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ヒット(野球)

登録日:2010/01/13 Wed 14:32:46
更新日:2026/07/30 Thu 02:32:36
所要時間:約 12 分で読めます





野球における記録の一つ。漢字では「安打」と書く。


文字で書くと逆に難しいのだが、ざっくり表現すると

(1)打者が球を打ってから地面に落下する前に守備側にキャッチされない。

(2)守備側が地面についたボールを一塁に到達させる*1前に打者が一塁に到達してセーフとなる。

の条件をどちらも満たしたものがヒットになる。


【ヒットではないもの】

  • アウト
上の条件のどちらかが阻まれた場合などして打者がアウトになったなら、当然ヒットではない。

  • エラー(失策)
打者が一塁に到達できたとしても、それが明らかに守備の技術的なミス(捕球ミス、送球ミスなど)によるもので、「普通の守備」であればアウトにできたと思われる場合、エラーとして記録され、ヒットとしてカウントされない。
エラーにあたる場面があっても、どちらにせよ打者が一塁へ到達することは可能だったと思われる場合はヒットとなる。
後述のフィルダースチョイス同様、 公式記録員の主観にかなり左右されやすい記録 である。

  • フィルダースチョイス*2(野手選択)
打者が一塁に到達できたとしても、それが「守備側は打者をアウトにすることも可能だったと思われるが、他の走者をアウトにしようとした*3結果」によるものだった場合、フィルダースチョイスとして扱われ、エラーでもヒットでもなくなり、打撃記録上は凡打(アウト相当)として記録される。
野球のシステム上、同じアウトなら先の塁に走った走者をアウトにした方が有利なので、頻繁に起こる。
もちろん、仮に打者に送球されてもアウトにはならなそうだった場合はヒットとして記録される。一般的にはこちらの状況はフィルダースチョイスと言わないことが多いが、「野手が選択した」ことには変わりないので厳密に言えばフィルダースチョイスではある。


【ヒットの種類】

  • シングルヒット(単打)
上記条件を満たした結果、打者が一塁まで到達した打球の事。
狭義には、これのみを指してヒットと言うことも多い。

  • ツーベースヒット(二塁打)
打者が二塁まで到達した打球の事。
スライディングをせずとも余裕で二塁まで到達できた場合のことを「スタンディングダブル」と言ったりする。

打球がドーム球場の天井に挟まって行方不明になったり、フェアグラウンドでワンバウンド後スタンドインするなど打球処理が不可能になった場合はエンタイトルツーベース(みなし二塁打)が与えられる。
ちなみに野手の暴投やアウトカウントの間違えでスタンドにボールを入れてしまった場合も同様の扱い。
また球場ごとの裁定でみなし二塁打の範囲が増えることがあり、面白いところだとフェンウェイ・パークのグリーンモンスター下部にある「手動式のスコアボードの文字を撃ち抜いた場合」や、フェンスがツタに覆われているリグレー・フィールドで、ツタに打球が引っかかった場合にもみなし二塁打が与えられる。
これはMLBの歴史の長さの都合上、球場が古すぎてそのものが近現代についての文化財というケースがあり、該当する場合はそうやすやすと改築できないため。つまり一見現代のプロ野球には適さないような設備を文化財として残すべく、「こうなったらボールが回収不可能になりうるので、エンタイトルツーベースとしてインプレー*4を打ち切る」とグラウンドルールで対策してしまった方が結果的には早いのだ。

  • スリーベースヒット(三塁打)
打者が三塁まで到達した打球の事。スタンディングダブル同様に「スタンディングトリプル」という言い方もあるが、プロ野球ではまず見かけない。
外野守備がよほど絶望的でない限りはどれだけ理想的な打球でも三塁までイージーに進めるということはそうそうないので、打球の判断が非常に難しく、俊足・判断力・洞察力が求められる。
その証拠にNPBの生涯記録で三塁打1位は俊足で知られる福本豊である。それでも8700打席以上立ってわずか115なので、当時のもっさんですら狙って三塁打を打つのは難しいと言えるだろう*5
一応高校野球の場合は甲子園本戦レベルでも比較的普通に出ることがある*6

  • テキサスヒット
通称「ポテンヒット」
内野手と外野手の間にふらふらっと落ちるヒット。米独立リーグのテキサスリーグでよく見られた事からこの名が付いた。
走者からみれば打球判断が難しい。

