はシンとの関係を後押しすることになった。
(アルティメット・マジシャンズ)
CV:山口愛
メガネをかけた寡黙な少女。
シンから魔法を学び、風魔法で狼型の魔物を一瞬に倒してしまうなど成長を見せる。
CV:
久保田美夢
金髪の少女。
マリア同様、周囲が婚約者や彼氏持ちばかりで僻んでいることもあった。
子ども扱いされるとキレる。
魔人戦では熱くなることもあったが、リンに窘められたことも。「殲滅魔法少女」の二つ名を有している。
CV:長妻樹里
親はホテルを経営している。
スタイル抜群。アルティメット・マジシャンズでは魔道具作りの才能を活かしていくことになる。
CV:小林千晃
長身で女好きな優男である。
剣とジェットブーツを駆使した白兵戦が基本的な戦闘スタイル。
CV:志田有彩
銀髪眼鏡で小柄。オーグの護衛役を務める。
CV:河本啓佑
オーグの護衛役。筋肉質で武士口調が特徴的。
(魔人)
CV:
森川智之
世界で初めて理性を持った魔人。
本作の大ボス的な存在。
元々は帝国の公爵で人間。帝位継承権を有しており、領民思いの良き領主だったとされるが、帝位継承権争いで現皇帝の謀略により、失脚。さらには出産を控えていた妻が暴徒化した領民の手によって殺されてしまう憂き目を見る。
こうした悪逆非道な帝国とその民たちに絶望し、憎悪から魔力を暴走させ魔人になった。
紳士風に振る舞うもその実は冷徹な一面を併せ持っている。
魔人の研究を行い、数多くの魔人を生み出し、帝国を滅亡に追いやってしまった。
「待っていてくださいね、ブルースフィア帝国。皇帝から貴族、平民に至るまで、全てを滅ぼしてあげますからね」
CV:増岡大介
高等魔法学院Aクラスに在籍する生徒で、シシリーを力ずくで婚約者にしようとしたがシンとオーグに阻止されてしまう。
元は自信家でプライドが高かったが、そこまで選民思想の強い傲慢さは持っていなかったとされる。
実はシュトロームの策略によって意識を洗脳されただけでなく魔人の人体実験の被検体にもされてしまっていた。
魔人化した姿でシンに挑むも敗北してしまう。(いわゆるなろう系の敵役でよくある噛ませ犬的な立場にされてしまった悲しい存在)
CV:
大原さやか
シュトロームの部下。後に彼女も魔人化することになる。
沈着冷静でシュトロームに対して忠心と恋愛感情に近い気持ちを抱いている。
(その他)
CV:南雲希美
コーラル公爵家の次女でオーグの婚約者である。(←のちにオーグ王子妃に}
エリーの愛称で慕われている。
公務や魔法の訓練などでなかなか会ってくれない婚約者にいら立っている。
何ならとりわけ仲良くしているシンに対して、オーグは「その気」の感情があるのではないかと訝しむ一幕もあった。(シンもとんだとばっちりを受けたものだ)
「私が一番疑っているのはシン様ですわ!」
とはいえ、オーグ本人はエリ―を大事に思っていることは確かで、合宿の件以降は会う機会を増やしている。同時に彼女は他のメンバーとも交流する機会が増えていくことになった。
CV:雛乃木まや
オーグの妹。
メリダに対して憧れの感情を秘めている天真爛漫で明るい妹である。
スピンオフでは主人公を担当。
CV:星野充昭
オーグの父親でアールスハイドの現国王。
一時期マーリンに付いて旅をしていたことがあり、メリダに弟子入りしていた。その縁でマーリンが隠居してからも時々会いに来ていたが、シンは当初まさか国王とは思っておらず、「親戚のおじちゃん」程度の認識。身分が判明した時にはさすがに驚愕していた。
シン「まさかの王様ああああああ!?」
【用語】
この作品の世界において魔法は「イメージ」であり、そのイメージした現象が魔法として発動されるとしている。
付与魔法によって魔法の力が込められた道具。
シンは前世の記憶で現代日本に存在していたものをイメージして魔法の力に変え、独特な魔道具を生み出した。この結果、異世界にそぐわぬものも生み出された。
魔人討伐に向けて結成されたチーム。シンを中心に彼がメンバーに魔法を教えていった結果、想像をはるかに超える力を手に入れてしまい、もはや国家の主力戦力以上のものとなっていった。なおシンはそのネーミングに恥ずかしさを覚えた。
本作の舞台。ディセウムが国王を務める。
王国が運営する三つの学院の総称。「経法」・「騎士養成」・「魔法」に分けられる。
王国と二分する大国。
【「またオレ何かやっちゃいました?」】
2019年4月~6月 吉岡剛 SILVER LINK 賢孫製作委員会
本作を象徴するセリフとしてネットミームになった。
きっかけは主人公のシンが学院の生徒から魔物を狩ったことがあるかと尋ねられた際、「初めて狩ったのは10歳」「3メートルあるクマだった」と答えた際に一同は絶句した。
その際のシンの心の声を表現したものである。
コミカライズ版で描かれたシンの「あ、やべ」みたいな表情はアニメ版でも完全再現されており、本作を知らなくても、この場面は見たことある、という方もいるのではないかと思われる。
結果的にこれによりなろう作品におけるチート主人公の特徴を的確に再現した一幕ということで今でも語り継がれている(?)。
【テレビアニメ版】
2019年4月~6月にかけてテレビアニメ版が放映された。
シナリオはアルティメット・マジシャンズの初陣で奮闘する場面まで描かれた。
上述の場面も再現されており、ほぼ原作の流れを踏襲している。
アニメーション制作はSILVER LINK,
(主題歌)
OP:「アルティメット☆MAGIC」
i☆Risによるオープニングテーマ。
ED:「圧倒的Vivid Days」
吉七味によるエンディングテーマ。なお、吉七味は劇中でも声優としてゲスト出演している。
追記・修正は魔法でまた何かやらかしてしまった時にお願いします。
- 人気作でミームになってるせいでよく逆張り被害に遭ってる印象 -- 名無しさん (2024-10-05 07:44:28)
- アニメ化もしたし結構人気あると思ってるんだがグッズや薄い本があんま無いんだよな -- 名無しさん (2024-10-05 16:50:14)
- ↑2良くも悪くも「俺tueeee系」に振り切れてるからそっち系に嫌悪感を持つ層から特に嫌われてるだけかと -- 名無しさん (2024-10-05 17:36:33)
- 雑語りとかではなく、一応アニメ版を視聴した人の意見で「主人公が転生者である必要性が感じられない」という感想があったな。 -- 名無しさん (2024-10-05 18:53:21)
- ↑アニメ版だけではそう思えるが原作小説読んでいけば転生者であることが必須と思えるよね -- 名無しさん (2024-10-06 16:55:15)
- ↑5 今までなかなか立たなかったのはそれが理由だったりするのかな? -- 名無しさん (2024-10-06 17:02:05)
- 個人的にはアニメでしか知らない人ほど、漫画版をお勧めしたい作品だね。あと続編の『魔王のあとつぎ』もええぞ。 -- 名無しさん (2024-12-18 14:07:23)
最終更新:2025年03月24日 19:09