登録日:2025/03/01 Fri 02:05:00
更新日:2025/03/27 Thu 17:14:20
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八木新宮特急バス(八木新宮線)は、大和八木駅と新宮駅を結ぶ奈良交通のバス路線である。
大和八木駅と新宮駅を結ぶほか、十津川村などの観光の際に重宝する。
追記・修正お願いします。
* *
* + うそではないです
n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
Y Y *
確かに上の文章は事実である。
これだけだとどこにでもあるありふれた路線バスの一路線だと思うだろう。
しかし…
そして、
の路線こそ、この八木新宮特急バスである。
◎路線概要
大和八木駅から奈良県立医科大学附属病院やイオンモール橿原などを経て五條バスセンター、そこから国道168号を経由して天辻峠を越えて十津川村に入り、さらに和歌山県にまたいで川湯温泉や本宮大社を通って新宮駅までを結ぶ路線。沿線住民の重要な交通手段に加えて、十津川村や川湯温泉などの観光地への重要な足としてのほか、「日本一の路線バス」の全線踏破を目的とした人など様々な乗客が利用している。
前述のとおり、路線全長は169.9kmで停留所の数は圧巻の168、ぶっ通しで乗った場合の所要時間は約6時間半ともはや高速バスかというほどの所要時間をかけて走っている。ちなみに高速道路は一切走行しない。それどころか1車線しかない細い国道や旧道を走る区間も割とある。後述のように昔は奈良市内まで乗り入れていたのでそれでもかつてよりは短縮されたほど。運賃表示器も整理券番号が100を超えているため4ページにもわたって運賃が表示されるようになっているほか、ICOCAやPiTaPa、Suicaなど交通系ICカードで精算する際、場合によってはIC上限の限界を超えているため2回に分けて支払いをしないといけない場合がある。
ごく一般的な路線バスの車両を使用しているため当たり前だが車内にはトイレはない。五條バスセンター、上野地、十津川温泉の3か所で10分から20分程度の休憩を行うのでトイレに行くのはこのタイミングしかない。タイミングを逃すと悲惨なことになる。また休憩地近くにコンビニ等も無いので、事前に買い出ししておくのが吉。
ちなみに運転士は全区間1人で担当。中にはこの路線専属の大ベテランもいるのだとか…。
通過する自治体は奈良県は橿原市、大和高田市、葛城市、御所市、五條市、十津川村で和歌山県は田辺市と新宮市。
和歌山県内に差し掛かると熊野川の近くを走行するが三重県は通りそうで通らない。
◎歴史
国道168号の発展に合わせ、1963年3月1日に奈良大仏前(奈良市。現在の「東大寺大仏殿・国立博物館」バス停) - 新宮駅間で運行開始した「大仏新宮線」が前身。この路線の運行距離は187.2 kmで新宮行きは「はやたま」、奈良市内行きは「やまとじ」の愛称があった。当時も直通便は3往復あり現在の基礎がおおむね完成していたが、奈良市内行きは奈良交通担当の2往復のみで、残り1往復は熊野交通(現在の熊野御坊南海バス)担当の橋本駅行きだった。
1983年に奈良交通単独となり、運転区間も大和八木駅~新宮駅に統一されたことで現在の運転体系が確立されたほか時代の変遷に応じて停留所の追加や廃止、ルート変更などを行っている。
2022年10月1日より、土曜・日曜・祝日ダイヤのうち大和八木駅発第2便と新宮駅発第3便を速達便「やまかぜ」として運行。ルートを一部変更して「五条駅~ホテル昴」間は、五条駅・賀名生和田北口・星のくに・上野地・十津川村役場・十津川温泉・ホテル昴のみしか停車しないことで30分程度速達化されている。
◎運行車両
日野・ブルーリボンと同型のいすゞ・エルガのノンステップバスを使用。
現在の車両は国土交通省と奈良県庁、和歌山県庁の補助によって2015年11月から導入され、車体には「せんとくん」「きいちゃん」など沿線市町村のキャラクターや観光地がラッピングされている。
この車両は専らこの系統で使用される(別系統に代走で入ることはある)ので通常と異なるオレンジ系の塗装のほか、車内も通常よりハイバックのシート(リクライニングはしない)を採用しているほかドリンクホルダーも備え付けられている。
