SCP-3339-JP

登録日:2025/09/10 Wed 14:30:04
更新日:2025/09/21 Sun 01:13:27
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SCP-3339-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「ミサキ集め」。
オブジェクトクラスEuclid

概要

SCP-3339-JPとは日本各地で俗に妖怪『七人ミサキ』として扱われている霊体の群れである。

+ 妖怪の七人ミサキについて軽く解説
七人ミサキとは現実世界でも四国、中国地方に伝わる七人一組で行動する行逢神の一種である。
コイツらに出会うとその人は高熱に見舞われ一週間後にそれが元で死んでしまう、という凶悪な妖怪だが一番の特徴はその後にある。
七人ミサキによって死んだ人間は死後に七人ミサキへと強制加入させられてしまい、トコロテン式に七人ミサキの中で一番の古株が成仏するのだ。
つまり七人ミサキの被害者は新たに7人の犠牲者を出さない限り永遠にこの世を彷徨うことになる。
  • 一目見ただけで確定病死
  • 死後は身内へ強制加入
  • 明確だが達成するまで時を要する成仏条件
と非常にキャラ立ちした妖怪であり妖怪を題材とした様々な作品に登場している。
あと、マフィア梶田は亡き父が七人ミサキになってしまったのではないかと心配している*1

伝承における七人ミサキとほとんど同じ存在であるSCP-3339-JPだが多少の差異も存在しており、伝承では大抵一組しか存在しない前提で語られているのに対しSCP-3339-JPは同種の存在が日本各地で現在24組も発見されている。
また普段は幽霊の構成要素である霊素を観測できる装置でしか観測できないが、人間が近づくと即座に実体化してその人の元へ向かい姿を視認させようとするという性質を持つ。姿を視認させて以後は持ち場を離れその人が死ぬまで周囲3m以内を徘徊し続けるようだ。
伝承の七人ミサキでは『視認者はその日から七日七晩熱病に苦しんだ上で死ぬ』ということになっているが、SCP-3339-JPの場合は『視認者は一週間の間に何らかの要因で死ぬ。しかし記憶処理をすることによってその難を逃れることができる』といくらか温情のある物になっており、視認者が記憶処理を受けるとSCP-3339-JP達は視認者を見失った様な挙動の後、持ち場へと帰っていく。

SCP-3339-JPが一度に標的に取れるのは一人までであり、複数人でSCP-3339-JPの視認者となった場合一番最初にSCP-3339-JPを視認した人間が追跡対象となる。
財団はSCP-3339-JPの視認者ストーキング→引き入れてトコロテン式成仏という行動を『"参列"イベント』と名付けている。

特別収容プロトコルは
  • 未発見のSCP-3339-JPを捕捉するために七人ミサキの目撃例が残る地域で霊体の監視をやっているよ
  • SCP-3339-JPを見てしまった一般人は記憶処理した後に解放し、手遅れだった場合はカバーストーリーで誤魔化してね
というもの。

追記3339-JP:1〜3

2006年某日、高知県██郡██海岸にてDクラスを視認者に仕立て上げることで安全に未収容のSCP-3339-JPを調査する実験が実行された。
身の危険を感じるDクラスをなだめ透かしながらSCP-3339-JPを探させ視認させようとする博士だがここでイレギュラーが発生する。
視認したSCP-3339-JPに怖気付き逃走したDクラスは逃走した先でなんと別個体のSCP-3339-JPを視認してしまったのだ。
七人・ミサキの前に…七人・ミサキが現れたぁっ!!
後の調査から二組目のSCP-3339-JPは約1キロメートル離れた高知県██郡██岬付近を持ち場とする組であり、Dクラス及び研究スタッフ達を標的に姿を現そうとしたと推測されている。
つまり実験地点は偶然にも二組のSCP-3339-JPの行動範囲が重複する場所だったのである。

一人の人物が二組のSCP-3339-JPから狙われるなど初めての事例であったため財団はDクラスを回収することにしたが移動中に異常現象が発生した。


ベリーマン=ラングフォード・ミーム殺害エージェントだの耐性獲得だの6種類のミーム保持だの明らかに異常事態である。


財団はこのDクラスをSCP-3339-JP-B*2として再分類し調査することにした。

それからしばらく研究が続き
  • SCP-3339-JP-Bに指定されたDクラスが一週間以上生き延びていること
  • Dクラスに引っ付いてきたSCP-3339-JP達は二組とも持ち場へ帰らなかったこと
  • それによって二組のSCP-3339-JPは事実上の無力化状態に陥ったこと
が判明した。これに対し巷説部門*3の博士は