  • バントヒット
セーフティバントとも。バットを振らず横に寝かせてバットに当てヒットにする技。奇襲攻撃であり、相手の裏をかけないと失敗しやすい。
基本的に足が速い選手が試みる技だが、その分だけ警戒される宿命にある。逆に絶対警戒されずむしろ距離を取るシフトをされやすい鈍足長打の選手が奇襲として狙うときもある。
変則的なケースとして、スクイズ成功かつ打者が一塁アウトにならなかった際は無条件で安打が記録されるため、「サヨナラスクイズ成功でゲームセット」の場合も打席結果の記録という意味ではこれに該当する。

  • 内野安打
打球が外野まで届かなかったにもかかわらず、ヒットになったもの。
野球のシステム上、内野に留まった打球は多くの場合アウトにされるが、「打者の足が速い」「打球の転がり方が絶妙で、捕球に時間がかかる」「捕球した野手の肩が弱い」といった要素の重なり方次第で間に合うこともある。
バントヒットも基本的にこれに含まれる。
当たり前だがその殆どは単打である。二塁まで進めることがあるとすれば守備のミスによることが多く、それらのおかげで進塁できたという場合は記録上は単打となる。

2020年代では既に少年野球ですら外野まで届くヒットを打てることがレギュラーの大前提となっているばかりか「中学野球以上でやっていけるようになるための育成の場」ということで、少年野球の段階で飛距離を追求する指導者が主流化している。
逆に、エラーや内野安打、四死球で短絡的に出塁する方針の勝利至上主義者は、指導者としてすでに忌避される時代である。
と言ってもあくまでこれに偏重した指導が良くないとされるだけで、内野安打にできるものをしないのはただの怠慢でありエラーが起こる可能性も当然あるのだから「打ったら必ず全力疾走しろ」という指導は原則的にどこのリトルリーグチームや中学野球部でもされることである*7

  • 強襲ヒット
当たりが強く、内野手の身体やグラブに当たって落球した結果ヒットになったもの。
エラーかどうかは基準が曖昧で、記録員が決定する。
特に打者との距離が近い投手が一番受けやすく、油断すると目にゴミが入ってゴシュしたりと危険。
中でも2010年代中盤から2023年までにかけての低反発バット導入前最後の長打力超インフレ時代の高校野球においては、 甲子園レベルの一塁手や三塁手ですら反応し切れない 超打球が、彼らの守備位置の真正面かその近くを襲った。

  • ホームラン(本塁打)
ヒット以上を打った打者が1プレーの間に4つのベース(ダイヤモンド)を一周し本塁へ帰ってくる事。
二塁打・三塁打以上にヒットとは多くの場合区別されるが、これも広義のヒットには含まれる。
一般的にボールがフェアグラウンド内のスタンドに入ったものを指す*8が、別にスタンドインせずとも返球で刺されずホームに帰れたのならホームランである。
これは基本的に「ランニングホームラン」と分けて呼ばれる。(和製英語、本来インサイドパークホームラン)
前者はパワーがある打者が良く放つが、後者はヒットのみでエラーが絡んではならないことからダイビングキャッチで触れられなかったケース等に限られるのでパワー、走力、判断力、運が要求され、プロでお目にかかる事はTBS時代末期のベイスターズのような「単純にチームとしての戦闘力そのものがプロの域に達しているか怪しいレベル」というレアケースを除き*9殆どない。一応外野手がクッションボールを誤ったケースなどで、NPBでも記録上ランニングホームランが認められる場合がある。
みなし二塁打同様に認定本塁打もあって、国内だとバンテリンドームナゴヤの外野区域にあるスピーカーにぶち当てた場合、西武ドームの外野フェアグラウンド天井に当てた場合などが該当する。これも球場ごとの裁定なため、東京ドームの場合天井に当ててもそのまま試合続行である*10

  • サイクル安打
サイクルヒットとも。1人の選手が1試合でシングルヒット、ツーベース、スリーベース、ホームラン全てを打つこと。
ホームランを打つ長打力は必須だが、スリーベースは前述の通り飛ばせれば、走れれば狙えるという難度のものではないため、スリーベ―スを打てずじまいで記録を逃す例が多い。逆に長打を連発したのでシングルヒットのみ未達成ということも起こり得る。
またこれらを達成するには最低4打席立つ必要があり、野球においては打順が下位の場合+チームが自身以外著しく貧打だった場合は3打席しか立てないという場合もあるため、その難易度もノーヒットノーランと同数くらいの難しさ。もちろん達成すれば球場全体が祝福ムードに包まれる。

