クマ(動物)

登録日:2024/08/04 Sun 00:41:00
更新日:2024/09/17 Tue 22:12:22NEW!
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クマとは、哺乳綱食肉目クマ科に属する動物の総称。
漢字では熊、英語では「bear(ベアー)」と呼ぶ。




【概要】

ガッシリした筋肉質かつ骨太の体型に長いカギ爪を持った動物で、トラやライオン、オオカミ等他の猛獣とはまず見間違えることのない外見が特徴。
寿命は野生下では20年程度だが飼育下では更に長生きし、34年生きた記録もある等、環境によって変動する。
よく肉食動物と勘違いされやすいが、実際の食性は後述するホッキョクグマを除けば肉だけでなく、果実や野菜といった植物も食べる雑食性である。
因みに、パンダもクマの亜種だが例外的に植物性……なのではなくて生存競争に敗れて基本的に笹を食べざるを得ない境遇に追い込まれているだけであり、その証拠に今以て笹を効率よく消化できるシステムを獲得できていない悲しい過去持ちの生物だったりする。笹も頑張ればいけるしな(ヌッ)*1

現生種は主にヨーロッパ、アジア、アメリカに生息しており、生息環境も熱帯から寒冷地等意外と様々な環境に適応しているが、生息地の割合を見ればむしろ寒い環境を好むようだ。

活動期間は春から秋にかけてであり、秋には冬ごもりに備えて沢山の餌を食べることで栄養を蓄え、冬になると穴に籠って冬籠りを始めるがメスはこの時に子を産むという。
そして春になると目覚めて活動を再開する…というライフサイクルを送るのだ。
後述にもあるが、この時期のメス熊は子連れになる為に非常にナーバスになっており危険。
冬眠から目覚めて餌を求めている時期でもあり、可愛い子熊を見つけた等と迂闊に近寄ろうものなら、近くに潜んでいる母熊に襲われることになるので決して近づかないように。

総じて大型の生物なので天敵らしい天敵はおらず、人間を除けば同族が事実上の天敵ともいえる。
ロシアのようにツキノワグマとヒグマ両方が生息する環境ではツキノワグマがヒグマに捕食されたり、両方の種が同じくロシアに生息するアムールトラに捕食される事も。
インドにおいてはナマケグマがベンガルトラによって捕食されるケースがあるらしい。

●戦闘力

ではクマがどのくらい強いのか、簡単に解説しよう。

・パワー

まず見た目通りの強烈な筋力から繰り出されるパンチ。
小型のツキノワグマでも数百kg。
実はこの数字だけだと、鍛え抜いた人間でも出せる。
ヘビー級のキックボクサーはパンチ1トン弱、キックだと1.2トンなんてすごい数値を叩き出す。
人間も捨てたもんじゃないね。
だが、クマの場合、このパンチに五本の爪が加わるのだ。
自然界で磨き抜かれた爪の鋭さはそれこそナイフに匹敵する。
軽くなでられただけでも人の皮膚などひとたまりもない。
熊害に遭った人の「重傷」というのは、ぶっちゃけ原型を留めていないレベルで粉砕されている。
レントゲン写真くらいならググれば出てくるが、覚悟抜きで見るべきものじゃない。
そして噛む力も人間の7倍くらい。骨なんかそのままかみ砕く。
クマの中では弱い方のツキノワグマでもこの攻撃力。

加えて、熊のパンチは切り裂くという攻撃の性質上、比較的長い時間、力が加わる。
1985年に当時ヨーロッパボクシング連合のヘビー級王者に戴冠したフランク・ブルーノ氏のパンチ力を分析した論文が英国の医学誌「BRITISH MEDICAL JOURNAL」に掲載されている。
確かに、ヘビー級の一流プロボクサーのパンチ力は計測器で実測された値で4000N以上(≒400kgw)、絶好調かつ人間の頭にクリーンヒットした際の想定威力は6300N以上と実証されているが、その力は14msと言う瞬間に集中している。
即ち、瞬間的な力の最大値はヘビー級の一流プロボクサーとツキノワグマは大差無いが、力の働く時間の長さの違いから力積、即ち運動量への影響と其れが転化した破壊力の面ではツキノワグマが圧倒している。


・防御力

そして分厚い筋肉と毛皮は、そのまま頑強な鎧となる。
サバイバルナイフ程度じゃ刺すことさえ難しい。
銃を使っても、ピストルのエネルギー量じゃせいぜい表面を傷つける程度。
辛うじて44マグナム弾を使う拳銃なら致命傷を与えられるので、人間相手にはオーバースペックなこの弾丸と其れを使った拳銃がクマ出没地域での護身用として製造されているのだ。
其れでも『辛うじて勝ち目が有る、追い払うだけの威嚇が可能』なレベルで、真っ向勝負を挑むなら大口径のライフルやスラグ弾を装填した散弾銃が必要。
さらにクマの頭部は図体と比べれば意外なほど小さく、また頭蓋骨も強固なため、よほど狙いが正確でないと銃弾が丸い頭蓋で滑って中まで通らない。
防弾チョッキが有効に機能する事から分かるように、軽い銃弾では分厚い防御を貫くと言うのは実は難しい。その為生半可な銃器ではクマを傷つけることさえ難しいのだ。

・スピード

では逃げられるかというとこれも難しい。
クマの走るスピードは時速60kmにもなる。
短距離走の世界記録者でも40kmそこそこだから、人間には絶対に逃げ切れない。原付でも逃げ切れないだろう。というよりクマは本気で走れば車や兎と並走できるというべきか。
かつては、死んだふりと共に木の上に逃げれば良いなどと言われていた時代もあったが、実際の所はツキノワグマ等の比較的に小型のクマ種は高い所に生えている木の実や果実なんかも普通に食べることからも解るように木登りは得意であり、助かったというのも運良く興味を無くしてくれてただけの話である。
因みに、300kg以上に達するヒグマ等の体重が重い大型のクマ種も木登り自体は得意。
あんまり木登りするイメージがないのは木の方が耐えられないとか餌場としての効率が悪いという程度の話でしかない。

逃げ筋のわずかな可能性としては、前足が短いので下り坂をやや苦手にしているくらいか。
全速力で坂を下って逃げた際に、追いかけてきた熊が運良く転がってくれたことがあったという。反対に坂道を登るのは超得意。断崖絶壁みたいな崖も登るし悪路も何のその。馬力と機動力を考えるとSUVとかランドクルーザーなんか目じゃないぞ。

・五感

視界から外れるように隠れるというのもクマ相手ではほとんど効果がないとされている。
なぜならクマの嗅覚は哺乳類の中で最強レベルであるため。
嗅覚が優れていることでお馴染みの犬は人間の約1億倍の嗅覚を持つが、熊はその10倍である人間の約10億倍の嗅覚を持つとされている(具体的な数値には諸説あるが、嗅覚が良いということだけは間違いない)。
いわば野生生物にして探知犬のエリートのようなものである。

同時に音にも敏感。聴覚は人間の500倍くらい。
ただしその特性を逆手にとり、熊避けの鈴やラジオを鳴らすことで熊のほうを警戒させて近寄らせないというのは効果があるという。

では耳と鼻がいいなら視力は鈍いのかといえば、意外にも視力は人間と同程度と十分であるうえに夜目も効く。夜や暗所でも人間の50倍くらいの視野が確保できるという。
なので、平気で動物が恐れるはずの火にも突っ込んでくるのを目が悪いから痛い目にあったんだ、とか考えるのは間違い。
そもそも「軽い火傷は痛い目のうちにならず」で、火傷させて痛い目に合わせようと思ったら、少なくとも火炎放射器クラスの火力を真っ向から浴びせるくらいしないと意にも介さない位に頑丈なのが熊なのだ。


要するに、生物としてのスペックにおいて人間がクマに勝てる点は知能だけである。

……ただし、これも生物としてのスペックの話であり身近で接する野生動物としての熊と相対した場合には、最低でも本項目の基本情報ぐらいの知識が無いとまともに対処できないレベル。
野生動物としては相当に賢く狡猾な部類の動物の上に身体能力もバカ高いという、とんでもない怪物であることは忘れてはならない。

【人間との関係】

生息地においては家畜は勿論、人間をも襲う事から恐れられる動物の一つである。
しかも雑食性であるため人間の食べ物や作物の味を覚えてしまい、
人里に降りてくる事もそう珍しくなく、深刻な問題になってしまうことも。
更にその結果人間を殺傷し、その血肉の味を覚えた個体が人食いグマとなって凄惨な事件を起こす事もそう珍しくない。
獣害 」タグの内、約半分はクマによる事件項目である。
近年だと2023年の秋頃から翌年の春頃に掛けて秋田県を始め東北地方各地で前例の無いレベルでの熊による獣害事件が多発したのは覚えている人も多いだろう。
因みに、熊による被害は特に熊害(ゆうがい)と呼ぶ。
それだけ、過去に不幸な事例が起きているということ。
+ 主な熊害事件一覧

