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ディストピア作品の代表格。
タイトルは1984年だが、執筆されたのは西暦1948年、出版は1949年。 これは、1948年時点から描いた「こんな1984年はいやだ」を示したものである。作中の時代も1984年。 「極端な監視社会」「改竄された歴史」「一見平等に見えるが極端な格差社会」など、ディストピアものの基本と言える構造をしており、後述のディストピアものの多くに影響を与えた。 同作者の『動物農場』はディストピアが仕上がっていく様子を描いた作品。動物たちのドタバタで一切中和されない毒が絶品。
オルダス・ハクスリーが1932年に発表した小説。
『1984年』とは対極的に「禁欲が悪で大量生産・大量消費が善」、「資本主義の象徴としてヘンリー・フォードが預言者として崇拝対象」、 「格差構造があからさまで子供は皆現代で言うところのデザイナーベビーとして産まれてくるカースト制社会」、 「ソーマ(一種の向精神薬、ぶっちゃけ麻薬)とフリーセックスでみんなハッピー♥」という退廃した社会を描く。 ちなみにハクスリーは学生時代のオーウェルが通っていた学校の教師であった。
エヴゲーニイ・ザミャーチンが1920年代のソビエトで執筆した小説。
その内容から当時の共産党政権下のソ連では発表できず海外で発表された。 遠い未来の全体主義国家「単一国家」における監視社会とそれへの反抗を描き、『1984年』の元ネタと言われる。
レイ・ブラッドベリ作の思想弾圧物の名作。「華氏451度」とは、紙の発火点を指す……つまり焚書がテーマ。
一切の本の所持や販売が禁じられた社会を描く。
あのジュール・ヴェルヌが作家として駆け出しの頃に書いたディストピアもの。
大気汚染や交通渋滞が蔓延し、人々は合成食品を食べ人間関係は希薄になった未来のパリで文学部卒の男が就職に苦労する話。 出版社側に「暗いだけで荒唐無稽な内容」として突っぱねられ、そのまま作者の手元に死蔵されたため長らく幻の作品だとされてきたが、130年後に偶然発見された。
ミヒャエル・エンデの児童小説。
中盤以降、言葉巧みに人々から時間を奪い取る『灰色の男達』によって支配され、一切の無駄を排除した効率化と利益を追い求めるディストピアが描かれる。 目に見える統制ではなく、肥大・先鋭化した資本主義的思考の浸透と資本主義システムの孕む虚構性によってディストピアが築かれている点が特徴。
海野十三の国産古典SF小説。洗脳音楽が流れる独裁国家が舞台。
フィリップ・K・ディックの小説。第二次世界大戦で日本とドイツが勝利して世界を二分した世界を描く。
ドイツ支配地域では有色人種やユダヤ人・スラブ人が文字通り絶滅するなどの典型的なディストピアなのに対して、 日本支配地域は良くも悪くも戦前の日本とその植民地(=官憲が横柄だが黙って従っていれば比較的自由)的な社会であり、ユダヤ人なども逃げ込んで来ている。
統制は他の作品に比べると緩やかだが、徐々に思想弾圧が進みつつある社会を描いている。
主人公たちはその中で、「あらゆる思想を守るための最後の砦」図書館を防衛することになる。
体裁としてはギャグ小説であるが、その実はあらゆる「下ネタ」が狩られた思想統制社会の物語であり、そんな社会への反逆者たちの物語でもある。
「三日だけ滞在(特例あり)し、その後は何があっても出国する」を課した旅人キノと喋るモトラド(二輪車、空を飛ばないものを指す。):エルメスの物語。
様々な国家を渡るだけあって、ディストピアめいた国家も結構な割合で出てくる。…とはいえ、話次第で国家での陰陽は様々。 何も知らず平穏に過ごす人々、その国の根幹をきちんと把握し受け入れつつ日々を過ごす国民もいれば、暗部を一身に背負うあまり迫害を受ける持たざる者もいる…など。 キノが「基本は」傍観を貫くこともあり、国自身が干渉を受けることがあまりないが、国家自体が崩壊・もしくは壊滅的被害を受けた国もあるっちゃある。
「中学生たちが、最後の一人になるまでクラスメイトとの殺し合いを強要される」という過激な内容で話題を呼んだ作品。
物語の舞台となる国『大東亜共和国』は全体主義国家となっており、弾圧が横行していて、 前述の「クラスメイトたちとの殺し合い」も、革命運動の抑止を目的として施行されている『プログラム』という設定。 内容が内容なだけに、一握りの政府関係者を除く市民はその詳細を知らされておらず、 また、『プログラム』を勝ち残った生徒は、以降一生涯の生活の保障と総統(指導者)直筆の色紙を贈られる代わりに、 強制的に転校させられ、『プログラム』の内容についても口外しないように厳命される。 原作小説では『成功したファシズム国家』と評されており、朝鮮半島や中国大陸の一部を『我が国固有の領土』と主張して米国と激しく対立している他、 「総統」も、実在こそしているがあくまで体制のシンボルでしかなく、最高権力者としての実権は存在しない可能性が示唆されるなど、 戦前日本の悪い部分を更に先鋭化させたような国家として設定されている。 思想と文化に厳しい弾圧が加えられているにも関わらず経済力は世界有数で、 殆どの国民は、文化的にはともかく物質的に豊かな生活を捨ててまで政権に反抗する気は無いという。 更に一応退廃的・敵性的音楽などは表上は禁止にしてるがガス抜き的な事をさせてると言うこと含め半ば黙認しているなどBR法がなければ比較的暮らしやすい国と描写されている。
ちなみに映画版は現実の日本が舞台であるかのように描かれており、設定からして別物になっている。
上記に類似した世界観ではあるが、大きな違いとして「殺し合い」の大衆への認知度の差がある。
バトル・ロワイアルの『プログラム』は、その存在と誰が生き残ったかが報じられる程度で詳細は伏せられているが、 ハンガー・ゲームの場合は殺し合いの模様がテレビ中継される他、 一部の特権階級は気に入った参加者に食べ物など物資の援助が許されている。 つまり、未成年同士の殺し合いが娯楽として定着している。
伊藤計劃の遺作。舞台は『虐殺器官』の後、医療技術が超発達した未来社会。お医者さんカバンが一家に一つあると考えてくれ。
その実態は体調を崩す事すら許されない超健康管理社会。タバコどころかコーヒーも禁止だ。 精神を病むことも禁止されるため、ショッキングな作品・資料はくどいほど閲覧を制止される。 端的に言えば"自分の肉体・精神を社会の所有物として扱われる"社会
経済評論家の三橋貴明による小説。
人権、平和といった美名の下で、国民への抑圧が行われ、文化解体が進んでいく様を描く。 身に覚えのないことで「人権犯罪人」の前科を付けられた主人公は、海外亡命者の手引きで政府への復讐を企てるが…。 前述の『1984年』に強い影響を受けており、表題の「ビッグブラザー」も、同作に登場する独裁者の名前である。
主人公が転移する前に住んでいた『現実世界』は、深刻な環境破壊によって地表は完全に汚染されており、
