孤独の旅路(幽☆遊☆白書)

登録日:2011/06/07(火) 21:20:50
更新日:2025/05/23 Fri 03:00:23
所要時間:約 5 分で読めます



孤独の旅路とは幽☆遊☆白書 第一巻に掲載されている一話完結のストーリーである。

【あらすじ】
意地悪で頑固者として有名なお爺さん。
近所の住民を度々困らせていた。
そんなお爺さんの前に一匹のたぬきが現れる。
お爺さんとたぬきの、不思議でどこか切ない物語。

【詳しい内容】
意地悪で頑固者なお爺さん。
度々近所の住民を困らせていました。
幽助はそんなお爺さんを見て、「あれではみんな離れてしまう」とつぶやきました。
その時足元に一匹の小さなたぬきが居たことに気がつきます。
どうやらたぬきは例の頑固者のお爺さんの元へ向かおうとしていたらしいのです。

たぬきに話を聞いたところ、そのたぬきは生前狩人の罠に引っかかってしまったことがあったそうなのです。
その時にたぬきはお爺さんから罠を外してもらい、怪我の応急処置までしてもらったそうな。

たぬきはそんなお爺さんに恩返しをしたいと思っていたのでした。

さて、お爺さんについてですが、息子夫婦が半年前に孫の信二君と一緒にドライブに行き事故で死んでしまったのです。
お婆さんにも既に先立たれていたお爺さんはとうとう一人ぼっちになってしまいました。さらにその後遠縁とは遺産をめぐるトラブル続きだったのです。
そのせいで、お爺さんは人間不信になってしまいました。
たぬきが考えた恩返しとは、信二君に化けてお爺さんの前に現れること。
もうお爺さんの体は弱っている。だからこそ一人ぼっちで寂しい思いをさせたくなかったのでした。

早速信二君に化けるたぬき。
まだ小さなたぬきであったせいか、尻尾は隠しきれません。
あと、夜の間しか信二君に化けることが出来ないのです。
その時お爺さんは辛そうにせき込んでいました。
もう長くない…そう悟った時、誰かが背中を優しくさすってくれるのが分かりました。
振り返ると…どう言うことでしょう!そこには死んでしまったはずの信二君が居るのです!

嬉しさのあまり涙を流しているお爺さん。
信二君は一晩中お爺さんに寄り添いました。

夜が明け朝になりました。そこにいたはずの信二君はいませんでした。
それでもお爺さんの心には、暖かい気持ちでいっぱいでした。
日が暮れ、夜がやってきました。
するとどうでしょう。部屋にはまた信二君がいるのです!
二人は一晩中優しい気持ちで満たされていました。

こんな調子で5日間過ぎた夜です。

今日も信二君はお爺さんの部屋へやってきました。
しかし、病状が悪化するお爺さん。今夜が山と悟りました。
もし良かったら、今夜は昔みたいにまた同じ布団で寝ようとお爺さんは信二君に言いました。

信二君は困ってしまいました。変身は夜の間までしか続かないからです。
戸惑いながら同じ布団に潜る信二君。
お爺さんが寝たのを確認すると、こっそり布団から出ました。
その時です。

どうしたんじゃ信二。

お爺さんの声が突然したのです。
びっくりして信二君はたぬきに戻ってしまいました。
たぬきとバレてしまった。お爺さんは怒っているんじゃないか…
恐る恐る振り返るとたぬき。
お爺さんは怒ってなどいません。これ以上にない優しい顔で微笑んでいました。

「最初からわかってたんじゃよ」

「わしの意地の悪さは死ぬまで変わらんかったな…」

たぬきとお爺さん。2人は泣き合い、抱きしめ合い、添い寝をして一晩を明かしました。

静かに息を引き取ったお爺さん。

お爺さんを見送ると、たぬきは少しだけ泣いて、新しい道を歩むことに決心しました。

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最終更新:2025年05月23日 03:00