勝敗にこだわらなくとも成績上は問題ないオールスターゲームでは少々話が変わる部分もあり、2019年第2戦では近本光司に達成させるためにわざとパ・リーグ側が怠慢プレーを行ったようにしか見えないシーンがあった*11、1992年第2戦では古田敦也が達成するために二塁で止まったように見えるシーンがあった*12など、ファンサービスとしてわざとサイクルヒット達成者を出すのを優先した…と思われてもやむを得ないようなプレーがごくまれに見られている。


【指標】

各選手の、打者としての能力を計るあるいは実力を示す数値の事である。
かつては打率や本塁打数等くらいしか無かったが、今では様々な考えの元、多様な数値が使われている。
もっとも、この指標さえ押さえておけばOKといったいわば万能の指標はいまだ無く、指標同士をかけ合わせたり相関を持たせたりして特定の場面での能力や方向性を表せられないか、試行錯誤が続いている。
ここでは数多い指標の中でも良く知られたものを紹介する。

  • 打数(AB:At Bat)
計算式[打席数 - (四死球 + 犠打 + 犠飛 + 打撃妨害 + 走塁妨害)]
打者が打席に立って打撃を試みた回数。単純に打席に立った回数ではない
なぜ打席を直接使わないのかと言えば、あくまで打者が打撃を試みた結果どうなったのかが重要である為。

安打数
計算式:[単打数 + 二塁打数 + 三塁打数 + 本塁打数]
簡単に言えば、その選手が打ったヒットの総数。その為1塁止まりのヒットも走者一掃のタイムリーヒットも同じ1本である。
あくまでもヒットの数である為、四死球や犠打、守備エラーなどは含まない。

  • 打率 (BA:Batting Average)
計算式:[安打数 ÷ 打数]
打者が打席に立ち、打撃を試みた結果ヒットとなった割合を示す。慣例的に%ではなく割/分/厘/毛で表現する。
かつては勿論、色々な指標が開発された今でも打者の力量を計る上で重要な成績であり、特に長期にわたって.300以上を維持している打者は「3割バッター」として期待されそして警戒される。
現状の実在選手では.380~.390くらいが事実上シーズン公式記録における上限となっており*13、「4割バッター」は少なくとも現代野球の定着後に関してはいないと言える。
このため実際のプレーのみならず、ゲーム『実況パワフルプロ野球』のマイライフガチプレイ時は4割バッター達成がひとつの目標とされやすいほか、ペナントモードのアチーブにはシーズン記録塗り替えと一緒に「自チームより4割バッターを輩出する」が収録されている。
このため詳しくなくても「4割バッターの時点で現実ではありえないレベルの強打者」程度の知識がある人は多く、野球を題材としない作品だったとはいえ、『ガンダムビルドファイターズ』では主人公への刺客*14として打率.899のバケモノバケモノアンドバケモノが登場している。


  • 出塁率 (OBP:On-Base Percentage)
計算式:[(安打数 + 四球 + 死球) ÷ (打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)]
打席ごとに打者がどれだけ塁に出たかを示す指標。
ヒット以外のどんな形でもとにかく塁に出るという能力を示すもので、打率にヒット以外の出塁方法を考慮に加えた数字と言える。

  • 長打率 (SLG:Slugging Percentage)
計算式:[(単打 + 二塁打 * 2 + 三塁打 * 3 + 本塁打 * 4) ÷ 打数]
打者がどれだけ長打を打ったかを示す指標。
長打を打った=それだけ進塁したとの考えから、二塁打等を進塁した数に変換し、それを打数で割る事で、1打数あたりいくつ進塁できるか=どれだけの長打を打てるかを示している。
ちなみに最大値は4.000、これは1シーズンの全打席(全打席でホームランを打った場合、打席数=打数となる)でホームランを打てば達成できる数値である。

  • 得点圏打率(BA/RISP (Batting Average with Runners in Scoring Position)
計算式:[走者が2塁または3塁にいる時に放った安打数 ÷ 打数]
打者の打数から、走者が2塁または3塁にいる時に打ったヒットのみを抽出し、改めて打数で割る事で、特定の状況下における能力を示そうとしたもの。
ただどうしてもサンプル数が少なくなる為、統計的に意味があるのかと言われる事も