因みに、雑食として知られているが、これは人間のようにバランスよく食物を摂っている(摂れる)という意味ではなく、単に動物だろうが果実の類だろうが、その時に最も効率のいい餌場(食物)を見つけたのなら其処に居着けなくなるまで居着くという意味。(そして、その期間は頑なにその食物だけ(●●)を食べ続ける。ある意味では途轍もない偏食なのだ。*2
なので、駆除されない限りは一つ所の柿の木なんかに毎年のように同一の個体や其の子供が出没したりするのは此れが原因。
上述の通り、人や家畜の味を覚えた熊が後は被害を出し続けるのも同じ理由であり、その期間内に別に餌を用意しても他の場所に誘導はできない*3


……近年の人里での熊の出現について無関係な土地の人間や動物愛護団体から『駆除なんて酷過ぎる!熊が可哀そうだ!』など当該地の行政を麻痺させるレベルの多数のクレームが入ることが問題視されているが、熊のスペックおよび性質を舐めているとしか言いようがない。BH「クマをなめるな!(バッ)」
『麻酔で眠らせて山に返せばいいだろ』なんて言われることもあるが、そもそもクマなどの大型の獣類に対しては、効果が表れるまで時間がかかり、撃たれたことで興奮して反撃や暴れて周囲に被害者などを出す恐れがあることから原則許可されない。麻酔と聞くとこういう代物を連想する人も居るかもしれないが、そんな速効性のある代物では断じてない(あったらそれは『眠ってる』ではなく『死んでる』である)。
それをクリアしたとしても、麻酔銃を扱うには猟銃免許の他に獣医師の免許が必要と極めて条件が厳しく、必要な時に扱える人間が用意出来るというケースは少ない。
更に麻酔弾は銃弾より射程も命中精度も劣り、熊の反撃をすぐ受けない距離から当てる事自体容易い事ではない。
よしんば命中したとしても上述のとおり撃ち込んでから効き目が現れるまで決して短くない時間普通に暴れて襲ってくるので、射程の短さゆえ反撃を受けるリスクもそれだけ高くなる。

そして眠らせたとして、外来種にならない程度の離れた場所に運んだ所で熊の身体能力ならば平気で二山、三山程度の距離は数十分もかからず戻ってくる(というか、その程度(数十キロ圏内)の範囲は熊からすれば庭の中だと思ったほうがいい)。解決どころかその場しのぎにすらならない。
特に、前述の通りで熊のスペックの中でも最も驚異的なのが嗅覚なので、熊自身でも“お気に入りの餌場”を変える事は出来ない。
人里に降りるのを覚えてしまった熊に対しての対抗手段としては、人間の身勝手だろうが残酷だろうが現状駆除一択と言い切ってもいいレベルであり、熊が死んだ場所は他の個体も危険と察するのかしばらく近寄らなくなるといわれる。

だからといって、クレーマーへの皮肉で『そんなにクマが可哀想なら勝手に食べられてくれ』とか、『見かけたらその都度猟師に撃って貰えばいい』というのも大概安直な考えではある。
前者は、繰り返しになるが誰だろうと一度人を襲ったクマは人食いグマになる可能性があること。後者は一括りに猟師といっても、シカやイノシシともまた違うので対応できる猟師が限られていることから。慣れない猟師が最悪クマに襲われてしまう可能性も決して低くないのだから。

日本では国がクマ駆除の補助金として8000円を補償し、更に地方自治体が加算する形でハンターへの報酬が支払われているが8000円だけではとてもクマ退治には足りない。
寧ろ、8000円と言うのは『国が熊の駆除を公認しているから、地方自治体がその地域に生息している熊の能力や習性に合わせて褒賞を設定するよう』勧告しているだけと言った方が合っている。
北海道奈井江町ではエゾヒグマの警戒に当たるハンターへの報酬を僅か日当8500円、即ち町の出す金は僅か500円に設定した為に、「危険な猛獣を相手にするのにこんな安価では非常識極まる!!」と猟友会を激怒させ、報酬値上げを提示するも『交渉決裂』宣言され出動を辞退されるというトラブルが2024年に起こっている。
━━因みに、このニュースでは「8500円では安い」という話のみが伝えられて比較対象となる相場が全く話題に挙がっていないので詳しい事情は調べないと解らないことなのだが、相場としては20000〜25000円が妥当とのこと。(上述の8000円をスタートとして発砲で+5000円。駆除で+10000円〜の加算となるのが普通。)

自治体によっては、害獣の中でも特に危険な熊に対しては駆除に成功したなら諸経費込みで50000円以上出すと定めている所もあるそうなので、如何に奈井江町の件がべらぼうに安かったのかが解る。
……そりゃ猟友会のおっちゃん達も怒るがな。熊もそうだが人命を軽視しすぎである。


●一般人は勝てるのか?

尚、ある意味では身近で挑める猛獣ということで創作なんかでも素手で熊に挑むシチュエーションを描かれる事があるが、現実的には絶対に考えてはいけない状況である。
先ず、前述のようにクマの体長そのものは大型の、それも成長しきった雄熊でもなければ人間より大きいということはないが体重は最低でも3倍超の筋肉と脂肪の塊であり、前述の人間の如きの筋力ではダメージなんか通せる訳がない
重ね重ね熊のスペックを舐めてはいけない
最小のツキノワグマですら平気で木の幹をへし折ってくるぞ。

身体的な構造でも熊の前脚の振りのスピードは人間を遥かに凌駕するので受けることは勿論、捌くことも避けることも難しいだろう。
それならいっそのこと抱きつきに行くほうがマシなレベルだが、今度は噛みつかれるリスクも生じることだろう。
そして、何よりも恐ろしいのは基本的に熊が狙ってくるのは頭部と剥き出しの首であるということ。
本能で、そこが生物の急所と知っており、その急所に必殺の一撃を与えられる能力を持って生まれてきたのが熊なのだ。

……そして、熊の一撃をうけた場合、体重があり頚椎を一撃でへし折って絶命させてくれるヒグマ等の大型のクマ種の攻撃ならともかく、
小型のツキノワグマ等の攻撃の場合には絶命させられない代わりに顔面がえぐり取られて失明や頭蓋骨骨折などの大ケガを負わされ、命を取り留めても後遺症を負ったままで生きることを余儀なくされる……という、大きすぎるリスクを背負わされる可能性が高くなる。
よって、熊を前にして下手に立ち向かうという選択肢は推奨されない。(頭部と首を腕で守るようにして“亀”になることが生存確率の高い防御法として推奨されている。)
却って、自分の体力に自信のある壮健な男性が熊によって重症を負わされた場合には、生き残ってしまった分だけ後の生活が悲惨なことになることを忘れてはいけない。

……それでも、どうしても戦わなくいけなくなった場合に、ダメ元で攻撃するのならば鼻を狙うこと。
最も優れた感覚器官だけに火すら通用しない熊の外皮の中で唯一の弱点……と呼べなくも無い部分なんだそうな。
何しろ、記憶にも新しい2023年10月に北海道で発生した消防団員が小柄なヒグマ(体長は120cm程度。)に襲われた熊害事件では、襲われた同僚を助けるべくサバイバルナイフを眼球に突き刺したが意に介さずに同僚を襲い続け、それならばと、後に致命傷となった首にナイフを突き刺す攻撃を行ったのだが……それでも、ヒグマはやっと離れてくれた程度の結果でしかなく、更に攻撃を加え続けたことでやっとこさ逃げていってくれた。

……しかし、このヒグマは絶命するまでの間に下山する消防団員達に再度の接触(襲撃)を図っていたようで、気付いた消防団員達が石を投げる等して再度の接触は避けたから生還できたものの、改めての熊のタフさ(なにっ)と執念深さが窺える話しである。*4
同じ感覚器官で、しかも人間ならば確実に鼻よりもダメージがありそうな眼を負傷させられても此の有り様だったあたり、ガチで人間の常識が通用しない生き物なのだと考えるべきである。

なお余談ながら、件のナイフは刃渡り5cmという熊を相手にするにはあまりにも心もとない短さだった*5ので、熊の脅威を知る人々を驚愕させたという話もあったり。

……と、色々と恐ろしさを強調してきたが其処は賢くも臆病な野生動物。出くわした爺ちゃんに転がされて逃げ帰ったなんて話もあるにはあるが、普通に死人が出てる場合もあるので、どういう結果になるかはともかく熊が出た場所には近寄らない・噂を聞かなくても山に入るのなら警戒や準備を怠らないのが一番。熊の方も基本的には人を怖がってくれるが、近年は人間を見慣れたのか人の生活圏にも平気で入り込むクマ(通称:アーバンベア)の情報が増えており、絶対とは言えなくなってきてしまっている。
実際、上記の消防団員達も山に入るにあたり熊除けの鈴の他にもガンガンと騒音を鳴らしまくっていたのに襲われている

よくクマに出会ったら死んだふりをすればいいと言われるが、これは間違いどころか自殺行為そのものである。
何故ならクマに限らず食肉目全般は死肉も食べるためである。
正しい対処は背中を絶対に向けず、ゆっくりと後ずさりしながら逃げる事。背中を向けて逃げるなんてのは絶対にNG。熊は背中を見せて動くものを追う習性があるからで、足の速さでも人間如きでは絶対に敵わない。鹿や兎でも追いつかれる事が度々ある。
逆に言えば、新たに動くものを追うので結果として動かないものが後回しにされることになる。これが死んだふりの迷信が生まれた原因なのかもしれない。

