登録日:2024/10/8(火) 21:45:00
更新日:2025/03/24 Mon 21:21:42
所要時間:薫「約10分で読まないと祟りがあるってさ」ダラさん「めんどくせえ事になりよった…」
『令和のダラさん』とはともつか治臣による漫画作品である。
パッと見は古来の怪異を主題とした和風ホラー漫画だが、実態はそんな怪異である祟り神とマイペースな姉弟とのドタバタを描いたホラーの皮を被ったギャグ漫画である。
元は
2ちゃんねるで投稿された
姦姦蛇螺を題材とした漫画であり、ニコニコ静画で2021年11月より個人連載として掲載開始。
2022年3月よりコミックウォーカーにて商業版として連載が開始された。その際、
大人の事情によって作中の怪異の名称が
屋跨斑に変更された。
【概要】
とある田舎町のとある山の一角に古来より存在する忌み地。そこに佇む怪しげな祠が暴風雨で起きた土砂崩れによって損壊してしまう。
代々山を管理する家系の三十木谷家の姉弟は祠の様子の確認に向かった祖父を心配して忌み地に足を踏み入れる。そこで数百年に渡り山に縛られている「それ」に出会してしまう…
【登場人物】
・ダラさん
数百年の間、田舎町の山に存在する祟り神。「オマタギサマ」「マダラサマ」「マダラゴゼン」等様々な呼び名を持つ。
一人称は「儂」。
先述の通り個人連載の頃は「姦姦蛇螺」そのものという設定だったが、商業版では「屋跨斑」という架空の怪異に変更された。
非常に長い黒髪、耳元まで裂けた口、蛇のように長い舌、3対の6本の腕、10m近くはあろうかという蛇の下半身という明確な人外の見た目、そして読者を惑わす豊満なおっぱいが特徴。
三十木谷家に代々その恐ろしさが言い伝えられる怪異そのものなのだが、その実態は…
・後述の三十木谷日向に誰かと問われ丁寧に自己紹介する
・全裸である事を憂いた日向の弟の薫に母親の下着を渡されると素直に身に付ける
・薫の変態行為にドン引きする
・禁足地である山にホイホイ遊びに来る姉弟に頭を抱える(物語が進むと慣れたのか気にしなくなった)
・日が落ち始めると山で遊ぶ姉弟に帰宅を促す
・薫が家に備蓄してあるお菓子や飲料水を大量に貢いだ際は「こんなにたくさんくすねるのは良くない」と持って帰るように言った上で話は聞いてくれる
等々、個性的な登場人物が揃うこの漫画においては指折りの常識人。
同時に、「儂には関係ない」と言いつつ学校に通う薫を気にかけたり、暇だからダラさん家で一緒に遊びたいと言う日向を迎えに行ったり、山に遊びに来る姉弟に嫌な顔をせずなんだかんだ付き合ったりと結構なお人好し。
祠が損壊した暴風雨の夜、山に足を踏み入れた三十木谷姉弟の前に姿を現すが、その際に日向に自己紹介してしまったのが運の尽き。
言葉が通じる事がわかるとあれよあれよと距離を詰められ慕われ懐かれ、あっという間に姉弟の遊び相手にされてしまった。されちゃった。
その際、屋跨斑をもじった姉弟からはダラさんと呼ばれる事に。
元ネタ同様、祟り神と化す以前はあらゆる術に精通した経験豊富な人間の巫女だった。その為か怪奇現象や妖怪というオカルトに詳しく、時折姉弟と読者に分かりやすく講義を開いてくれる。
つまり下半身の蛇の部分は元々別物であり、そこに隠された彼女の脚は大腿部から下が切除され、骨と筋肉の切断面が剥き出しという非常にエグい事になっている。
今でこそ理性的な彼女だが、かつては自らの下半身の屋跨斑が意識の主導権を握っており、山に近付く人間を無差別に祟り殺すという極めて危険な祟り神だった。三十木谷家に残された記録もこの時代に記された物らしい。
およそ100年前に祟りを振りまく屋跨斑を内側から調伏し、理性を取り戻してからは「怒り続けるのも疲れるし、人を殺めて騒ぎを大きくしたくない」と山に肝試しに訪れるチンピラ共を「死なん程度に祟りビームでキャン言わせて」追い払っている。
さらにそのチンピラが逃げる際に落とした携帯のおかげで携帯という概念を知っていたりと現代社会にある程度通じている。
因みにその携帯はダラさんが使いまくった事で、持ち主にはパケ死という恐ろしい祟りが降り掛かった。
当初は三十木谷姉弟に対し、その常識人思考故に「過去に数多の人間を祟り命を奪ってきた自分とは深く関わるべきでは無い」と感じており、姉弟がダラさんの家にお泊まりに訪れた際にそれを打ち明けるが、姉弟のマイペースぶりに加え当時と今の彼女は別物である事や、家に残された記録で過去の出来事もある程度理解した上で遊びに訪れていた事もありいい意味で受け流された。
そしてダラさんも、そんな慕ってくる姉弟が自分の傍を去ってしまう事を心のどこかで恐れており、今後山に来るなとはどうしても言い出す事が出来なかった。
姉弟の本音を知ってからは、山に封じられているモノの背景や自らの身に降り掛かった厄災を伝えながら、そして子守りで振り回されながらも姉弟からの供物や貢物である現代の飲食物に舌鼓を打ちながら日々を送っている。
彼女が初めてコーラを口にした際に見せる表情は一見の価値あり。
概して庶民的かつ常識人(?)な彼女ではあるが、やはり怪異、あるいは祟り神らしい部分もないわけではない。
例えば迷惑系動画投稿者(山を囲うフェンスをワイヤーカッターでブチ破り、私有地である禁足地に不法に踏み込んだ上、あげくワイヤーカッターで祠を暴いて「呪物」に触れてしまった)とその撮影者が呪いに侵された時は、大蛇のようなシリアス目になって問答無用で異界に引きずり込んでいる。
もっともこの場合
・呪物の呪いはダラさんにも制御不可能であり、触れてしまえば誰だろうが勝手に降りかかる
