登録日:2025/03/12 Wed 07:35:16
更新日:2025/03/13 Thu 08:21:03
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アーン・アンダーソン(Arn Anderson)は、1958年9月20日生まれの米国の元プロレスラー、ロードエージェント。
いぶし銀のテクニシャンとして知られる有名レスラーで、特に代名詞として知られる旋回式スパインバスターは、スパインバスターが流行技として非常に多くのレスラーが技のレパートリーとして取り入れていることもあってか、フィーチャーされる度にスパインバスターの元祖にして頂点として注目され続けている程。
リングネームの頭文字を合わせた“ダブルA”の通称でも親しまれた。
ニックネームはTHE Enforcer。
かの
リック・フレアーの片腕にして最も長く付き合った相棒としても有名で、フレアーを中心としたプロレス史に残る伝説的なユニット“フォー・ホースメン”のオリジナルメンバーでもある。
“フォー・ホースメン”は、後期にはオリジナルメンバーであるフレアーとアンダーソンの不動のコンビに若手の実力者を加えるというパターンが多かった。
【人物】
ジョージア州ローム出身。
本名はマーティン・アンソニー・ルンデ。
1981年に地元でデビュー。
一時期は覆面レスラーのスーパー・オリンピアに変身していたこともあった。
1981年に容姿の似ているベテランレスラーのオレイ・アンダーソンに誘われてパートナーに抜擢されると、
オレイが参加していた伝説的なプロレスユニット“ミネソタ・レッキングクルー”の一員となり、ここでユニットのギミックに倣い“アーン・アンダーソン(ダブルA)”にリングネームを改名する。
ミネソタ・レッキングクルーは赤の他人同士なのだが、全員が“アンダーソン”を名乗り血縁関係をアピールするというギミックを採用しており、後のダッドリーズ(ダッドリー・ブラザーズ)は、このギミックを引き継いだもの。
それから程なくしてTV中継付きのNWA(ジム・クロケット・プロモーションズ)に参戦するようになると、オレイと共にリック・フレアーとタリー・ブランチャードと合流してカルテットを結成する。
参謀役は元プロレスラーでプロレス史に残る極悪マネージャーとして知られるJ・J・ディロンで、5人目のメンバーとして扱われる場合もある。
アーンは、キャリアと年齢的には一番の若手だったものの当時からリング上での動きは勿論のこと口の巧さも目立っており、TV中継に於ける対外宣伝役としても重宝されていた。
特に、ある試合後のインタビューにてアーン・アンダーソンが語った「俺達は最高に破壊的だ、まるで黙示録の四騎士のようにな」━━と、発言したのが大ウケし、ユニット自体の通称も“フォー・ホースメン”となった。
当時はフレアーが団体最高峰のNWA世界王座、ブランチャードが中堅タイトルのUSヘビー級王座、オレイとアーンが世界タッグ王座……と、結成時点で団体内の主要タイトルを独占してしまっており、誰かが防衛戦に挑む際には、他のメンバーによる巧みな援護までもが繰り出された。
これ以前より有力なヒール選手がチームを組んで団体内のタイトルを独占してしまうという前例は存在していたものの、この“フォー・ホースメン”の場合はTV中継という新しいプロレスの観戦方法にして従来より影響力の大きくなる媒体でやれたことは大きく、以降の(ヒール)プロレスユニットの在り方を示した形となった。
リング外で抗争相手の
ダスティ・ローデスを襲撃する様子を放送させたりと、虚々実々の仕掛けによる“ドラマ”は、後のWWEのアティチュード路線の元祖とも呼べるものであり、TVプロレスにソープドラマとしての面白さを持ち込ませたのは間違いなく“フォー・ホースメン”だった。
因みに、ドル箱タレントとなったメンバーはプライベートでも組んで遊び回っていたらしく、各地で徹夜で飲みまくってからそのまま試合に出るような生活だったらしい。
その後、メンバーが入れ替えたりシナリオの都合でアーン自身も“フォー・ホースメン”やフレアーから離れたり組んだりしているものの、基本的にはフレアーの相棒ポジを確定させる。
