登録日:2025/02/11 (火) 18:39:51
更新日:2025/04/17 Thu 09:13:01
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『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦(原題:九龍城寨之圍城、英題:Twilight Of The Warriors:Walled In)』とは、2024年に公開された香港映画。
監督はソイ・チェン。
日本ではクロックワークス配給で、2025年1月17日に公開された。
概要
本作は、香港の作家・余兒による小説『九龍城寨』シリーズの映画化作品である。
1980年代の、難民が溢れマフィアをはじめとする「黒社会」が横行していた香港を舞台に繰り広げられる、マフィア同士の抗争を描いた。
舞台となるのは香港にそびえ立つ、実在していた要塞都市「
九龍城砦」。
多くのならず者が住みながらも、互いに支え合って生きていく住民が住むこの城砦に、一人の男が転がり込んだことをきっかけに、マフィア同士の思惑が絡み合い、やがて抗争へと発展していく。
過去の大抗争を発端にした、ライバル同士の奇妙な因縁。仁義で結ばれた義兄弟。とてつもない強さと悪意を持つ敵。
そうした、いわゆる「マフィア武侠作品」に欠かせない要素がふんだんに詰め込まれており、熱血と人情に心打たれるストーリーとなっている。
更に本作を彩るのは、
怒涛のアクションシーンである。
アクション監督を務めたのは、日本人のスタントマン出身の谷垣健治であり、日本映画『
るろうに剣心』シリーズのみならず、香港映画『レイジング・ファイア』『シャクラ』を担当した名アクション監督である。
主人公や仲間の若者だけでなく、現役を退いたボスクラスのキャラや敵(特にある意外な人物)のほぼ全てのメインキャラが圧倒的な強さを誇り、凄まじいカンフー、ナイフ、剣戟等様々な趣向を凝らしたアクションの見せ場が用意されている。
こうした見せ場が激しいテンポで展開されていくため、全編にわたって目が離せない逸品となった。
また、劇伴音楽は日本で多くの話題作を手がけた川井憲次が作曲した。
本作は三部作の予定となっており、第二作は龍捲風の世代の抗争を描いた前日譚、第三作は今作の続きを描いた完結編となる。
ストーリー
20世紀、香港は多数のならず者が溢れかえる無法地帯であり、特に要塞都市「九龍城砦」は強大な力を持つマフィア、雷震東の支配する腐敗の温床だった。
だが、龍捲風や彼の義兄弟らによる抵抗勢力が九龍城砦を舞台に一大抗争を展開し、遂に雷が従えていた「殺人王」陳占を倒し、城砦を奪取する形で抗争は幕を閉じたのだった。
それから二十数年後の1980年代、香港に密航した難民の陳洛軍は、大ボス率いる黒社会のマフィアに騙されトラブルとなり、彼らが密売していた麻薬を持って逃走し、九龍城砦に逃げ込む。
それを見かねた城砦を取り仕切る龍捲風は、大ボスと交渉して一旦は不問とさせ、洛軍を城砦の一員として迎え入れる。
龍兄貴の仁義と、彼の舎弟の信一ら若き住人達との絆が心に沁みた洛軍は、城砦で自分の居場所を見出し始めた。
だが、洛軍の出生の秘密が明らかになり、九龍城砦周辺は一触即発の空気となり、やがて致命的な決別が起こる。
それを機に始まる、九龍城砦での二度目の戦争。
己の宿命を受け入れた洛軍は、城砦を守るために立ち上がる。
登場人物
演:レイモンド・ラム/吹き替え:小林親弘
本作の主人公。精悍な坊主頭が特徴的な青年。