また、クマは手に入れた物に執着する習性がある為、食べ物やバッグなどを奪われたからといっても生きているうちに絶対に取り返してはいけない。
前述の“お気に入りの餌場”の件も含めて、警戒心が強い反面、自分の所有物に対する異常な執着と邪魔された場合の報復が怖い動物なのを知っておかねばならない。
因みに、三毛別羆事件では犠牲となった女性の遺体が保存食として地面に隠され、それを村人が供養の為に掘り出して持ち帰ったら襲撃された事例があったことで知られているが、ロシアではヒグマがまだ生きている女性を保存食として地面に埋め、その女性が絶望的な状況の中で助けを求めた事件が2019年に発生している。


更に子育て中のメスの熊は大変気が立っており近づく者を容赦なく排除にかかる危険な状態である為、子熊を見かけたら即座にその場を離れよう。ピリピリした母熊がまず間違いなく近くにいるからだ。
ライオンなら死なない程度に手加減してくれる可能性も高いが*6、熊には其処までの社会性は無いのだ。


知能は割りとあり、人間の顔を覚えたり、飼われた熊であればヒトと遊んだりする事もある。
しかしそれでも忘れてはいけない。熊はヒトと友達になることはあるが、それがヒトを攻撃しない理由にはならない事を。
実際、長年に渡りクマを家族同然に育てていた飼い主が殺された事例*7や餌の確保が難しくなって飢えていた熊がクマ牧場の飼育員を襲った事件なんかも記憶に新しい。

なお、クマに限った話ではなく飼育された獣全般に言えることだが、野生環境よりずっと高齢まで生きることによる大きな問題が認知症。
人間の症例でなんとなく想像つくだろうが、年を経た獣も飼い主を認知できなくなり野生本来の凶暴性を取り戻してしまうことがある。
またやはり高齢による身体能力や感覚の低下、特に目や耳が利かなくなるというのは野生動物にとって文字通りの死活問題なため、
想像以上にストレスが溜まっており些細なきっかけで爆発してしまう。
高齢のペットに襲われたという事件は意外と多いのだ*8


【伝承や文化におけるクマ】

一方で歴史的に見ればその獰猛さと戦闘力から畏怖の対象ともされる事もあれば、人間に近い仕草をする動物であることから様々な伝承が生まれてきた。

とりわけ蛮勇を誇る戦士達には信仰の対象とされた事もあるように必ずしも嫌われ者とは限らない扱いを受けている。
その中でも有名なのが北欧神話に登場し、今日では「狂戦士」とも訳されるベルセルクこと、バーサーカーか。
彼らはクマの毛皮を被ることで自らがクマになったと自己暗示し、ある種のトランス状態になってから戦に赴いたと言われ、時には盾に噛みついたりもする等、猛獣の如く、敵味方関係なく暴れまわったと伝わるのである。

日本においては、というか厳密に日本においてはというのは少し憚られるが、アイヌ民族の儀式「イヨマンテ」がよく知られるところ。この祭りに題材を取った『イヨマンテの夜』という名曲があるが、厳密には実際の儀式からはかけ離れているらしい。
子熊を捕らえて飼育し、成長したら盛大に祀った上で殺す。
この「殺す」は神の世界に送り返す意味があり、殺して得た肉や毛皮は祀り、もてなされた礼としてクマが人に残したものと解釈される。
つまりイヨマンテのクマは人里を訪れた賓客で、厳しい自然と共に生きるアイヌで産まれた恵みに感謝する大切な文化である。
また、アイヌでは自然界に宿る神霊を“カムイ”と呼んで畏怖と信仰を捧げているが、最も恐ろしいこの隣人(クマ)もキムンカムイ(山のカムイ)と呼んで距離を保ちつつ接していた。
寧ろ単に“カムイ”でもクマを指す場合も多いそうで、それだけ身近、かつ怖ろしい存在なのだ。

100%人間の手で飼育してるクマは、(危険なのは変わりないが)比較的人間に懐きやすいとも言われている。
サーカスで調教したクマを使った芸なども披露されている他、
第二次世界大戦中にはポーランド軍に従軍した「ヴォイテク」という名のクマの記録も残されている。
当初は余暇に兵士達が彼とレスリングに興じる(!)*9など、ただのペットやマスコットとして扱われていたが、後に伍長の階級を与えられて*10弾薬を運搬する任務に就いていた。
酒やタバコを好む人間臭い一面も。

あと、クマの肉は美味い。
畜産が出来ず、狩猟でしか取れない、更には肉の獣臭が非常にキツく入念な臭み取りが必要になる為、数が出回ることは少ないものの、その旨味の強い肉は古来より珍重されてきた。
中国ではクマの掌の肉が最も美味いとされ、「熊掌」として高級食材のひとつとなっている*11
日本では主に鍋や焼肉として食べられるが、中にはラーメンの具材として用いる等変わり種もある為、興味があるなら調べてみよう。
安藤さんのように、生の刺身をワサビと一緒に食べるというやり方は、安藤さんの胃腸が強いから大丈夫なのであり、一般的には寄生虫*12の心配があるので危険(殺菌作用のあるワサビと食べるのは理に適った食べ方ではあるのだが)。
グラップラーでない方は(グラップラーの方も?)よく火を通して食べた方が無難である。

また、その胆嚢を乾燥させたものは、生薬・漢方薬として古来より伝わってきた。
熊胆(ゆうたん)熊の胆(くま い))と呼ばれ、健胃効果や利胆作用など消化器系に効くとのこと。
なお、ホッキョクグマの肝、つまりレバーは有害。イヌイット(エスキモー)も古来から食用を避けてきた。
毒、というかビタミンAの含有量が多すぎて中毒症状を引き起こすほど濃厚なため。

ちなみに、漫画家・荒川弘氏は、自身のエッセイ漫画『百姓貴族』において親父殿曰く「(ヒグマは)完全山育ちのクマの肉は臭い。山のホテルとかから出る人間の残飯食べて育ったクマの肉は美味い。」
…との事である。(※個人の感想です)

近年においては先述したように人間に似た仕草をする事からマスコットキャラクターのモチーフに使われることも少なくない(後述)。

【主な種】

  • ツキノワグマ
日本や中国、朝鮮半島からロシアにかけて生息している。
以前は日本のものだけをツキノワグマと呼び、大陸のものはヒマラヤグマと呼んでいたが同種とわかって
日本産は亜種のニホンツキノワグマと呼ばれるようになったという経緯があるため、現在でもこの別名が使われることがある。
かつてはニホングマと呼ばれていた。
名前の通り胸に月の輪を思わせる模様があるのが特徴で体毛は黒い。
体毛や体型にはバリエーションもあり、赤みがかった個体や茶色みがかった個体、月の輪の存在しない個体も存在する。また、東南アジアのツキノワグマには金色の毛色の個体まで確認されている。
クマ科全般に言えることだが、肩甲骨が発達しているため中にはヒグマを思わせる広い肩幅を持つ個体もいる。
日本にいる種は比較的に小柄で平均的には体長1.2m〜1.4m。体重70〜120kgほどだが、大きな個体では、体長165cm体重200kgに達する記録も存在する。また、ロシアにおいてはベルクマンの法則故か体長180cm体重250kgにもなる巨大な個体が発見された事例もあるという。
国産のツキノワグマでも体長160cm体重150kg程度ならさほど珍しいサイズではない。
1993年春長野県秋山郷にて冬眠明けにも関わらず210kgの巨大な個体が捕獲された。この個体は冬眠前には300kg程前後になっていただろうと推定される。
冬眠前から冬眠明けにかけて体重が3割減少すると言われている。また、オスグマは夏の繁殖期に飲まず食わずでメスを巡って争うため、体重がさらに減少する。(冬眠開けから夏場で3割減少した記録もある。)なので、オスグマの場合冬眠前と夏場で体重が倍くらい違うことになる。そのためツキノワグマの体重についてはいつ計測したかに注意が必要。(例えば、夏場の100kgは冬眠前の150kgより大物である。)
4歳以上が成熊の判定ラインだが、オスグマは15才くらいまでは体が大きくなる。十代後半に急激に衰え、20歳前には寿命を迎えるケースが多い。
クマとしては小柄とはいえ、日本においては事実上本州における生態系の頂点に立つ動物である。
尚、小柄なだけあってか非常に敏捷性が高いという長所があり、移動力もある。
草食のイメージが強いが鹿やカモシカ猪の幼体の捕食に加えて子牛や豚など大型家畜の食害例も存在する。1999年栃木県で体重90kgのツキノワグマが種豚(体重300kg級)始め複数の成豚を捕食した例もある2020年代になってからも長野県で豚3匹が食害される他秋田県では子牛の食害が発生している。兵庫県では罠にかかった鹿を襲って食べるケースが頻発している。
滋賀県で野生のツキノワグマが狩りをする映像がyoutubeで公開されているが、ツキノワグマの食肉目としての1面を垣間見ることができる。
金太郎と相撲を取った熊も生息地的にこの種だと言われているようだ。
日本最大の獣害事件は三毛別羆事件とされるが、ツキノワグマも江戸時代に11人の人間を捕食した例がある。現在の青森県八甲田山である。仕留められたツキノワグマは体長160cmの高齢のオスグマだったと言われている。(「弘前藩庁護国日記」がこの事件の大元の出典とされている。)
九州の個体は1987年に大分県で捕獲されたのを最後に確認できず、2012年に絶滅が宣言されている。
なおその個体はDNA鑑定の結果、ミトコンドリアDNAが福井県嶺北地方から岐阜県西部にかけて分布しているものと同一という結果が出ており琵琶湖以東から九州へ移入された個体、もしくはその子孫と考えられている。
九州では温暖な気候によって林業が発展し、クマの餌となるドングリの生る広葉樹林が伐採されてスギやヒノキなどの植林が進み、森の分断も進んだことで越冬が難しくなったためと考えられている。
よりによって熊の名を冠する県が九州にあることについては後述。

