ウルフ・オブ・ウォールストリート(映画)

登録日:2020/09/13 Sun 19:43:00
更新日:2023/12/30 Sat 23:25:56
所要時間:約 16 分で読めます






貯金ゼロから年収49億円

ヤバすぎる人生へ、ようこそ。



ドヤ顔でアカデミー賞最有力!


〈欲〉を売り〈夢〉をカネに換えた男の、〈仰天人生〉エンタテインメント





概要

『ウルフ・オブ・ウォールストリート(原題:The Wolf of Wall Street)』とは、2013年に公開されたアメリカ合衆国の伝記・クライムコメディ映画。R18+指定*1
ジョーダン・ベルフォートの自伝『ウォール街狂乱日記 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を原作とする。
製作はレッド・グランティ・ピクチャーズ、配給はパラマウント映画。
主演は『タイタニック』等でお馴染みレオナルド・ディカプリオ、監督は『タクシードライバー』を始め、数多くの名作を世に送り出してきたマーティン・スコセッシ。
『ギャング・オブ・ニューヨーク』から始まるディカプリオ&スコセッシのタッグ作品としては5作目に当たる。

1990年代にアメリカのニューヨーク・ウォール街を騒がせたストラットン・オークモント事件を背景に、事件の主犯であるジョーダン・ベルフォートの絶頂と転落を描く。
目と耳を疑いたくなるような贅沢と浪費の数々、あらゆる場面でヤクをキメてぶっ飛んでいる登場人物達、大量に登場するあからさまなセックスシーン……と金!薬!SEX!の限りを尽くした過激な描写が特徴。
「おっぱいがチラッと出てくる」という巷の映画のエロシーンのレベルを超え、おっぱいどころかお尻も丸出しで、露骨な乱交シーンも出てくるなど、下手なAVよりも過激なシーンが盛りだくさん。
台詞ももちろん過激な方向にフルスロットル、「最も多くFUCKという言葉が使われた映画」*2として本家Wikiにも記載があるほど。
あまりに荒唐無稽なシーンが上映時間3時間の間ぶっ通しで続くが、驚くべきことにほぼ全てが実際の出来事だったとされる。
まさしく事実は小説よりも奇なり。

批評家からの評価も高く、第86回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、脚色賞にノミネートされた……のだが、いずれも受賞には至らなかった。
ちなみに同期の受賞作は『それでも夜は明ける』(作品賞・脚色賞)『ゼロ・グラビティ』(監督賞)『ダラス・バイヤーズクラブ』(主演男優賞・助演男優賞)など。

本作でヒロインを演じたマーゴット・ロビーは自らオールヌードを披露し、そのセクシーな肢体と体当たりな演技で人気が急上昇。一気にスターダムを駆け上がることになった。


あらすじ

1980年代後半、ジョーダン・ベルフォートは成り上がりを夢見てウォール街にやってきた。
歴史ある証券会社・LFロスチャイルド社に入社、電話繋ぎの雑用の傍ら資格試験の勉強に精を出し、ようやく株式仲買人としてデビューしたその日に世界的株価大暴落「ブラックマンデー」が発生。
LFロスチャイルドはひと月も保たず破綻、一転して無職になったジョーダンは再就職活動の中で株式仲買人募集の広告を目にする。
面接で尋ねた投資センターは1株数セントの店頭株――通称:ペニー株を専門に取り扱う仲買業者だった。
規定により取引金額の50%もの手数料を収入として得られると聞き、ジョーダンは巧みなセールストークであっという間に大金を稼ぐことに成功する。

投資センターに就職してしばらく経ったある日、ジョーダンは同じビルに住んでいるドニーという男から声を掛けられる。
高級車を乗り回すジョーダンがいくら稼いでいるのか気になっていたというドニーは「給与明細を見せてくれたらあんたの部下になる」と言う。
ドニーを部下として独立したジョーダンは地元のドラッグの売人達を集め、セールストークを仕込み、ペニー株を高額で売り付けて莫大な利益を得る詐欺会社「ストラットン・オークモント」を設立。
ウォール街に舞い戻り、毎日大金を稼いでは社内外問わず乱痴気騒ぎを起こす絶頂の生活を送るようになるが、因果応報かその生活は永遠には続かなかった。