呼吸器具の無い外出は自殺行為、動植物はほとんどが死滅した影響で従来の食料品は高級品扱いされ、水道水すらろ過しないと飲めない有様。 各国は環境破壊に有効な手立てを講ずることができず、その混乱に乗じて巨大企業が国家を牛耳り愚民化政策を実行。 さらに義務教育の撤廃によって、労働者階級の人間にとっては小学校を出るだけで安くない学費が必要になるため、 小卒の主人公すら、労働者階級の中では高学歴に入るという末期的な社会であった。 一応主人公が熱中していたDMMORPGなど娯楽はそれなりに存在するようだが、これも人々の不満を発散させるためのいわばガス抜きに過ぎず、 巨大企業の秘密を知ってしまった主人公のかつての仲間の一人は、口封じのために殺害されている。
学園都市。有能な研究者が多数集まり、能力開発などを餌に子供を集めた学校の街。中と外では科学力の差が20年以上はあると言われている。
(日本国からは完全に独立しており、独立した日が祝日とされている) 表向きは夢のような都市だが、 学園都市統括理事長に街中は常時監視されており、反乱者を排除する私兵を無数に抱えている。 研究者もマッドな奴等が多く、倫理的にアウトな実験を行っても良心の呵責を覚えない者が多い。
国連が崩壊し世界中のあらゆる国が変貌をとげ、後述の四つの連合体に分裂した世界。
これら連合体はどれもこれもが歪な社会体制を持っており、住んでる人間は疑問を抱かないが周りから見ると暗黒社会で、 巨大兵器「オブジェクト」とそれを駆るために肉体改造された「エリート」による「クリーンな戦争」で諸々の安定を保っている状態である。
原題『Bootleg(*4)』。イギリスの作家アレックス・シアラーの少年・少女向け小説及びそれを原作とする漫画・アニメ映画作品。
「どうせどの政党を支持したところで何も変わらない」という政治への無関心により選挙に投票しない大人達が増えてしまった結果、 「チョコレートをはじめとするあらゆるお菓子、甘い物を健康に悪いという理由で害悪とみなす」指針を掲げる政党である健全健康党が政権を握り、 チョコレートをはじめとするあらゆるお菓子、甘い物の所持・製造を禁止し犯罪とする「チョコレート禁止法」が制定されてしまったヨーロッパのとある国を、 チョコレート密造・密売組織を率いてチョコレートのある世界を取り戻そうと立ち向かう少年達の視点から描く物語。 作中においてはチョコレート禁止法下の体制は「チョコレート探知用レーダーを用いチョコレート所持の取り締まりのためのパトロール活動を行う『チョコレート警察』」、 「主人公の一人が逮捕され収容されてしまった過酷な『矯正キャンプ』」、「子供達は健全健康党の党歌を歌い愛党精神を示すような者が『優等生』として奨励される」、 「合法な代用菓子の流通は認められているが主人公曰く『ヒ素を呑んだ方がマシ』と称するほどに酷いマズさ」など「過度な管理社会」、 「特定の思想が弾圧される思想の自由がない世界」、「過度な独裁体制」、「一見物資的には恵まれているようでいて問題が隠蔽されている」といった、 ディストピア社会の特徴とその問題点が「チョコレートが禁止された世界」という一見荒唐無稽ながらも単純明快な設定を用いることによってわかりやすく描かれている。 ……どうか我々はこんなにビターな現実はブラックチョコレートくらいしかないような世界を作れるようありたいものである。
人類が突如「呪力」という強力な超能力に目覚め、それによる世界の崩壊を経た世界。
科学技術をほとんど排した牧歌的な社会が細々と営まれているのだが、その裏で歴史は隠蔽され、 悪意や闘争というものを徹底的に切り離した管理教育、果ては洗脳や間引きまでもが行われている。 出生管理のために思春期の間は同性愛が推奨されるという人類総バイセクシャル社会とか、 人間を殺傷した場合自動で自殺する機能が遺伝子に組み込まれているとか、とにかく手段を選んでいない。 なにせ一人の力で世界を滅ぼしかねない兵器が全人類に生まれつき備わっているのだから、人間は兎にも角にも「善良で心穏やかである」ことに努めるしかないのである。 しかしそうまでしてガチガチに固めた社会ゆえに、ひびが入ったときの脆さが悲劇を生むことに……。
作中の主な舞台となるネオサイタマとガイオン・シティは強大な力を持つ暗黒メガコーポやニンジャ組織により政治・経済・治安など様々な分野が牛耳られている。
暗黒メガコーポ群の横暴は凄まじく、麻薬成分入り栄養ドリンクを自動販売機で気軽に購入できるレベルで広く流通させたり、 地域再開発の名の下に地域住民を立ち退きさせては強制労働施設にぶち込むなどやりたい放題。 一方で各種製品やサービスで人々の生活の基盤を支えている側面もあるのでタチが悪い。 ネットワーク世界への監視の目も厳しく、たとえミスタイプでもニンジャ組織に関連する単語が打ち込まれればものの数分で近隣のニンジャが調査のために派遣されるほど。 第三部中盤以降のネオサイタマは特にディストピア度が高く、徹底した情報統制と市民同士の相互監視による暗黒管理社会をほぼ完成させてしまっている。 そんなディストピア世界でもたくましく生き、時には反旗を翻す人々の戦いを描いたエピソードも多くある。
作中の日本は戦時中のような雰囲気であり物資は欠乏している。
テロリストのテロは横行し街中では無関係でもテロリストと認定されればリンチが行われる密告社会。 テレビやラジオと広告と言ったメディアは全てが愛国心を煽り、大陸への出征の志願を要求している。
「必要悪は、もはや悪じゃない」
星新一の短編小説であり、全ての国民に充分な土地が確保され、公害も犯罪も戦争も自殺者も交通事故さえも存在しない健康で文化的な世界を書いている。 それを可能としたのは、ランダムに選んだ国民を殺処分する事による人口抑制という政府の政策。 執行官である主人公とその同僚はその方針に疑問を一切抱かず、昔(*5)に逆戻りするよりはマシだと本気で思っている。 実際に同僚が殺処分対象に選ばれた際も取り乱す事なく、殺処分に選ばれた同僚すらもその決定を受け入れていた。 「生存競争と戦争の恐怖がない世界でこれだけ生きれて、楽しかったな」
筒井康隆の短編小説であり、禁煙運動が過激化した地球を舞台にしている。
煙草屋はもちろん、愛煙家の家を放火したり、その身内をリンチ殺人したりするのは当たり前で、 日本では法を守るべき警察や自衛隊までもが喫煙者を排斥していくという世界になっている。 とうとう追い詰められ、国会議事堂に昇って死を待つ羽目になった人類最後の喫煙者だが……。 |
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伝説のSF映画。
強固な文明と完成された秩序を得た巨大都市「メトロポリス」。しかしその根幹は多数の人間の犠牲の上に成り立っていた。 やがてその仕組みを知り反目した若者と一人の男の暴走により、その秩序に混沌が降りかかる。 制作会社の倒産、二度の世界大戦で紛失したフィルムなど数多くの逆境を受けた。…が熱烈な支持と研究の元に不死鳥のごとく蘇り、国内外問わずSFの娯楽で数えきれないほど影響を与えている。
