陸軍情報部第1課(PUMPKIN SCISSORS)

登録日:2011/08/21 Sun 07:38:35
更新日:2024/09/24 Tue 21:53:16
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漫画『PUMPKIN SCISSORS』に登場する組織のひとつ。
作中の部隊となる帝国、その国内における陸軍情報部の主力を担っている部署である。
『お祭り部隊』と揶揄される3課とは段違いの規模を誇り、大抵は『陸情1課』または『1課』と略称される。



【概要】

帝国、特に帝都内の情報管理を一手に引き受ける、国家公安の頂点組織。(といっても規模は限定的)
暴動や組織犯罪の予兆を監視し、いざとなれば実動小隊を動員しての鎮圧も任務に含まれる。権力的に警察や報道機関の上に位置しており、状況によってそれらを指揮下に置くこともある。
また帝国には各主要施設に電信機器が設置されているのだが、1課はこれらの中継施設を押さえており、全てを監視、または記録することが可能となっている(なお、一般家庭などにはまだ電信機器は普及していない)。
こうした通信関連の管制スタッフのほか、後述の実動小隊や諜報員などで1課は構成されている。

あくまで 情報部 の実働要員であり陸軍の正規の戦闘部隊と比べると部隊の格や兵力、装備、練度が格段に下なのだが
それらの実戦部隊が一定限度を越えた活動をすると''再戦準備行為'‘として共和国との停戦条約に抵触してしまう。*1
そのため建前も実際も自国内の治安維持部隊である一課、特に第1小隊へ新戦術や装備の実験を行わせており
彼らの戦い方や装備が情報部としては明らかに過剰に見えるのはそのためである。


作中で出番が多いのは課長のコネリー少佐、次いで後述の第1、第2実動小隊の面々。
その他の実動小隊は若干……というかかなり控えめな登場といった感じ。




  • 課長・コネリー少佐
帝国のために実直に尽くす初老の男性。
同時にその目的に適うならば汚い手段も容認する冷徹な面も持つ。
例として国内の難民に蔓延した麻薬に対し、その市場を根絶するのではなく、1課の管理下に置いた上で積極的に活用しようとしたことがある。
3課のハンクス大尉とは付き合いが古いが、目指すものが異なる為にしょっちゅう衝突する間柄。
2課のラインベルカ少佐には、そのぶっ飛んだ人柄に時々頭を痛めている。

  • 副官・マルコー中尉
課長コネリー少佐直属の副官。朴訥でスラッとした外観の青年。
出番が多い割に影の薄い人物。それだけ実直で真面目だとも言える。
だが合同会議編が進むにつれて、内面は案外子どもっぽい一面があることが明らかになっている。
以前から暗躍していることを突き止めていた謎の組織を【 組織X 】と脳内呼称していたり、三課の伍長がコネリー少佐を批判したことにカチンと来て彼の上官にその責任を負わせることを提言したり……。
良くも悪くも熱っぽい正義感に満ちた人物である。



【実動小隊・隊員紹介】

実動小隊が1つだけの3課と違い、1課には判明している範囲で4つの小隊が存在する。
担う役割としては第1小隊が直接的な軍事行動をとり、第2、第3となるにつれて情報統制や現場封鎖などの間接的なものが多くなる模様。


◆実動第1小隊
小隊名第1の大剣(クレイモア・ワン)

皆殺しの強襲制圧部隊の異名を取り、一旦出動することになれば人質がいようが巻き添えが出ようがお構いなしに、制圧対象を皆殺しにする危険集団。人数は少なくとも十数人~数十人に及び、常日頃から実戦的な訓練を積んでいる。
武器は一様に定められておらず、銃のほかに斧、ナイフ、狙撃銃、巨大な破壊槌など装備や役割は様々。
ただし全員が同じ仮面をかぶり、階級章も外して第三者からは誰が誰だか判らないような工作がなされている。それは「個人を特定させないことにより、隊員に残虐な行為への躊躇を無くさせる」ためだという。