登場人物

題材が題材だけに実在の人物そのままの名前を使うのは難しかったのか、別名が当てられた登場人物が多い。

  • ジョーダン・ベルフォート
演:レオナルド・ディカプリオ/吹き替え:加瀬康之
主人公。証券会社の皮を被った詐欺会社ストラットン・オークモントの社長。
中流家庭の出身で、幼い頃から「リッチになる」というを抱き続けてきた野心家。
当初はリッチになることを夢見つつも法律を気にし、ヤクも忌避するような真っ当な人間だった。
しかし、ペニー株の売買により大金を稼ぎ始めた頃から欲望に忠実な性格に変化し始め、ドニーと出会いヤクを勧められたことで重度の薬物中毒に陥った。
冒頭での「腰痛で1日10回以上鎮静剤のクエイルードを飲むし、集中力を高めるのにはアデロール、ザナックスで緊張を緩めて、マリファナで寛ぎ、コカインで目を覚ましてモルヒネで〆て気分は最高!」はそのヤク中ぶりを端的に表した台詞と言える。
中でも特にクエイルードを愛用しており、その中毒ぶりはクルーズ中に大嵐に遭遇して死にかけた時であってもキメようとする程。
映画の中の億万長者ですらしないような超豪勢な放蕩生活を送るが、FBIに目をつけられ、身内のやらかしにより全てを失うことになる。言うほど破滅してないけど。

ベルフォート本人もラストシーンにてカメオ出演している。
現在はモティベーショナル・スピーカーとして活動しており、それなりの収入があるものの、賠償金の返済を渋って連邦検察に訴えられている。

  • ナオミ・ベルフォート
演:マーゴット・ロビー/吹き替え:白石涼子
ヒロイン。ジョーダンの2番目の妻。
凄まじい美貌の持ち主であり、出会った当初の職業はランジェリーデザイナーだったなど男の欲望を駆り立てる要素の塊のような女性。
友人の招待でベルフォート邸のパーティーに遊びに行った際にジョーダンと知り合う。
結婚後は2児の母となり、夫とはよく喧嘩するもののすぐ仲直りするラブラブ生活を送る。
ジョーダンがヤク中なことには心底呆れており、後に家を含む全財産を差し押さえされそうになったことで完全に幻滅、離婚を切り出す。
劇中でジョーダンからプレゼントされ、大嵐で沈没したクルーザー「ナオミ号」は元はファッションデザイナーのココ・シャネルが所有していたものである。

モデルはベルフォートの2番目の妻であるナディーヌ・カリディで、ベルフォートと離婚後は会社経営者と再婚している。
クルーザー関連のエピソードは全て実話。

  • ドニー・エイゾフ
演:ジョナ・ヒル/吹き替え:桜井敏治
ジョーダンの親友でありビジネスパートナー。ストラットン・オークモント副社長。
元は家具屋の店員だったが、ジョーダンに声を掛けて自身を売り込み部下となる。
ジョーダンの教えがあったとは言え、完璧な詐術セールストークを身に着けて大金を稼ぎ出すなど優秀。
リッチになってからは過激な性格が表に出るようになり、それが災いしてトラブルを呼び込むことも。
ジョーダンをヤクの沼に引きずり込んだ張本人であり、その後も一緒にキメまくっていることが多い。

モデルはストラットン・オークモントのナンバー2だったダニー・ポルッシュだが、ポルッシュだけでなく複数の人物のエピソードを統合して「ドニー」が作られたとのこと。
ポルッシュ本人はベルフォート同様逮捕されたが、出所後に若い女性と再婚し、医療機器メーカーの共同経営者として裕福な暮らしをしている。

  • ニッキー・コスコフ
演:P・J・バーン/吹き替え:白石充
ストラットン・オークモントの設立メンバー。鬘をつけているので渾名は「ヅラコフ」。
設立メンバーの中では最も高学歴でロースクールに通っていた過去を持つ。
ジョーダンの金を保護するため、ロースクール時代のコネでスイスの銀行家の友人・ソーレルを紹介するが、これがジョーダン破滅の遠因となる。

モデルはストラットン・オークモントの共同設立者であるアンドリュー・グリーン。
グリーンは本作での人物描写に対する不服、および許可なく登場させられ、信用を損なったとして損害賠償と配給中止を訴えた。

  • チェスター・ミン
演:ケネス・チョイ/吹き替え:西村太佑
ストラットン・オークモントの設立メンバー。
元は主にタイヤを売っていたブローカー。それとマリファナ。
初期メンバーの中では特に気が短く、キレるとヤクザのように凶暴になる。

  • オールデン・クッファーバーグ
演: ヘンリー・ジェブロフスキー/吹き替え:荻沢俊彦
ストラットン・オークモントの設立メンバー。
元は主に肉を売っていたブローカー。それとマリファナ。

