登録日:2025/02/02 Sun 11:08:47
更新日:2025/02/03 Mon 22:39:13
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シーズントライは2001年から2002年に、ファーストトライセットは2001年に発売された、プラレールのオールインワンセット商品群のことである。
シーズントライは季節の風景を再現したオールインワンセット品、ファーストトライセットは初心者に向けたコンパクトかつ、セット同士の併用が可能な製品と、今までのプラレールにありそうでなかった商品である。
特にシーズントライのコンセプトである「鉄道と四季」は昔から鉄道写真でも人気ある題材故に、コレクター達はそうしたセットを集めて、冬ならば東北・北陸地方の北国を走る車両を、夏なら臨海部や海辺を走る車両を走らせる、ジオラマ的な楽しみ方も出来るため重宝されている。
シーズントライ
2001年に「紅葉」、2002年に「桜」の2種類が発売。レイアウトはどちらも半周地平、半周高架(坂曲線レール2段分含む)と大枠は同じだが、レイアウト内容は両者ともに異なる。
シーズントライ紅葉
電車に乗ってもみじ狩りに出発!(同セットパッケージのキャッチコピーより)
2001年に発売。紅葉風景で人気の青梅線をイメージしたセット。アソート内容は以下の通り。
- レールは直線レール1本、ストップレール1本、曲線レール4本、坂曲線レールA・B各2本。
- 車両は青梅線で発売当時運用されていた、オレンジバーミリオン色の103系をイメージした、「プラ電車」、「電車」と呼ばれる製品が採用された。1999年の「復活!プラ電車トリオ」に収録されたオレンジ色のプラ電車が再収録され、オールインワンセットでは1979年絶版の「電車セット」以来20年以上ぶり、尚且つ最後の収録となった。ただし、なぜかパッケージの写真には101系が使用されている。またこの金型車両としては初めて方向幕と列番表示も書き込まれた。
- 情景部品は特別仕様のもので統一され、立木やトンネルが紅葉カラーに、架線柱がリアルなグレーに、鉄橋がクラシカルな茶色に塗色され、「いなかの駅」は、青梅線古里駅をイメージしている。
シーズントライ桜
ビスタカーで桜の古都へ!(同セットパッケージのキャッチコピーより)
2002年に発売。桜の名所である京都や奈良をイメージしたセット。アソート内容は以下の通り。
- レールは直線レール1本、1/2直線レール2本、曲線レール4本、坂曲線レールA・B各2本に、レールと接続する情景として特別カラーの音入り踏切、街の駅を収録。
- 車両は近鉄30000系ビスタ3世を収録。実車は発売2年前の2000年までに全車ビスタEXへのリニューアルが行われていた。
- レールに付帯する橋のパーツは「紅葉」とは異なる形状のもので、青色に塗装されている。また、立木と並木は桜色に塗装されている。
ファーストトライセット
2001年に7種が発売。名前の通り、初めてプラレールに触れるユーザーのための入門セットとして発売された。新幹線に特急列車、貨物列車と、鉄道玩具ではオーソドックスなメンツが入った初心者用セットであるが、各セットに収録された車種が少々マニアックであった。この頃の製品は他にも時々爆弾のような大きいお友達向けのものがちらほらと…
また、一部セットはポイントレールを設置し、他のセットや既にユーザーが持っているレールとの接続も考慮されており、経験者が購入しても楽しめるように配慮されている。
しろ・あか・あお
色の違うセットとの接続が考慮されている。白・赤は曲線レール6本に車止め1個と、白はターンアウトレール1対を、赤は8の字ポイントレール1対を収録。青は曲線レール4本・曲線外側レール4本、単線複線ポイントレール1対を収録。
収録車両は白が
300系新幹線の先頭・後部2両、赤がDD51形ディーゼル機関車とコンテナ貨車1両、青が165系電車を113系の横須賀色に塗ったものの先頭・後部の2両が収録されていた。当時は現役で貨物列車に採用され、ついに実車に近い塗装で発売されたDD51はともかく、新幹線といえど、花形の「のぞみ」定期運用から当時陥落した300系というやや渋めのセレクト、さらには111系列の金型を用意していない事情はあるとはいえ、21世紀にもなってウソ電が収録される事態が発生した。
しかも「東海型急行の横須賀色2両編成」というのは
超のつく珍品である「近郊型でんしゃふみきりえきセット」の再現というプラレーラー的にもマニアックな代物であった。
みどり・きいろ・こん
曲線レール8本を使用した、一番シンプルなエンドレスレイアウトを組めるセット。
収録車両は緑が
