幽☆遊☆白書

登録日:2011/08/12(金) 21:38:23
更新日:2019/09/22 Sun 21:24:27
所要時間:約 10 分で読めます




幽☆遊☆白書は冨樫義博による漫画作品で、1990年51号から1994年32号まで週刊少年ジャンプにて連載された。


●目次


概要


天才にしてジャンプの問題児、冨樫義博の代表作である。
ジャンプ黄金期を支えた漫画の中でもドラゴンボール、SLAM DANKとあわせて三本柱と呼ばれる程の人気を誇った。

連載終了から既に20年以上も経っているが、再放送などでリバイバルブームの機会にも恵まれ、もはや知らない人を探す方が難しい漫画*1



ジャンプ漫画家のご多分に漏れず、作者である冨樫は色々な要因により次第に連載を苦痛に感じ始めてきたようで、睡眠に割く時間を増やすなど健康面を気遣いだすが、
これにより「遊ぶ時間が無くなりストレスを解消することが出来ない」「時間が足りなくて原稿の出来が悪くなる」という新たな問題が発生してしまう。
もともと自分の原稿に他者が介入してくることを嫌っていた冨樫は、それらのストレスを発散させるために敢えて一話全てを自分ひとりで書き上げるという常軌を逸した手段でガス抜きを図る。
(この傾向が特に顕著だったのは仙水編であるが、この時期以外にも鴉vs蔵馬、幽助と雷禅の対面など、いくつかの話をほぼ1人で描いていたらしい)

これによってストレスは解消されたものの、結果だけ見れば原稿の出来はさらに悪くなった。
また、健康問題も根本的な解決には至らず、現在の「HUNTER×HUNTER」の遅筆ぶりは、本作の連載時に負った心身の傷の後遺症ゆえなのでは?と推察する声も多い。

仙水編の樹の台詞「オレ達はもう飽きたんだ」は冨樫自身の心の叫びだったとも言われている。



和風かつエキゾチックなモチーフをふんだんに採り入れたハイセンスなキャラクター造形、難読漢字が頻出する人物名や技名、勧善懲悪を否定した独特の作風、当時としてはグロテスクな場面も大胆に描かれ、作者の心情を反映してかどんどんダークになってゆくストーリー展開など、当時から現在に至る中二病・厨二病文化に多大な影響を与えたことは間違いなく、おそらく、コピペでも有名な“邪気眼”は本作が元ネタ。
ある意味では罪作りな漫画であったともいえる。



ストーリー



●霊体編


車にひかれそうになった子供を庇って死んでしまった主人公、浦飯幽助。
だが、彼は本来ここで死ぬ運命ではなかったため、霊界から蘇生のチャンスを与えられることになり、生き返るために人々のトラブルを解決していく。


この時はまだバトル路線ではなく、アニメ版でもほとんど再現されなかったが、人情味溢れる話(一例)などから読者の評価は高い。



●霊界探偵編


本来の復活時期よりも早く復活した幽助が霊界探偵として任命され、人間界で悪事を働く妖怪達と戦っていく。


バトル路線へのシフト開始。飛影や蔵馬、幻海などの味方側の主要人物はこの編で登場している。戸愚呂兄弟もここから。



●暗黒武術会編


幽助が倒したはずの戸愚呂は実は生きており、強い敵を探していた彼によって暗黒武術会に招待される。
作中最も人気の高い章で、当時発売されたテレビゲームなどはここが題材とされることが多かった。
チーム戦によるバトルトーナメントで似たようなのに裏武闘殺陣がある。


決勝の浦飯チームVS戸愚呂チームはそれまでの因縁や幻海の一件などで漫画、アニメ共に最高潮の盛り上がりを見せた。
尚、名場面を選ぶ読者投票では蔵馬VS鴉が一位を獲得している。



●魔界の扉編


魔界の穴を開けようとする仙水達との戦い。
穴の影響で特殊な能力に覚醒した人間との戦いも多く描かれ、後のHUNTER×HUNTERにも見られる頭脳戦も展開された。(最後は体のぶつかり合いだが)

バトル漫画で普通の人間が出てきても相手にならないのでは?と思いきや、能力を駆使した戦術や真っ向勝負を避けるなど工夫を凝らした描写によって緊迫感が保たれ、幽助たちも幾度となく危機に陥っている。



●魔界統一トーナメント編


仙水との一件で三大妖怪に目を付けられた幽助、飛影、蔵馬がそれぞれの立場を変えて魔界に渡る。
それから一年経ち、雷禅の死後の幽助の行動がキッカケとなり、魔界の覇権を争うトーナメントが開催する事になる。

