E2系新幹線電車

登録日:2025/01/30 Thu 13:25:49
更新日:2025/04/16 Wed 21:36:07
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E2系新幹線電車とは、JR東日本の新幹線電車である。


概要

東北上越新幹線で開業から使用していた200系の置き換え及び建設中だった長野新幹線に対応する汎用型車両として開発された。

1995年に量産先行車が登場し、以降2010年まで仕様変更を重ねつつ15年という長期にわたり増備が行われた。
この期間、東海道山陽新幹線では300系・500系・700系・N700系と矢継ぎ早に4形式が導入されていることを考えると、東北系統と東海道系統の新幹線ニーズの違いが如実に現れたといってもいいだろう。
JR東日本の新幹線電車では唯一、東北・上越・北陸の3路線で定期運用を持った形式である。

車両解説

共通事項

デザインは福田哲夫によるもので、「優雅さと先進性、さらに快適さ」を求めたコンセプトとしている。

塗装は上半分が白、下半分が紫苑のツートンカラーで中央に帯が入り(詳細後述)、この意匠は以降登場するJR東日本の新幹線各形式(リニューアルや塗装変更含む)にも採用された。

制御方式はE1系に続きVVVFインバータを採用。GTO世代が東芝・日立・シーメンス、IGBT世代が三菱電機・日立製。
…「シーメンス?じゃまさか…」と思った方もいるだろうが、E2系の場合は設定により起動時の音階を止めてあるため「あの音」は出ない。
逆に言えば設定を変更すると…?尤も、更新などでGTOインバータ車が消滅した今となっては真相は闇の中、ではあるが。

主電動機は定格300kWのMT205。WN継手を介してギア比1:3.04で車輪を駆動する。
北陸新幹線の急勾配対応と、260~275km/hの高速性能を両立させるため、許容回転数6120rpmという超高回転型のモーターとなっている。
鉄道車両全体で見てもこれ以上の回転数を出せるのは、東武30000系のTM-95(6600rpm)、E351系のMT69(7000rpm)と限られた機種のみである。

製造グループ

大別するとJ編成N編成の2編成、0番台と1000番台の2グループに分けられる。
両者の違いとして車体中央に入る帯の色があり、当初はJ・N編成共に赤だったが、J編成は1000番台登場以降つつじピンクに変更された。
また、初期の製造グループは0番台、後期の製造グループは1000番台に区別され、側窓の大きさが異なる。

  • J編成
東北新幹線での運行を前提に製造された編成であり、下り側先頭車に分割併合機能が搭載されている。初期は8両編成だが、量産中期車以降は10両編成で製造されており、初期車も後年10両化された。
ロゴは当初N編成と同じものだったが、八戸開業前後からリンゴをイメージしたものに変更された。

  • N編成
北陸新幹線での運行を前提に製造された編成であり、分割併合機能は搭載されていない。
8両編成で登場し、編成替えは行われていない。
ロゴは「高原のそよ風」をイメージした紫色の5本線マークとなっている。

  • 0番台
J・N編成共北陸新幹線に対応し、抑速ブレーキと周波数切り替え設備を有している。
外観では客用扉がプラグドアであること、側面窓が小窓でパンタグラフが大型カバーで覆われた下枠交差型であることが特徴。

  • 1000番台
2001年以降に増備されたグループで、北陸新幹線非対応の編成。
外観では客用扉が引き戸であること、側面窓が大型化されパンタグラフがカバーで覆われていない低騒音シングルアーム型であることが特徴。
J52編成以降は乗り心地改善のために先頭車とグリーン車にフルアクティブサスペンション、それ以外の車両にセミアクティブサスペンションが設置されており、のちにJ編成全車に後付け改造された。

グループ別解説

  • 量産先行車(J1・N1編成)
1995年に製造。
当初はJ1がS7、N1がS6の編成番号で落成。
基本的な形状は量産車とほぼ同じだが、ややシャープな顔つきとなっている。