200系H編成の中間車が2階建て仕様、黄色が近鉄23000系伊勢志摩ライナー、紺がEF66形とシキ800である。なお、いずれもこのセット限定の編成を組んでいる(200系のみ後に「200系東北新幹線」としてイベント限定で再録されている)。
伊勢志摩ライナーはともかく、200系H編成は当時併結運転が可能である
E2系・E3系・E4系の増備により立場を失っていた時期であったし、シキ800はマイナー気味な貨車でありセレクトが渋い状況であった…のだが何を思ったかその後青いものがEF210に付属する形で通常ラインに加わり、現在も販売されている。
EF66はよりリアルなカラーリングとなった他初めて機番指定がされ、11号機となった。但し前面ナンバープレートのモールドが改修される前なので現行品とは異なり側面のみ記入されている。尚EF66を保有する会社は
JR貨物と
JR西日本のみなのだが許諾表記が何故か
JR東日本となっている。
23000系は
21000系の金型を流用し、両側先頭車にパンタ無し先頭部を取り付けたもの。更に現状これっきりの発売であることも価値を高めている。
なお、緑のみ信号が収録されている。在来線車両を含むセットに収録されず、新幹線車両を含むセットに収録されているという逆転現象が起きた。
くろ
基本的にプラレールはそのセット内で走行が可能なように、エンドレスレイアウトを収録するのが定例であるが、こちらは単線複線ポイントレール1本に分岐先それぞれに向けて直線レール2本、分岐元に1/4直線レール1本と車止め、情景として白い車庫を置いている変わり種セット。レールや車止めもリアル寄りなグレー色なのが特徴。
D51型蒸気機関車の882号機を収録。
882号機は奈良地区に配置されていた機関車で、それ故除煙板に鹿と月の装飾がなされていたのが特徴。現在も大阪府茨木市内に装飾付きで保存されている。
パッケージにも「D51形882号機をカッコよくディスプレイ」と楽しみ方が書いてあり、プラレール市場でもかなり珍しい、ディスプレイ向けモデル。ディスプレイモデルといっても車両自体は動力車なのでレイアウトさえ組めば走らせることは可能。
ただし、プラレールは拡張性の高い玩具であるため、他のレールと併せて購入するユーザーのために、あえてこのようなセットも販売されたのではないか、と考えることもできる。
展開終了後の類似製品
シーズントライ、ファーストトライ、いずれも好評だったためか、後年にも季節をイメージしたセットおよびセット間での接続を考慮したセットが何度も発売されている。
- 江ノ電海の見える旅セット(2002年):江の島や鎌倉大仏など、独自の情景パーツを収録。シーズントライセットで扱われなかった夏の風景担当と考えられる。2005年にはプラキッズと大仏の代わりにプラロードを収録した「江ノ電電車とバスの旅セット」も発売。
- 僕の街の電車セット(2002年):JR旅客各社の普通列車で、当時商品化されていない車両を収録。セット同士をすべて接続すると日本地図が出来上がる。函館大沼号、207系、313系に至っては仕様を変えたうえで後に単品売りがされた。
- サウンド除雪DD14重連セット(2004年):除雪車と雪景色をイメージしたセットは1970年代に発売されたことがあるが、シーズントライセット展開後に初となる、冬の景色を再現したセット。働く車的需要からか、2009年にはサウンド機能を廃止した「除雪アクション!DD14+DE10特雪セット」が発売。
- C57ばんえつ物語号セット(2005年):磐越西線沿線をイメージし、桜の立ち木を収録。2009年には桜の立木を減らしたものの、鉄橋の入るレイアウトで、実車のリニューアルを反映し客車の塗装を変えた「C57 180号機蒸気機関車ベーシックセット」が発売。
- 雪国レールセット(2007年):2007年のプラレール博にてイベント限定品として発売されたレールセットで、雪を被ったような真っ白なレール・橋脚・トンネル・立木のセット。この手のイベント限定品としては異様にロングセラーで、現在もイベントやプラレールショップで購入可能。
- 景色のカラーレールキット(2023~2024年):2009年のDD14とC57のセット内容変更版を最後に、10年以上季節関連の商品は販売されなかった。しかし、2023年末から季節ごとに冬の雪景色をイメージした、白いレールの含まれる「雪と鉄道」、春の花畑をイメージした、ピンクや紫、黄色のレールが含まれる「花と鉄道」、夏の大海原をイメージした、濃淡2種の青と波のように白いレールの含まれる「海と鉄道」、紅葉をイメージした、黄色、橙、茶色のレールの含まれる「紅葉と鉄道」の4種類が発売された。レイアウトの形状も、「雪」が雪だるま、「花」が桜の花びら、「海」が波、「紅葉」がどんぐりと、季節のものをイメージしており、芸が細かい。
追記・修正は横須賀色の165系を見たことがある人にお願いします。
最終更新:2025年02月03日 22:39