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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ

登録日:2026/08/11 Tue 17:17:10
更新日:2026/09/27 Sun 00:11:19
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この世界は、ただの舞台






『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(Joker:Folie à Deux)』とは、2024年に公開された米映画。
2019年に公開された映画『ジョーカー』の続編で、DCコミックのコミックヴィラン「ジョーカー」を題材にした映画第2弾である。
前作同様に独立した世界観の物語であり、その他のDCコミック映画のシリーズとは世界観を共有していない。
監督は前作と同じくトッド・フィリップス。
タイトルの「フォリ・ア・ドゥ」とは、フランス語で「ふたり狂い」という意味であり、「一人の妄想が親密なもう一人の人物に伝播すること」を示す精神病用語である。


概要

前作『ジョーカー』は、その衝撃的な表現や「ジョーカー」の再解釈によって瞬く間に話題になり、数々の映画賞を総なめにしていった。
特に「これからジョーカーになっていくのだろう」主人公・アーサーを演じたホアキン・フェニックスの演技はアカデミー賞主演男優賞を受賞するなど、各地で絶賛されていった。
しかし、同様に映画が与えた社会的影響についても無視できなかった。
「貧困に喘いだ男性がジョーカーになってしまう危うさ」「誰しも持っている狂気」、それらを主題とした本作は社会的熱狂の受け皿となっていき、殊に米国では「ジョーカー」を模倣した犯罪も多発したのである。

そんな中、発表されたのが『ジョーカー』の続編である本作である。
しかも、明らかにジョーカーの愛人として有名なハーリーン・クインゼル/ハーレイ・クインをモデルにしたと思われる女性・リー役に世界的歌手のレディー・ガガが抜擢され、ファンの期待は最高潮に達した。
多くのファンは「今度はアーサーが正真正銘の『ジョーカー』としてどんな大暴れをするのだろうか」と期待していた。


……しかし、実際の本作はそうした期待がことごとく裏切られる。
本作は確かに「ミュージカル」調の映画としては申し分ない出来となっており、レディー・ガガだけでなく、ホアキン・フェニックスの高い歌唱力も披露されている。
そんな中で描かれる物語は、前作で限界まで高められたボルテージを終始引き下げるように陰惨であり、「アーサーがジョーカーとして悪行を重ねる」物語では断じてなく、アーサーが自分の裁判を通して自分を見つめ直した結果、彼が「ただのちっぽけな男」として幻想を引き剥がされる様子をこれでもかと描写したものだった。
リーもまた、アーサーを「ジョーカー」としてしか見ていない人間の一人であり、彼を自分の都合のいいように操ろうとする悪女である。コミックにおけるジョーカーとハーレイ・クインの関係とはかけ離れている。

そもそも、アーサーがジョーカーとして祀り上げられたのは彼を何も知らない多数の貧困層の人間達が彼に幻想を見たためであり、彼自身のことは全く知らない、自分勝手な「熱気」に過ぎない。
本作はそうした「自分勝手な熱気や幻想」を第三者から見ることで如何にそれが愚かしいことなのかを事細かに描き、さながら観客に自分達の鏡を見せるような演出がなされている。

これにはフィリップス監督なりの自戒が込められており、「まさか前作がここまで社会的に問題になるとは思わなかった」という驚きと、「やるからにはアーサー自身を徹底的に掘り下げなければ」という真摯な思いがあり、徹底して前作を「解体」する決意をしたことが一因にある。
前作の時点で「こんなヤケクソを起こしただけの一小市民に過ぎないアーサーが、『超ヴィラン・狂乱の貴公子ジョーカー』である筈が無い。納得いかない」という感想も少なからずあったため、そうした面から、然るべき展開及び結末として本作を受け入れる声もある。