モンティ・パイソンメンバーのテリー・ギリアムが上記『1984』からインスパイアされて描き出した傑作SF。
夢と現実のリンクの中で翻弄される主人公の姿を通じて、名前の間違い程度で重大な過失が発生しながらも、 ミスを修正するのでは無くエラーである主人公達を抹消にかかることで解消しようとする、おぞましい管理社会の歪みをブラックジョークたっぷりに描く。 リアリティーのある未来世界に夢の世界を織り混ぜて描く物語構成も印象的で、衝撃のラストも含めて数多くの考察を生んだ。
人口爆発や食糧問題がしばし世論に載った時代の
地上の環境破壊で地下に逃げ延び、更に爆発的な人口増加により町の至るところに人が溢れかえった国家が舞台。 ある一社の社員と特級階級を除き、食料は配給のみ・人間が独特の人材として扱われる・特定の年齢に達すると 間引きが義務付けられる(国立の安楽死施設がある) 。 人々の不安が生活レベルに浸透しているせいか、管理社会としてはかなり治安が悪い。ポスターやDVDジャケットにも載っている多数のデモ参加者たちをブルドーザーで片づける場面は、本作を象徴した名シーン。 ちなみに原作小説『人間がいっぱい』では映画のラスト以降の話も語られている。
1965年のフランス映画。コンピューターに支配され個人の自由や感情が抑圧された社会を描く。
本作の「特撮や未来的な空間を一切使わずに異世界感を表現するSF映画」というコンセプトに感銘した実相寺昭夫が自分もと撮ったのが『ウルトラセブン』第43話『第四惑星の悪夢』である。 ちなみにこの映画、『レミー・コーション』シリーズという、向こうでは人気のある小説及び映画シリーズのスピンオフ的な作品というか、 キャラクターだけ借りて好き勝手やった二次創作作品みたいな映画なのだが、まともに日本で公開されたのは本作だけだという。
ジョージ・ルーカスのデビュー作。
精神安定剤の摂取で感情が制限された社会からの主人公の反抗と逃避行を描く。
「貴様が正義なら、俺は悪だ!」
『人造人間キカイダー』のスピンオフ作品たるダークヒーローアクション。 悪鬼の如き主人公が無慈悲な暴力を以って偽りの楽園を粉砕する。崩壊後の生活を保障するとは言ってない。 彼にとっては人間の尊厳を奪うディストピアは勿論、そのような体制におもねる住民もまた敵であり、 彼が手を差し伸べるのは自ら主体的に生きることを願う人間のみである。 「生きたいか?自らの意思を持ち、生きるか……?」
ガン=カタの創始によってじわじわと熱狂的ファンを生んだB級SFアクション。
ディストピア物としてはストレートな出来ながら、良く練られたシナリオと設定も評価が高い。
全ての人は「夢の中」で幸せに生かされているが、現実での彼らの肉体は……。
遺伝子操作により人間が老いから解放された未来世界。
25歳時点から老化しなくなった代わりに、自分の余命が時間となって腕に表示される事となり、カウントが0になった瞬間に死ぬ事となっている。 仕事による労働で増やす事は可能だが貧困層に支払われる時間は少なく、 上がる物価や税金のせいでまさに、秒単位で労働に四苦八苦する事を余儀なくされている。 |
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管理社会をテーマにしたTRPG。
プレイヤーは管理社会の中でコッソリ反逆するミュータントとなり、支配者たるコンピューターや、同僚達の監視を掻い潜る。 パラノイア(偏執病。他人が常に自分を監視・批判しているという妄想)に侵されているのはコンピューターなのか、プレイヤーなのか? 「市民、幸福は義務です」ZAP! なお、本作が発売されたのは1984年であり、小説『1984年』が共産主義への警告として書かれたのに対し、本作の社会は、共産主義を警戒するあまりにディストピアと化したという設定がある。
始皇帝が不老不死となり、全世界を統一した世界。
恒久平和が達成されて人々は飢えに苦しまないが、一方で人々は知識や教養から遠ざけられ、文字すらも知らず、知ると「儒」として粛清の対象となる。 この帝国はこうした知識を始皇帝に独占させることで、人と人との争いをなくしたのである。
第一天:真我を支配者とする世界。
全ての生物が善悪に分かれて闘争を続ける法則に支配されている。 生まれついての本能として「敵は滅ぼさなければならない事」が刷り込まれており、大半の者がどうして戦うのかすら理解していない。 善側の母が、自分の子が悪だと知ったら自分諸共に殺そうとするし、子は子で母を殺してでも生き延びようとする。 しかもどちらの陣営も大部分が滅ぼされたら、滅ぼした側で善悪が反転する転墜という現象が発生するので、闘争を終わらせる事は実質的に不可能。 たった一人で宇宙を絶滅させた男が現れるまでは、ディストピアに等しい閉塞世界であった。
第三天:明星を支配者とする世界。
所謂テンプレ式の完全管理型ディストピアだが、その統制原理は人が罪を犯す基となる「原罪」の根絶により、一切の悪性を消し去るというもの。 原罪の消しきれていない段階ではまだ人は個性を有し、日々を穏やかに過ごしているが、 最終的には全ての人間が同一の性質へと均一化され「個我」という観念が消え去り、一切の争いが摘み取られることとなる。 最終的にディストピアとなることが確定している世界ではあるが、管理段階の緩やか移行と神の柔軟な対応による悪性の徹底した根絶など、 この手のタイプとしてはぶっちぎりで民の幸福と安全がゆるぎなく保証されているという変わり種。 しかし座を握る際に時間逆行の技を用いたことで並行世界を生み出してしまい、最終的には悲想天の破綻を決定づけるコズミック変質イレギュラーが発生することになる。
第四天:水銀を支配者とする世界。
望まない結末に至った時、時間を巻き戻して最初から全てをやり直すという彼の特異な性質から、この世界に住む生命は同じ人生を延々とループし続ける。 つまり、敗者は永遠に負け続け、勝者は擦り切れた勝利を繰り返し続ける。
メシア教という法と秩序を絶対視する組織によって統治される「TOKYOミレニアム」が物語前半部の舞台となる。
大破壊によって地上に悪魔が蔓延るようになった地球上で人間文明を維持している唯一の組織でもある。 エリアによっては闘技場や賭博場の営業も許可されており、敵対勢力である悪魔が出現するなどTOKYOミレニアム自体はディストピアと言えるほどに完璧に管理された社会ではない。 闘技場と賭博場があるエリアに人が集まって栄える一方、聖地として大きな教会が作られたエリアは人気がなくて過疎化しているなど政策の失敗も浮き出ている。逆に言えばその程度の自由を支配者層が許容しているということでもあるのだが。
ご存知KOTYのマスコットで不遇の名作。