・呪いの効果は速やかかつ凶悪であり、呪物に触れてしまった時点でもはや死が確定レベルらしい
・おまけにそのまま現世に放置しておくと「無作為に呪詛を振りまく」ことになってしまう
などといったキチンとした理由がある、いわば緊急避難的な措置ではあったが、ダラさん自身も「余計な真似をして祟り殺されるのは勝手じゃが」とドライに割り切った様子を見せている。
主なセリフ
「アッハイ…」
「はぁん?」
「こいつらー」
・三十木谷 日向
ダラさんの住む山を代々管理する家系である三十木谷家長女。
死ぬほど落ち着かなくなるためスカートよりスボンを好み、乾くのに時間がかかるという理由でショートヘアを好み、そして胸はまな板なため結果的にボーイッシュな雰囲気となった中二女子。
その見た目から初見ではダラさんからは長男だと誤解されていた。
登場時は13歳だったが、後にダラさんをも巻き込んだお誕生日を迎え14歳となる。
三十木谷家に古来より言い伝えられる怪異であるダラさんを目の前にしても全く動じないどころか次の日自主的に会いに来るというオバケ胆力の持ち主。
唐突に下ネタをぶっ込んだり、異界に連れ込まれても平然としたり、勝手に異界のダラハウスをプラモ製作所にしたりと如何なる状況でもブレないマイペースぶりでダラさんを振り回す。
明るい性格で性別問わず友達は多いが、少々ブラコン気味である為帰宅は早く、放課後や休日に友だちと遊ぶ事は少ないらしい。
本人にはまるで自覚が無いが非常に高い霊感と霊力を備えており、一端の霊能者出なければ触れられないダラさんの下半身を難なく触って落書きしたり、姿を隠したダラさんをあっさり目視したりと時折彼女を驚愕させる。
その高すぎる霊感故に、本人は無自覚ながら余計なモノを感じないように自衛の為に感覚を鈍化させており、大きな霊障に気付いた時には既に危険な状況に陥っているという弊害も。
自称ドスケベボディ、完璧に近いセクシーボンバーだが、単行本の登場人物紹介にて母親の豊満な体型は似なかったと公言されている。まあパッと見で分かるレベルのまな板だし。
・三十木谷 薫
地元の小学校に通う小学5年生。
オーストラリア人である父親の血が色濃く出ており、金髪の長い髪に青い瞳の見た目は金髪美少女な三十木谷家長男。長男である。そう、男の娘である。
その見た目から初見ではダラさんから妹だと誤解ry
年上の女性、大きなおっぱい、ラミア系列のモン娘をこよなく愛する日向の弟。つまりダラさん大好き星人。
普段は祟り神のダラさんも彼の前では世話焼きな近所の(デカイオッパイの)姉ちゃんと化す。
そして年齢に見合わない性欲を兼ね備えたむっつりスケベと色々てんこ盛り。
あまり着る服に拘る性格では無く、それが災いして日向が着るのを拒んだ女子向けの服を着させられる事が多く普通にスカートすら着こなす。
ダラさんと知り合ってからは高頻度で山に遊びに来ており、当初ダラさんには見た目故男子とも女子とも遊びにくいのではないかと心配されていたが、全くそんな事はなく性別問わず交友関係は良好であり、周りも薫の男の娘ファッションは気にしてない様子。しかもクラスメートの女子の1人からは明確な好意を向けられている。
しかし当の本人はダラさん大好き星人な上、どこか天然なようでその事に気付いていないという何とも罪なヤツ。
友達の前では大人しいが、ダラさんの前では巫女服姿の彼女を見たいと駄々をコネたり、お祭りに一緒に行きたがったり、ロボットアニメに影響されてビームを撃てる術をオネダリしたりと年相応な一面を見せる。
後述の理由から高い画力を有しており、下半身が蛇のダラさんでも着用可能な衣類を製作出来たのは彼の設計によるもの。つまりダラさんがけしからん身体の全裸生活から脱却するきっかけを作った功労者の一人でもある。
・三十木谷 千夜
オーストラリア人の夫を持つ日向と薫の母親。
日向がそのまま成長したような外見だが、ダラさんに下着を提供できる程大きなおっぱいが目を引く。専業主婦では無く地元の役場で働いており、年齢は40歳だが豊満なバストのおかげでかなり若々しく見える。
日向と薫を産む前は非常に高い霊感と霊力を備えていたが、出産する度に霊感は失われていき今ではほとんど霊を感知できない。
しかし高い霊力自体は健在であり、山でいざこざが起きた際に事態を収めるのは彼女の役目。
姉弟を除くと過去にダラさんと接触経験のある数少ない人物の一人であり、当時の高い霊感から山の祠とダラさんから発せられる気配が全く違う事を見抜き、その関係をダラさんに問い掛けると口外すると呪いがかかるという条件付きで山と祠とダラさんの過去を知ることになる。
まあ、その呪いも「口外すると突然口内炎ができて話しづらくなる」という呪いと言うかおまじないレベルのモノだが、約束を未だに守り続けているため千夜には知る由もない。
その後、彼女の霊気に目をつけた妖怪に魂を抜かれかけるがすんでのところでダラさんに救われた。
それからは今まで恐れを抱いていたダラさんを山の守り神として尊敬するようになっている。ちょっと大袈裟な部分もあるが。
立ち入り禁止である山に姉弟が頻繁に遊びに向かってる事に薄々気づいていおり、本来止めなければならない立場だが「あなた達が遊ぶ事で山にずっと1人でいる屋跨斑様の気分が紛れるなら嬉しい」と黙認している。
因みに作中、現時点で2回ダラさんと再会しているが、1度目はパンクファッションダラさんだった為(既視感は覚えていたが)、2回目はゴスロリロリータダラさんだった為全く気が付いていない。そりゃ尊敬している山の守り神がこんな格好してるとは普通思わんだろ
・三十木谷 ウィリアム
