登録日:2025/03/11 (火) 19:51:13
更新日:2025/03/13 Thu 10:16:29
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夢をみていた
観るもの全てが恋に落ちる、極上のミュージカル・エンターテイメント
LA LA LAND
…ロサンゼルス、主にハリウッド地域の愛称。
…陶酔し、ハイになる状態。我を忘れた境地。
…現実離れした世界。夢の国。
『ラ・ラ・ランド(原題:LA LA LAND)』とは、2016年に公開された米映画。
日本では2017年2月24日に公開された。配給はギャガ。
概要
本作は、カリフォルニア州ロサンゼルスのハリウッドを舞台にした、夢を追う一人の男と一人の女を主題としたミュージカル映画である。
ハリウッドをテーマとしたミュージカル映画というと、『雨に唄えば』のようなサクセスストーリーを軸としたラブコメディを想起させるが、本作の特徴としてはそうした甘いものからかけ離れている。
主人公二人はそれぞれの「夢」を追うものの、その達成には辛く厳しい現実が立ち塞がり、挫折しかかりそうになる。
かと思えば、恋愛関係に発展すると、生活における二人のすれ違いに発展し、関係が更に拗れてしまう。
このように、「夢」をテーマにしていながらも、描かれるのは容赦のない「現実」であり、多くの観客にダメージが与えられることとなった。
しかし、最終的にはそうした過酷な「夢」でも、「追い続けること」の尊さを説き、そして同時に、「夢を叶えた代償」も色濃く描写し、夢の持つポジティブな面とネガティブな面の両方を伝えている。
終盤のシークエンスは多くの観客の心に爪を立て、「忘れられない10分間」と言われている。
監督は、『
セッション』で注目を集めたデイミアン・チャゼル。
ストーリー
「夢の国」ロサンゼルス。そこでは、数多くの若者が夢を見て、ある者は夢を叶え、またある者は夢破れていく。
そこに住む女性ミアもまた、女優を夢見る若者の一人。
今日もまたオーディションに落選し、落胆の中、友人に男漁りのパーティーに誘われるが、嫌気が差して抜け出し、とあるジャズレストランへと足を運ばせる。
そこで、悲しげな音色を奏でるピアニストが目につき、演奏に心惹かれるが、演奏を褒めようとするとそのピアニストは一瞥してその場を去る。
それから数ヶ月後の春。
友人のホームパーティーに参加していたミアは、偶然いつぞやのピアニスト、セブと再会する。
セブは根っからのジャズマニアで、いずれはジャズミュージシャンとして大成する夢を持っていた。
何度か会話するうちに意気投合したセブとミアは、互いの夢を励まし合うが、何をしても上手く行かない二人は、傷を舐め合ううちに恋人同士になり、二人で支え合う生活を夢想し始める。
だが、二人の生活が本格的になると、セブは安定した収入を、ミアは自分だけの夢である一人芝居を目指すも、それぞれのスタンスの差が浮き彫りとなり、徐々にすれ違いが始まる。
遂には「夢」について語れば口論になってしまうようになった二人。
果たして、セブとミアが掴んだ「夢」とは?その果てに、幸福はあるのか?