そのせいで、NWAから名義変えしたWCW末期ではエリック・ビショフ体制の中で共に冷遇されてしまった面もあったものの、カオスなWCW末期でも数少ない本物の“プロレス”が出来た選手としてマニアからも忘れ得ぬ名レスラーである。
また、キャリアを積む中で選手としては勿論、ロード・エージェントとして選手達の管理も行っており、00年代以降のセミリタイア状態となってからはそちらでの活動が主となっている。
WCW崩壊後はWWEに迎え入れられていたが、2019年からはAEWに移籍。
WWEでもAEWでも、リングに登場した際にはスパインバスターを炸裂させている。
【得意技】
- 旋回式スパインバスター/AAスパインバスター
主に走り込んできた相手を正面から軽く抱え上げるように捉えた後に、自らもジャンプしつつ相手の背骨(スパイン)をマットに叩きつけていく大技。
アーン・アンダーソンの物は特に“旋回式”と呼ばれる、相手を空中で180°回転させて背面に叩きつけていくもの。場合によってはその場から仕掛けたり、ダイビングしてきた相手にカウンターで仕掛ける場合もある。
恐らくはこの技の元祖であり、前述の通りで現在では流行技として多くの選手が取り入れている同技が炸裂した時に実況から飛び出ることがある「AAばりのスパインバスター!」とは、正にアーン・アンダーソンのこと。
尚、元祖のアーンのものは本当に別格的な技のキレを誇っており、仕掛けるスピードと相手を反転させる技術も圧巻の一言。
実際、旋回式と言いつつも殆どの選手が横方向や斜め方向に叩きつけるのに留まるなど中途半端な回転に終わることが多いのに対して、アーンの場合は殆どの場合で背面に叩きつけるのに成功させていたのは職人技と言う他ない。
また、自身の着地の際には必ず両膝を揃える形になることが多く、これは相手を平行に叩きつける形にすることで相手の頭部を鋭角に落としすぎない配慮も兼ねていたのだと思われる。
現役時代には、かの全盛期のビッグバン・ベイダーにすら完璧に決めることが出来た程。
元々は決め技としていたものの、余りのインパクトから当人も後に決め技ではなく魅せ技として使うようになった。
前述の通りで、何なら“スパインバスター”自体がアーン自身が開発した技である可能性がある位なのだが、自身は特にそう名乗っている訳でも主張している訳でもないので有名技である反面、素性がハッキしていない技だったりする。
決め技として多用。
スパインバスターと並ぶ職人芸で、アーン・アンダーソンの場合は相手を前屈みにした所で潜り込むように飛びついて決めることが多かった。
仕掛けてから落とすまでのスピードが非常に速いのが特徴で、マニアからも「本物のDDTの使い手は(ジェイク)ロバーツ、レイヴェン、AAの3人だけ」とまで言われる程。
決め技の一つ。
相手を後方ではなく、前方に叩きつけていくタイプのブレーンバスター(バーティカルスープレックス)のこと。同技の代表的な使い手の一人。
ホイップ式ブレーンバスターを得意技としていたタリー・ブランチャードとタッグを組んでいた時には“ブレーンバスターズ”をコンビ名としていた。
【余談】
- アーン・アンダーソン事件と呼ばれる有名な事件の当事者(被害者)としても有名。
1993年のWCWのイギリス遠征中に問題行動が多かったシッド・ヴィシャスをホテルのラウンジで諌めた所、部屋に戻った後で自室のハサミを持ち出したヴィシャスが訪問して滅多刺しにされたというもの。
ヴィシャスもプロレス界にて常に問題となっている興奮剤やステロイドの類を使用しており、そのせいで感情のコントロールが出来なかったのが原因とされており、この事件の後にヴィシャスは解雇されている。
- 現在、ファイトスタイルを引き継いだ実息のブロック・アンダーソンがAEWにて活躍中。
追記修正はスパインバスターを決めてからお願い致します。
- ストンコと組んで新日のリングに上がってた記憶が -- 名無しさん (2025-03-12 23:10:43)
- 「ダブルA(ダブルエー)」だけじゃなくWCW買収後のWWEに来てからは「AA(エーエー)」とも呼ばれてたような -- 名無しさん (2025-03-13 00:09:06)
最終更新:2025年03月13日 08:21