こうした前作の「幻想」を破壊し尽くし、公開前に寄せられていたファンの期待や予想も大きく覆した本作に批評家や観客の意見は真っ二つに分かれ、絶賛か酷評かの両極端な評論が繰り広げられ、興行収入は前作から一転して大幅に下回る赤字成績となった。
また、翌年の第45回ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)は最低続編賞を受賞している。
結果的に前作がもたらした「ジョーカー」の社会現象は鳴りを潜め、フィリップス監督の思惑通りにはなった……のかもしれない。


ストーリー

ゴッサムシティで貧困に喘ぎ、悲惨な現実と心地良い妄想の狭間を生きる男、アーサー・フレック。
彼は自分に暴行を加えたサラリーマン達を射殺したことを機に心のタガを外し、次々と凶行に手を染めた挙句、最後は自分が憧れていたコメディアンのマレー・フランクリンを生放送中に射殺した。
それにより警察に逮捕されるが、彼は貧困層の間で「犯罪者のカリスマ・ジョーカー」として信仰の対象となっていた。

それから数ヶ月後。
アーサーはゴッサムシティの精神病院・アーカム・アサイラムに収監され、自分が起こした事件で一目置かれながら、裁判を待つ日々を送っていた。
精神病を理由に責任能力を免れる弁護プランを弁護士や医者と練る中で、アーサーはある日、別病棟で入院している女性・リーと出会う。
アーサーのファンだと言う彼女は、生い立ちに自分と似たものがあるとして、彼に好意を示す。
徐々に親しくなったアーサーとリーは、「狂気」を共有し合う関係になっていく。

そして、アーサーの裁判が始まった。
リーの影響を受けたアーサーは、裁判中も大袈裟なパフォーマンスを繰り広げた挙句、弁護士を解雇して自分で弁護を始める。
やがて、リーを筆頭としたジョーカーの信者達は裁判の度に連日熱狂して社会現象を巻き起こす。

当初は大衆を扇動する快楽に溺れていたアーサーだったが、自分に人生を変えられた証人達を見て自分の言動を顧みるようになる。
そして、ある日起こった出来事がアーサーの運命を大きく変えてしまう。

果たして「ジョーカー」は本当にいたのか。アーサー・フレックが選んだ自分の進む道とは?


登場人物

  • アーサー・フレック
演:ホアキン・フェニックス/吹き替え:平田広明
ご存じ、「笑うピエロ男」。
貧困と理不尽な暴力に追い詰められた結果、次々と起こした殺人事件により、貧困層の間で「カリスマ」となった男。
アーカム・アサイラムに要注意患者として入院し、やらかした犯罪が犯罪なだけあって、周囲から腫れ物のように扱われ、看守達からは「面白くないジョーク」を言う玩具としか見られていなかった。
当初はあまり劣悪ではなかったためか、精神状態はやや落ち着いていたものの、やはり妄想癖は健在であり、リーとの出会いによりそれが悪化し、ミュージカルさながらのパフォーマンスをするようになる。
初めての女性体験や信者からの崇拝によりすっかり調子に乗り、「ジョーカー」として尊大に振る舞い、出来もしないのに自分で弁護を行ってスターとして扱われる。
だが、狂気を孕むリーの熱意に対して、徐々に温度差を感じて気圧されており、そうした本音はミュージカルパートにて如実に表現されていた。
やがてソフィーやゲイリーといった自分の「被害者」達を目の当たりにし、またリッキーに訪れた不幸を知った彼は、自分が担ぎ上げられた神輿であることに気づいて、ある決意を固める。

  • ハーレイ“リー”・クインゼル
演:レディー・ガガ/吹き替え:村中知
アーカム・アサイラムのB棟(軽度の精神病患者用の病棟)の入院患者。
金髪が特徴的な美しい女性で、突拍子もない奇行を頻発する問題児。
アーサーのファンを自称し、親に恵まれなかったことやマレーを殺したがっていたことで自分と共通点があると言い、アーサーと親密な関係を築いていく。
それまで女性関係のなかったアーサーはすっかり熱を上げるが、その本性は狡猾で他人の行動を操る術に長けている悪女。
精神疾患専門の医師を志望しており、アーサーには個人的興味から接近したに過ぎず、彼を自分のいいように操ろうとする。
ジョーカー信者の先頭に立ってアーサーの無罪を応援する(あくまでパフォーマンスとして)が、その果てに待っていた「アーサー」の素顔に、彼女は何を思うのか……?