  • ロビー・ファインバーグ
演:ブライアン・サッカ/吹き替え:-
ストラットン・オークモントの設立メンバー。
元は手あたり次第何でも売っていたブローカー。でも主にはマリファナ。

  • ブラッド・ボブニック
演:ジョン・バーンサル/吹き替え:山田浩貴
ジョーダンの地元のクエイルードのブローカー。
ジョーダンがリクルートのために集めたメンバーの中では最も「商売」についての理解が深く、
「このペンを俺に売り込んでくれ」という問いかけに唯一答えることができた。
ジョーダンとしては最も欲しい人材だったが、ストラットン・オークモントには参加しなかった。
友人としては付き合いを続けており、株の代理取引やスイスへの金の輸送などを請け負った。
しかし、ドニーの悪ふざけに逆上したために逮捕され、これを切っ掛けにジョーダン達と距離を置く。
その2年後に病により急死。

  • マーク・ハンナ
演:マシュー・マコノヒー/吹き替え:森田順平
LFロスチャイルドのシニアブローカー。
先輩としてジョーダンにブローカーのイロハ、そして成功するためのコツを伝授する。
そのコツの内容とは(最低1日2回の)オナニーコカインであった。
リズムを刻みながら拳で胸を叩く姿が印象的だが、これは演じるマコノヒーが普段から行っているルーティンであり、ディカプリオがこれを気に入って本作に取り入れたという経緯がある。

ハンナ本人は退社後に証券会社を立ち上げたが、詐欺とマネーロンダリングで逮捕された。
余談だが、演じたマコノヒーは本作のディカプリオを差し置いて『ダラス・バイヤーズクラブ』で第86回アカデミー賞の主演男優賞を獲得している。

  • パトリック・デナム
演:カイル・チャンドラー/吹き替え:森田順平
FBIニューヨーク支局の捜査官。
黒い噂の絶えないジョーダンの尻尾を掴むため奔走する。

  • マックス・ベルフォート
演:ロブ・ライナー/吹き替え:ふくまつ進紗
ジョーダンの実父で会計士。
社内でセックスが横行するなど秩序が乱れ切ったストラットン・オークモントを引き締めるために息子に雇われた。その後も引き締まったようには見えない。
非常にキレやすい性格をしているが、電話口では温厚で饒舌。
この2面性のため付いた渾名は「マッドマックス」。
ちなみに、初登場シーンで見ていたテレビ番組は1980年代に放送されていたドラマ版『イコライザー*3』である。

  • ジャン=ジャック・ソーレル
演: ジャン・デュジャルダン/吹き替え:後藤敦
スイスの銀行家。
ヅラコフとはロースクール時代の友人で、その縁でジョーダンの資金保護の話を請け負う。
しかし、あまり慎重ではない性格だったのか、迂闊にもアメリカに来てヅラコフと会食中に別件のマネーロンダリングで逮捕。
司法取引のためにジョーダンを捜査当局に売った。

  • マニー・リスキン
演:ジョン・ファヴロー/吹き替え:-
ストラットン・オークモントの法律顧問。
証券取引委員会の力を説いてジョーダンを脅すのが仕事。
ジョーダンが逮捕されそうになった際も今後の立ち回りについてアドバイスした。

  • テレサ・ペトリロ
演:クリスティン・ミリオティ/吹き替え:慶長佑香
ジョーダンの最初の妻。美容師。
「リッチになる」という夢を叶えようと足掻く夫を甲斐甲斐しく支える良き妻だった。
しかし、ナオミに夢中になったジョーダンに捨てられてしまう。

モデルはベルフォートの最初の妻であるデニス・ロンバルド。

  • スティーブ・マデン
演:ジェイク・ホフマン/吹き替え:飛田展男
婦人靴ブランド「スティーブ・マデン」の創業者。
ドニーと幼馴染だった縁からストラットン・オークモントに株式公開を委託する。
しかし、ジョーダン達が当局から追われていると知るやジョーダンが持つ自分名義の自社株を全て売り払って裏切った。

マデン本人は証券取引法違反で逮捕された際にCEOを退き、株主・アドバイザーとして会社を支えている。


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最終更新:2023年12月30日 23:25

*1 二次市場向け再編集版はR15+指定。

*2 2位の『サマー・オブ・サム』より100回以上多い569回でぶっちぎりの1位。

*3 当時の邦題は『ザ・シークレット・ハンター』。本作公開の翌年にデンゼル・ワシントン主演で映画化された。