この余りに非道と取れるスタンスは、恐怖によって各種犯罪行為に対する抑止力たらんとする意図によるもの。
「国家に仇なす者には“あの大剣”が振り下ろされる」と体現し、恐れおののかせることによって社会に規律をもたらすとしているのである。
この理念は小隊全員に共有されている。

なお、大衆にその存在を知らしめることを目的とする「目に見える脅威」という意味では、大衆にその存在を知らしめないようにした「目に見えざる脅威」である『不可視の9番』とは対極的であると言える。

ただし部隊規模があまりに小さく、作中でも言及されていた通り「弱いものイジメ」の部隊である(スナブノーズ隊長自身が、完全武装のテロリストを相手に戦うのは本来の役割ではないという旨の発言をしている)


3課の作戦行動とかち合った初登場時には副長がアリス・L・マルヴィンと戦闘を行い、同時に隊長率いる別部隊が単眼の火葬兵の生き残りであるハンスを射殺している。

なお制服のワッペンは、名前通りの“一振りの大剣”が誂えられたもの。
他の実動小隊も名前にちなんだワッペンを付けている。


  • スナブノーズ
クレイモア・ワン》隊長。強面の巨漢で階級は大尉。
作戦行動中は各自の見分けが付かないこの小隊の中にあって、隊長色を示す制服のために唯一他者から判別可能な人物。
それにより当然敵に狙われやすくなるが、その上に素手で敵前に姿をさらすという一見危険な行動をとる。
これは己を囮として敵を誘き出し、うっかり出てきた敵を狙撃兵が射殺するという連携を目指したもの。
逆にそうしなかった場合、双方が物陰に隠れるような膠着状態になって戦闘が長引き、味方に損害が出やすくなるらしい。
ただし素手で戦闘に臨むのは、その拳だけで十分に人を殺せるからというのも理由に含まれる程の格闘術の達人であり、
実際作中では敵の弾幕をかわしながら接近、これを一撃で殴り殺すという芸当を披露している。

しかしこの理論は狙撃戦では通用しないため、尚更暴徒鎮圧の恐怖という「情報」を生み出す部隊だということがよくわかる。

自身の誕生日パーティーの準備を進めていた妻子をテロリストに殺害されるという痛ましい過去を持つ。
軍人として私怨を示さず唯々任務遂行のみを果たしているが、自身を囮にするという姿勢は一種の開き直りもあるのかもしれない。

  • 副長(本名無名)
階級は不明(中尉くらいが妥当?)
3課と作戦がかち合った際にアリスに敗北し、以降も顔と胸に傷痕を残す男性。
隊の理念には忠実で、味方に対しても「士気を下げる者は俺が殺す」と言ってのけるヤバイ人。
彼の日常と1課の任務が平行して描かれるエピソードでは、それまで物静かで実直そうだった印象から一転、街中の夫婦喧嘩に口を出し、あまつさえその片割れである人妻とその日のうちにベッドインする色男っぷりを披露した。
彼が主役の外伝作ではそのマッドっぷりがさらに強調されており、そこらへんのチンピラを切り刻んで自らのブツを「そんな風に」している。
戦闘にもそうした二面性が表れており、二刀のナイフで敵を殺害する様はフランシスカ曰く『狂犬』じみているとのこと。
ちなみにベッドの上でも狂犬となる。


  • フランシスカ
女性の入隊を端から想定していない高難度の入試を掲げるクレイモア・ワンにおいて、ただ一人それをパスした女性隊員
小柄で華奢ながら非常に攻撃的な戦いぶりを見せ、性格もかなりツンツン気味。しかし惚れている副長を前にするとめっさ乙女チックになる面もあったり。
彼がアリスに負けたことに関しては、涙目になるくらい悔しがっていた。
作戦行動で用いる武器は手斧で、当然のように敵の頭をかち割ってみせるあたりやっぱりヤバイ人物。

元々はスラム街で女だてらにチンピラのリーダー格的人物だった模様。
腹を空かせた上述の狂犬と出会ってしまい、美味しく頂かれた。後日彼から奪っていた(空の)サイフを手掛かりにクレイモア・ワンへと入隊したが、そのことを当の副長は忘れていた。
ひどい……。