香港に単身で密航してきた難民であり、裏闘技場で金を稼ぎながら身分証を作ろうとしていた。
香港に来る前は母親に育てられたが幼い頃に死に、以来様々な家を転々としてきたらしい。
だが、大ボスに騙されてコケにされた結果、彼らの麻薬を強奪して九龍城砦に逃げ込み、彼のあまりに不憫な様子から龍兄貴から庇われる形で、城砦の住人となる。
当初は住む家も持たずひたすら日銭を稼ぐだけだったが、龍兄貴に認められ、個室も用意され、信一をはじめとするかけがえのない友達もできた。
やがて九龍城砦を自分の居場所と思い、ずっと住み続けたいと思うようになる。
実は彼自身も知らなかったが、彼の実の父親は龍兄貴の仇敵にして彼の盟友・陳占だった。
香港を共に脱出した母親が死に、何の因果か生まれ故郷の香港まで戻り、「一生をかけて息子を守る」と誓った龍兄貴の元に転がり込んだのだ。
その素性が明かされた時、秋兄貴や大ボスの組織に命を狙われる羽目になるが、龍兄貴の命を懸けた攻防により命を救われ、警察に保護される。
だが、龍兄貴の遺志を継いだ彼は、自分の宿命を受け入れ、ケジメをつける決意をする。
演:ルイス・クー/吹き替え:
堀内賢雄
九龍城砦を取り仕切る委員会の主管でマフィアのボス。普段は城砦で理髪店を営んでいる。
若い頃は凄まじいカンフーの使い手であり、「竜巻」の異名を持つ最強クラスの殺し屋として恐れられ、城砦で起きた抗争で宿敵の陳占を倒した張本人だった。
その腕は年老いた現在も変わっておらず、並のゴロツキであればすぐのしてしまう。
しかし、喫煙癖が仇となり、重い肺がんを患い、体の限界が近い。
城砦に住むならず者達に分け隔てない仁義を通しており、ほとんどの住民から慕われ、信頼を得ている。
舎弟の信一ら若い構成員や義兄弟の秋兄貴達からも信頼される、まさしくカリスマ的存在だった。
洛軍もまた、彼の持つ義の心に惹かれ、恩返しがしたいと思うようになるのだが……。
実は敵対していた陳占とは深い友情で結ばれており、図らずも彼と死闘を繰り広げることになったが、その見返りとして「陳占の家族を生涯をかけて守る」誓いを立てた。
そして、偶然城砦に帰ってきた陳占の息子・洛軍と再会し、彼を復讐に燃える秋兄貴らから守るために城砦から遠ざけようとする。
だが、大ボスの組織の魔の手が迫り、王九の凄まじい攻撃に自らが盾となり、壮絶な最期を遂げた。
演:テレンス・ラウ/吹き替え:鈴木崚汰
龍捲風の側近を務める組織のNo.2。
自他共に認める美男子であり、カラオケが好きな陽気な性格。
龍兄貴に忠義を誓っており、彼のためならば命をも惜しまない。
当初は洛軍を余所者扱いしていたが、彼と行動を共にするうちに絆が生まれ、命を賭して守ろうとする。
得物はバタフライナイフで、鮮やかな捌きで戦う。
演:ジャーマン・チョン/吹き替え:星野佑典
九龍城砦で診療所を営んでいる闇医者。
かつては田原俊彦似の美男子だったが、香港の黒社会で受けた過酷な仕打ちにより顔に傷を負い、仮面を常に付けている。
その際に恋人を奪われ、その行方を探すために香港でアダルトビデオを収集し、チェックしている。
傷ついた人間を放っておけない義に篤い性格で、洛軍の面倒を誰よりも見ていた。
筋肉隆々の体格をしており、武器を使わず素手で戦う。
演:トニー・ウー/吹き替え:石谷春貴
龍捲風の義兄弟・虎兄貴の組の若頭。
人懐っこくお調子者なムードメーカー的存在で、余所から来た洛軍ともすぐに打ち解けた。
かつては薬物中毒で荒んでいたところを龍兄貴に拾われ、以来彼に恩義を感じている。
直属の上司である虎兄貴とは信頼し合う仲であり、いざという時離れることになっても咎められることはなかった。