ゲームの舞台、ランドロール星は全ての住人が適正によって職業を決定される。ライセンス、ランク、住民ランクで行動が管理されている。個人情報はOMP端末に記録、公開される。 …などがあるが、副業は自由で衣食住や娯楽は充分。ライセンスさえ取れれば意外と自由。仕事のノルマを全部クリアすれば残りの人生は一切自由など、暮らしやすいディストピアになっている。 クソゲーという誤解が広まったせいでワゴンの常連となっているが、その分手に入れやすいので対応ハードがあるならプレイをおすすめする。
割と珍しいディストピアにおける「管理者」側になって国民の生活を監視するゲーム。
主人公はとあるアパートの管理人に任命され、アパートを健全に運営しつつ住民の中に反逆の兆しがないかを監視していく。 洋ゲーなので難易度は高めで割と理不尽に主人公が死ぬ。その辺も含めてブラックユーモアとして笑い飛ばせる人向け。
監視国家の国家保安部の一人となって、ある人物のスマホを覗き見していくゲーム。
そのスマホの持ち主が国家転覆を企むテロリストである証拠を見付ける事を仕事として任される事となる。
人間の安息の地を目指して築き上げられた都市。
レプリロイドと呼ばれる、自我を持つ人型ロボットと人間が共存しているが、創設者たちが人間至上主義であったことに加え、 慢性的なエネルギー不足問題により、「役に立たない」と判断されたレプリロイドたちが次々と冤罪をかけられ、「イレギュラー」として処分されるのが常態化するという、 そこに暮らす人間たちにとってはともかく、レプリロイドたちにとっては偽りの平和であった。 その現状に反発したヒロインがレジスタンスを結成し、ネオ・アルカディアに対抗しているのだが…。
管理組織「フィフスセクター」に支配された中学サッカー界を舞台とする超次元サッカーRPG。
各学校のサッカー部員達は組織から派遣された監視者「シード」の監視の下、事前に勝敗を指定された八百長試合を行わなければならず、この指示に逆らえば部どころか学校そのものの廃校すら有り得ない話ではない。
ディストピア世界で自派閥の勢力伸長を目指すボードゲーム。
いわゆる拡大生産型のワーカープレイスメントと思いきや、「知識が一定値を超えるとダイスを捨てなければならない=余計な知識は身の破滅を招く」辺りが実にディストピア。 他にもゲームのキーになるアーティファクトが「本やおもちゃ」だったりと、随所にエスプリが利いている。
大空域アウライ・グランデに本国を持ち、数々の空域を支配する巨大管理国家。
主人公の父とも因縁を持つ男・真王が七曜の騎士を従えて君臨し、 国民は職業選択の自由も結婚の自由も与えられない代わりに失業することも飢えることもない幸福を享受する。 この体制によって救われた者もおり一概に悪と言い切れない側面もあるが、自由を至上の価値とする主人公たち騎空士にとっては相容れない存在である。
蒸気機関の目覚ましい発達により、我々の知る歴史とは違った道を歩き始めた1886年代のヨーロッパ大陸が舞台のスチームパンク・サバイバルシミュレーター作品。
唐突に訪れた第二の氷河期により極寒の世界と化した中でプレイヤーを含むロンドンの生存者達は生き延びる為に敢えて石炭の埋蔵量が豊富な北極を目指す。 その途上でかつて実験の為に建造されそして放棄された巨大な蒸気機関のジェネレーターを発見、これを再稼働させ、そして中心にし少しずつ生活を発展させていく…と言うのが大まかな流れ。 その発展させていく為の項目の1つに法律という物があり、これを進めていくと途中で「秩序」と「信仰」というものが出てくる。 秩序はより厳しくも明確なルールと規則に則った街の運営、信仰は廃れかけていた神への信仰を復活させ人々の心の拠り所を作っての街の運営を目指す一種のルート分差なのだが、 どちらも最終的にはプレイヤーが街の独裁者となり、反対する者は容赦無く吊し上げて粛清する事が可能になる。 街に暮らす住人らも狂信的な程に自分を称え、異を唱える者や泥棒や密かに食料や物資を溜め込もうとする等、街の利益を損なう者にはリンチも密告も平然と行われるという、「プレイヤーが運営するディストピア」の一種である。
大気圏に浮かぶ空中都市エテメンアンキを首都とする作中の覇権国家。
強大な科学力と軍事力を持ち、「教会」を利用して地上人を表からも裏からも、物理的にも精神的にも支配している。 かの「ソイレントシステム」とはその最たるものである。 この都市のおぞましさディストピアたる所以は、当該記事にだいたい書いてあるので詳細はあちらを参照のこと。
一方、当のソラリス市民は、厳格な階級制度があるとはいえ、実態を知らないため至って平和な日常を送っている。
例の缶詰を食べながら物質的にも豊かな暮らしをしている。 街中で流れるBGMもどこか気の抜けた感じの明るくポップな曲調で、とても敵の本拠地の真っ只中にいるとは思えないほど。 そこに至るまでのハードな内容と、呑気な市民の様子のギャップが印象的な展開である。
「死者が幽霊となる」「生きた人間と幽霊が接触すると爆発が起きる」「建物や自然を急速に劣化させる雨が降る」という、ディストピア以前に深刻なポストアポカリプスが進行した世界。
オープニングにて、主人公に「絆」と称して「手錠」が付けられたり、 主人公のサポートという名目で「監視」が行われたり、 さっきまで処分されそうになっていた赤子が主人公の雇用説得のダシにされるなど、物語開始以前からはきな臭さは匂わせていた。 とはいえ、主人公がガチで世界の命運を握っているので、ディストピア関係なくこれくらいは当然と受け止めるプレイヤーも多かったことだろう。 しかし、物語中盤から明かされる世界は……ここからはぜひともゲームをプレイして自分の目で確かめていただきたい。
荒廃により外界での生存が困難となった人類は徹底した管理社会都市である「パノプティコン」を各地に建造し生きながらえていた、というポストアポカリプス+ディストピアものテンプレのようなディストピア。
リソース管理が徹底されているため、何も生み出せない人間は罪人とされており、主人公も100万年の刑期を背負う「咎人」という存在として登場する。 咎人は「ボランティア」というパノプティコンへの貢献行為で刑期を減らせる一方で、パノプティコン中における権利が極めて制限されており、違反行為をすると即座に刑期が加算される。 違反行為は「自室の中で5歩以上歩く」「休息を要求された際に横になって寝る」「許可されていない人物に話しかける」などがあり、 実際プレイ中でも無駄に歩くと刑期加算、街中を走ると刑期加算、NPCに話しかけようとすると刑期加算とディストピアっぷりを実感できる作りになっている。 これらはゲーム中で権利を獲得していくことで刑期加算を無くせるためゲーム進行のモチベーションにもなっており、ディストピア感とゲーム性を両立できているとして本作の
全面核戦争後のアメリカを舞台にしたポストアポカリプスの代表作みたいなゲームだが、しっかりディストピアも登場する。
