アメイジング・スパイダーマン(映画)

登録日:2015/07/02 (木) 23:45:41
更新日:2020/01/16 Thu 00:09:43
所要時間:約 10 分で読めます




◆アメイジング・スパイダーマン/アメイジング・スパイダーマン2




恐れるな。自ら選んだ、この運命を。




『アメイジング・スパイダーマン(The Amazing SPIDER-MAN)』は12年の米映画。
MARVEL社の人気コミックヒーローである「スパイダーマン」の二度目の実写映画化作品であり、サム・ライミ監督の『スパイダーマン』シリーズのリブート作である。
14年には続編の『アメイジング・スパイダーマン2(The Amazing SPIDER-MAN2)』が公開された。
本来は11年にライミ監督の第4作が製作予定だったが、ライミの降板によりシリーズを一新したリブート作品を製作することを変更。
キャスト、設定も一新し、心機一転を図った。
監督は若者の間で人気な恋愛映画『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ。

主人公ピーターの性格やウェブシューターの存在、ヒロインが初代彼女のグウェンであること、「シニスター・シックス」の存在等、原作準拠の設定を採用し、一方でピーターの両親の謎の死の真相というミステリー要素も投入し、飽きさせない海外ドラマタッチの長編大作として期待されていた。
もちろん、ライミ版から引き続き、一般人の心境に沿ったピーターの苦悩や、ヴィランたちの心情描写も取り入れている。
第2作の製作段階で4作目までの公開日が発表され、さらに悪役陣営に焦点を当てたスピンオフを製作していく事でマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のようなユニバース化が構想されていた。スピンオフ第1弾として『シニスター・シックス』の製作が内定し、加えて前作『3』で微妙な扱いだった『ヴェノム』の企画も進行し、製作側の気合は十分だった。



…しかし。
興行成績はメガヒットを記録したライミ版三部作に到底及ばず、製作陣を悩ませた。それでも、2作品それぞれの全世界興収は7億ドルを越えており、世界的に見れば十分なヒット作ではあるが、それでも配給側にとっては満足のいく結果ではなかった。中でも本国アメリカの成績は伸び悩み、1作目はそれなりのヒットを記録したが、『アメスパ2』では1作目の成績を大きく下回り(それでも一応2億ドルは稼いでいる)、更には映画制作費を国内だけで回収できず、興行的に失敗作と見なされてしまう事態となった。
さらに、『アメスパ2』公開時には同時期に公開された『X-MEN:フューチャー&パスト』やMCU系列の『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、後の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に負けており、MARVEL作品の波がMCUに移りかけていることを示す結果となってしまう。
シリーズの続行が危ぶまれる中で、かねてよりスパイダーマンの映画化権の譲渡を提案してきたMARVEL側でも大きな動きがあり、『シビル・ウォー』を映画化するに当たり、同作の監督を務めるルッソ兄弟がスパイダーマンのMCU登場を要望してきたのだった。MARVELの製作社長であり、かつてライミ版に関わった経験を持つケヴィン・ファイギもそのアイデアを支持した事で、ソニーとマーベルスタジオの極秘交渉が始まり、最終的にソニーは当初の計画から方針を転換してスパイダーマン映画の建て直しを決断。『アメスパ2』の公開から1年経たずにマーベルスタジオとの業務提携を締結して、スパイダーマンの映画化権を同社と共有する事を発表する。それにより、スパイダーマン映画はMCUの新シリーズとして再リブートし、単独映画の製作・配給権をソニーが引き続き所有しながら、ディズニー配給のMCU作品との間で相互にキャラクターを登場させる事が可能になった。
それに伴い、現行の『アメスパ』シリーズの製作打ち切りが決定
全2作で大量の伏線をばら撒いた挙句、全て放置したまま物語は終わりを迎えることになったのだ。
再リブートされた新スパイダーマンは2016年公開の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初登場し、その翌年には単独映画『スパイダーマン:ホームカミング』が公開された。

ハリウッド映画において、シリーズ化を想定しながらも興行的不振や作品自体の不評が原因で続編が製作されなかった作品は多いが、本シリーズの場合は極端に大コケしてないのに打ち切られた過去に例のないケースとなった。MCU版が好評を得た現在でも、『アメスパ』の打ち切りを残念がるファンは多い。

だが、このシリーズのファンは、決して本作を黒歴史化しないように祈りたい。
この映画を成功させたいというスタッフの気持ちに嘘偽りはないのだから。ソニーがどう思ってるかは知らんけどな!