そして幽助VS黄泉の試合が開始される所で描写が終わる。


幽白におけるインフレの極み。
また、暗黒武術会で人気があったキャラクターが強くなって再登場している。



●それぞれの未来編

原作のみのエピソード。
魔界から帰ってきた幽助は中学卒業、そしてラーメン屋兼霊界探偵業を営む。

妖怪の人間界への穏便な進出なども進みはじめている。
この時、生来人間に害をなす妖怪は少ないとは言えないが、過剰に多いわけでもなかった事が終盤に判明した。
(いつからかは不明だが前任の閻魔大王主導の元、霊界が妖怪を洗脳して人間界の番人的なマッチポンプを仕組んでいた)

平和な日々の中で霊界テロが起こるもそれを回避。
そしてまた時は過ぎ、最後は登場人物の笑顔で物語の幕は下りる。




登場人物


主要人物



CV:佐々木望
物語の主人公。本編冒頭でいきなり交通事故死するが、紆余曲折を経て蘇生。
復活後は「霊界探偵」として、悪事を働く妖怪の取り締まりを行うようになる。
生前は万引き、ケンカ、パチンコに明け暮れる不良の鑑だったが、復活後は多少更生する。
仙水戦で二度目の死を迎えるも魔族の子孫であった事が判明し、魔族として復活する。
彼と拳を交えるなどして関わった大抵の人物は「(戦闘が)楽しかった」といった旨の発言をすることが非常に多く、他人に強い影響を与える人物である。
彼の十八番である必殺技、霊丸(レイガン)は彼の強さや成長の度合いを知る上で非常に便利。(霊光玉継承前→小さい岩をふっ飛ばす、魔族復活後→どでかい岩山をふっ飛ばす)
霊丸の構えを真似してみた経験のある読者は多かっただろう。



CV:千葉繁
皿屋敷中学No.2。実際は純粋な人間としての実力No.2。
浦飯チームの中でもムードメーカーで愛すべきバカ。
彼の戦闘はコミカルに描かれるものが多いがそれ以上に熱い戦闘もある。
不良だが根は真面目で優しく、仙水編後も仲間達が戦う事を選ぶ中で彼だけは悩み、最終的に進学の為に戦いの日々を離れるなど常識的な感性をしている。



CV:檜山修之
額に第三の目を持つ妖怪「邪眼師」。
炎の妖気と剣術、そして圧倒的なスピードをメインに戦う妖怪。切り札的必殺技である黒龍波はあまりにも有名。
登場して間もない頃はあからさまに小物臭を醸し出していたが、仲間になった後は超高速の剣術と、必殺の邪王炎殺拳で多数の敵を葬った。
「強敵が仲間になると弱体化する」という漫画界のお約束を打ち破り、むしろ真逆に躍進した希少なキャラである。
実は元A級妖怪で、額の邪眼は後天的に移植手術で付けたものだが、その影響で実力が最下層まで落ちた過去がある。
クールな性格と確かな実力で、男女双方から高い人気を誇った。


全身に目?なんの話かな?



CV:緒方恵美/中原茂(暗黒武道会妖狐ver)
元々は妖狐の妖怪で、人間界での名は南野秀一。深手を負って人間界に逃げ延びた際に胎児と融合する。
基本的に心優しい人物だが時々妖狐時代の冷酷な面を見せている。
また、植物を使った戦闘方法をとるためある意味何でもあり。妖狐になるとその強さは更に増す。
端正な容姿、穏やかで知的な性格、その一方で敵に対する容赦のない残酷さを見せるそのギャップから、女性ファンがとりわけ多かった。

鴉との戦いは必見。


CV:京田尚子林原めぐみ(ピチピチver)
霊光波動拳の使い手にして幽助の師匠。
高い霊力を持つだけでなく、霊丸などで霊気を使った場合、霊光波動拳の作用によって体が一時的に全盛期の姿に若返る(若い頃の姿が何気に凄い美人)。
暗黒武術会で幽助に力の全てを渡したあと戸愚呂弟に殺されてしまうが復活。
その後は幽助達にアドバイスをしたり酎達に修行を施した。
原作では、霊界テロの時点で亡くなっていた事が判明する。



  • 雪村螢子
CV:天野由梨
幽助の幼なじみ。文武両道、友人や教師からの信頼も厚い優等生で、誰もが嫌う幽助を諦めず更生させようとする委員長気質。
一見すると幽助とは正反対の人物と思いきやビンタを得意としたり、妖怪相手にもひるまない姿を見せたりと、幽助の幼なじみだけあって、単なる優等生ではない。
メインヒロインであるが、暗黒武術会編以降は幽助の戦いを見守ることしかできなくなり、影が薄くなる。
作者から「一番嫌いなヒロイン」と言われてしまった不遇のキャラ。
とはいえ、要所要所で出番があり、魔界編において、幽助が人間界に帰ることを諦めなかったのは、彼女と交わした約束が大きく、最終回でも良い雰囲気だった。