千夜の夫で日向と薫の父親であるオーストラリア人で隣町で眼科医として働く39歳。
7歳の頃に日本人に帰化しており日本語はペラペラ。千夜とは大学時代に知り合い交際を経て結婚した。
日向が3針縫う怪我をしたのを知るとパニック気味になるなど子供想い。
霊感はとても低いが千夜の山でのお勤めには協力的。でも若干空気気味。
・三十木谷 兵吾
千夜の父親で姉弟の祖父。妻とは7年前に死別している。
千夜と共に山を管理している1人であり、姉弟がダラさんと出会ったのも土砂崩れが起きた山に向かった兵吾を心配して山に立ち入ったため。
あまり霊感は高くないため、何度も山に立ち入っていながら明確にダラさんを視認したのは祠が崩れた暴風雨の夜の日だけ。
因みに損壊した祠に近付いた彼の身に何も起きなかったのはダラさんが「自然災害で祠が崩れたパターンはどうしたらいいか迷ったから」という実に人間臭い理由。
それ以外はおぞましい気配を感じた事があるのみで、それもあってか山に関しては多少頑固で孫が山で遊んでいる事にあまりいい顔をしていない。
その事を除けば娘がオーストラリア人と結婚する事を認めたり、薫の男の娘ファッションを気にする事はしなかったりと器の広いおじいちゃんで家族仲は良好。
そしてダラさんへの貢物として日向によくお菓子をパクられる苦労人でもある。
ダラさん「じいちゃんは怒っていい」
・筆木 直道
薫のクラスの担任。
小太りなで中年な見た目をしているが、実はまだ30代前半と若め。後述の美和の従兄弟でもある。
世話焼きな善人だが、怪しげな雰囲気から初対面では保護者や生徒から誤解を受けやすく、時間と共に生徒に受け入れられて何とか上手くやっている。
趣味は裁縫とフェルト人形作りに加え、様々なコスプレ衣装の依頼を受けて製作しているという裏を持つ。
作中、ダラさんが身に付ける衣服は薫のイラストを元に彼が製作したものであり、ダラさんへ最も多くの供物を提供している1人。
しかし、本来副業禁止な上、女性物の衣装も製作することもあるためバレて厄介事になる事がないようにヒヤヒヤしながらひた隠しにしている。
もちろん本業の仕事も、自分の発言が生徒の尊厳を傷付けてしまったのではないか、と1人で頭を悩ませたりと真っ当な教師である。
え?何があったのかって?
誰とは言わんが、なんぼハロウィンの仮装とは言え小学5年の男子がサキュバスの格好して商店街闊歩するなんて言い出したらマトモな大人であれば止めるだろうよ。
以下、先生が製作したダラさんの衣服
・ワンピース
・巫女服
・メイド服
・外套
・振袖
ダラさん「あの先生の事酷使しすぎやろ…」
・アラレ
人物ではないが一応記載。
筆木先生が飼っている猫。オスで去勢済。
初登場は第3話の最後のオマケのコマで以外と早い。結構なおじいちゃん猫で少し後に内蔵の病により元気を無くしてしまい、それに釣られて先生まで元気を無くしてしまった。
ダラさんはその情報を薫経由で入手し、先生が多くの衣類を供物として提供した功績から直々に先生宅に出向いてアラレに妖力を与え半妖、化け猫とする事で病を克服させた。
勿論一方的に妖力を与えたのでは無く、半妖に変化した場合己がどうなるか、周囲に与える影響は食べる量が増えるくらいと言う変化をしっかり説明し了承を得た上で実行している。エサ代の増加による先生の財布へのダメージは気にしていないのだろうか
その後は早速半妖の力を使って就寝中の先生の夢枕に出現し、病に打ち勝った事、妖力女子となった飼い猫とのラッキースケベライフが待っていると告げるのだった。猫耳美少女の姿で。先生曰く化け猫になったのは別にいいとして姿形は今の方がいいとの事。そりゃおじいちゃん猫が美少女になったところで…
・十御田 柑奈
薫のクラスメイトのツインテ女子。
日向と薫が管理する山から東側に位置する山の地主の娘である。
いわゆる薫へ想いを寄せる恋する乙女なのだが、彼に対してはかなりツンデレ。しかも当の薫はダラさんで頭いっぱいなので乙女的ストレスがすごいことになってるとか。でも仲は良い。
彼女の家系が管理する山に佇む墓石にはダラさん(と思われる人物)とダラさんと縁のある人物が葬られているが、長い年月の中誰の墓なのかは風化してしまっている。それでも「すごく大切にしなさい」という言い伝え通りに毎年数日かけて夜通し祭祀を行っている。
・五十子 美和
三十木谷家のお向かいに住む彼氏いない歴=年齢の26歳独身女性。描写から察するに実家暮らし。
ダラさんに勝るとも劣らない巨乳の持ち主だがちょっと腰が緩い。
男性恐怖症気味であり、親戚を除いた男性と話すのが苦手な為、普段はリモートワークでフリーデザイナーの仕事、同人活動で収入を得ている。
日本人離れした容姿で且つお向かいに住む薫は彼女にとって普通に話せる数少ない男性であり、幼少期から仲が良く薫の高い画力は彼女の仕事のお手伝いで養われた物。
その関係からか、薫に(ダラさんに貸与する為の)下着を頼まれる事に。
何より彼女は大のショタコンであり、薫に下着を貸してほしいと頼まれた際にはあんな事やこんな事を想像したり、薫の座った座布団に顔をスリスリしたり、なんと彼が小一の頃から成人になる日を今か今かと待っていたりと非常に粘着質。
でも一線は超えていなかったのでダラさんのクソ甘判定でギリセーフ。
さらに日向の誕生日に三十木谷家を訪れたダラさんを窓から双眼鏡で偵察し、ダラさんを「ふしだらな女」と一方的に対抗意識を燃やす。おまいう
やがていても立っても居られなったのか、日向へのプレゼントを持参の上で三十木谷家を訪れるが、終始ダラさんへ圧力全開でダラさんもちょっとたじろぐ程。