  • ヒグマ
日本の北海道やロシア、ヨーロッパ、北アメリカに生息している。
赤みがかった体毛で全体的にツキノワグマよりも大型(平均で1.8m〜2m。体重80〜400kg)になり、アメリカのアラスカ州に生息するコディアックヒグマに関してはなんと3mにも達した記録があるという。
大きさは割とピンキリで、同じエゾヒグマであっても(猟師の申告ではなくNPO法人の調査で)冬眠明けにも関わらず体長195cm体重405kgという巨大な個体もいる一方でオスの成熊(6歳)で体長130cm体重66kgという小型な個体も存在する。
体格が大きい分だけ攻撃力に長け、また小柄なクマ種よりも凶暴である、との評もある。
シャケの遡上の時期になると川で待ち構えて捕らえる姿が有名。
アイヌの間では「キムンカムイ」と呼ばれ、とても大切にされている*13

日本史上最悪の獣害と言われる三毛別羆事件を起こした通称・袈裟懸けと呼ばれる巨大な人食いグマもこのヒグマである。

  • ハイイログマ
北アメリカに生息するヒグマの亜種で、日本のエゾヒグマの近縁種。
こちらもかなり大型な種で成体は平均して2m超え、体重は最低でも270kg近くにも達し、筋肉で大きく盛り上がった肩が特徴的。
やはり地域的な差か、北海道のヒグマよりも2割増位で大きい場合が多い。
毛色は赤褐色や茶色だが、光の具合で毛先が灰色に見える事から現地では「グリズリー」(白髪混じり)と呼ばれる。
ハイイログマの名もコレに由来する。
こちらも過去に「グリズリーマン」*14で知られる凄惨な熊害事件を引き起こした事で有名。

  • ウマグマ
チベットに生息するヒグマの亜種で、に着ける鞍のような形をした黄色い毛が肩に生えて走る様子が馬に似ていることから名づけられた。
ちなみに本種は現地のチベット語ではテー(དྲེད་མོང་།、dred)と呼ばれ、未確認生物(UMA)イエティの名は元々チベット語ヤテ(གཡའ་དྲེད་、g.ya' dred)に由来し、
度々地元の人から調査隊へイエティの標本としてヒマラヤヒグマの体の一部が届けられることからも、本種やヒマラヤヒグマが正体として有力視されている。
イエティは古代のホッキョクグマのDNAを持っているという説もあるが、さらに詳細なDNA解析で本種はヨーロッパや北米のヒグマとの関連が深く、
ヒマラヤヒグマは氷河期に氷河によっておよそ65万年前にほかのクマから隔離された系統という結果が出たという。

  • ナマケグマ
インドからネパール、バングラデシュといった南アジアに生息するクマ。
ナマケと名に付くがこれはクマの中でも特に爪が長く、ナマケモノのように木にぶらさがれる為。
実際は動きは俊敏であり、性格も獰猛である。
その為同じ地域に生息するベンガルトラにも向かっていき、獲物を奪いとった記録もあるという。
後述するマイソールの人喰い熊として猛威を振るったクマもこのクマである。
大きさはツキノワグマと同程度だが、やはり地域的な差か上振れがある。
長い爪は蟻塚を壊してシロアリを食べるのにも役立っており、爪以外にもアリクイのように毛も長い。

  • ホッキョクグマ
ロシアやノルウェー、北アメリカに生息する。世界最大のクマ。
「ポーラーベアー」とも呼ばれる。
名前の通り北極圏を主な生息地にしており、環境に適応してか真っ白な体毛を持つ。
白く長い毛並が美しく、顔や見た目も遠目には可愛いクマの中でも特に可愛いくキャラクター化やイラストにしたりされやすいが、実際の所は体格、スペック的にはグリズリーをも凌いでクマ種最大最強と目される氷上の殺し屋
グリズリーよりも更に大きく、平均で2.5m。オスなら最小でも300kg以上の体重にもなる。(メスでも250kgと圧倒的。)
極寒地域に暮らすためか、全体的に雑食性とされて冬眠もする省エネスタイルも可能なクマの中でも例外的に肉食傾向が強く、体重数100キロに及ぶアザラシやセイウチなどを好んで食べる。
また、クマ種にしては例外的に他の種のようなガチムチ体型のずんぐり丸々したフォルムではなく、ビルダー型のシャープなフォルムなのも特徴だが、これは泳ぐのに適した体に進化した結果である。
地上のみを住処とする他のクマと違って、首が長いのも特徴。
ちなみにヒグマとは遺伝子的に非常に近いようで交配できるだけでなく、生まれた子孫にも繁殖能力があるという。
このことから、極地の沿岸地域にまで生息地を拡大させたグリズリーから枝分かれした種だと予想されている。
詳細は個別項目参照。

  • アメリカグマ
北米に生息するクマ。
基本的に黒い種が多いが色のバリエーションは多く、亜種にアメリカクロクマや白いシロアメリカグマ、茶色いシナモンベア等がいる。
イエローストーンにはハイイログマが生息、アラスカにもヒグマとシロクマが生息するがこういった一部地域を除くとアメリカ本土では唯一の熊種である。
性格は比較的温和でテディベアの元ネタとされるが、人身事故はハイイログマより多いそうだ。
北米大陸の熊では最小とされるがそれでも最大級の個体だと体長240cm内臓抜きの体重400kg超の記録も存在する。

  • マレーグマ
東南アジアに生息するクマ。
ツキノワグマ同様首に三日月模様の白い体毛を持つ。
他のクマと異なり、体毛は短く独特の光沢がある。
綺麗な直立姿勢を見せ、その顔つきからおっさんぽい等の評価を受けることもある。
東京都の多摩動物公園で日本初の飼育下での繁殖に成功し日本動物園水族館協会から表彰
…されたものの、上記のナマケグマとの雑種だと判明したため繁殖賞を返上したという珍事が起きたことがある。
世界最小の熊種とされるがそれでも体長は1.2〜1.5m体重30〜70kgが平均的となかなかのサイズ。大型個体や動物園の個体では80kg超のオスもいる。
ニュースなどで発表される国産ツキノワグマの公称サイズは体長1 mなど、マレーグマより遥かに小さいことになっている。

  • メガネグマ
コロンビアやペルー等、南米に生息するクマ。
黒い体毛を持つが、目や首の周辺は白くメガネのように見えることからその名が付いた。
現生クマ科の中では唯一南半球に生息するクマである。

  • ジャイアントパンダ
漢字で書くと「大熊猫」。
中国の高山地帯に生息する大型のクマ。
高い知名度を持ち、白と黒の独自の体毛のため、クマの一種というより「パンダ」と言った方が伝わるだろう。
もとは現在で言うレッサーパンダが先に発見され、同じく草食に適応して指の数が6本に収斂進化した本種が後に発見されたため、
そんな変なことする生物が2種もいるとは思われず近縁種として「レッサー」と「ジャイアント」と命名されて
DNA鑑定が実用化されるまではレッサーパンダともどもアライグマ科に分類されることもあった。


クマ科分類は以下のようになり、さらにその下に亜種分類がある。
ただし、あくまでも現時点の有力な分け方であり、(あらゆる分野に言えることだが)研究が進むにつれ分類も変わる場合がある点に注意。
因みに、現在までに熊害の犠牲者数で最も被害を出しているのは上述の三強(ヒグマ、グリズリー、ホッキョクグマ)や日本ではメジャーなツキノワグマではなく、下記に含まれる小柄な部類のナマケグマ(マイソールの人喰い熊)の犠牲者12人である*15

亜科 備考
クマ科 クマ亜科 クマ属 ヒグマ 亜種にハイイログマがいる
ホッキョクグマ
ツキノワグマ
アメリカグマ
マレーグマ属 マレーグマ
ナマケグマ属 ナマケグマ
メガネグマ亜科 メガネグマ属 メガネグマ
ジャイアントパンダ亜科 ジャイアントパンダ属 ジャイアントパンダ かつてはパンダ科(レッサーパンダ科)に属していた