  • マルヴィン少尉に陽動を頼んだ隊員
コミックス19巻から登場した名前・階級・素顔一切不明の隊員。
血の気の多いクレイモア・ワンの隊員らしく口汚さが目立ち、0番地区のマフィアや三課を「クズも役に立つ」と言い捨てたりマルヴィン少尉に注意を促されても「お祭り部隊が指図すんじゃねー!」等、その態度はチンピラに近い。
だが軍人としての能力は高く、九人VS二人(この人+マルヴィン少尉)という圧倒的劣勢の状況で手持ちの武器が四連装拳銃一丁のみ且つ、序盤で利き腕が折れる負傷を負ってなお、高い射撃精度で的確に少尉のサポートに周り、彼だけで4人も敵を仕留めている。
また、帝都で人質を取ったテロリストたちを挑発・攪乱するべくアリス・L・マルヴィン少尉にテロリストたちとの「弁論大会」を提案したのも彼。
……だったのだが、これがとんでもない事態を招くことになる。
その他にも、これを切っ掛けとした少尉の暴走的演説に動揺して「失敗したかも……俺、課長に殺されるんじゃないか?」と内心ボヤいたり、少尉が興奮のあまりこめかみの傷から血を噴いた時には「血煙!?」とぶったまげたり、救急箱を手に「ね?止血しよ?」と言って本当に次のコマで治療したり、少尉に対して何度も「見捨てる」といいながらその都度戻ってきたりと、コメディリリーフも演じる高性能ツンデレと化している。
そもそもグラフィアス鹵獲作戦の班長のような振る舞いだったことから、クレイモア・ワンの中でも腕利きの部類なのかもしれない。



◆実動第2小隊
小隊名第2の曲剣(ダブル・ショーテル)

隊長:ラインベルカ大尉
眼鏡をかけた知性的な女性で、彼女は2課の課長であるラインベルカ少佐の実の妹でもある。奔放(?)すぎる姉の人柄を嫌い、しかもそんな姉が次の家長になるという事実を受け入れがたく感じている。

任務内容は、国内の内偵や調査が主だったもの。
ここには3課のオレルド、マーチスらと同期であるラーン准尉が所属している。アホ毛が特徴のお調子者。
その上司であるマーウィンはアリスととある因縁があり、また彼女に強い執着を抱いている様子。




◆実動第3小隊
小隊名第3の隠剣(トライ・ダガー)

隊長:デリル中尉
国内の不穏分子と目される集団に潜り込み、その実情を探るための諜報部隊。
ここの隊員のうち二名は不運にも任務中に単眼の火葬兵と遭遇し、燃やされて死ぬ最期を迎えている。
出番に恵まれておらず、名有りのキャラも少ない作品的に不遇な部署(第4も同じく)。
なお、名有キャラは少ないと言えど合同会議編では情報部の基盤的仕事をほぼ全振りされており、情報工作、索敵、潜入等の各種バックアップを一身にこなし続け、殉職者が出ている描写すらある正に過労死組。
そこ、より不憫な立場だとは言わない。
一方でテロリストが暴れ回り国民のあいだで疑心暗鬼が広がると、その都度、一般国民に扮した第3小隊が現れ、巧みな話術で国民の疑心を憲兵隊への信頼に誘導するという、情報工作の神髄という活躍を見せている。
なお第一小隊隊員から「劇団員」と呼ばれるシーンもある。



◆実動第4小隊
小隊名《第4の巨斧(アックス・フォース)》

隊長:ゴールドマン大尉。
情報統制の名目が立った時には隊員の一人ひとりが他機構の人間を指揮する権限を持たされ、事件発生時にはそれを行使しての現場封鎖、情報遮断を行う。





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最終更新:2024年09月24日 21:53

*1 国境近辺と帝都に実戦部隊の大兵力を置くこと自体が再戦準備行為になるために、帝都には普段は司令部などの「事務方とお偉方」以外は情報部くらいしか主要な軍機関がない。