星野伸之

登録日:2014/3/19 (水) 22:50:00
更新日:2025/04/07 Mon 08:55:51
所要時間:約 4 分で読めます






星野伸之とは1980年代後半~90年代に活躍したプロ野球の投手である。北海道旭川市出身。

経歴:1983年ドラフト5位入団→阪急・オリックス(1984~1999)→阪神(2000~2002)

生涯成績:176勝140敗2セーブ 2041奪三振
タイトル:最高勝率(1989年、1996年)


2002年に引退してから時がたった今では、星野伸之投手の現役時代を知らない人も増えてきていると思われる為、
彼の特徴を述べる。

1.体型
身長183cmに対し、体重は70kg。
筋肉分だけ一般人よりも体重が大きくなるアスリートでありながら標準体重を下回っているというヤセ型であり、阪神移籍の際は「縦縞効果でますますヤセて見えるのでは」とネタにされた事も。
当時は現在のような『食トレ』は浸透していない時代とはいえ本人曰く「昼食は食パン一枚で満腹になった」らしい。

2.球速
球速は130km/h前半
決して引退間際の話では無く、全盛期での話である。
1試合で全球が130km/h未満だったという事もそれなりにあった
尚、球速の出にくいサイドスロー、アンダースローでは無く、彼は紛れもないオーバースローである。

3.コントロール
彼の与四死球率(9イニングで与える与四死球の確率)は3.25。
コントロールに定評のある投手は1~2前半をマークする投手も一定数いる上、決して針の穴に糸を通す程では無く、
本人も「コントロールは悪くは無いけど良くも無い」との事。

4.球種
ストレート以外では、カーブ、フォーク。以上。
ナックルボールは無い。
ワンポイントリリーフならともかく、打者と付き合う回数が多い先発の役割では、持ち球種が極めて少ないと言える。

決してパワプロ上のデータの話では無く、実際にこの球種である。


さて、特徴を挙げてみたが現役時代を知らない人は首を傾げた人も多いだろう。
「これでプロ176勝、奪三振2000以上が出来たの?」
「これなら甲子園に出場する高校生投手のほうが上なのでは…?」
「そもそもよくドラフト指名されたな…」

実際、スカウトは「左腕である事とカーブが面白い。球速は(ヤセ型だったので)身体を鍛えてれば伸びるだろう。」と完全に将来性を買った指名であった。
さらに当時はスピードガンも今ほど気軽に携帯できる代物では無かった為、彼の地元である北海道までスピードガンを持っていけず、「スカウトが真の球速を把握しないまま指名したのでは?」という逸話もある。




しかし、そこは厳しいプロ野球の世界。
本当に彼が何の芸もない人間だったら、そもそも1軍で投げることすら難しいのは皆様よくご存じの通りである。
では、彼が176勝、奪三振2000以上した理由は…

スタミナ
その野球選手としてはヒョロめの体つきとは裏腹に、非常にタフであった。
「1シーズン完投数16」「通算完投数129」という記録を持っている。これは「あの黒田博樹の完投数(NPBで76、MLBで6の計82)よりも遥かに多い」と言ったら驚かれるだろう。
また、キャンプ時の投げ込みも尋常ではなく、全盛期は「一日に300球~500球」ほども投げ込んで身体を作っていたとか。
同じく物凄い球数を投げ込むことで有名であった、ハマの番長こと三浦大輔といい勝負、どころか上回っている。
これはスタミナもさることながら、「力の入れ加減が絶妙に上手く、無駄な力を一切使わない投球フォームを作り上げていた」という点も大きい。

カーブ
プロ入りの決め手となったカーブは90km/h台
当然ながらよく曲がるため、打者のタイミングを外すボールとしては最高。
それゆえの逸話も多く、なんと試合中キャッチャー中嶋がミットをしていない右手で素手キャッチをし、珍プレーとして放送された事もある。

なお、勘違いされがちだが実はウイニングショット(ここぞという時の決め球)はフォークか、ストレートであった。
本人が著作で認めているため間違いないと思われる。
ただ、スローカーブを決め球と勝手に認識してくれる打者が多かったので、黙っていただけだったらしい。

そして最大の理由は……

投球フォーム
普通は130km/hの球と90km/hの球を投げ分けようとすると、どうしても力加減で腕の振り等が変わってしまう事が多い。
プロ野球の世界だと打者や相手コーチもそれを見逃さないため、球種がバレて打たれる。
だからといってフォームは簡単に矯正できるものではない。プロでももちろん難しいことであり、改良しようとしても上手くいかない選手もとても多い。
だが、なんと星野は130km/hのストレートと90km/hのカーブを、まったく同じフォームで投げる事が出来る

そして彼の身体の柔らかさから、振りかぶってから投げる直前まで星野の左腕が身体の後ろにスッポリ隠れ、打者からはボール、腕が完全に消えたように見えるので、
タイミングが取りづらく、突然ボールが放たれたような感覚に打者は囚われる。