【キャラクターとしてのクマ】

多少は前述したが、歴史的にも人間によく知られた野生動物であること、ライオンやトラと同じく動物園などで飼育されるメジャーな動物の一つでもあるので、キャラクターのモチーフになることも多い。
ゴリラやゾウ、サイと並んで巨漢のパワーファイターのモチーフに多用されがちだが、それらの動物に比べると獰猛なイメージがあるからか、はたまた先述のベルセルク(バーサーカー)の影響からか、後述する臆病なキャラ付けだけでなく、好戦的な戦闘狂と呼ぶに等しい性格のキャラ付けがされることもある。

その一方でそんな獰猛なイメージはどこへやら?な可愛らしいキャラクターのモチーフとしてもよく多用される。
例えばテディベアやリラックマ、今日ではディズニーのキャラクターの代表格としても有名なくまのプーさんもそうである。
これは上で述べたように人に近い仕草をするとされる動物としても扱われたことも無縁ではないと思われる。
そして、リアルだと顔が怖いライオンや(特に)トラと違って、クマはリアルでもサイズとか予想外に汚い吠え声とか諸々を除けば可愛いのも理由だろう。
この、(遠目から見た場合の)リアルなクマにも通じてしまうマスコット的なイメージにより、本物のクマも人懐っこく可愛らしい動物だと勘違いしてしまう層も一定数は存在してしまうのも事実である。(野生の動物の“母性”というのは要するに子供を奪われない為の防衛意識。母熊の子供を守る必死さは見敵必殺レベルである。)
前提として忘れてはいけないのは、野生のクマは決して簡単に人間と相容れるような事はなく、しかも猟銃が効かないことすらあり、本気で確殺しようとするとバズーカ砲でも用意しないと無理とまでいわれる屈強な猛獣であること。
だからこそお互いに境界を踏み越えず共存していかなければならない存在であるということである。

ちなみにキャラ付けとしては熊らしく「臆病」な事が多い。
そして見た目通り優しく人懐っこいが、どこか鈍いキャラにされがち。
ただどの熊キャラにも共通しているのがその怪力は人を殺傷してしまうほど危険なものとして扱われている事だろう。

●クマをモチーフにしたキャラクター等

  • テディベア
クマと言えば「人を食うこともある恐ろしい猛獣」であると同時に、「かわいい動物キャラ」のモチーフの代表例でもあるという特異な動物である。
その象徴と言えるのがテディベア人形だろう。
これは特定のキャラクターのことではなく、デフォルメされたクマのぬいぐるみの総称である。
「テディ」とはアメリカ大統領セオドア・ローズヴェルトの愛称(セオドアの英語圏での愛称がテディ)。
狩猟が趣味であったローズヴェルトが、ある日狩りの成果が無く帰ることになりそうだった時、お付きが気を利かせたつもりで弱ったクマを連れてきて木に繋いでローズヴェルトに撃つように言った。
ローズヴェルトは「そんな卑怯なことはできない」と断った。
このエピソードが新聞で広まって評判になり、一部のメーカーがそれに便乗したクマのぬいぐるみを「テディベア」として販売したのが起源とされる(諸説ある)。
安価なものから数万~数十万円する高級品まで、様々なものが各国のメーカーから販売されており、熱心なコレクターも多い。

  • くまのプーさん
くまのぬいぐるみ。
プーさんは真っ黄色のクマでモチーフ自体はテディベアだが、名前の由来となったのは「ウィニー」という名のアメリカクロクマである。

  • ブレア・ベア/くまどん
ディズニー映画『南部の唄』に登場する、ブレア・フォックス/きつねどんの子分。

  • ネンガ様
忍ペンまん丸』に登場する忍者で、まん丸とタヌ太郎とツネ次郎の師匠。
師匠としての威厳はあるが、可愛いもの好きという意外な一面もある。

  • くまのパディントン
実写映画にもなった絵本の主役で、ペルー生まれのコートと帽子を着た小さいクマ(種類は故郷からメガネクマ説が有力視されている)。
名前は英国に来た時、後の居候先の家主夫婦と出会った場所「パディントン駅」から来ている。

  • 赤カブト
高橋よしひろの漫画作品『銀牙-流れ星 銀-』のラスボス
圧倒的な強さで本来は単独(複数で行動するとしても母子で乳離れするまで。)で行動する筈の他の熊たちを数十頭も従えて二子峠に君臨した魔王。
謂わば、クマ界のラオウであり、フリーザ様。
主人公の銀にとっては祖父のシロからの因縁の宿敵であり、最終決戦では父リキの仇ともなった。
その名の通り、頭部から背中にかけて赤いモヒカンのような鬣(としか言いようがない)を持つ。岩手県では“鬼首”と呼ばれ、青森県では“栗毛”と呼ばれる殺人熊として恐れられていた。
奇しくも、数十年前の連載にも関わらず、近年の被害状況や目撃情報により存在が囁かれるようになってきたツキノワグマとヒグマのハイブリッドと目され、両方のクマ種の特徴を併せ持つ。*16
シロとリキの元飼い主であり、銀をも一人前の熊犬として育て上げた伝説のマタギ竹田五兵衛により右目を奪われて隻眼となっているが、その時に脳に受けた障害により冬眠をしなくなったり、常識の範疇を越えて肉体が成長し続ける等、異常としか呼べない存在となっていった。
そのバカげた巨体は、作者の高橋曰く全長十メートルから二十メートルくらい…とのこと。

  • くまモン
熊本県のマスコットキャラクター。日本一有名なゆるキャラの一頭。恐らくツキノワグマ。
県の許可があれば個人や企業での利用が可能なので、熊本県だけに留まらず日本全国や海外で活躍している。
その愛嬌のある表情から一躍人気ものになり、熊本県の至るところで姿が見られる。無論熊本以外でも大人気。
1つツッコミどころがあるとすれば熊本に野生の熊はいないということだろうか。
一応、阿蘇には多数の熊を飼育しているカドリードミニオン(阿蘇くま牧場)もあるので熊自体は割りと多い
数ある「熊」キャラクターの中でも有名どころの1つと言えるだろうか。

熊本が熊がいないのにどうしてそんな名前になったかというと、もともと「隈本」という地名だったが、「隈」に含まれる「畏」という文字があまり良くない為、加藤清正によって強そうな「熊」に定められた為である。

こちらは北海道夕張市のマスコットキャラクター。
マスクメロンの皮をかぶったヒグマといった感じのデザインだが、多少デフォルメされた顔立ちの「マイルドなメロン熊」と凶悪な表情にアレンジされた「凶暴化したメロン熊」がいる。
後者はゆるキャラにしてはあまりにもゆるくない見た目である事から「ガチキャラ」と呼ばれる事も。

  • サンチョパンサ
三重県に所在するテーマパーク、志摩スペイン村のキャラクター。

コロシアイとおしおきが大好きな史上最悪のクマ(?)。


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    ヽ     ̄ ̄ ̄   ,.'
     `'-、_  """ _,.-'´
       `゙''ー-‐'''"
令和でも変わらない変態という名の紳士。

クマモチーフのポケモンが複数存在し、ヒメグマ、リングマガチグマ
クマシュンとツンベアー、ヌイコグマとキテルグマ、ダクマとウーラオスがいる。
初期形態はいずれもかわいらしい姿をしているが、進化すると一転して大柄な体格となり、
図鑑説明ではそのパワーや凶暴さをピックアップされていることが多い。
特に人の命を奪ったことが言及されているキテルグマは語り草。
ただしウーラオスは格闘家の獣人のようなポケモンであり、そういった要素は特に見られない。

モンスターハンター』シリーズに登場するモンスターの一種。
作中では最序盤に戦う初心者向けモンスターという位置づけだが、
それでも三毛別羆事件のヒグマの2倍近くの全長という巨体を誇り、これが頑強な甲殻に覆われた腕を振り回して迫ってくると考えると恐ろしいことこの上ない。
一方でハチミツが好物という可愛らしい(?)一面もあり、ハチミツを貪っている描写が多い。
最近では「紅兜」の二つ名を持つ個体や「ヌシ」といった強化版が登場しており、現実におけるクマのイメージに違わぬ暴れっぷりを発揮している。

  • クマモト
ソーシャルゲーム「ミストトレインガールズ」にも熊本県モチーフのキャラがいるが、造形が黒色を基本とした熊の獣人であり、明らかにくまモンをイメージしている。
しかも熊繋がりで斧を担いで趣味が相撲と金太郎要素も熊本関係ないのにちゃんぽんしている。
一応、熊本県名物の辛子蓮根が好物という設定があるが、それ以外はほとんど熊の擬人化である。
性能的にはパワー一辺倒だが、性格はやはり熊らしく臆病で引っ込み思案であり、戦闘SDでもオドオドしている。

  • ベン・ビガー
ゼンレスゾーンゼロ」に登場する、上のクマモトと同じく熊の獣人(このゲームではシリオンと呼ばれる種族)。建設会社「白祇重工」に勤めている。
…と言いたいが、こちらは背格好がまんま作業服を着た熊そのもの。見た目通りの怪力とモフモフを持っている。
だが性格は穏やかであり、自分より小さな人間の少女である社長「クレタ」の直情的な言動にタジタジになったりする一面も。
こう見えてデスクワーク担当であり地頭は良い他、揉め事の仲裁を務めることもある。
…が、その解決法に関しては熊の怪力を活かしたそれなので、ゲーム内でもネタにされている。