「七人ミサキは成仏するために一人でも多くの犠牲者を欲しているが生態を見る限りSCP-3339-JPもそこは同じだ。Dクラスに起きたあり得ない窮地と幸運による生還はどちらかのSCP-3339-JPがDクラスを殺そうとするたびに自らの獲物を取られては堪らないともう片方のSCP-3339-JPが妨害した結果ではないだろうか」

と仮説を立てた。要するにSCP-3339-JPがそれぞれ「「アイツは俺のものだ!アイツを殺すのはこの俺だ!」」していがみ合っていたのである。
そこから

「全24組のSCP-3339-JPを一人に視認させれば24組全員が一人を取り合いまとめて収容できるのでは?あわよくば寿命による老衰ですらSCP-3339-JPが自分で殺すためになんとか生き永らえさせて永久収容できるのでは?」

と考えた財団はその作戦を実行。見事24組のSCP-3339-JPを例のDクラスに取り憑かせ無力化することに成功した。
禁断の七人ミサキ "二十四度打ち"

インシデント3339-JP

そんな各7人24組による一人をかけたハーレムサバイバルは突然終わりを迎えることになる。

24組の収容から2ヶ月後、財団はハルトマン霊体撮影機に写るSCP-3339-JPが明らかに減少していることを確認。
SCP-3339-JPが最後の2組のみになった後、アレだけ生き延びていた例のDクラスは心不全によりあっさり死亡した。
Dクラスの死亡後、最後まで残っていたSCP-3339-JPの最後尾にはあのDクラスの姿を有する霊体が形成され、先頭の霊体は拡散し消失した。

財団はSCP-3339-JPの全個体が収容違反状態であると判断し緊急で日本国内のSCP-3339-JP出現地点の再調査を行ったが、その結果SCP-3339-JP達の再出現が確認された。
ついでに死んだDクラスの霊体は最初にSCP-3339-JPと出会った地点とは異なった場所に紐づくSCP-3339-JPに加入していたことも判明している。

ちなみにSCP-3339-JPがDクラスを勝ち取った理由は報告書に添付された画像を見る限り……



24組でのじゃんけんに勝利したから



えぇ…

日本妖怪をモチーフとした作品たち

SCP-1131-JP

通称、『数奇に翔んでごらん』。四国にて発生する飛び降り現場に残される7本の採点プレートと飛び降りる姿への批評が書かれたメモである。
SCP-3339-JPと同じく七人ミサキをモチーフとしたオブジェクトであり、コチラもグループ構成者の入れ替わりという特徴を持っているがその入れ替わり方に大きな謎が隠されている。

SCP-3025-JP

通称、『以は以津真天の以』。特徴的なメタタイトルで分かるが「恣のいろはハブ」に属する作品。メタタイトルの通りモチーフは太平記に描かれ、鳥山石燕によって名付けられた怪鳥『以津真天』。
日本国内に突如現れる鳥のような何か。こいつに暴露した人間の一部は「過去に自身が殺害した人間の顔を持つ鳥に、自身の罪を糾弾される」という幻聴・幻覚による重大な精神障害を抱えてしまう。財団には人殺しのDクラスはもちろん人命を犠牲にした実験を実行する研究員も多数在籍しているため事態は深刻化しており財団は対応を余儀なくされている。

SCP-3440-JP

通称、『マヨイガソスタ』。モチーフは遠野物語にも見られる来訪者に福を授ける山小屋『マヨイガ』。
岩手県山中に存在するガソリンスタンドでありココで給油した車は以後ガソリン等の燃料を消費せずに運転できるようになる。
しかしココで給油した車には後部座席に不明な人型実体が出現したり、カーナビに指定した目的地を勝手に変更させられたりと異常な現象が付き纏うようになってしまう。彼らの思惑は何なのだろうか…?





追記・修正は24組の七人ミサキに取り合いされてからお願いします。




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最終更新:2025年09月21日 01:13

*1 梶田氏の父親は登山中の事故で亡くなったのだが、その後父親の登山仲間から山中で行者姿で彷徨っている目撃情報が寄せられたらしい。七人ミサキは災害や事故で亡くなった人間の亡霊ともされているので梶田氏の父は条件を満たしてしまっている。

*2 SCP-3339-JP-AはSCP-3339-JPの視認者を示す言葉として既に使われている。

*3 巷説、つまり都市伝説などの「噂」にまつわるアノマリーの初期調査、確保収容保護活動のアシスト、アノマリーの係わる巷説の研究を担当する部門。