【物語】
天才的科学者の両親を持つ少年、ピーター・パーカーは、幼い頃両親を謎の事故で亡くしていた。
それから数年後、高校生になったピーターは、天才的科学の才能を持ったものの同級生からはいじめられる日々を過ごす。
ある日、彼は父の書斎にあった形見の鞄の中に、オズコープ社の極秘資料を発見する。
オズコープ社に届けに行ったピーターは、ラボの中へと入り込み、実験動物の蜘蛛に刺されてしまう。
するとその日の帰り道、気が付くと彼は蜘蛛のような身軽さと俊敏さといった超身体能力を身につけていた。
手に入れた大いなる力に有頂天になるピーターだったが、それを咎めた叔父のベンと喧嘩になった晩、自分が見逃した強盗に叔父を殺されてしまう。
叔父殺しの犯人を見つけるため、彼は自分の能力を正義のために使うことを決意し、自前の武器も用意した覆面ヒーロー「スパイダーマン」としての活動を開始する。
それから、ピーターはニューヨークの平和を守る傍ら、憧れのマドンナ・グウェンとの恋を育み成長していく。
そして、オズコープ社の関係者たちが様々な事情で怪人と化し、スパイダーマンに襲い掛かる。全ての鍵は、ピーターの両親が進めていた研究にあった…。



【主要人物】
  • ピーター・パーカー/スパイダーマン
演:アンドリュー・ガーフィールド/吹き替え:前野智昭
主人公。天才的科学の才能を持つオタク高校生。
ひ弱ないじめられっ子だが、原作準拠で前向きな明るい性格。
コナーズ博士の研究のヒントを与えたり、自分で発明した粘着糸を使った武器「ウェブ・シューター」を作ったりと、発明家としても優れている。
ぶっちゃけ、演じるアンドリュー・ガーフィールドの体格と相まって全然ギークに見えない。
スパイダーマンになった時も敵に向かって軽口で煽るのがデフォ。心の弱いヴィランには効果てきめんである。
ふと見つけた両親の極秘資料がきっかけで、オズコープ社との因縁が浮上しその運命を狂わされることになる。
それは、彼の周りから次々と大切な人を失わせ、彼自身も苦悩の日々に…。


  • グウェン・ステーシー
演:エマ・ストーン/吹き替え:本名陽子
ピーターの同級生のブロンド美少女。ピーターが密かに憧れている。
彼女自身も、科学の天才で成績も優秀。
ピーターと徐々に親密になっていき、彼の方からスパイダーマンの正体をカミングアウトされる。
その後、父の死といった悲劇を迎えるも、それをものともせず交際を続ける。
『2』ではスパイダーマンとしてのピーターに迷いを生じさせ、ロンドンへの留学を決意するが、彼の熱烈な告白に根負け。
しかし、その直後起こった事件で、悲劇が起こる…。
ちなみに、二人を演じたアンドリューとエマはプライベートでも恋人同士。作中はずっと二人のバカップルっぷりが披露されている。
…しかし、シリーズ打ち切りから数ヶ月後、破局が明らかになった。


  • ベン・パーカー
演:マーティン・シーン/吹き替え:佐々木敏
ピーターの叔父さん。
原作通り、増長するピーターを諌めて喧嘩になった直後、強盗に襲われ死亡し、彼をスパイダーマンとしての運命を決定づける。