ベン以外にも熊のシリオンは何人か登場するが、町中で見かけることはあまり無く、建設現場に多く点在する。
概ね「気は優しくて力持ちだが、どこか臆病」という造形で一致している。

  • こぐまくん
名古屋鉄道のグループ会社の名鉄運輸のキャラクター。
名鉄のイニシャルのMと書かれた帽子をかぶり、荷物を背負った青い熊(2017年以前は茶色だった)。
2023年11月に名古屋の土産として名鉄商店でこぐまくんケーキが発売された。こちらはJR東海のぴよりんに対抗して作られた側面もある。
(そのぴよりんもクマをモチーフにする構想があったようなので、クマ被りしていた可能性も…)
くまモンや後述のぽすくまと一緒に『映画 魔法つかいプリキュア!』に友情出演したこともあった。

  • ぽすくま
日本郵便のマスコット。郵便マークの刺繍が施された帽子とバッグがトレードマーク。
好きなものはお花とはちみつトースト。
思いやりのある性格で友達は多く、彼と彼の友達が主役の人形劇が公開されたことも。

  • ポーラーベア
コカ・コーラのキャラクター。
1922年にフランスで初めてコカ・コーラの広告に起用されたりと意外と歴史のあるクマ。
ピークシフト自販機が「環境にやさしい」ということをアピールすべく、自販機に描かれており、60パターンのメッセージがあるとのこと。

バンジョーとカズーイの大冒険』シリーズのダブル主人公の片割れ。
温厚で心優しい力持ちのクマで、毒舌かつキツイ性格である鳥のカズーイのストッパー役。
一方でアクション面ではカズーイが極めて優秀なのでバンジョーは影が薄い。

  • テッド
映画『テッド』の主人公。世界一お下劣なクマ。
元々はジョンという少年が大切にしていた普通のテディベアだったが、彼の願いによる奇跡で命を宿し、「生きているテディベア」として全米一の人気者になり、ジョンと共に幸せな日々を過ごしていた。
……そして27年後、酒とドラッグとエッチが大好きなダメなおっさんになってしまった。

漫画『BIOMEGA(バイオメガ)』に登場。物語の鍵を握る人物を保護していた。
人間並みの知性と銃器を操るクマ…というと滅茶苦茶強そうだが、
この作品はもっと強いサイボーグの跋扈する魔境なのでむしろ守られる側。
べらんめえ口調の厳ついクマがヒロインの一角という異常事態
詳細は単独項目参照。

SCP Foundationに登場する、テディベアの姿をしたオブジェクト。
自発的に動く事ができ、財団職員の足に抱きついたりダンスをしたりする。カワイイ。
見た目の割に手先が器用であるらしく、物作りが大好き。カワイイ。
厳格な収容をしなくても害はなさそうだという事でオブジェクトクラスはSafe(収容方法が確立している、故意に刺激しない限りは安全)に指定されていたのだが…
詳細は個別項目にて。

⚠あなたは小熊に遭遇した⚠
同じくSCP Foundation中国支部のオブジェクト。
中国支部屈指の怖いオブジェクトとして有名で、この小熊も全力で怖がらせに来る熊として有名。
テストシナリオでは上記のような!あなたは小熊に遭遇した!というトラップが多数仕込まれている。
余りにも怖い熊だが、そこには意外な真相が隠されていた。
詳細は個別項目にて。

  • ナンバー5
少年漫画「BOY-ボーイ-」に登場する武装集団「ミリオン」に所属する。熊のくせに幹部メンバーという扱いである。
元々はサーカス団の熊だったが野性に目覚めてしまい調教師を殺害。殺処分待ったなしであったが、ナンバー4に拾われてミリオン入りする。
当初はナンバー4のペットだったが、パトカーをひっくり返すパワーなど熊の戦闘能力を存分に発揮してミリオン団員の危機を何度も救ってきた事から幹部ナンバーを与えられた。

  • クマ(鉄拳)
格闘ゲーム鉄拳に登場するクマ。地味に鉄拳シリーズでは鉄拳8の時点で皆勤してるすごいクマ。
初代鉄拳のラスボスである三島平八のペットであり、初代鉄拳ではポール・フェニックス使用時の中ボスとして登場。この時からポールとの因縁が生まれる。
その後初代の家庭用移植版「鉄拳」と続編「鉄拳2」にて本格的にプレイアブル化し、「鉄拳3」で息子である2代目になったものの(なお初代クマは「鉄拳2」の後に寿命で…)その後も必ずと言っていいほどプレイアブルになってる。
見た目こそは熊そのものであるがゲーム中での動きや個別EDでは見た目とは裏腹にコミカルなキャラになっている。(しかし初代クマの好きな物には人肉があったりするのだが…)

遊戯王OCGでは最初期から《グリズリーマザー》というクマモンスターが登場。
青毛のクマという如何にも強そうなイラストだが、能力値はそこそこ止まりであり、また戦闘で破壊された際に後続を呼び出す「リクルーター」と呼ばれるサポート系カードとなっている。
属性は水属性だが、元となったグリズリーが寒冷地に住まう事から関連つけられたのだろうか。「マザー」という事で女性モンスターでもある。
また後述のおおぐま、こぐまの星座をモチーフにしたクマ型メカのカテゴリである【ベアルクティ】が登場している。こちらも水属性。
お隣さんのりゅう座をモチーフにした【ドライトロン】とは仲良しだがその2つが合体したようなカードは基本ドライトロンに不向きなのがネタにされている。
またアルテミスをモチーフとした《召命の神弓-アポロウーサ》というカードは女神がクマに跨っているというイラストだが、別イラストの際にそのクマがいなくなってることでやっぱりネタになった。
アニメにも「クマを一頭伏せてターンエンド」したやつもいるし、どうにもこの世界のクマはネタ扱いされやすい。

野生動物として「ハチクイグマ」を筆頭に熊が何種類か登場する。
それだけならここに書く必要は薄いかもしれないが、本作において熊系の野生動物は非常に危険度が高い部類であり*17、迂闊に接近するとタフさもあってかなり手痛い目に遭う。
「熊は危険生物」という点を真っ当に描写しているとも言える。
その一方で気づかれないように接近すれば乗る事もできる

  • タイニー(エミルクロニクルオンライン)
魔法使いの帽子をかぶったクマのぬいぐるみのような姿をしたNPC。タイニーアイランドという不思議な場所で平和に暮らしている。
ダンプティーという色違いの亜種がいるが、こちらはダンジョンに生息するモンスター。目つきも悪い
他にも亜種がいくつか存在するが、ここでは割愛。
必要な素材を揃えて特定のNPCに話しかけると、タイニーを模した憑依するための器「マリオネット・タイニー」を作ってもらえる。
マリオネット・タイニーはマリオネットの中でも魔法型の性能をしており、憑依すると物理攻撃力とHPが減少する代わりに魔法関連のステータスが上昇する。
タイニーとダンプティーは後にアルマモンスターに、要は美少女擬人化した。
タイニー・アルマは「腹パンしたくなるようなキモ可愛い娘(公式発言)」で、ダンプティー・アルマはワガママなツンデレ幼女。

【その他クマモチーフ、もしくはクマに例えられるキャラクター】

キャラ名 作品名 備考
アロ ウィッシュミーメル
ダッフィー ダッフィー&フレンズ
シェリーメイ
キラリンベアー わんだふるぷりきゅあ!
フリッピー HAPPY TREE FRIENDS
ポップ
カブ
ディスコ・ベアー

【クマと名がつくもの】

  • クマムシ
ご存じ不死身で有名な微生物。
クマに似た体型であることからその名がついた。
あったかいんだからぁとは歌わない

大型のハチの仲間でミツバチの近縁種。
大柄な外見から怖がられる事も多いが性格は温厚で滅多に刺さない。
なお「クマバチ」が同種なのかオオスズメバチなのかは混乱が見られる。
出エジプト記23章が既に怪しいところあるし

  • クマタカ
タカ科の鳥類。
クマバチ同様、その種の中では大型・強いという意味でクマの名を冠している。

ハチのようなクマ…ではなく、タカ科の鳥類。
名前の由来はハチを主食とし、かつ上述のクマタカに似た姿をしていることから。
ハチを食いまくるその生態についてはハチクマの項目参照。

漢字で書くと洗熊もしくは浣熊。
日本には生息しない外来生物。
学名はProcyon(プロキオン) lotor(ロトル)でProcyonは「イヌの前」、lotorは「洗うもの」という意味。意訳するなら「洗う子犬」とかだろうか。
学名や見た目から和名を当てるならアライイヌやアライタヌキとなりそうなものだが、何故熊の名を当てられたのかは不明。
ただし、シノニム(別名や異名という意味の言葉)はUrsus(ウルスス) lotor(ロトル)でUrsusは「熊」を意味するため、日本にリンネの分類体系がもたらされた際にシノニムの方を訳した言葉を和名に当ててしまったとも考えられる。

  • アナグマ
イタチ科の動物。
名前の由来は穴を掘って生活するクマっぽい生き物だから(諸説あり)。
とは言え見た目はそんなにクマっぽくない。ハクビシンが一番近いか。