戦前のアメリカは国や企業の倫理が最低最悪に陥り、放射能廃棄物を近くの洞窟に隠しただけの企業が表彰され、海洋汚染の深刻化を警告した環境学者は、マスコミや行政からは「ロブスターが大きくなるのは良い事だ」と相手にもされなかった。。
本編においても、親父を探しに来たVault101のアイツが入り込むVault112。
そこでは「冬眠ポッド」と呼ばれている一種のシュミレーターに人々を閉じ込めており、 トランキルレーンと名付けられた仮想現実シミュレーションの世界で人々を生活させるという実験を行っている。 なのだが実際は監督官であるブラウンという博士が、管理者権限で好き勝手に人や世界を改変していく箱庭と化している。 壮絶な死を味わわされてもすぐに記憶を消され、架空の街に何の疑問も抱かずに居る住人達だが、一人だけこの世界の異常に気付きシミュレーターの安全装置の作動を懇願してくる老婆もいる。
なおこの仮想現実に囚われた住人だが、現実での体は脳以外とっくの昔にダメになっており、冬眠ポッドから出したらお陀仏になるので絶対に助ける事ができない。
なんてこったい。
次元を侵略するエイリアンに地球を占領された本作。
絶滅か奴隷の二択を選ばされた人類は、Cityという新たに作られた都市区画に押し込まれている。 このCityは分かりやすい監視社会であり、住人はエイリアンやエイリアンに恭順した人間に奴隷のように扱われている。 10年後にフリーダム物理学者が降臨するまではレジスタンスが細々と活動するしかなかった。
クソゲーとして名高いRPG。
世界唯一の巨大都市を支配するクルーIIIというコンピュータが、争いなどの発生を防ぐために悪意を消し去るマインドコントロールを都市の全住人に行っており、 それが効かない新しい人類は「サイキック」と呼ばれ、ロボットや軍隊の「超能力狩り」で捕らわれているとの設定。
プレイヤーが架空の島の独裁者となり、島民を支配し産業や外交を行うゲーム。
プロパガンダまみれのメディアを垂れ流し、造反者が出たら見せしめに処刑や秘密裏に病院に送り込んで洗脳、他のカリブの島を秘密裏に荒らして相対的に自分の島を幸福に思わせる欺瞞など、島民がどれだけ苦しもうが一切の意に介さずに私腹を肥やすというプレイが可能。 なおこの島民は生活に不満が出たらすぐさまにテロリストに変貌して政府に攻撃するという、根性の据わった者が多い。 ゲーム初心者にとっては、島民を虐げるよりも島民の意見を聞いてなあなあで政策をやっていく方が楽だったりする。
BGM:ユートピアでしょ?!
ポーキー・ミンチの作り上げた空中都市であり、彼の歪つな精神性が形になったような場所。 田舎(タツマイリ村)の住民が憧れる都会さを顕示しながら、実際には建物はほとんどがハリボテであり、下水道から繋がるアパートは廃墟その物。 ポーキーの本拠地であるビルにおいては、中に入るとポーキーの事が好きになるよう洗脳される緑色の液体が詰まったカプセル、全ての勝負にギリギリで負けるのを要求される接待ゲームなどが詰まっている。
ブラック企業の社長となって、異常存在からエネルギーを抽出する作業を社員に行わせるゲーム。
当然の事ながら命の危機が伴う仕事なので、社員はしょっちゅう死ぬ、なんならプレイヤーが真っ先に殺したりもする(*6) この会社の外も外で都市外部は異常存在がうようよしている。都市内部に居住権を得るために、命の危険があってもL社で働こうとする奴は絶えない。
夢の世界、現実の世界の狭間にある魔王デスタムーアの支配領域。
ぜつぼうのまち:デスタムーアの影響で住民は絶望に苛まれており無気力に生きている。そんな空気に主人公達も抗えず、全てのステータスとHPが1になってしまい戦いどころではなくなる。 よくぼうのまち:ほぼ全ての住人が欲望に憑りつかれており、悪い意味で活気がある町。詐欺が横行し、貧富の差も著しく大きい。 ろうごくのまち:町そのものが牢獄のようになっており、住人はロクな食べ物も与えられず、領主に認定されたアクバーの一存で好き勝手に処刑されている。住人を監視する兵士ですらもお互いを見張るような体制であり、アクバーの気分で処刑されるという有様。
この世界で生まれた人間は政府によって潜在能力を測定され、名前の横に分数からなるD値を付けられる事が義務付けられる。
この分母が小さい程に素質が高く優秀とされ、エリートとして汚染された地下世界の中でも比較的空気の綺麗な上層フロアに住む事が出来たり、政府の要職などの良い仕事に付けたりする勝ち組の生活が待っている。 低い者はローディとの蔑称で呼ばれて差別の対象にされたり、汚染の激しい最下層フロアに追いやられたり、仕事が無く強制的に人体実験の素体にされたりする悲惨な人生を送る者もいる。
本来のD値が持つ意味は、ドラゴンとリンクする能力を計測した数値の事である。
つまり、D値が低い=ドラゴンとのリンク能力が低いだけで。その他諸々の潜在能力まで低いとは限らない。 しかし地下世界では長い長い年月を経て、D値の持つ本当の意味を知る物が少なくなってしまったので偏見や差別を生んでしまった。
せかいの まんなかに たつとうは らくえんに つうじている という
時間軸すらも異なる数多の世界を内包する長大な塔。楽園に通じていると伝えられており、魔界塔士と呼ばれる探索者が後を絶たない。 海の広がる世界、空中広がる世界、荒廃した未来都市、建築する会社、四人の死体が残る核シェルター、エクスカリバーを託すためだけに存在した老人の居る花畑。 平和もあれば、アシュラという怪物率いる四天王が荒らす世界もあり、それも必要のない終わった世界もあるまさに混沌が広がっている不思議な塔。
テロが頻発する共産主義国アルストツカにおいて、入国審査官として働くゲーム。
日を経つごとに提示すべき書類や、審査の数が多くなっていく煩雑な仕事を前に、 過激派テロリストや政府の工作員などの誘惑に打ち勝てるか、自分の生活を守り通せるか。 ちなみに主人公は入国審査官の仕事に志願したわけではなく、抽選に当たったので故郷の農村から国境の街まで家族と共に引っ越しをさせられたクチらしい。 主人公の仕事っぷり次第では審査官の仕事を辞めさせられて強制労働に充てられたり、裁判なしでの死刑もありうる。
・墓所の地下都市に、遥か昔から住む白子族
近親婚の繰り返しにより彼らは体が異形化しており、変わった風習として唯一まともに生まれた子供は船に乗せて川に流している。 まともに生まれた子供は、タイタス1世の依り代となる。そのためだけに白子族は地下都市に封じられており、自分らの運命を苦痛に思う意識すら与えられていない。 川に流された赤子が主人公であり、自身の異常極まりない生まれを知った主人公は絶望して一時的に狂乱状態となり、 その場から逃げるか、白子族を虐殺するかのどちらかを選ぶ事となる。
国是「抑圧的な独裁政治」を選択すると、POP(国民)の生活水準が「ディストピア社会」になる。