しかし流れでダラさんと同い年と知ってからは態度は軟化した模様。
・梛
代々山の祠を祀る巫女の名を継ぐ神職の少女。18歳の現役女子高生である。本名は二十尋 佐恵子。
金髪ツーブロックに丸メガネにパンクファッションと巫女らしからぬファッションセンスの持ち主だが、ダラさんをして「祠の修繕も儀式も完璧」「真摯に修練を積んだのは間違いない」「柏手1つで儂の術が維持できない程場が清められた」
と言わしめる程巫女としての能力と素質は確かな物がある。
だが、どうやら霊感がゼロらしいという神職にしては致命的な欠点があり、姉弟が遊んでる際に唐突に山を訪れダラさんを慌てさせるが探知されずに事なきを得た。
祠を祀るという関係上、山を管理する三十木谷家とは顔馴染みであり、特に千夜とは一緒にバンドのライブに出掛ける仲である。
・二十尋 理嗣
梛の後見人且つお世話係をしている独身の中年男性。
梛には叔父様と呼ばれているが、彼自身は男子に恵まれなかった二十尋家に養子として迎え入れており、梛との血縁関係はない。
そんな彼が後見人に選ばれたのは梛がオジフェチという個人的な理由から。
こっちもツーブロックに加え渋い表情に鋭い目付きで近寄り難い威厳を発しているが、昆虫採集やカードゲームが趣味という少年の心を持つ男性。
そして彼の部屋には制作が追い付かないのに購入するせいでプラモの数が凄いことになっており、家主から度々苦情が入るらしい。
・谷跨斑
数百年前、祠の立つ西の山と東の山を支配していた荒神の大蛇。地の文ではダラさんと区別するためか「おろち」と呼ばれている。
当時山の麓で暮らしていた村人は山神として大蛇を祀り、生贄を捧げる事でどうにか暮らしていたが、村を訪れた祓い家によって退治され、その際に首と胴体に分断されてそれぞれ首は西の山、胴体は東の山に封印される。
その後胴体は諸事情あってダラさんの下半身となるが、首は未だに人知れず眠っており、復活の機会を虎視眈々と狙っている。
まず手始めに封印の隙間をくぐるほど僅かな妖気を少しずつ練り固め、魂の分身を作る出す事で転生を図るが、絶望的なガチャ運で9回の転生でガガンボだのアブラゼミだの杉の木だのハズレばかり引き当ててしまい(しかも計4回イシガメ)300年程無駄に過ごす事に。
それならばと作戦を変え、行動こそ制限されるが、力のある肉体を選択する事ができる「憑依」させる事を思い付く。
その憑依先に選ばれたのが…⬇
本来残虐(一応本性は現在も変わってはいない)なのに転生ガチャの失敗もあってか知能も微妙に低下しており、地の文にすら馬鹿にされることも。
現在の姿ではダラさんにバレたら即祓われるのもわかっているため、内心血が出るほど歯噛みしながら正体を隠してヘコヘコしている。
しかし弱体化したといっても元が荒神であるため、そこいらの怪異では太刀打ちできないほどの力は今もある。
同化していたよしみからか生前のダラさんの境遇に対して思うところはあったらしく、真面目に思いを馳せることも。
・初瀬川 周
日向のクラスに編入してきた転入生。ミステリアスな雰囲気と黒い制服でかなり妖艶な雰囲気を醸し出す。
12歳の頃、彼女の高い霊力に目を付けた谷跨斑が憑依先として選ばれてしまうが、憑依の衝撃に耐えきれず昏睡状態となってしまう。
この事態は想定外だった谷跨斑は周が憑依に耐えられるように身体を作り替える事に霊力を使わざるを得ず、数ヶ月で12歳の周の肉体を15歳相当まで急成長させた。
しかし、その成長に力の大半を使ってしまった谷跨斑は因縁の相手であるダラさんにすら気付かれないほどに弱体化してしまい、チンアナゴ蛇の背後霊として潜伏せざるを得なくなってしまった。
憑依した谷跨斑の思考が行動に反映されるのかダラさんと縁の深い日向の情報を聞き出そうするが、幸か不幸か2人は幼稚園時代の顔見知りであり、その時に7度も救われた(約半分がお漏らし関連)とかいう恩で一方的に恋心を抱いていた。
幼稚園当時は日向を男と思っていたが、再会した事で女子だと気付く。…が、「性別なんてこの際どうでもええやろ」と特に気にしていない様子。
しかも頭の中身は12歳頃と変わらない為、日向絡みになるとグフフだのゲヘヘだの不穏を笑いを漏らす上、谷跨斑の思想に反してホイホイ好きに行動してはトラブルに巻き込まれ、せっかく蓄えた妖気を消費させられるという(谷跨斑からすると)かなり苦労が絶えない日々を送っている。
でも日向の明るくフレンドリーな性格のおかげで今ではすっかり仲良しである。
【過去編】
数百年前、人であったダラさんが祟り神と化すまでの経緯を描いた前日談。
本編と違い、かなりショッキングな描写が多いため苦手な方は要注意。
【過去編のあらすじ】
昔々、西と東2つの小さな山の麓に2つの村があり、その谷間には自らをヌシとして振る舞い、人や牛馬を喰らう巨大な恐ろしい蛇が棲んでいた。
当時山の麓に住むしかない村人達は蛇を山神として祀り、生贄を捧げる事でどうにか暮らしていた。
そんな中、姉妹巫女を連れた父母の祓い屋が村を訪れる。村人は祓い屋を温かく迎え入れ、姉妹巫女もその恩に報いようと大蛇退治を決行する。
三日三晩の激戦の末大蛇は首を落とされ、首は西の山、胴体は東の山に封じられた。
大蛇から解放された村人達は深く感謝し、祓い屋を封を守る神宮として村に受け入れた。各地の旅で根無し草の祓い屋もこの申し出を受け入れ、ようやく村に平穏が訪れた。
大蛇から滲み出た怨念、呪詛を多く含んだ血が山の地に染み込み、その穢れてしまった山の井戸から生活水を得ていた西の村には病が蔓延ってしまう。