J1編成は2002年の10両化の対象から外れ、N21編成に編入された。
理由は明かされていないが、趣味者の間では
  • 編成長をJ編成とN編成で分けるために、北陸新幹線内での共通運用が不可能となるため、運用数を賄うため
  • J編成量産初期車とN編成量産車の間で車両組み換えを行う際の補填
  • 床面高さが異なる車両の混結を避けるため
とされる。
なお、N21編成にはE926形検測車両「East-i」の中間車(E926-13)を連結して検測を行うこともあった。

  • N編成(N2~N13編成)
北陸新幹線の長野開業に合わせ、1997年3月下旬から9月初頭にかけて集中的に増備された。
N5・N9・N12編成は次述するJ編成10両化に合わせた編成の制御装置統一を行うために、編成組み換えの対象となった。
このグループはE7系に置き換えられる形で、2017年に引退。
最後まで残ったN5・N13の2編成には「E2 asama」と表記されたロゴマークが先頭部に掲出された。

  • J編成(J2~J15編成)
1996年末から1999年11月にかけて導入。
当初は8両だったが、2002年に10両化された。
10両化後も北陸新幹線に入線可能で、試運転列車で黒部宇奈月温泉まで乗り入れたことがある。
J7・J9・J10編成が10両化時に制御装置の統一のため、上述するN編成の一部と中間車両の組み換えを行った。

  • J編成(J51~J69編成)
2002年12月の東北新幹線八戸延伸に前後して増備された。
J51編成は8両でデビューし、東京方先頭車にも分割併合機能を搭載していた。これは当初、E2系同士の併結運転が計画されていたことによる。
しかし「はやて」の全車指定席化が決まったことで座席定員を確保しなければならなかったことから、J52編成以降は10両で落成することとなった。
J51~J53編成については特高圧ケーブルのユニット間引き通しに直線ジョイント方式を採用していたが、J54編成以降では緊急時の特高圧引通し回路切断の容易化を目的に4・5号車間に傾斜ケーブルヘッドを採用する形に変更されている。

なお、J66編成は2022年から2024年にかけ、東北・上越新幹線40周年を記念して200系未更新車の塗装に変更された。この際、グリーン車ロゴや車内チャイムのふるさとチャイムも200系仕様となっていた。
また、J69編成は2004年に発生した新潟県中越地震で被災・廃車となった200系の補填分である。

  • J編成(J70~J75編成)
2010年の東北新幹線新青森延伸に備えて増備されたグループ。
側面の行先表示器がフルカラーLED化されたほか、車内ではテーブルの拡大や普通車の読書灯設置、グリーン車の全席と普通車の窓際・最前・最後部に電源コンセントが用意されるなど、内装のアップデートがなされた。

運用の変遷

  • 1995年~2001年
1995年から試作車が登場し、量産車が1996年に登場。
1997年3月22日にJ編成がE3系「こまち」と併結する「やまびこ」で、1997年10月1日にN編成が長野新幹線の「あさま」でデビュー。
翌年12月からは上越新幹線での運用も開始されたが、2004年3月で路線と形式の適合性を重視した運用を組んだ結果、上越新幹線運用はいったん終了となる。
1999年12月ダイヤ改正においてJ編成初期車の増備も完了し、「こまち」併結運用がすべてE2系に統一された。

  • 2002年~2010年
2002年12月の東北新幹線八戸延伸に合わせ、J編成中期車の増備が始まり、同時期に既存のJ編成初期車の10両化も進行した。
その後もJ編成中期車の増備は続き、2005年12月ダイヤ改正では200系やE4系が担当していた、仙台以北は各駅に停車する東京~盛岡間の「やまびこ」の運用もJ編成専属となり、東北新幹線の全体的なスピードアップに貢献した。