本作のPOPは統治者、専門家、労働者の3階級に分かれているのだが、ディストピア社会は統治者とごく一部の専門家のみを優遇するもので、それ以外のPOPには「幸福度」に-200%もの凄まじいマイナス補正がかかる。 しかしこの状態のPOPは「快適度」を殆ど使用しなくなり、政府の安定度に関わる「政治力」も無に等しくなるので、治安維持のための警察署さえ建てておけば、通常のプレイでは気を遣わなければならない要素の管理が非常に楽になるため、意外にも初心者向きだったりする。 他の要素次第ではディストピアでの暮らしを夢見る移民が全宇宙から押し寄せてくるという訳の分からない状況になることも。
太陽を神として崇めていて、何年かに一度、選ばれた村人は太陽の一部になれるという風習が伝わる村。
祭事の際には、村の中心地に巨大な門のような物体が出現し、そこに付いている金属マスクを被る事で、村人は光輝き天に消えていく。
本作の舞台であり絶賛戦争中の国。モチーフはどう見てもアレ。
電熱線という技術を保有する軍事国家として、かつては周辺国を圧していたが、横暴に耐えかねた国々が連合を組んだせいで戦況が悪化している。 しかし、勝利をし続けているとプロパガンダ放送を垂れ流して国民を欺いており、また税金も上がり続けている。 国民には1から10までの等級が割り振られており、その言動は憲兵に監視されている。
全体主義により人々が支配された管理国家を舞台にしたゲーム、上記にある1984年をモチーフにしているゲームと言うだけあり、ディストピアネタも多数出てくる。
当然こんな国に居たいと思う奴は少なく、他国に亡命したいと思うのだあ壁で分断されているのでそれも叶わない……、ウォールショーを除いて、 この番組で勝利すれば壁の向こう側にいけると信じて、主人公はデスゲームめいた事をやらされる事となる。
亡命できるとの約束は完全な大嘘である。
真の目的は、何が何でもやりとげる意志の強さと冷酷な合理性を持つ者を見つけるための試験、 番組に勝利した主人公には、拒否して死ぬか、職員として雇用されるか、どちらかの選択が待ち受ける。
忌まわしき糞喰いの修復ルーンでエルデンリングを修復して到達できるエンディング。
この治世を簡単に言えば、 「世界法則を汚して、全人類がデフォで呪い穢れている状態にすれば、誰も呪われてるとか穢れてるとか思わなくなるよね!」 である。 黄金律のルールがあるのに、異形として産まれる結果、そういう存在が迫害されるこの世界。 体は人間だが魂は異形、という状態で生まれたせいで全てを呪うように殺戮行為を繰り返した糞喰いの願いを叶えるエンドである。
電脳歴における人類は可能性の限界に屈している。
社会的ヒエラルキーこそあるものの、機械や人工知能の進化から極端な貧困はかなり削減され、まさにユートピアのごとく安寧な生活が保障されている。 戦争も放棄されているのでまさに平和…かと思えば、そんな人類にとって刺激的な娯楽となったのが管理されたアミューズメント、「限定戦争」である。 初代バーチャロンのプレイヤーは無自覚に戦場に投入される設定だったが、今や観客に娯楽を提供するための先兵と呼べるかもしれない。 |
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ワンピの尾田栄一郎の師匠こと、ターちゃんの作者:徳弘正也のもう一つの代表作。
話の内容は「ディストピア内でのロミオとジュリエット」と言えばわかりやすいか。 大戦の荒廃後、ゲノム党による独裁政権が確立し、 旧国民の淘汰が現在進行形で進んでいる国家 での物語。 特に注目すべき設定はM型遺伝子(危険思想or犯罪を犯す人物に必ずある遺伝子)と、仮想空間を用意した高性能バーチャルマシンか。 本作での遺伝子は、世界観の基礎を作る極めて重要な設定である。 非常に残酷な世界観であり、作者自身も作中の趣旨を見失わないよう何度も苦心していた。 最終巻での作者のあとがきにて「あそこで話を終わらせざるを得ない」とまで言わしめたほどで、良くも悪くも作者の方向性を確立した作品。
そこは大人たちによって支配された絶望の国・日本。横行する不条理と弾圧、その中にあっても子供たちはそれぞれの希望を胸に生活していた。
公式サイトより
週刊少年ジャンプで連載していた漫画。
大人党という政権が日本を牛耳った結果、国民はランク付けがされ、子供達は娯楽の類が禁止されているディストピアが形成されている。 という設定である。
神機力というスーパーテクノロジーの台頭により華やかな時代を迎えた世界。
東京は神都と名を改め、住民は衣食住に不足無しの夢の都市となった、が。 神機力に対応できずホームレスに堕ちると人権は無視され、公権力による虐殺が平然と行われるようになる。 失業者区画という救い道があるが、そこは法が機能しておらずホームレスでも行きたがらない掃き溜めである。意外に秩序が保たれてたのは内緒
神都の本来の役割は防疫都市である。
人間同士の接触を必要最低限にし、人間のサイボーグ化すらも目論んで、感染したら死ぬしかない新型インフルエンザ(局所的な物で、まだ世界には流行してない)による人類絶滅を食い止めようとしている。
マジンガー以外の存在を認めないマジンガーZEROが作り出した理想の世界。
一見しただけなら現代とほぼ同じ文化をしているように見えるが、マジンガーによるマジンガーのためのマジンガー文化としか言えない歪極まりない文化になっている。 マジンガーのアニメは40年を超えてなお続き、アニメの放送は2500回を超え、スピンオフは作られるがそれもマジンガー○○といった物でしかない。 世界法則自体を自由に操れるZEROのせいで創作者の意思はマジンガーにのみ向かされており、マジンガー以降のロボット作品は存在すら許されていない。
ケンタウロスの女子高生の日常を描いたゆるふわな作品なのだが、その世界観はディストピアな部分が見え隠れする。
この世界では肌の色どころか形状そのものが異なる人種が数多く存在しており、一昔前までは差別が深刻な問題であった。 そのため、作中の日本では差別的な思想を持つとみなされた者は思想矯正所に送られる。 矯正所というと聞こえはいいが、実態は一度入ったら二度と出られない実質的な収容所であり、思想矯正所行きは死刑と同義とされる。 つまり差別や弾圧を防ぐために、差別の芽を持つ者を徹底的に弾圧することで平等を保っているのである。 また、我々が住む日本では余程の大罪を犯さない限り死刑にはならないが、作中ではちょっとしたことで思想矯正所行きとなる。 例を挙げると、人馬に跨って移動すると思想矯正所行き。 また、ブティックの店員の店員のセリフから、人種によって似合う服と似合わない服を決めただけでも思想矯正所行きとなる模様。 このため、市民は常に思想矯正所行きに怯えながら暮らしている。 また、これ以外でも、人種の一つである人魚の居住区の水をゴミの投棄などで汚すと問答無用で射殺される。
二部終盤において登場したブランカ国がそれに当たる。