程なく井戸の水が原因と分かると、西の村人達は東の村に流れる川の水を使わざるを得なくなり、いつしか西の村にはそれを煩わしく、疎ましく思う者が増えていった。2つの村はここから狂い始める。
【過去編の登場人物】
・妹巫女
屋跨斑を封じた祓い屋一家の1人である姉妹巫女の妹。漫画を読むとすぐ分かるが、人間時代のダラさんである。
この頃の名前を何故かダラさんは忘失しており、どれほど時間をかけようと思い出せずにいた。そのため妹巫女の名前の部分は黒く塗り潰されており読者にも分からないようになっていた。
手足の全体にケロイドの様な傷跡が残っているが、これは彼女が紙が貴重な時代の人間だった事に加え、墨は即応性に、木の板は携帯性に欠けるという理由から自身の身体に速急に術を施す状況に陥った際は小刀で身体に文字を直接彫り込んでいた事による傷跡である。
彼女は姉巫女に比べると容姿に劣るという理由で一家の中でぞんざいに扱われており、大蛇討伐後、胴体の封を見守る巫女として独立させるという名目で貧しい東の村の、荒れ果てたあばら家に追いやられてしまうが、元々優しい性格の持ち主だった為、村人からは温かく迎え入れられた。
妹巫女も初めて己に向けられる好意に戸惑いながらも平穏を噛み締めており、そんな村人達に報いようと僅かに身につけていた医療の知識を駆使して献身的に村人達に尽くし、その噂は西の村にも届く程。
やがてその噂を聞き付けて西の村から妹巫女を訪れた青年大工の十郎太と恋仲に発展する。
が、姉巫女も十郎太に片思いしており、その様子を目撃した姉巫女から激しい逆恨みと嫉妬を向けられてしまい、東の村に対する西の村の身勝手な逆恨みを利用して井戸を穢した元である屋跨斑と自らにとって邪魔な妹巫女を纏めて始末するという恐ろしい計画の対象となってしまう。
そして計画実行日、妹巫女を疲弊させる為に姉巫女が封印を解いた屋跨斑の胴体を再度討ち取り、気が緩んだ所を西の村の男衆に襲われ、訳も分からぬまま四肢を絶たれ達磨状態の瀕死となった所を鬱憤を溜めていた姉巫女にトドメを刺されこと切れる。享年26歳。しかし…
姉巫女「まさか…ありえぬ…!!」
両親に蔑まれる生活の中でも、姉巫女だけは慕い、信頼していた妹巫女。そんな姉巫女の裏切りは、心優しい妹巫女を絶望させ怨霊と足らしめるのに十分なモノだった。
妹巫女は同じく西の村人を恨む屋跨斑に切り落とされた自らの脚と魂を捧げる事でひと時、約2時間屋跨斑の身体を「借りる」と、恨みと怒りと憎しみに突き動かされるがままに、まずは姉巫女から手足を引きちぎって殺害し、次に計画に賛同した両親、そして関わった西の村人をも皆殺しにしてしまう。
心の片隅に十郎太を思い浮かべながら。
やがて彼女の意識は屋跨斑に取り込まれてしまうが、屋跨斑が傷を癒すために眠りについた隙をついて十郎太の夢枕に姿を現し、屋跨斑に施した3つの術、それに関する説明が書かれた木簡を残し姿を消す。
そして彼女の身体は妹巫女と屋跨斑双方の意識が行き来しながら数百年悠久の時を過ごすことになる。
・姉巫女
妹巫女と共に屋跨斑を封じた祓い屋一家の長女。名前は椿。
妹巫女に比べ麗しい見た目の持ち主であり、オマケに巫女の才能も優れている事もあり両親の寵愛を一身に受け溺愛されながら育てられた。
そのおかげで妖との戦闘等の荒っぽい面倒な仕事は妹巫女に押し付けており、自身の身体を傷付けるのも嫌がった為に術を身体に彫り込む事も無いため妹巫女とは違いキレイな身体をしている。
皮肉にもその経験で妹巫女は姉巫女と同等かそれ以上とされる腕前を身に付けることになるのだが。
大蛇討伐後に妹巫女を東の村に追い出した後は豊かな農作地を持つ西の村に新築された神社と家で両親と共に暮らすというあからさまな展開に。
そしてその神社が建つまでの間に建築に携わっていた十郎太に片思いするが、彼は姉巫女に尊敬こそ抱いていたものの見抜きもせず、上述の通り妹巫女と密接な関係になった事で妹巫女に対して激しい逆恨みと嫉妬を燃やす。
それに加え、西の村では屋跨斑の血で穢れた井戸水の件で東の村に対するヘイトが高まっていた事もあり、西の村人の矛先が自分に向くのを防ぐ為、そして恋敵となった妹巫女の始末を同時に達成できる計画を立てる。
それは↓
①屋跨斑の胴の封印を解き、対処させる事で妹巫女を疲弊させる。
②嘘を吹き込んで唆した西の村人に妹巫女を襲わせ四肢を絶たせる
③恨みを程々にする為と自らの溜飲を下げる事を兼ねて妹巫女にトドメを刺す
④再度討伐した屋跨斑の胴と妹巫女の死体を組み合わせて式神とする
⑤その式神を率いて屋跨斑の頭を滅ぼし、井戸の穢れの元を根本的に消し去る
という人でなしの域を超えた悪鬼の如き計画。
手始めに西の村人に「井戸が穢れたのは私に恨みを持つ妹巫女が胴の封印を緩めたから」「妹巫女は東の村人を唆し豊かな西の村を狙っている」と嘯いて計画を発動させ、自作自演で屋跨斑の胴の封印を解くと、妹巫女の負担が増えるように立ち回り彼女を疲弊させ、打ち合わせ通りに西の村人が妹巫女の四肢を断ち切るのを高笑いしながら眺めた。
そして瀕死となった妹巫女を今までの鬱憤を晴らすためにメッタ刺しにして殺害した。この様子は先程まで狂気に呑まれていた西の村人でさえ恐怖を抱く程。
姉巫女の外道ムーブはまだ留まる所を知らず、証拠隠滅の為に自分に協力した西の村人をその場で皆殺しにしてしまった。
これで計画は全て順調に進んだかと思われたが…
姉巫女の唯一の誤算。それは自らが妹巫女にトドメを刺した事でその絶望から妹巫女の魂が怨霊と化し、己の魂と力を喰わせる事で屋跨斑と混ざりあった事。