◎運行形態
上記の様に
- 大和八木駅~新宮駅は1日に3本の運転。新宮駅行きは「特急301」、大和八木駅行きは「特急302」系統。
- このうち土休日の大和八木駅11:38発と新宮駅10:18発の便は速達の「やまかぜ」として前述のバス停のみ停車
となっている。
◎主なバス停、沿線の観光地
五條バスセンター…休憩地点。休憩時間は約10分。隣接して「イオン五條店」が存在していたが2025年2月28日をもって一時閉店した。その後は現店舗を解体したうえでイオンを含めた新しい地域交流拠点が2028年完成予定。慣れた人は休憩中にイオンで食料調達に行っていたとか。概ねここを境に、以北は市街地、以南は山岳地帯となる。
星のくに… 「大塔コスミックパーク『星のくに』」最寄り。天文台で星を見ながらバンガローやロッジでキャンプしたり、BBQなどが楽しめる。
上野地…休憩地点。休憩時間は約20分。「谷瀬の吊り橋」最寄り。営業所などは無いが、公衆トイレが設置されている。
谷瀬の吊り橋は1954年に地元住民が資金を出し合って建造された長さ297m、高さ54mの当時としては日本最長だった歩道吊り橋で土木学会選奨土木遺産。
もし混雑していなければ休憩時間内に往復できるのだがもし遅れてしまうと運転手やほかの乗客の迷惑になるので気を付けよう。
十津川村役場…日本最大の村・十津川村の村役場最寄。集落の無い川沿いにポツンと建っている。湯泉地温泉の最寄りでもある。
十津川温泉…休憩地点。休憩時間は約10分。奈良交通の十津川営業所があるほか毎日7時から18時30分まで足湯が使える。十津川温泉の最寄。ちょっとしたバスターミナルのようになっており、村内各地へ十津川村営バスが発着する。
本宮大社前…熊野速玉大社・熊野那智大社と並び熊野三山をなす熊野本宮大社の最寄。
湯の峰温泉…日本最古の温泉地として知られ、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産にも登録されている。ここを舞台とした「小栗判官と照手姫伝説」がある。道沿いに旅館が立ち並び、その軒先をかすめるようにバスが走る。
川湯温泉…川底から湧き出す源泉と川の水が混ざり合っていい湯加減の天然の露天風呂となっている。夏は川遊びと一緒に、冬は巨大な「仙人風呂」として楽しめる。
新宮駅…JR西日本/東海
紀勢本線乗り換え。そのほかにも熊野御坊南海バスなど多くのバスが発着する。
◎余談
かつて国鉄が構想していた路線にこのバス路線とほぼ経路が同じ「五新線」という路線があった。
この路線は、和歌山線の五条駅と新宮駅を結ぶ計画だったが1979年(昭和54年)に建設予算が凍結され、更に国鉄再建法施行に伴って1982年(昭和57年)には工事自体も全面的に凍結され、計画は断念された。
その後は以前から暫定的に使用していた区間も含めてバス専用道路として国鉄/JRバスが運行使用されていたが、採算悪化でJRバスは2002年に撤退して、その後はこの八木新宮特急バスなど奈良交通が専用道として使用していたがこちらも採算低下や設備老朽化で2014年にこの区間の運行を終了した。
また大和八木から新宮まで一回も途中下車しないで全線踏破すると(逆ルートも可)、路線図と吉野杉を使用したしおり(達成日の刻印入り)の記念品がプレゼントされる。なお欲しい場合は十津川温泉到着までに申告する必要がある。
特急バスとはいうものの、前述の通り停留所の数が多く、通常便だと沿線の停留所には殆ど停車する。ただし、他社の並行路線がある宮井大橋〜新宮駅間は比較的停留所が少なく、沿線のバス停を一部通過する。
八木新宮特急バスの全線踏破をしてから、追記・修正お願いします。
- これを鉄道路線で?需要がないやろ・・・ -- 名無しさん (2025-03-01 02:27:30)
- 賀名生(あのう)、高津(たこつ)等難読バス停も多め -- 名無しさん (2025-03-01 10:25:09)
- 吉野以南は本物の秘境なので、こうやってバスでも行く手立てがあるというのは奇跡的 -- 名無しさん (2025-03-01 13:53:50)
最終更新:2025年03月27日 17:14