演:リッチー・レン/吹き替え:金馬貴之
龍捲風と義兄弟を結んだ、九龍城砦のオーナー。
義兄弟の龍兄貴のことは九龍城砦を任せるほど信頼している。
かつての九龍城砦の抗争の際に家族ごと雷震東に人質に取られ、陳占により目の前で家族を殺され、以来陳占とその家族に激しい憎悪を抱いていた。
陳占の息子が生きていると知り、彼を見つけ出し、殺すことで家族の復讐を果たそうとしているが……。
龍兄貴が匿った陳洛軍が陳占の息子だと判明し、彼を殺そうとしたが、寸前で龍兄貴が彼を庇ったため、義兄弟の仲を破局させてしまう。
復讐に没頭するあまり、大ボスにまで縋ってしまうが、そのせいで彼に足元を掬われ、監禁されることになる。
演:ケニー・ウォン/吹き替え:松本こうせい
龍捲風の義兄弟の一人。
かつての抗争で右目を陳占に潰され、以来義眼を付けている。
陳占の息子には恨みを持っているが、本来は義理人情に厚く、舎弟の友情を優先できる気骨の持ち主。
演:ジョセフ・キウ
龍捲風の舎弟の一人。
スキンヘッドが特徴で、九龍城砦の飯店を営んでいる。
二本のナイフを操り、戦闘力も高いが、それでも達人には及ばない。
演:フィッシュ・リュウ
陳洛軍が働くことになった惣菜屋の店長。
若いながらも肝っ玉のある女性で、ゴロツキに対しても物怖じしない。
総菜屋で働く幼女の住民で、陳洛軍の先輩的存在。
薬物中毒者の恋人に母親を殺され、燕芬に引き取られることになる。そして、その犯人に対する復讐のリンチで洛軍や信一達は仲良くなった。
演:サモ・ハン/吹き替え:水島裕
香港の黒社会で悪名を轟かせるマフィア。趣味は漫画雑誌。
でっぷり太った巨漢だが、こう見えてかなり強い。
麻薬密売や違法賭博で荒稼ぎしており、堅気にも平気で暴力を振るい、搾取する悪党。
龍捲風ら九龍城砦を忌々しく思っており、立ち退き料を手に入れるために有力者と手を組み、城砦を乗っ取る計画を立てる。
そんな中で、自分をコケにした陳洛軍に逃げられたことを思い出すのだが……。
秋兄貴に陳洛軍の情報を漏らし、彼を復讐に走らせた上で、それが失敗すると自分に縋るよう仕向けた。
だが、龍兄貴の死を機に秋兄貴を失墜させ、九龍城砦を乗っ取ることに成功する。
しかし、その直後に腹心の王九に殺されてしまう。
演:フィリップ・ン/吹き替え:赤坂柾之
大ボスの側近を務める長髪にサングラスの男。
常ににやけ面を浮かべている軽薄な態度が目立ち、いかにもテンプレ的な「小物チンピラ」に見える。
しかし、バスで逃走する陳洛軍に追いつき、鋭い突きにより彼をギリギリまで追い詰めた実力を有する。
実は気功術の達人であり、その気になれば自身の体を「硬直」させ、刃物や打撃を一切受け付けない強靭な肉体を持つ。
その実力は計り知れず、信一、四仔、十二少が束になってかかってもまるで歯が立たないレベル。
唯一龍兄貴には勝機はあったものの、自身の弱体化によって致命傷を負ってしまい、彼の手によって命を落とした。
最終的には大ボスを裏切り、九龍城砦の新しい主となり、なんと本作のラスボスに昇格。
最強の敵として洛軍達の前に立ち塞がり、凄まじい猛威を振るう。
演:アーロン・クォック/吹き替え:三上哲
かつての九龍城砦の抗争にて猛威を振るった「殺人王」の異名を持つ殺し屋。
龍捲風との死闘の末敗北し、死亡したが、秋兄貴の家族や虎兄貴の右目を奪ったことで彼らからは凄まじい憎悪を向けられている。
龍兄貴とは深い友情で結ばれており、人目を忍んで会う仲だった。
だが、結局組同士の諍いにより殺し合うことになり、彼に「俺が死んだら妻と息子を頼む」と誓わせ、友の手で殺された。
演:???