想定外の事態に対処が遅れてしまい、隙を見せた事で両足の骨を瞬く間に粉砕されると、そのまま宙吊りにされ、生きたまま手足を1本ずつ食いちぎられて息絶えた。
結果的に妹巫女への仕打ちがそのまま自分に帰ってくるという自業自得な最期を迎えた。
それに加え、妹巫女殺害の手順を記した竹簡、つまり犯行計画書をそのまま神社にほったらかしにしておくという大ポカをやらかしており、よりによってそれを事件解決のヒントを求めて神社を訪れた十郎太に発見されて読まれてしまう。
呪術には素人な彼だが当然その悪意は充分に伝わり、姉巫女への尊敬もキレイに吹き飛んだのは言うまでもない。
・巫女姉妹の両親
本名は不明。上述の通り屋跨斑討伐前から容姿に劣る妹巫女を「客人がおる時は出てくるな」「双子の忌み児」と蔑んで姉巫女を溺愛し、さらに扇動されたとは言え、姉巫女が提示した妹巫女殺害計画を受け入れるという親どころか人間性もどこかに置いてきたような愚物。
そんな邪魔な妹巫女を今まで何故追い出さなかったのかと言うと、祓い屋としての腕前が良かったからという何とも小物臭い理由。
更に後述するように、自分達が命の危機に陥ればあれだけ溺愛していた姉巫女をあっさり切り捨てたり、お互いを盾にしようとする節も見せるなど、どこまでも性根が腐り果てている。
件の日の夜、自宅にて姉巫女の帰りと吉報を待っていたが、姉巫女の死体がデコイとして使われた際の会話から両親共々黒と判断され屋跨斑と化した妹巫女の襲撃を受ける。
父親の方は姉巫女に責任を押し付けみっともなく弁明しようとしたが、恨みと憎しみに突き動かされている妹巫女に通じるはずもなく、姉巫女同様に手足を引きちぎられて殺害された。
ある意味では姉巫女も、この両親の歪みきった教育による被害者と言えるのかも知れない…
・十郎太
西の村で暮らしていた腕のいい大工の跡取り息子。時代背景的に当時の大工は花形の高収入であり、おそらくまだ10代後半か20代前半の若者でありながら今で言うエリートの様な人物。
屋跨斑討伐後、神社と両親と姉巫女が暮らす家を村の若い衆を率いて時間をかけて建築していた。
青年、エリート、そして大工仕事で鍛えられたであろう変態とまではいかないがムキムキな引き締まった身体とモテる要素の塊であり、神社を建築する期間に姉巫女に惚れられるようになる。
しかし彼は姉巫女の片思いを知ってか知らずか、妹巫女の噂を聞き付けると、仕事の合間に彼女のあばら家の修繕に通い続け、共に畑仕事や山菜採りに励んで恋仲に発展していく。
結果的にその様子を姉巫女に目撃され、嫉妬の末妹巫女が謀殺されてしまうが、姉妹の確執は知りようもないので彼にとってはとんだ災難である。
過去編の最重要人物その1。
件の日、東の村への落雷の音で目を覚ました彼は妹巫女の身を案じて土砂降りの中あばら家に走るが、そこで異常な速度で風化していく屋跨斑の胴、姉巫女に皆殺しにされた西の村人、斬り落とされた妹巫女のケロイドが残る手足を発見する。
ショックで呆然としながら怨念と憤怒を発して落ちている左腕に触れようとすると、直接は触れられなかったが凄まじい瘴気に当てられてしまい、意識朦朧としながら誰もいない妹巫女のあばら家に辿り着き、そこで彼女が死んだと理解すると嗚咽しながら気絶するように眠った。
翌日の朝、重い足取りで西の村に戻ると、そこに妹巫女襲撃の犠牲者達が並べられており、全員が妹巫女殺害に加わり東の村に恨みを抱いていた者である事、今回の惨劇がまだ終わっていない事を知る。
そして神社に残された資料から姉妹巫女の師匠に当たる人物がいる事を突き止め、事態を収める為の教えを請う為に一人京に赴く事になる。
妹巫女が異形と化してなお一途に愛し続け、自らの一生を捧げた今作屈指の漢。
・観重
神社に残された紹介状を発見した十郎太が訪れた、京から離れた山間部に孤児と共に暮らしていた老人。
かつては陰陽師の弟子だったが、外法をも見境なく学んだため破門された過去を持つ。
そんな事もありちょっと危なげな雰囲気だが、山での惨状を聞くとあまり先が長くない寿命でありながら「ケツを拭くのもめんどくせぇが師の務め」と十郎太を弟子に取るという責任感と面倒見の良さを併せ持つ。
その際、「俺の教えた弟子が俺の教えた外法でやらかしたのなら」というセリフから、姉巫女の外道なやり方も彼が授けた可能性が…
まずは2ヶ月間、観重宅で基礎知識を授け、老体を押して十郎太と孤児の3人で山へ向かい、そこで5年の間呪物を祀る祠と新たな神社の建築等尽力し静かに息を引き取る。
現在まで受け継がれる処置や術の基礎を築いた、過去編の最重要人物その2。
・みつ
観重が引き取り育てられていた孤児の女の子。
かなり人見知りなようで、観重宅を訪れた十郎太を手厚く歓迎した。
観重が山に向かう際、何故か家に残るように言っても断り山に着いてくる。十郎太と共に事態収拾に務める等タダの子供じゃない描写がされていたが…
実は彼女は一を聞いて十を知る、言わば「神童」であり、13歳となった彼女は観重の死後、彼から全てを引き継いで幼名を捨て「梛」となり、十郎太の3人目の師匠となる。
1人目の師匠?大工の師匠だよ。
流石にこの頃には十郎太ともすっかり打ち解けているので安心して欲しい。
過去編の最重要人物その3。
【その他ダラさんワールド用語集】
・応神町
ダラさんを始めとした主な登場人物達が暮らし、今作のドタバタが繰り広げられる架空の町。「おうじんちょう」と読む。
詳しい所在地は不明だが、町民が関西弁で話したり、海無し県という薫のセリフ、車で明石海峡大橋に到達可能な事から近畿地方の内陸部に位置する設定と思われる。奈良県辺りだろうか。