光帝を名乗り事実上のトップに立ったバランが、北斗神拳を使い崇める者には癒し(*8)を与え、逆らう者には秘密裡に天罰(*9)を与えていた。 このバランの行いは北斗神拳を知らない者にとっては神の奇跡も同然であり、国民はバランこそが真の神だとして心酔していた。ブランカの兵士は、バランのために命を投げ捨てる事を平然と選ぶ程。 国政はバラン本人の過去のトラウマから神の否定に徹底し、国の神像は悉く顔を削り取られている。 そしてラオウに師事していた経験から、旧王族と重鎮は地下牢獄に閉じ込められ処刑を行われていて、バランの指示により他国への侵略も進められている。
ポストアポカリプス+ディストピアの混合型。
過去の大戦により地球の海は数千年前に蒸発し、入り組んだ地形と激しい寒暖差によって生み出された空流が地表の七割を覆っている。 その環境に適応するような超大型化など、水棲生物は異常な進化を遂げており、タラバガニ程度でも人間の数倍はある巨体に、銃弾すら弾き返す甲羅を持つ。 僅かに残った安全な水脈は富める者が独占し、行き詰った食糧問題や人口問題に対しては労働者を扱き使って解決している。 前述の蟹を捕獲する作業に従事させられる際などは、爆発物などで傷をつけると蟹の値が落ちるのでドーピングした労働者に素手で戦わせるなど。
なお元ネタの蟹工船の本は作中にも存在するが、当然のごとく発禁本となっている。
擬人化された肉食動物と草食動物が共存する、現代社会を描いた漫画。
表面上は仲良く暮らしているが……肉食動物は消せない本能的に肉を食いたくなるのだが、肉食は法律で禁じられた重罪行為である。 肉食動物に許された動物性の食事は、卵などの乳製品や虫食のみ。 どうしても本能が押さえられなくなった場合は、裏市という非合法市場に赴く必要がある。(*10) 衆人の目の届く範囲で、生きている動物の肉を食った肉食動物には当然ながら逮捕されて前科が付き、草食動物との結婚から、草食動物の通う学校への通学禁止、または草食動物が務める会社への就職が事実上不可能になったりなど、多種多様な社会的制約が付く。
なお、恐ろしく肉食動物が生き難い世の中になっているが、この世の中は肉食動物が始めた事であるらしい。
力はあるが社会性に乏しく人口も少ない肉食動物が社会性と人口が発達した草食動物と遭遇。一方的な殺戮が起きると思いきや、庇護した方が文明的な発展に有利と認識した肉食動物の祖先が今の世を作り上げた模様。
染色体異常により男女出生率が「男1:女25」になってしまった「近未来」。
90%以上の確率で「女子」を産むと査定されたモノは社会によって「不適正」と判断された。 社会非適性者と判断された女性は性奴隷として人材活用されるべく、人体改造や薬物投与により性奴隷にされる社会になっている。
氷河期に入って数百年たった地球に作られた国の一つ「ベヘムドルグ王国」がこれに相当する。
などを行い、年々寒くなっていく地球においてギリギリの秩序を保っている。
藤子・F・不二雄の短編漫画。
社会の高齢化、地球の環境汚染などが重なり福祉が限界を迎えた社会。 社会保障サービスの需給権利はまだあるのだが、その延長が当選する確率は天文学的な倍率とされる程。 73歳以上の人間は、年金、食料、医療その他一切の国家による保障が打ち切られる。 わしらの席は、もうどこにもないのさ。
黒王の作ろうとしているディストピア。
絶滅の恐怖もなく星を汚さぬ安寧の揺り籠または、無限永久に続く素晴らしき暗黒時代。 その知恵で色々なものを作り、未来では何百万と人を殺し、最終的には星をも消す程の破壊を巻き起こすという人類。 そんな人類を、黒王は前の世界で愚かさを見限った結果……
などの手段で、革新者は殺され異論者は口を閉ざすような進歩も発展も無い暗黒世界を形成するために、主人公達と戦争をしている。
この作品の舞台となる国では「国家繁栄維持法」という法律が施行されている。
通称国繁法と呼ばれるこの法律は「国民に命の価値を再確認させることで国家の繁栄に繋げる」ことを目的としており、まず小学校に入学した全ての児童に予防接種と称した注射を義務付けている。 この注射には0.1%の確率で「ナノカプセル」が混入されており、注射された人間が18歳から24歳になったときにこのナノカプセルに指令を送ることで心臓の血管を破裂させ、対象を死亡させる。 自分がいつ死ぬかわからない状況に置かれることで一人一人が日々を精一杯生き、それが国力に繋がるとされているのだが、もしこの法律に異を唱えれば退廃思想者と見なされ国繁警察という秘密警察に逮捕される。 逮捕された者には良くて再教育という名の拷問や洗脳、悪ければナノカプセル注入による処刑が待っている。 |
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大戦によって世界中が無政府状態の中、唯一無事で鎖国状態にある日本が舞台。
人間の心理状態を可視化し「PSYCHO-PASS」という色相と、精神の危険性を数値化した「犯罪係数」によって市民を管理する「シビュラシステム」によって統治されている。 色相判定によって市民の職業適性、パートナーを判別し、メンタルケアの配備も行き届いている。 色相が濁って犯罪係数が規定値をオーバーすると「潜在犯」として隔離され、大幅オーバーすると即時執行(=死刑)される。 しかし、中には犯罪行為を働いても犯罪係数が変動しない「免罪体質者」が存在し、シビュラシステムは彼らに「あること」に協力させている。 また、(シビュラ)システムによる治安維持が当たり前となったことで、一般人は不当な暴力に自分で対抗することが出来なくなっており、 劇中でシステムを掻い潜る術を得た暴徒が一般人を暴行する事件を起こした際には、被害者が周囲に助けを求めても誰一人として助け(られ)なかった他、 主人公も友人の命が危機に晒されても、その犯人が免罪体質者だったことでシステムによる「執行」が出来ず、自ら実力行使も出来なかったことで、友人を助けられなかった。
「正義」であったはずのヤッターマンが「悪」を弾圧する世界の物語。
「マナ」によって戦争や貧困がなくなった一方、マナを持たない人類「ノーマ」が迫害されている世界が舞台。
皇族である主人公もその歪んだ思想の影響を受けていたが、自分がノーマであることが発覚し、地位を剥奪されてしまう。 身分を兵士に落とされた彼女は、やがて世界の真実、そしてその裏に潜む真の黒幕の存在を知ることになる。
「平和な東京が実は虚構の世界に過ぎない」という真実を知った主人公達が「世界の真実」に対して戦いを挑むのだが……。
四肢の欠損や暴力的な傾向を持つなど、遺伝子的に欠陥がある(とみなされた)人間が追放・隔離された近未来の世界。