登場人物
演:ライアン・ゴズリング/吹き替え:内田夕夜
ジャズミュージシャンを夢見る青年。
ジャズをこよなく愛し、蘊蓄を語り出すと止まらなくなるが、反面、ポップスやロックを馬鹿にしがちな傾向にある。
しかし、ジャズの人口が減りつつある現代では、「古い」と演奏を貶され、場末のレストランやパーティー会場で演奏する日々に腐していた。
そんなある日、ミアと出会い、日々の愚痴で意気投合し、腐れ縁を通じて恋人同士になる。
だが、共同生活を送るにあたり、生活費を稼ぐために友人の協力を得て、ロックバンドのキーボード担当となり、全国ツアーをして金を稼ぐが、ミアからは軽蔑されるようになる。
だが、挫折したミアを叱咤激励し、彼女を最後のオーディションへと連れて行く。
演:エマ・ストーン/吹き替え:武田華
女優を夢見る女性。
叔母の影響を受けて女優を志し、ハリウッドでルームシェアしながら、コーヒーショップでのアルバイトで生活費を稼ぎつつオーディションに勤しんでいた。
だが、オーディションには連戦連敗状態が続き、パーティーで男を見つけようとするも失敗する中で、偶然入ったジャズレストランでセブの演奏に心惹かれる。
その後再会したセブと何度か顔を合わせ、デートを重ねるうちに心を許し、恋愛関係に発展。
オーディションを潔く諦め、一人芝居の公演をすることで女優の夢を叶えようとする。
だが、セブはジャズシンガーの夢をあっさり諦めてしまい、口論が絶えなくなり、一人芝居の公演も失敗に終わり、失意の中実家に帰ってしまう。
しかし、追いかけてきたセブに叱咤され、最後のチャンスとしてオーディションに臨む。
演:ジョン・レジェンド/吹き替え:祐仙優
セブの友人でロックシンガー。
働き口が欲しいセブに、自分のバンドのキーボード担当を紹介する。
演:J・K・シモンズ/吹き替え:壌晴彦
セブが働いていたジャズレストランの店長。
クリスマスソングを弾くことをセブに強要したが、それに反してオリジナルソングを演奏したセブを解雇した。
チャゼル監督は、「『セッション』のフレッチャーがジャズ業界を追い出され、クリスマスソングしか聴けなくなった」とジョーク交じりの設定を語っている。
演:ローズマリー・デウィット/吹き替え:山賀晴代
セブの姉。
ジャズの良し悪しはわからず、彼の秘蔵のレコードを売り払おうとした。
演:キャリー・ヘルナンデス/吹き替え:村松妙子
演:ソノヤ・ミズノ/吹き替え:石井未紗
演:ジェシカ・ロース/吹き替え:熊谷海麗
ミアのルームメイト達。
女優になれないミアを励まし、時々男漁りのためのパーティーに誘っている。
演:フィン・ウィットロック/吹き替え:橘潤二
ミアの恋人。
家族に彼女を紹介しようとしていたが、途中ですっぽかされてセブの元へ行かれてしまう。
楽曲
ジャスティン・ハーウィッツの奏でる音楽には定評がある。
オープニング。渋滞中の車の運転手達が車から飛び出し、歌い踊る。
明らかにセブとミアの「動機」を説明した歌だが、二人は参加していない。
パーティーに向かうミアと友人達の曲。
友人達の熱狂とミアの冷めた情感がポイント。
夜の道を散歩するセブとミアの曲。
アカデミー賞歌曲賞を受賞。
3バージョン用意されており、セブとミアのデュエットが一番有名。
ロックに転向したセブの曲。アップテンポな曲調と裏腹に、セブとミアの空虚さが心を乱す。
- Audition(The Fools Who Dream)
オーディションにおけるミアの独白。本作の裏のテーマソングと言っても過言ではない。
クライマックス。二人のあり得たかもしれない「夢」を描く。あまりにも切ない名曲。
アカデミー賞授賞式の災難
第74回ゴールデングローブ賞では7部門全てにおいて受賞し、同年の第89回アカデミー賞でも注目されていた。
そして、アカデミー賞では『
タイタニック』『イヴの総て』に並ぶ史上最多14ノミネートを受け、監督賞、主演女優賞、撮影賞、作曲賞 、歌曲賞(『シティ・オブ・スターズ』City Of Stars)、美術賞の6部門を受賞。
続く作品賞の発表で、本作の名前が読み上げられ、関係者は歓喜の声を上げた。
だが、その発表は封筒の間違いによるミスだと判明し、結局、真の受賞作は『ムーンライト』だと訂正された。
この発表ミスは後のコント番組やアカデミー賞授賞式でもネタにされている。
追記・修正は夢追い人に乾杯してからお願いします。
- 先に見た人から「君がハッピーエンド好きなら見ない方が良い」と言われたのでそこまで言うならと映画館で見た。これがバッドエンドなら夢を全力で追いかける人生も悪くないなって思える映画だった -- 名無しさん (2025-03-13 09:16:12)
- CGをほぼ使ってないのでメイキング映像がめちゃくちゃ面白い。どうやって撮ったのか分からないような映像がバンバン出てくるのに全部実写という -- 名無しさん (2025-03-13 10:16:29)
最終更新:2025年03月13日 10:16