市町村区分が町と言う割には町内に独立した中学校、2つの小学校が建っていたり、広い河川敷があったりとそこそこの規模を持つ。
さらに電車で40分足らずで都市部まで到達できたりとアクセス面も良い。意外と住みやすそう。
頻繁に物語の舞台となっておきながら、単行本の紹介ページを除くと滅多に町名が書かれないためかなり影が薄い。
・酉貴山
作中、西の山と呼ばれる小さめな山。谷跨斑の頭、それを封じ込める祠が建つ禁足地兼ダラさんの居住地を持ち、麓にはそれを管理する三十木谷家が暮らしている。「ゆきさん」と読む。
ダラさんが人間だった数百年前は麓に村が存在し、農作地に恵まれていた事で隣の東の村との経済格差が生じており、この事が西の村人が東の村を見下す原因にもなっていた。
姉巫女の起こした策略、屋跨斑と化した妹巫女の襲撃で男衆の大部分が死亡し、働き手が激減してしまう。
その結果見下していた東の村人の手を借りなければ遺体の焼却もままならない状況に陥ってしまったのは皮肉な事である。
・卯駒山
西の山に対して、こちらは東の山と呼ばれる山。「うこまさん」と読む。この山の地主が十御田家。
元々農耕に適した土地ではないようで、農作物に恵まれず村民は貧しい暮らしを強いられていた。
大蛇が討伐された後、西の山同様にこちらも大蛇の呪詛を含んだ血が山に滲み出てしまうが、こちらは西の村と違い川の水を生活水として使用していたので病が流行らずに済んでいた。
西の村の井戸は水と一緒に穢れを蓄積させ、それを飲んで発症していたのに対し、川の水は絶えず流れているため穢れを溜め込まずに済んだという訳。
件の夜以降は人手が激減した西の村と協力し合う関係となり、自然と合併という形に落ち着いたようである。
・平尋神社
2つの山を見上げるように佇む大きくもないし小さくもない神社。歴史は古く町民からは愛されており、現役女子高生の梛が巫女を務める。
日向と薫がダラさんと行きたがったお祭りもこの神社の例大祭。
この神社には御神体として2色の石が絡んだ様な奇っ怪な見た目の物体が祀られている。
とても自然に発生したとは思えないその石からは何故かダラさんは懐かしい気配を感じているようだが…
・上梛の祠
三十木谷家が受け継ぐ山に佇む祠。梛は神木を意味し、山の護りを表している。
昔は「神凪」と呼ばれており、凪は風や波が穏やかな事、即ち山の神が荒ぶらぬようにとの願いが込められていたが、当時の識字率の低さと長い年月の風化が合わさって今の呼び名になったらしい。
中身はダラさん曰く「相当ヤバい代物」であり、誰も触れることがないようワイヤーでガッチリ閉じられている。
普段はマイペースフリーダムな三十木谷姉弟も祠には近付かないようにというダラさんの言いつけはしっかり守っている。
そしてその祠の中身というのが…↓
・巫女の左腕
板に打ち付けられた状態で呪符で包まれ、そして箱詰めされて祠に収められている呪物。何を隠そう、人間時代のダラさんから切り落とされた左腕である。
理不尽に腕を切り落とされた恨みから、不用意に触れた者に対してその苦痛と苦しみを与える呪いを無造作に振りまき、触れた者はたちまち手足が捻り潰されてしまう。呪いが続く限りはこの腕も腐ることも無く、数百年の時間が過ぎていながら当時の状態を保ち血も滴る。
しかし、妹巫女の村を護りたいという思いから、その恨みや怒りを薪として得た呪いの力を屋跨斑の頭の封印に費やすという、妹巫女の恨みと優しさが歪に混ざりあった代物。
元々はダラさんの身体の一部とはいえ、長い年月祀られた事でダラさんとは別系統の神格化を遂げており今となっては別物で誰にも制御出来ない。
ダラさんも「あればっかりは儂とて助けられぬ」と言い切る程の一級品であり、現時点で触わって死なずに済んでるのは千夜のみ。
それも大きな人型の呪符?をかぶせる様な形で回収し、それでもなお千夜は鼻血を流していたほどであり、もしかすると直接手で触れれば彼女ですら危ない可能性もある。
・異界
ダラさんが鳥居に似た門(通称鳥居ポータル)を開く事で行き来できる現世とは次元がズレた空間。この空間に人が迷い込み、現世から隔絶される事で起きるのが神隠し。
深さに段階があり、1番浅い深さだと周りの物体には触れられないが、景色はほぼそのままで明るく、1週間いてもなんの影響もない。
深くなるほど周囲は暗くなり、妖怪や怪異等の異形が闊歩し、さらに瘴気が身体に蓄積していきやがては異界に取り込まれてしまう為、生身の人間が長居するのは極めて危険。
ダラさんは専らこの空間を山での自殺者の神隠しや、呪物に触れた事で呪われた人物から呪いが伝搬されるのを防ぐ為の処理先として使っている。
・ダラさんハウス
異界のそこそこ深い場所に佇む一軒家。ダラさんの家と言うよりは、異界に飲み込まれた家を彼女が見つけ、寛ぐ場所として度々訪れている形である。本人もそう言ってるし。
40年程前に何らかの理由で異界に取り込まれたらしく、その日から時間の流れが止まっておりテレビでは当時の番組が延々と繰り返され、飲食物は腐らず、植物も育たず、ボットン便所は底なしの真っ暗、でも電気もガスも問題無く使用可能という摩訶不思議ハウス。ただ元の住人がどうなったのかは不明。
異界に存在する都合上、瘴気に加え妖怪の脅威に晒される為普通の人間にはとても来れる場所では無いが、下記の綱守があればこのデメリットをほぼ無視できてしまうので三十木谷姉弟の都合のいい遊び場と化してしまった。
もちろん使いっぱなしという訳では無く、大晦日には大掃除を施し、ボロボロだった障子もキレイに張り替えたりとアフターケアもバッチリである。え?そういう問題じゃないって??