  • メイ・パーカー
演:サリー・フィールド/吹き替え:一龍齋春水
ピーターの叔母さん。
ピーターを母のように見守り、甥が落ち込んだ時は深い言葉で立ち直らせる。


  • ジョージ・ステーシー
演:デニス・リアリー/吹き替え:菅生隆之
グウェンの父。ニューヨーク警察警部。
娘に深い愛情を持って育ててきた。
当初はスパイダーマンを危険視していたが、リザードとの最終決戦で彼と協力する。しかし、その戦いで命を落としてしまう。


  • フラッシュ・トンプソン
演:クリス・ジルカ/吹き替え:石上裕一
ピーターの同級生。ガタイのいいジョックスで、彼をいじめていた。
超人能力を身につけたピーターにコテンパンにのされ、その後は彼に謝罪し、打ち解けるようになった。


  • リチャード・パーカー
演:キャンベル・スコット/吹き替え:てらそままさき
  • メアリー・パーカー
演:エンベス・デイビッツ/吹き替え:吉田美保
ピーターの両親。共にオズコープ社に務める研究者だった。
ピーターが4歳の時、遺伝子改造された蜘蛛の研究を成功させた直後身の危険を感じ、息子をベン夫妻に預け身を隠す。
その直後、飛行機事故で死亡したと考えられていたが実際は殺されていた。その背後にはオズコープ社の存在が…。
未公開シーンでは、死亡したはずのリチャードが息子と再会する様子が描かれていた。


  • カート・コナーズ博士/リザード
演:リス・エヴァンス/吹き替え:内田直哉
『1』に登場。オズコープ社に務める科学者。
生前のパーカー夫妻と親しく、社内に(不法で)入ったピーターとすぐ打ち解けた。
実験の失敗が原因で右腕を失っており、その再生を目的とした新薬の開発を進めている。
会社にクビにされかかったことを機に自分の身体を使った人体実験をした結果失敗し、トカゲの怪人「リザード」に変貌。
そして「トカゲの生態系は人間より優れている」と、ニューヨーク市民をトカゲに変えるためのバイオテロを引き起こそうとする。


  • マックス・ディロン/エレクトロ
演:ジェイミー・フォックス/吹き替え:中村獅童
『2』に登場。オズコープ社の電気エンジニア。
コミュ障で周囲からバカにされているキモいバーコードハゲ。要するにお前ら。
スパイダーマンに助けてくれたのがきっかけで彼に異常なほどの偏愛を抱く。
しかし、作業中の事故で電気ウナギの水槽に落ちてしまい、身体に電気を溜め操る特異体質を身につける。
そして、同じ「超人」にも関わらず「ヒーロー」として周囲から慕われるスパイダーマンと、「怪物」として周囲から忌み嫌われる自分とのギャップに絶望し、スパイダーマンに激しい嫉妬と逆恨みを抱き、彼を抹殺しようと牙を剥く。
境遇から同情はされるが、最後の態度がいかにも小物っぽいので台無しとの意見がある。


演:デイン・デハーン/吹き替え:石田彰
『2』に登場。オズボーン家の御曹司で、ピーターの幼馴染。
病死した父の後を継ぎ、オズコープ社の二代目社長となる。
しかし、一家に代々伝わる奇病を発症し追い詰められ、スパイダーマンの持つ治癒能力を追い求めるようになる。
やがて会社をクビにされ余裕をなくした彼はエレクトロを雇って会社を襲い、蜘蛛から得た薬の予備を投与するが、薬は体に馴染まず肉体を変貌させ、怪人「グリーン・ゴブリン」に変貌させてしまう。
狂気に取り憑かれた彼はスパイダーマンを襲い、人質にグウェンを取り、そして…。
演じたデイン・デハーンは映画『クロニクル』で鬱屈した超能力少年を演じ、本作でもその怪演を発揮させている。


  • アレクセイ・シツェビッチ/ライノ
演:ポール・ジアマッティ/吹き替え:楠見直巳
『2』に登場。ロシア人ギャングで、プルトニウムを盗んだところスパイダーマンに捕まった。
そこへハリーと謎の男にスカウトされ、サイ型の装甲アーマーを纏って街を襲う。