  • ぼたん
CV:深雪さなえ
幽助の死後の案内人、のち助手である。
ドラえもん的な存在にしてヒョコヒョコ人間界に出てくる。



  • コエンマ
CV:田中真弓
エンマ大王の息子にしてぼたんの上司にあたる。人間界ではイケメンな姿で登場する。
彼も仙水の一件で思う事があったのか、終盤では父のエンマ大王を告発することになる。



  • 雪菜
CV:白鳥由里
氷女という妖怪。
飛影の双子の妹で、桑原の思い人である。
彼女の流す涙は氷泪石という貴重な宝石になるため、悪徳宝石商に拉致監禁されていた。



CV:玄田哲章
前回の暗黒武術会で人間から妖怪に転生した男。
筋肉を操作して殴るというシンプルな能力だがその圧倒的破壊力と防御力はまさしくリアルスタープラチナ。
更に再生能力まで備えている。
100%時は更に指弾(空気弾をとばす)まで使えるようになり、100%中の100%は幽助のフルパワー霊丸を受けきった。やるねェ

霊界での彼と幻海の最後の会話は屈指の名シーン。

インフレの被害者で、彼がB級妖怪というのに納得出来なかった読者は多い。



CV:納谷六朗/石田彰(青年時)
二代目霊界探偵にして人間に絶望した男。ある目的を果たす為に暗躍し続けた。
多重人格でそれぞれ戦闘スタイルは違うが一番強いのは忍の人格で、聖光気を使い、更にその気を物質化する事で強大な防御力と攻撃力を得る。
自力でS級クラスにまで上り詰めた劇中最強の人間。


CV:菅生隆之
幽助の遺伝子上の父親にして、全盛期(本編開始前)は劇中最強の人物(妖怪)。
仙水戦では幽助を覚醒させるキッカケを与える。
食人鬼だが、あることがきっかけで数百年前から人を食べる事をやめ、ゆるやかに死を待つだけの状態となった。
が、既に力が衰えた今となってもその実力は未だ高く、魔界における三大妖怪の一角として君臨している。
幽助と出会った後、彼に後を託して餓死により亡くなった。
余談だが彼の旧友はみな三大妖怪と同等以上の実力を持っている。



  • 躯(実際は身の隣に區)
CV:高山みなみ
魔界の勢力を三分する妖怪の一人。
飛影の嫁。詳しくはこちらで。



CV:江原正士
雷禅・躯と共に、魔界の勢力を三分する妖怪の一人。魔族の本能に忠実な他二匹に比べ、冷徹な策略家であり、野心家。
かつて妖狐蔵馬と共に盗賊をしていたが、血気盛んで頭が悪かったため見限られ暗殺されかけた。
その際に視力を失うも再起し、能力・人格ともに格段に成長。「組織に重要なのはNo.2」という考えに至り、過去を飲み込んだ上で蔵馬を自身の副官に勧誘する。
視力がない分聴力に秀でていて、その戦闘力は幽助と同程度の能力を持った息子、修羅を軽く捻り潰した。
事実上本編最後の敵。



その他の人物


CV:井上瑤


CV:飛田展男


CV:古田信幸


CV:鈴木勝美




CV:近藤玲子








CV:曽我部和恭




CV:金尾哲夫




CV:辻谷耕史


CV:荒川太朗


CV:関口英司


CV:松本梨香


CV:亀井芳子


CV:石田敦



アニメ版


1992年から95年まで、フジテレビ系列で放送された。制作はスタジオぴえろ

オリジナルキャラのジョルジュ早乙女の登場、左京と静流のロマンスなどのオリジナル要素や、螢子のヒロインぶりの強調、
喫煙描写が抑えられるなどの小さな改変がある。
全体的に原作に比べて毒っ気はかなり抑えられたが、それでも魔界の扉編を可能な限り原作のニュアンスを崩さずに再現してみせるなど、愛のある造りで評価は高い。

原作が半ば燃え尽きるような形で最終回を迎えていたことから、特に終盤の展開は違いが顕著。
原作では明確に描かれなかった魔界統一トーナメントでの幽助や蔵馬らの戦いも描写されている。
最終回もオリジナル展開で締めくくられ、幻海が死なない事も特徴。
また、ラジオドラマなどの派生作品も数多く作られた。

ED主題歌が定期的に変わっておりバリエーションが豊富だが、その中でも、「アンバランスなkissをして」「太陽がまた輝くとき」といった高橋ひろさんが手掛けたものは特に高い人気があった。
が、高橋ひろさんは2005年に亡くなっている。非常に残念です。




2010年から2011年にかけて文庫版がリリース。
最終巻には書下ろし漫画が収録されたが、その内容は、

パンダの姿をした作者が読者への感謝を述べつつ、幽助たちを次々に虐殺していくというトチ狂った内容であった。



追記、修正は微笑みの爆弾を聞きながらお願いします。

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