吹替の村中氏は過去に『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』でブラックキャナリーことダイナ・ランス役も演じていた。

  • ジャッキー・サリバン
演:ブレンダン・グリーソン/吹き替え:斉藤志郎
アーカム・アサイラムの看守。
アーサーの担当看守であり、四六時中見張っている。
一見アーサーのジョークにウケて可愛がっているが、それはあくまで彼を見下していることの証左であり、「滑っているジョークを出す玩具」程度にしか思っていない。
アーサーがカリスマとして持て囃されるや否や、「生意気だ」として激しい暴行を加えるなど、ゴッサム市民の最底辺の煮凝りのような男である。

  • メリーアン・スチュワート
演:キャサリン・キーナー/吹き替え:塩田朋子
アーサーの顧問弁護士。
アーサーの犯行を幼い頃の虐待と劣悪な環境が原因の精神病によるものとして、責任能力不在による無罪を勝ち取るために様々な戦略を練る。
アーサーを一人の人間として尊重しようとしているが、彼女の弁護でトラウマを刺激されたアーサーや、彼を信奉するリーに散々ダメ出しされ、最終的に解雇されてしまった。

  • ハービー・デント
演:ハリー・ローティー/吹き替え:山田裕貴
ゴッサムの新進気鋭の検事。
アーサーの犯罪を悪質極まりないものだと断じ、彼を徹底して死刑に追い込もうと裁判で追及する。
ご存じ、DCコミックのヴィラン「トゥーフェイス」となる人物だが、本作ではその片鱗はない*1。

  • ソフィー・デュモン
演:ザジー・ビーツ/吹き替え:種市桃子
アーサーの元隣人のシングルマザー。
アーサーの脳内妄想で親しくなっており、彼に付きまとわれていた。
アーサーの事件が公になってからは彼の信者に悪質なストーカー被害を受け、「もう早く解放してほしい」と裁判で涙ながらに訴えた。

  • ゲイリー・パドルズ
演:リー・ギル/吹き替え:越後屋コースケ
アーサーの元同僚の小人症のピエロ。
素のアーサー・フレックを「唯一」間近で見て、彼を理解し、そばに寄り添おうとしていたが、最終的に拒絶されていた。
裁判において証言台に立った際、「ジョーカー」になりきったアーサーに詰問され、変わり果ててしまった友人に困惑と悲嘆の声を上げた。

  • パディ・マイヤーズ
演:スティーブ・クーガン/吹き替え:木下浩之
有名なテレビレポーター。
時の人であるアーサーに独占取材を行い、彼の素性について質問するが、上から目線の質問に激昂したアーサーに追い返される。

ちなみに日本語吹き替えを担当した木下氏は、『ダークナイト』版のハービー・デントを演じていた。

  • リッキー・メリーン
演:ジェイコブ・ロフランド/吹き替え:上村祐翔
アーカム・アサイラムの入院患者の青年。
アーサーのファンの1人であり、彼を慕っているが、同時に良く思わない看守からいじめを受けていた。
アーサーが看守達に暴行された際に彼を庇うが、その時とんでもない悲劇が起こる。

  • 若い入院患者
演:コナー・ストーリー/吹き替え:福西勝也
アーカム・アサイラムの入院患者。
アーサーの信者のようだが、どこか危なげな様子も見せており……?












「アインなんかいない。Wiki籠りしかいなかった。全部僕が追記・修正した」





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最終更新:2026年09月27日 00:11

*1 ただし、終盤のとあるシーンでその示唆がある。