打者は「150km/hが1、2の3のタイミングで投げられると解っている」という状態で150km/hが来るのと、
「130km/hなのか90km/hなのかどちらが来るか見極められないまま突然のように投げられた」という状態で130km/hが来るのでは後者の130km/hのほうが遥かに打ちにくいのである。

実際、星野と対決した打者達は…
初芝清「(当時日本最速の158km/hを記録したチームメイトの)伊良部より星野さんのほうが速いと思う」
清原和博「星野さんのストレートが一番打ちにくい」
梨田昌孝「あまりにも速く感じて金縛りのようになった」

という感想を述べている。

こうして、史上最速の130km/hストレートと超スローカーブ、フォークを駆使して
176勝、奪三振2000以上を達成したのである。
「投球術」というものの大切さを、まざまざと教えてくれる選手だったと言える。
実際、星野は自著の中で「(球種と威力、コースや組み立て次第では)小学生でもプロ野球選手を打ち取る事ができる可能性がある。」と記述している。


さて、この星野伸之に対して扱いに困った人達がいた。

野球ゲームの開発者達である。

何しろ当時の技術では彼の「突然ボールが放たれたような感覚に陥るフォーム」が再現出来なった。
その為、彼のMAX130km/hでは…プレイヤー次第ではとっても打ちやすい投手になってしまうのであった。

なので、球速を140km/hに水増ししたりしてなんとかしていたのであった…。

又、実況パワフルプロ野球99に収録されたモード冥球島では
「特にサクセス選手の入団先に拘りがないのなら、オリックスを選択しよう。星野伸之は球速が遅いので一番攻略しやすい」と半ば公式的な攻略法となってしまった……。

パワプロ2000から「ノビ○」の特殊能力、後にはOB選手への実装を前提とする形で*1これの最上位となる「怪童」が新たに追加され、これにより速く見えるストレートをある程度再現出来るようになった。
以降もストレートとそれ以外とでモーションが変化しない「リリース〇」、投球の着弾予想点表示がワンテンポ遅れる「球持ち〇」やそれの上位の「ディレイドアーム」とこれゲーム仕様じゃなくて星野の説明だよね?な特殊能力が次々に追加。今なら強い査定にされるだろう…と話題になっていたら『2024-2025』ロングPVに星野らしき選手が極めてゆっくりとしたスローボールを投げる*2シーンがあった。やはり球持ち〇、リリース〇、そして緩急〇*3は所持している模様である。
ゲーム内でもう一回星野と対決できるようだが、はてさてどうなることやら…
あと今回は久しぶりに仙一監督の方の星野も収録される。

大量のOB選手が実装されたパワプロ2024では球速130kmでノビB。
ストレートだけなら少し弱い気がするが、リリース◯、緩急◯、球持ち◯も持っておりやはり打ちにくくなっている。
阪急版であればクイックはA(オリックスではC)で牽制◯も持っており相手に盗塁させにくく、遅い球速は十分にカバー可能。
でもやっぱりもっとノビほしかったなぁ…。




人物
先述の「コントロールは悪くは無いけど良くも無い」「スローカーブを決め球と勝手に認識してくれる打者が多かったので、黙っていただけ」「(球種と威力、コースや組み立て次第では)小学生でもプロ野球選手を打ち取る事ができる可能性がある」発言から分かるように発言は強気なタイプ。
評論家の仕事としての選手への直撃インタビュー時も「(近本の高い実力は知ってるし)今さら調整がどうこういう選手じゃないと思うんだけど」「おととしに日本一になって自信をつけた半面、逆にみんなが重たくなったのがあるのかなとは思ったんだけど、どうなんだろう」とズバズバと斬り込んでいく。
選手時代の球速とは逆に剛速球。
ダウンタウンの浜田雅功とは家族ぐるみで付き合いがあり、年末年始は一緒に過ごすのだとか。



なお、現在は吉本興業とマネージメント契約をしている。
星野以外に吉本とマネージメント契約をしているプロ野球関係者では、東京ヤクルトスワローズ監督の高津臣吾や東北楽天ゴールデンイーグルス監督兼GMの石井一久などがいる。
そして、星野自身もバッテリィズや辻皓平(ニッポンの社長)ら大阪吉本の若手芸人が所属している草野球チーム「上方ホンキッキーズ」で監督をしている。



追記・修正はストレート・変化球をまったく同じフォームで投げれる方がお願いします。

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最終更新:2025年04月07日 08:55

*1 サクセスモードでプレイヤーが作ったキャラに持たせることは可能

*2 94km/hと表示されているのが見える。当時はもちろん現代基準でも「直球と30km/h前後の差がある」は相当に遅い

*3 遅い変化球の次にストレートを投げると球速が速く見えるようになる。これも星野以外でも山本昌、阪神時代の下柳のような「速度差をつけることで直球をウイニングショットに加えた」選手が持っていることが多い