  • ノーマン・オズボーン
演:クリス・クーパー/吹き替え:小川真司
オズコープ社社長で、ハリーの父。
オズボーン家に代々伝わる奇病に冒され、ハリーに後を託し病死。
未公開シーンでは、死後に頭部だけの状態で冷凍保存されたノーマンが描かれており、3作目でグリーン・ゴブリンとなって復活する予定だった。


  • フェリシア
演:フェリシティ・ジョーンズ/吹き替え:森夏姫
『2』に登場。ハリーの秘書。
序盤でオズコープ社の二代目社長となったハリーの権限によってオブコープ社の重要な役職に就くのだが、元は平凡な社員だったフェリシアは当然困惑し、重役達に至ってはハリーに対して不満を募らせる事となる。
その後、病に冒されるハリーをかいがいしく支えるのだが、いつの間にかフェードアウトした。
削除シーンではグリーン・ゴブリンとなって社内で暴れ回るハリーと遭遇しており、重役達と違って見逃された。
続編があったらヴィラン「ブラック・キャット」として登場予定だった。
遥か彼方の銀河系では大量破壊兵器の設計図を盗み出した


  • ドナルド・メンケン
演:コルム・フィオール/吹き替え:家中宏
『2』に登場。オズコープ社の重役で、オズコープ社という腹黒企業を体現したかのような冷酷極まる人物。
社内で起きたマックスの事故を隠蔽し、エレクトロと化したマックスの事を調べていたグウェンを連行しようとする等、オズコープ社の運営のためならどんな手段も選ばない。
中盤でハリーがオズコープ社の最高機密「スペシャルプロジェクト」の存在に気づき始めた事で、彼をクビにすると同時にレイブンクロフト刑務所へと投獄した。
だが、ほどなくエレクトロと共に会社に戻ってきたハリーの逆襲で逆に追い詰めれてしまい、ハリーに脅される形でスペシャルプロジェクトの施設へと案内させられ、彼に命じられるまま薬を投与した。
そして薬の副作用で苦しみだしたハリーを置き去りにしてエレベーターに乗ったシーンでフェードアウトしたが、削除シーンではグリーン・ゴブリンと化したハリーの報復で上空から投げ落とされて死亡する様子が描かれている。


  • グスタフ・フィアーズ
演:マイケル・マッシー/吹き替え:小島敏彦
獄中のコナーズ博士やハリーに語りかける謎の男。
ハリーにはスパイダーマンへのリベンジを唆し、オズコープ社製の装備を使った犯罪集団の準備を整えた。
…まあ、打ち切りで無駄に終わったけど。


  • スタン・リー
……やっぱり出てるよ!



【余談】
  • 『2』は当初、二代目ピーターの恋人メリー・ジェーン(演:シャイリーン・ウッドリー)も登場予定だったが、「キャラをさばききれない」という理由で出演シーンが全てカットされた。
    おそらく3作目以降に登場予定だったのだろうが、その続編が幻のものとなってしまい、MJの登場自体もなくなった。

  • 『アメスパ』のスピンオフとして映画化予定であったヴェノムの単独映画に関しては、『アメスパ』とは別作品として改めて企画が再始動し、2018年にトム・ハーディ主演で公開された。これを皮切りにソニーが映画化権を持つキャラクターで構成されるMCUとは別のユニバースが開始される予定。
    しかし、『シニスター・シックス』に関しては『アメスパ』の存続が前提となっていたため、こちらは正式に映画化が中止となった。

  • アンドリュー・ガーフィールドは、『キャプテンアメリカ:シビルウォー』へのオファーが来ていたが、自分の演じてきたスパイダーマンのキャラクターと異なるキャラクター性を持つために断った。他には、『アベンジャーズ』の際にオファーが来たエリック・バナ (アン・リー版のハルク)が断ったが、偶然だろうか、原作でスパイダーマンとハルクは相棒として活躍することもあった。

  • 現在は別れてしまったが、ピーター役のアンドリュー・ガーフィールドとグウェン役のエマ・ストーンは本当に付き合っていた。

幻の『アメスパ3』以降を望む方、追記修正お願いします。


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