兄弟の熊狩り

登録日:2011/05/12(木) 22:11:36
更新日:2024/10/14 Mon 06:55:52
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「兄弟の熊狩り」とはアイヌに伝わる伝承の一つである。



~兄弟の熊狩り~

昔、アイヌモシリ(アイヌの大地)に仲のいい兄弟がおりました。兄の名はノック、弟の名はチエヘと言いました。

二人は心身共に、健康でたくましく育ちました。そこで、もう自分達も立派な大人になったのだからそろそろいいだろう、と二人で狩りに出掛けました。

山に踏み入り深い茂みをかきわけると、やがて二人の前に岩肌にくp……ぱっくりと割れた熊穴が現れました。この中に熊がいるに違いありません。

ノックとチエヘは、早速熊狩りの相談を始めました。



「僕は熊穴に入って攻め手をするのがいいだろうか、それとも熊穴の前で伏せ手として見張っているのがいいだろうか。」


「熊狩りでは攻め手より、伏せ手の方が重要なのだそうだ。伏せ手がしっかりしていないと、攻め手がどんなに攻めても熊狩りは成功しないらしい。」


「なら、僕が熊穴に入って熊を攻めるとしよう。兄さんは外で張っていてくれ。」


「そうだな、俺は外でしっかり熊穴を見張ってるよ。熊穴攻めは頼むぞ、チエヘ。」


チエヘは服をまくり、勇んで熊穴へと入っていきました。

やがて、チエヘと熊との戦いが始まったのでしょう。熊穴からは外にいるノックの元へ、壮絶な両者の声が聞こえてきました。


やがてそれもおさまり、熊穴からはそこに踏み入る前とは打って変わって精根も果てたかのように疲れ切った姿のチエヘが這い出てきました。

その様子を見たノックは驚き、二人は熊狩りというのが生半可なものではないのだと再認識したということです。おしまい。





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ちなみに、アイヌ語でチエヘとは男のこれの事であり、ノックとはこれの意味である。



追記・修正は熊狩り経験者優先でお願いします。

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最終更新:2024年10月14日 06:55