ONE PIECEに登場する色々な意味で有名な山賊。
山賊ということで山に生息するヒグマが名前のモチーフに選ばれたのだろう。

艦隊これくしょん -艦これ-に登場する球磨型軽巡の長女。名前の由来は本県を流れる球磨(くま)川。
名前だけに留まらず語尾にも「クマ」と付く。見た目はそんなに熊っぽくないが。
名前の語源は諸説あるが「九万(くま)(多数)の支流を持つ川」や「(くま)、つまり奥まって隠れた土地」等であり動物の熊とは無関係。
名前の同音や県名から熊要素が与えられたのだろう。ちなみに次女の多摩も名前の連想からキャラが付与されている。

  • 熊手
長い柄の先端に、先の曲がった爪が扇状に並んでいる道具。見た目がクマの手(腕)に似ていることからその名がついた。
農具、武具、縁起物など様々な種類がある。

  • 熊童子(鬼)
酒呑童子の配下の
同僚に「虎熊童子」「星熊童子」がおり、後者の名前はとあるゲームにて星熊 勇儀として拾われた為少し有名となった。
一説には残る金童子も金熊童子と呼ばれていたとか。
酒呑童子四天王のうち3人ないし4人に熊ってつけられてたり彼だけ単純に熊だけしかつけられてないのは誰も気にしなかったのだろうか。

  • 熊童子(植物)
多肉植物。
名前の由来はふっくらとした肉厚の葉とその先端のトゲが熊の手のように見えることから。

  • 鬼熊
長野県に伝わる巨大な熊の妖怪
歳を経た熊が妖怪になり、夜更けに山から人里に現れ、人のように直立歩行しながら家畜の牛馬を捕えては山へ持ち帰って食らうと伝えられている。
年齢を重ねた動物が妖怪となった場合神通力を得たりするが、こいつにはそんな物は無い。
というか妖怪になる前のクマとやってることがそんなに変わらない。
妖怪になっても変わり映えが無いと見るか、元々が妖怪や化け物に匹敵する動物と見るか。
創作では『遠巷説百物語』にてある話の題となったが、本編内では妖怪というより「ありえない程巨大なクマ」として扱われていた。

  • ベアハッグ
プロレスなどで使われる締め技の一つ。
相手の胴体に両腕を回し、抱き上げるようにして締め上げ、背骨にダメージを与える。
一見相撲における鯖折りに似ているが、あちらが上から圧し潰すかのように技を掛けるのに対し、
こちらは上で述べたように抱き上げるように持ち上げ、直接締め上げるので技の性質そのものが違う。
技の見栄えの為か、比較的大柄な選手がより小柄な選手相手に使うことが多く、
また見た目こそシンプルだが技を掛けられている方は凄く痛い技でもある。
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが地面に足がついている限り不死身だったアンタイオスを
絞め殺す際に使った技もこれだという説がある。

  • ベアークロー/ベアクロー
漫画『キン肉マン』に登場するロボ超人・ウォーズマンの武器。
両手の手甲から伸びる鋭い爪で刺突や斬撃、必殺技「スクリュードライバー」などを繰り出す。

  • 穴熊(穴熊囲い)
将棋の戦法の一つ。
盤の端(香車の初期位置)に玉将を移動させその周囲を他の駒で囲う強固な守りの戦術。
名前の由来は穴に籠もった熊のようだかららしい。
上述のアナグマが由来ではないが、近い由来で同じ音という何ともややこしいことに。



【その他クマに関するいろいろ】

  • おおぐま座、こぐま座
星座の1つ。
北天の星座で日本ではほぼ一年中見られるが、春から夏にかけて高く上り特に見やすくなる。
おおぐま座の腰から尾に当たる七つの星は「北斗七星」と呼ばれ特に有名。
こぐま座の尾の先端の星は現在の北極星である。

おおぐま座は女神ヘラまたはアルテミスによって熊に姿を変えられたカリスト。
こぐま座は諸説あるがやはりアルテミスに見切られて熊となった女性と伝わっている。
なお二人共ゼウスにやられて処女を捨てたことにより怒りや呪いのせいで熊となった。いつもの。

所謂『BNW』の1頭である、顔がデカい競走馬。「誰の顔がデカいって!?」
冬毛になるとサラブレッド離れしたモフモフ具合となるため、『クマですかこれ』と関係者にまでツッコまれた事がある。

  • カントリーベア・シアター
東京ディズニーランドにある、劇場タイプのアトラクション。
その名の通り、熊の楽団(カントリーベア・バンド)が歌と優雅な楽器演奏を披露する。

  • クマ牧場
牧場という名称だが、クマメインの動物園みたいな観光施設。
多くは餌やりが可能であり、クマも餌を貰うためにあの手この手でアピールしてくる。
研究施設としての一面もある。
2024年現在、日本には6つしか存在していない。

  • 島木譲二
「大阪名物パチパチパンチ」で知られる吉本新喜劇座員。
舞台に登場した際に、その場にいる全員が彼を人里に下りてきたクマと勘違いして死んだふりをするのがお約束のネタだった。
2016年に他界。

  • 熊殺し
1976年に公開されて大きな話題となった、梶原一騎製作の極真会館を追ったドキュメンタリー映画『地上最強のカラテPART2』にて、同作内でも最も大きなインパクトを与えると共に極真会館の顔となった、大柄な黒人空手家のウィリー・ウィリアムスのこと。
ウィリアムスは(一応は爪を抜く等の安全対策は取られていたというが)檻から解き放たれたグリズリーに果敢に立ち向かい、正面から突きや蹴りを打ち込み抵抗して危険な撮影を成功させており、その偉業からウィリアムス自身が“熊殺し”のニックネームで呼ばれると共に極真会館(空手)の強さを象徴する用語となった。
創作世界を含めて“人間が熊に挑む”構図を流行らせるきっかけになったとも言えるが……改めてどんな腕自慢でも考えてはいけないレベルの愚行である。
なお、そんなウィリアムス氏は後半生では一線を退き、たまに空手試合に出るバス運転手や木彫り職人として余生を過ごしたそうな。

  • グリズリー
1976年に公開されたアメリカ映画。
大ヒットした「ジョーズ」に触発されて粗製乱造されたB級動物パニックの一つだが、特に本作は、サメがクマに、海水浴場が森林公園に置き換わっている以外、プロットは何から何まで本当に「ジョーズ」そのまんまという安直オブ安直な便乗映画。
「最初の犠牲者は美女」というのも同じなら、「責任者は当初問題が大きくなるのを恐れて事態をおおっぴらにしたがらず、結果被害が拡大する」という展開も同じで、「凸凹3人組がクマ(ジョーズではサメ)退治に向かう」というのも同じ、なおかつ「最終決戦前夜に3人が夜明かしして語り合う」というシーンまでそのまんま。
ここまでくると面の皮の厚さに感服せざるを得ない。
なお、作中クマの全体が映るシーンでは模型ではなく演技用の本物のクマを使って撮影しているのだが、ポスターででかでかと描かれているのと見比べると明らかにスケールダウンと感じる人も。
本作を見ると、「ジョーズ」が動物パニック映画としていかに大傑作であったかがよくわかる。

  • アスキーアート
   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | クマ──!!
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
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 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)

このAAの頭にVHFアンテナを挿した「アナロ熊」という亜種も存在する。
テレビの地上デジタル放送マスコットキャラクター「地デジカ」に対抗して2ちゃんねる有志の手によって生まれた。
地デジカが著作権侵害や二次創作に対して極めて厳格である一方、アナロ熊は著作権フリーである。やったね!

  • 兵隊クマのヴォイテク
上記でも少し触れた、ポーランド軍に軍人として所属したシリアヒグマ。階級は伍長。
最初は拾ったイランの難民が世話していたが、手に追えなくなっていた為に近くに駐屯していたポーランド陸軍*18に引き渡された。
その人懐っこさから兵士達に愛されて育てられ、ポーランド軍の弾薬を運んだり、レスリングをして遊び相手になったりしていた。見様見真似で敬礼も覚え、彼のいたポーランド軍第22中隊のシンボルマークに「砲弾を抱えるクマ」の図案が採用されたほど。
単なるマスコットなだけでなく、弾薬箱の運送という仕事はしっかりとこなしていたらしい。
熊が大好きな蜂蜜等の他、タバコを嗜んでいた。直接食べたりもしていたとか。
ちなみに軍人として所属したというのは、当時の輸送船には「動物を運んではならない」というルールが存在したため、これを回避する目的で軍籍が発行されたことによるもの。
人間の兵士と同じように軍籍番号と軍隊手帳を作ってもらい、給料としてタバコと現金を支給してもらってたんだそうな。

戦後はエディンバラ動物園に入園し*19余生を過ごし、タバコの差し入れをもらったりしながら、22年の奇妙な熊生を歩んだのだった。
まるでフィクションみたいな話だが、れっきとした実在したクマである。
Hearts of Iron IVでは初期からポーランド軍の指揮官として登場するイベントが有ったが、DLCでさらに強化されポーランドの国家元首になることすら可能になった。
またガールズ&パンツァー 劇場版の最後にて主人公たちの勝敗を分けた「クマ型の乗り物」の名前として登場し知名度を上げた。