・綱守
そんなダラハウスに泊まりたがる三十木谷姉弟の為にダラさんが自身の髪を切り、髪を編んで唾を含ませ符で包んだ物。
念が篭もりやすい髪に魔除けの効果がある唾を含ませる事で非常に高い護りの効果を持ち、これを身に付けておけば異界の瘴気を吸ってくれる上に妖怪に気取られる事もないので異界に入る際の必須アイテム。
薫は出来たてホヤホヤのこれにしゃぶりついてダラさんの唾液をチュッパチュッパして彼女をドン引きさせた。
・お守り
ダラさんが日向の誕生日にプレゼントしたダラさん自作のお守り。中身はなんとダラさんの舌の肉。
非常時はこれを口に含んだり血液をかけるとダラさんに「贄を捧げた」形となり離れていても遠隔で山神であるダラさんの加護を受けることができるびっくりアイテム。
実際作中使用され、そこそこ力を得た悪霊相手だったがワンパンしてしまった。
当然薫も欲しがるが、それを見越していたダラさんはちゃっかり作ってくれていた。
そしてお守りパワーを見たがる薫は無言でダラさんの舌の肉をしゃぶり続け彼女をドン引きry
・嚙礫
ビームを撃ちたがる薫に例としてダラさんが披露した術の1つ。
石に呪文を刻み、口に加えて吹き出すと石が勢いよく射出されるというもの。
生前は幹に食い込む程度だったらしいが、祟り神となった今では大木を何本も貫通しなぎ倒すという対戦車砲レベルの凄まじい貫徹力を発揮する。
その兵器の如き破壊力に流石の薫も絶句したが、「すごいけど、ビームとは違う!!」というなんか違う気がする理由であえなく不採用となってしまった。
・ダラダラダラさん
薫が筆木先生に制作してもらった抱き枕。見た目はダラさんを小さくしてデフォルメしたようで非常に可愛らしい。
しかし、その中には薫がかき集めたダラさんの髪の毛が詰め込まれている。山神でもあるダラさんの髪を集め、人形に詰め込んで名前と身体を与えるというヤバすぎる手順で作られており、分類上は呪いの人形。
とは言っても念が籠る髪の持ち主が三十木谷姉弟にはクソ甘なダラさんである故に、基本的には三十木谷家の人間には人畜無害。それどころか家の中で怪奇現象が発生すると、夜中包丁を手にひとりでに動き回り発生源を襲撃するというここでもお人好しぶりが発揮される。
1度千夜に見つかっているが、千夜もダラさん推しなので「カッコええよね!!」と問題視されなかったどころか、彼女も気に入って欲しがっているとか。…いーのかそれで。
そしてある回でこれを持ち込んでいたことが功を奏し、ダラさんと三十木谷姉弟の窮地を救うことになる。
日向「追記なら修正もしときましょっか?」
薫「蛇巫女ってタイトルとかエッチだと思います」
ダラさん「そういうんじゃなくてさ???」
- 現代編では悪人が全然出てこないんだよな -- 名無しさん (2024-10-08 22:14:49)
- 三十木谷姉弟の多趣味っぷりは凄い -- 名無しさん (2024-10-08 22:48:56)
- 会員限定のえっちな書き下ろし大好き -- 名無しさん (2024-10-09 03:10:34)
- 迷惑系動画配信者は自業自得の呪いで勝手に死んだんだろう。ダラさんがやったのは呪いの拡散を防ぐのと死体を操って何もなかったかのような動画を作ったことと死体の始末だ。 -- 名無しさん (2024-10-09 09:00:01)
- ↑蟲「始末は自分やで」って顔 -- 名無しさん (2024-10-09 09:05:04)
- コメディ一辺倒と思ったらしっかりホラー要素もあるんやな -- 名無しさん (2024-10-09 11:54:14)
- タグの声優は、宣伝動画に出演した方々だっけ? -- 名無しさん (2024-10-09 20:30:10)
- ダラさん苦労人(人じゃないけど)気質だよね -- 名無しさん (2024-10-09 20:42:54)
- 累計200万部に劇場版アニメにアプリゲームにスピンオフ いやー大ヒットですな! -- 名無しさん (2024-10-09 21:53:59)
- 作者本人が描いた同人誌にとてもお世話になりました -- 名無し (2024-10-10 08:59:56)
- ダラさんのページだヤッター! って所要時間オイィィ!!! のんびり読んじまったじゃねーか! -- 名無しさん (2024-10-10 11:50:42)
- 今後アニメ化されるなら越したことはないが、個人的にはボイスドラマの方をレギュラー化して欲しい。てか一本だけあるのも区切りが中途半端、普通なら日向の性別公開まではやる所でしょ -- 名無しさん (2024-10-10 15:24:43)
- あれ?この項目立ってなかったっけ?前にここで見たような記憶があるんだが -- 名無しさん (2024-10-12 18:12:21)
- 迷惑系動画投稿者(の死体)の後頭部…というより脳みそに指つっ込んで動かして喋らせてたから、そういった能力もお持ちのよう。 -- 名無しさん (2024-10-31 22:55:09)
- 彼は姉巫女に尊敬こそ抱いていたものの【見抜きもせず】そらしねぇわ草 -- 名無しさん (2025-01-03 18:13:57)
- 変な苦労を重ねて憎めないギャグキャラ化した谷跨斑より、姉巫女の方が凶悪なのが何とも -- 名無しさん (2025-01-09 22:49:39)
最終更新:2025年03月24日 21:21