  • 2011年~2015年
2011年3月にE5系が営業運転を開始。
順調に増備が進み2013年3月には定期列車での「こまち」併結運用から撤退し、盛岡以北直通の定期列車にも充当されなくなった。
2013年1月からは上越新幹線の運用にJ編成が復帰。また2012年3月からはE4系に代わり山形新幹線「つばさ」と併結する「やまびこ」運用に入り、同年9月までにすべて置き換えた。
この時期から本格的な廃車が開始されている。

  • 2016年~
E5系・E6系・E7系の増備に伴い廃車が進み、2016年始には北陸新幹線での定期運用が消滅。2017年3月をもってN編成は引退した。
2017年秋には上越新幹線速度向上試験が行われ、275km/h走行の試験が行われたが、その上越新幹線は2023年3月のダイヤ改正で2度目の撤退。
2019年3月のダイヤ改正で東京発着の東北新幹線「はやて」運用も消滅し、2024年3月改正で「つばさ」併結の「やまびこ」運用もすべてE5系に置き換えられた。

なお、前述したJ66編成は運用終了後鉄道・運輸機構に譲渡された。同機構では北海道新幹線の青函トンネル区間の速度向上用試験車両として運用されることが発表されており、営業運転では実現しなかった北海道の走行が実現することとなる。

CRH2

2006年、中国の高速鉄道「中国鉄路高速」向けの車両としてE2系をベースにしたCRH2が輸出された。一部編成は完成品の状態で、ほとんどは組み立てる前の部品の状態で輸出され、ライセンス生産が行われた。
しかし、ライセンス生産を中国政府は「自国の技術で製造した」と主張をしたために、知的財産権における問題の火種になった。
詳細は中国鉄路高速(車両)を参照。

保存車

  • E223-23
鉄道関連製品を製造する三和テッキ宇都宮事業所の鉄道広場で保存。工場敷地内ということで日常的な見学は出来ないが、毎月1回の定期公開日のみ完全予約制ながら公開されている。

  • E224-127
茨城県筑西市のザ・ヒロサワシティで保存。ほぼいつでも見られるE2系の保存車はこれだけ。

  • E223-1101
JR東日本新幹線教育・訓練センターで車体をチョロQのように短縮し、実習教材として使用。

関連作品

1996年5月ごろから発売され、2024年9月まで発売された。しかし、引退後もラインナップにしばらく残ることの多いプラレールでは珍しく、引退前にカタログ落ちした新幹線である。
初めて連結仕様を搭載した車両でもあり、1997年の秋田新幹線開業記念に発売されたセットで分割併合を再現出来た。
2002年からは現行のマグネットタイプの連結器が採用され、実際に連結器カバーが引っ込む構造も相まってよりリアルな仕様となった。
1000番台はなぜかE3系1000番台と抱き合わせのセット品で発売。
結果セット単体では実際の編成が再現出来ず別途E2系の相方のE3系0番台を買い足す必要があり、E3系1000番台に至っては2006年まで連結仕様のE4系が無かったせいで相方がいないという妙な状況に。
当時のユーザーからはツッコミの嵐だったが、2012年のダイヤ改正でなんとこの組み合わせが実現してしまったという逸話がある。
後に200系カラーのJ66も製品化された。

ト-10番で8両編成がモデルの車両を「E2系あさま」として販売。

前作「電車でGO!2高速編(3000番台含む)」では当時のダイヤを再現した結果か、「こまち」の併結運用ダイヤが200系との併結運用しかなかったが、今作では4号、22号の併結相手がE2系、後者は難易度が高いものの、E2・E3系の本領を発揮できる275km/h運転が少しだけ楽しめた。

「E2ジェット」の名で、飛行能力の高いヒカリアンとして活躍。「超特急」・「電光」では別人扱いながら、前者はスピード狂、後者は漫才師と、どちらにしても癖の強いメンバーとして扱われている。

無印~Zの世界観においてはシンカリオンのプロトタイプとして存在しているものの、本編開始前に行方不明になったためロボット形態は登場しなかった。しかし……?



追記・修正はE2系とE3系の併結が最高だと思う人がお願いします。

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最終更新:2025年04月16日 21:36