  • 獣王記やりまーす
セガから1988年に発売された横スクロールアクションゲーム。
様々なハードに移植されたことやネットミームで知名度は高い。
主人公(獣戦士)はステージ毎に様々な特殊能力を持つ獣人に変身して戦うが、ステージ3ではウェアベアに変身。
その際の世界観をブチ壊しにかかってるようなファンシーな見た目に吹き出してしまう人間も多数。
ウェアベアの攻撃はゲップ石化ガスのべトリフブレスと山なり回転アタックのスピンボンバー。

  • レヴェナント:蘇えりし者
2015年のアメリカの映画。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品。
レオナルド・ディカプリオ演じるヒュー・グラスがヒグマに襲われ瀕死の重傷を負うという物語に影響するシーンがある。

  • コカイン・ベアー
2023年のアメリカの映画。エリザベス・バンクス監督作品。
空から落ちてきた麻薬をクマが食べてしまったことにより翻弄される人々を描く。リラックマならぬラリックマ
なお、本当にあったある事件をモチーフにしている。
ただし元ネタのクマは麻薬接種で亡くなってしまったらしい。合掌。

イギリスに生息しているサバイバルするクマ。食性は雑食でとにかく何でも食べるし好奇心旺盛(?)で危険な場所(崖だろうが市街地だろうが)でも平然と突入する。……嘘は言っていない。
本名はエドワード・マイケル・グリルスと言い、クマではなくちゃんとした人間。「ベア」は彼がまだ赤ん坊だったころ、姉が付けたあだ名である。

2014年から2022年まで週刊ヤングジャンプで連載されていた、明治末期の北海道を舞台とするバトル漫画。
アニメ化実写化もしている。
北海道という土地柄ゆえにクマとの関わりが非常に多く、作中には様々な形でクマが登場する。
アイヌから見た文化的なヒグマ観も語られており、作品のヒットもあって当時のアイヌの価値観を広く世に伝えている。

時には襲いくる脅威として、時には恐怖と畏敬を集める神の化身「キムンカムイ」として、時には狩られる獣として……
……と、そういう真面目な部分もあれば、帝国陸軍北鎮部隊vsヒグマとか200頭ものヒグマを屠った猟師といった胸熱要素から、ヒグマと交尾(ウコチャヌプコロ)したい度し難い変態といったキワモノまでもが平然と出てきたりもするのだが。
ちなみに天然の動植物を食べる展開が多いのも本作の特徴だが、ヒグマ料理の出番は意外と少なかったりする。

  • シートン動物記
アメリカの博物学者・シートンが自身の観察や伝聞をもとに記した著書で、その中に『灰色熊の伝記』や『タラク山の熊王』などクマを扱った作品もいくつかある。

  • 熊撃退スプレー
チカン撃退スプレーのクマバージョンだが威力、射程距離共に強化されている。

  • ブラザー・ベア
2004年に公開されたディズニーのアニメーション映画。
事故に近い形とはいえ、兄の命を奪ったクマを手にかけた結果、クマに姿を変えられてしまったイヌイットの少年と子熊の交流を描いた作品。

  • 熊鈴、熊避けホイッスル
これまで散々クマの脅威・戦闘力・被害を述べてきたが、大半のクマは平時は臆病な性格をしている。
戦闘スイッチが入らなければ攻撃的にならず出来ればクマ側も人間には会いたくないのだ。
そのため山や渓流等、クマが生息している場所を通る際には鈴やラジオを付けたりホイッスルを鳴らし人間がいるアピールをすることでクマとの不意なエンカウントを防ぐことが出来る…らしい。
ただし、逆に鈴や笛の音が人馴れしたクマを呼び寄せてしまうという指摘もある。

  • 熊出没注意
看板。
黄色地に黒文字で嫌でも目立つ色合いをしている。
一番有名な物は札幌市のクリエイティブコンパス社のブランド「NORTH ISLAND」が出しているグッズだろう。
こちらはステッカーはもちろんのこと衣類、文具、アクセサリー、食品パッケージ等多数の熊出没注意アイテムが販売されている。
北海道のお土産にいかがだろうか。

  • 熊の爪
その名の通りクマの爪。
魔除けのお守りとしてキーホルダーやネックレスにされる。
大半は加工は職人による一つ一つ手作りとなるため高価な場合が多い。

  • 木彫りの熊
その名の通り木を彫って作られた熊の置物で北海道のお土産・民芸品。
鮭を捕らえてたり咥えてたりするポーズが多い。

  • 大柄な男性の愛称
現実、創作問わずヒゲを蓄えた大柄な男性の愛称やキャラクター名に「くまさん」や「くまひげ」等が付けられる場合がある。
●くまひげ先生:講師や作曲家等のマルチクリエイター鈴木幸一氏の講師時代の愛称。
●クマヒゲ:映画『学校の怪談(1995)』に登場する用務員。(演:佐藤 正宏)
●ヒゲクマ調教師:ホモビデオ作品『ヒゲクマ調教師』に登場する人物。

  • 童謡 森のくまさん
「ある日森の中くまさんに出会った」から始まる童謡。
内容としては少女が森の中で熊に出会い逃げるが、熊は追いかけてくる。
何事かと思ったらハンカチを落としていたのを届けようとしていただけであり、それで少女は感謝の気持を込めて歌うという内容。
子供の頃に誰もが聞いたことある曲であるが、ある意味では熊の脅威を勘違いさせているようにも聞こえなくもない。





追記・修正はシャケを捕まえて食べてからお願いします。


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最終更新:2024年09月17日 22:12

*1 因みに、クマ科亜種ということで普通に食肉目に属しており、時には魚や小動物も捕って食べる。……動物園でも食わしてあげて。

*2 かの三毛別羆事件でも袈裟懸けは殺すのとは別に、味を覚えた女だけを食べていた。それ位に記憶力がよく執着が強い。

*3 熊の愛護を訴えた団体が大量のドングリを与えようとしたのを批判されたのは此れが原因。目標とする個体を誘導できないどころか、他の個体を呼び寄せてしまう可能性すらある最悪手なのである。

*4 このヒグマは消防団員達との接触の前に大学生を喰い殺した後に遺体を保存食としており、消防団員達がそこに近寄ってきた=ヒグマ視点からすると自分の餌を守るための行動だったと分析されている。

*5 銃刀法違反にならない大きさ(刃渡り6cm以内)だとこうならざるを得ないのだが…

*6 女優の松島トモ子女史は子ライオンに迂闊に近づいて母ライオンを怒らせた事が有るが、人間慣れしている群だった事もあり、爪を引っ込めた手加減済みの殴打で殴り倒されてライオンの群れの真ん中で凄まれる程度で済んだ

*7 この事件のツキノワグマは殺された主人の側で所在なく座り込んでいたとされ、止むなく殺処分となった際も家族は「恨んでないし、このクマも大好きな飼い主のところに行けたと思う」とインタビューに答えている。長年可愛がられた家族同然のクマと近所でも有名だったが、ささいなきっかけで興奮したか何かで起きた不幸な事故だったのだろう。

*8 身近な例だと大型犬に噛まれたなんて事件を耳にするだろう。

*9 勝敗は互角か負けることが多いことから手加減することを覚えていたと思われる。

*10 移動をする際に「動物は船に乗せられない」という軍のルールをすり抜けるために融通を効かせた。

*11 特にハチミツをすくって食べる時に使う右掌が美味いらしい。だが左掌もクマ肉本来の旨味が味わえるとしてそちらを好む人も多い。

*12 旋毛虫(トリヒナ)など。

*13 ただし人を襲って殺傷したものは「ウェンカムイ」と呼ばれ悪神扱いされ、毛皮も肉も利用されない。

*14 アラスカ州カトマイ国立公園で熊の保護を名目に違反行為を何度も繰り返していた、環境活動家のティモシー・トレッドウェルという人物の異名。皮肉にも最期はその熊に恋人諸共捕食されるという末路を辿り、その際にキャップを取り忘れて作動させていたハンディカメラに残されていた音声を元に同名のドキュメンタリー映画が作られた。

*15 なお三毛別の袈裟懸けは、事件で殺した8人以外に少なくとも3人を手にかけた可能性が高いとされ、解剖の結果物証も確認されている。

*16 一応、現実世界のハイブリッド熊=スーパーK(ツキノワグマの敏捷性とヒグマの体格とパワー・凶暴性を持つと恐れられる熊のこと。猟友会のハンター達により「異常だ」として噂されている。)関しては此れ迄の常識的にツキノワグマとヒグマの自然交配で子供が出来ることは“有り得ない”そうなので、まだまだ存在も未確認で慎重な調査の余地がある段階の話でしかない。それこそ餌の質や気候の変化などで通例より大型化しただけのツキノワグマの可能性もある。

*17 ハイラル図鑑でも危険度を強調するような解説になっている

*18 当時は第二次世界大戦の真っ最中でありポーランドはドイツとソビエト連邦の攻撃により亡国となり軍は連合国陣営として各地を転戦していた。

*19 ポーランドは戦争に勝利したもののソ連が国を解放したことにより社会主義化したのでイギリス寄りのポーランド軍は帰国できなかった。