暴力と絶望が支配する廃墟のような地下街「 「流9洲」の住人を追放・隔離したのは他ならぬ過去の「地上」の人々である。 しかし、彼らも彼らで種としての限界を迎えつつあり、平穏ではあるが"形式"に従うだけの無為な日々を送っている。 作中のとある人物は彼らを見て「すでに生存をやめた人類」と評した。 秩序と安らぎによってもたらされたものは"退屈な繰り返し"および自然消滅的な"緩やかな死"であり、 暴力と絶望によってもたらされたものが"秩序への憧憬"や"生への渇望"であるという点は強烈な皮肉である。
この作品では、「地上」がディストピア世界、「流9洲」がアナーキー的な世界といえる。
なお、物語終盤になると「流9洲」は完全なアナーキーとなる。
敵はパラレルワールドに存在する管理国家「ラビリンス」であり、イース、サウラー、ウエスターら敵幹部はここの出身。
寿命までが管理されており、「あなたの寿命は尽きました。お疲れ様でした」と書かれた紙切れ一枚が送られてくればそれでオダブツという凄まじい社会。 この国を支配する総統メビウスは、さらに版図を広げようと画策しており、その管理のために必要な「インフィニティ」を手に入れるべく、現実世界に侵攻している。
「モンスター」と呼ばれる侵略者に支配された世界が舞台であり、「メロスの戦士」と呼ばれる主人公達がモンスターに立ち向かうという物語なのだが、
肝心の世界は「子供を生贄にする」というルールを黙認すれば基本的に平和であり、それ故に大半の人類が主人公達を疫病神扱いしている。 白夜岬編では、主人公の活躍で町の商売が成り立たなくなってしまったために住人達が「戦いに俺達を巻き込むな」「自己満足を押し付けるな」と主人公に怒りをぶつけていた。
「より良い世界」というエピソードでは平行世界のジャスティス・リーグである「ジャスティス・ローズ」が圧政による平和を敷いている世界が登場。
元はジャスティス・リーグと同様の正義観を持っていた彼らであるが、フラッシュの死とその報復としてレックス・ルーサーを抹殺したことを期により積極的に平和を守るために方針を変更。 ヒーローとしてのスーパーパワーで犯罪を根こそぎ根絶しはじめ、世界各国の政府もジャスティス・ローズの監視下に置かれた(*12)。 アーカム・アサイラムではバットマンのおなじみのヴィランの面々がロボトミー手術により人格改造・廃人化している。 おせっかいなことに、バットマンの発明した時空移動装置で他の平行世界まで「平和」にしようとしたため、ジャスティス・リーグと対立することになる。
機動戦士ガンダムSEED DESTINYに登場した社会構想で、実現はしなかった。
人の遺伝子を解析して一人一人の適性を見出しそれに沿って生きるように社会的に誘導するというもので、つまりは遺伝子という「 「人は生きる道を自分で選択できなくなるが、システムに従う限り致命的失敗のない人生を送ることができる」 という、実にディストピアな構想である。 |
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わずか23分間で何が起きるのか?短編の中で徐々に明かされていく背景がホラー。
小説が原作だが、原作に比べてより「恐怖」を前面に出した演出となっている。 |
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地下都市とその住人たちで構成されるオブジェクト。
ホモ・サピエンスがヒトとして生活できないのがディストピアなら、新種ホモ・エウダイモニアを作って入れればいいじゃないという発想の元に作られたユートピア。 ホモ・エウダイモニアはこの都市内で過剰な全体主義の元、ホモ・サピエンスを超える発展を見せている。 ……彼らが都市外部の存在に気づいたとき、何が起こるのだろうか?
ある意味世界最古のディストピア物。
聖書の楽園追放を「偽の神が創造した不完全な楽園に囚われていたアダムとイブが解放された物語」と解釈しており、どことなく現代のディストピアに通じる要素が多い。
背景ストーリーに多数登場する次元の1つ、アモンケットが該当。
アモンケットは古代エジプト風の次元で、人々はドーム都市ナクタムンに暮らし、労働は従順な奴隷に仕立てた死者に任せ、生者は自らを鍛え上げる修行に専念している。 だがこの修行は最終段階として自らの命を神に捧げることが要求されており、修行者は来世の栄光を夢見て喜んで命を捨て、遺骸は船に乗せて大河に流される。 当然このような世界のありように疑問を抱く者もいるのだが、彼ら造反者に対しては晒し者にした上で都市の外の砂漠に放り出す過酷な処罰が行われている。
ウォーハンマーシリーズの一つであり、宇宙を舞台にしたスペースオペラと魔術と悪魔信仰要素のダークファンタジーが融合した世界観が特徴。
舞台となる銀河系は、人類によって統率されている 〈人類の帝国〉 が100万を超える星々と過半数を占める広大な版図を手にしている。 〈帝国〉は地球を中心に12人の「 地球至高卿 」によって国家運営が為されており、中心人物である「 皇帝 」は植物人間と化してしまって動く事ができない。 〈帝国〉は様々な異種族や異次元に住まう悪魔の軍団との戦争に明け暮れ、1万年経っても戦乱が収まることは無い。 その〈帝国〉を下支えしているのが 過酷なディストピア社会と狂信的な「帝国聖教会」によるカルト信仰だ。 臣民のほとんどは苛酷な工場勤務や鉱山での採掘作業に従事し、短い休息時間しか与えられない。 皇帝を神と崇める 〈帝国信条集〉 と呼ばれる国家宗教によって娯楽は禁止され、 思想や行動は管理され、反逆者や軟弱者、無能なる者は即座に処刑される。 更に兵士として戦いに赴けば、苛酷でかつ熾烈な異種族や悪魔の軍団との戦争が待っており、 働いても戦っても絶望しか待っていないという超苛酷な世界なのだ。
しかしこれは何も一部の権力者が贅沢するための仕組みではなく、外敵に備えるための必要な圧政だという事。
というように人類の敵がめちゃくちゃ多く、この世界では血を吐きながら続ける悲しいマラソンをしないと人類が滅んでしまうのである。
こうならないように過剰な自治には気をつけよう。
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*1 作品は全体主義・管理主義国家の共産主義国への警鐘を鳴らす目的で書かれたものも多い。
*2 あらゆる芸術・娯楽・ジャーナリズムが検閲の対象になり、思想的に「正しい」もの以外は世に出ることすらなくなるため
*3 民間軍事会社の事。この場合は軍事すら民営化したことを意味する
*5 公害や貧困などの多種多様な問題があった時代
*6 作業員が死ぬのがトリガーになって脱走する特質を持ったのも居るので
*7 現実とは別にある世界
*8 息絶える寸前の赤子を癒す
*9 爆発四散
*10 売られている物は、事故死や病死した草食動物の遺体。金に困って自分の体を切り売りする草食動物。監禁した孤児を食肉として販売など
*11 超能力者みたいなもの。デンプンや鉄などの物質を生み出したり、電気や炎を発生させたりできる
*12 この世界のレックス・ルーサーはアメリカ合衆国大統領でもあったため。