  • OPS (On-base Plus Slugging)
計算式:[出塁率 + 長打率]
出塁率と長打率の合計値。その為最大値は5.000。
得点との相関が高い打撃指標であり、得点への貢献度を測る為の指標でもある。
どういう事かと言えば、自身が出塁する確率と走者を帰して得点に繋げる長打を打つ確率を合わせる事で、点数に結びつく攻撃を行う能力を示そうとしたものとなる。
.754を超えると優秀、1.00を超えると非常に優秀と言われ、超一流選手の証明とも扱われる。

【名称】

ヒットといえばイチローが一番印象的だろう。
「○○(地名や地域)のゴジラ」がパワーヒッターを指すならば、アベレージヒッターの場合は「○○のイチロー」と称される事が多い。
ただ「○○のイチロー」と称される場合、何故か活躍できない事が多い。
例)韓国のイチロー
「薩摩のイチロー」などちゃんと活躍した者もいるが、川崎宗則の二つ名としては「ムネリン」や「世界一野球がうまいホモ」の方が有名だろう(「(野球がうまい)イチローファン」もあるにはあるが)。


他には「安打製造機」「ヒットメーカー」などと言われたりする。
ホームランの事も忘れないであげてください。


アニヲタ界のイチロー、編集願います。

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最終更新:2026年07月30日 02:32

*1 送球によるものに限らず、「打者より先にボールを持った選手が一塁を踏み」さえすればよいので、既に一塁を踏んでいる野手にボールを投げて渡しても、またボールを持った野手がそのまま走って行って一塁を踏んでも良い。

*2 正確には「フィールダースチョイス」だが、専ら縮められて定着している。類例:サッカーの「ミッドフィルダー(ミッドフィールダー)」

*3 結果としてその走者がアウトにされたかどうかは、この場合関係ない。

*4 簡単に言えば、当該打者の打席結果が確定するまでのプレー一連のこと

*5 ただし福本は当時の阪急コーチ陣の意向から、この手の打者としては長打力もあり、ホームランを十分に狙える(長打を狙うとスタンドインする可能性が高めだった)くらいにはパワーがあったなど、他の原因もあるにはある

*6 これは、甲子園球場が天然芝の広大な球場であることにも起因する。NPB以上と違って一死以下でランナー三塁の状況を作らないとそう簡単には得点できないチームも、地方の並の甲子園出場クラスの高校には普通に存在するため、打者走者が狙える場面で貪欲に三塁打を狙うのもある。

*7 いわゆる「確信歩き」は相手に対して無礼で小中学生のグラウンドマナーとしては傲慢であるとしてプロの場よりもはるかに強く忌避されるのもあるが。

*8 厳密に言えばフェア領域内でスタンドへ入った場合はボールデッドとしてプレイが中断し、打者走者に塁4つの安全進塁権が与えられることによる。そのためスタンドインの場合であっても“正規の走塁”を行う必要があり、ベースの踏み忘れや不意に前走者を追い越すとアウトとなりホームランも記録されない。極稀に走塁中に負傷した場合、代走を送られることもある。

*9 「経営権移動によるDeNA側からの意識改革」「中畑清のような外様スタッフや、石井琢朗など他球団でもプレー経験のあるスタッフによる『勝つ意識』の持ち込み」などを経ている現在では信じがたいだろうが、当時のベイスターズについては所属選手からすら信じがたい暴露が複数見られたほど戦力の劣化が著しかった。練習をみんなでサボってサッカーしてたとか…

*10 ただし2015年シーズンまでは「外野フェア区画かつ、天井そのものではなく懸垂物に引っ掛かって落ちてこなかった場合」をグラウンドルールによる認定本塁打としていた。これは当時天井そのものとは別に場内向けスピーカーを吊り下げて設置していたため

*11 かかわった松田宣浩は後にTV番組で「自分の落球については普通のエラーである」と否定しているが、この時だけ明らかに目が泳いでいるなどの反論があり、コメントの信頼性については厳しい意見が主流

*12 秋山幸二がダイビングキャッチに失敗したことでボールが転がるラッキーがあったにも関わらず、三塁を狙わなかったため走塁判断を疑問視された。古田本人は「足がもつれたため三塁に間に合いそうになくなったので止まった」と釈明

*13 NPB記録は1986年にランディ・バースが記録した.389。一応MLBの草創期には4割打者はそれなりに記録されてはいる

*14 厳密には主人公の敗退による排除を考えた大会主催側が無理やり「一打席対決」にルールを変更したうえでマッチングさせた。そのため当人は普通のフェアプレイヤー