かつて九龍城砦を仕切っていた黒社会の黒幕的存在。
絶大な力を持ち、陳占を従えていたことで権力共に盤石だったが、龍捲風の同盟により失脚する。
九龍城砦
今作の舞台で、香港の九龍半島に位置する巨大要塞都市。
法の及ばない無秩序な社会の温床となり、独自のルールの下で運営されている。
住民間の絆は強く、互いに助け合い、様々な店を経営する中でコミュニティを築いている。
しかし、香港政府としてもその存在は問題となっており、立ち退きと立て壊しの計画が進行しつつあった。
余談
日本公開される他の映画と同じく今作でもパンフレットが発売されているのだが、なぜか「ブックレット付きクリアファイル」としてクリアファイルのオマケ扱いという謎の形態で販売されている。
ブックレットの内容は通常のパンフレットと同じくインタビューやコラム、更にはセットの写真や叉焼のレシピなどが掲載されている約40ページのボリュームで、特にオマケのようなクオリティというわけではない。
ちなみに値段も定価1,300円と二つをセットで買うならこれくらいはするだろうな(むしろ最近の平均からすると安い方)という設定なので、興味があるなら買って損はない。
でもなんでこの形態になったの?
項目を作成する時も、追記・修正する時も同じ。ずっと一緒だ!
- 年間ベストに挙げられるくらい最高の面白さだった。義と戦いがテンポよく描かれてて気持ちいい -- 名無しさん (2025-02-12 03:27:13)
- 評判すごい良いし見たいんだけど、やってる映画館が少ないんだよな・・・ -- 名無しさん (2025-02-12 09:07:42)
- 多分だけど龍兄貴と大ボス、王九の攻略法を知っていそう。実際大ボスを始末した時、不意討ちだった事と彼の攻撃を避けていたから対処法を知っていたのかもしれない。 -- 名無しさん (2025-02-12 10:36:57)
- なんの気無しに見たけど最高だった。龍兄貴がかっこよすぎる。 -- 名無しさん (2025-02-12 11:15:58)
- もちろん悪役もいるし殺意マシマシではあるんだけど、終わった後どのキャラにも愛着が湧いている最高の映画 -- 名無しさん (2025-02-12 13:37:29)
- お前がラスボスなの!?ってびっくりした 硬直! -- 名無しさん (2025-02-12 15:11:14)
- たぶん映画史において一番ウィンストンのたばこが似合う漢、龍兄貴 -- 名無しさん (2025-02-12 15:18:15)
- 偉い人がだいたいカンフー強い世界観。サモハンはまあそうでしょうね…って思ったけど秋兄貴が戦い始めたときはちょっと笑ってしまった -- 名無しさん (2025-02-12 19:44:41)
- 「あいつズルくね?」って思いながら見てたら上映後の館内で他の人も話してた。SNSでも何人かそう書いてた -- 名無しさん (2025-02-12 20:48:16)
- ↑8 対処法というか硬直!はおそらく外功だから内功の達人である龍兄貴や大ボスの攻撃は普通に食らうんだろう -- 名無しさん (2025-02-12 23:58:55)
- ↑ちゃんと上の世代の打撃にはブゥーンって発勁が通ったような重低音が入るんだよね。下の世代はストリートファイト専門で内功とか持ってないから苦戦したわけだけど、洛軍の最後の龍巻拳だけ同じ音がしている -- 名無しさん (2025-02-13 08:44:03)
- 前日譚で間違いなく登場する雷震東は誰が演じるんだろ、陳占が従ってたという相当な説得力が必要だからチョウ・ユンファかドニー・イェンあたり希望。 -- 名無しさん (2025-03-18 21:59:48)
- サップイーがロッグワンを脱出させる為に足を負傷していたけど怪我をしたシーン、ありましたっけ? -- 名無しさん (2025-04-16 15:08:05)
- ↑最後の乱闘シーンで切られたもんだと思ってた。 竜巻が王九を巻き上げるシーン、龍兄貴……!ってなった -- 名無しさん (2025-04-17 09:13:01)
最終更新:2025年04月17日 09:13