あんなに優秀だった尊敬していたわたしの姉は今や見る影もなく、愚姉へと成り果てた。
あれは、殺せない失敗作。
本当にみっともない。
あれを良い姉だと思っていた自分にすら軽蔑してしまう。
見ていて思う、わたしはああはなりたくない。
極東機関「睡蓮」への入学も取り消された。
わたしと愚姉は、母が同じだ。つまり血が同じ。
それゆえに父いや、叔父は恐れた。
愚姉の再来になることを。
わたしが人 を殺せなくなることを。
使い物にならない人 など要らないのだから。
同じ使い物にならない人 を作りたくはない。
だから朽葉家は、できる限りその可能性を閉ざした。
わたしもそうはなりたくないと思っている。
それでも、極東機関「睡蓮」へ入学すれば言葉巧みに騙す、油断させる技能で信用を勝ち取り、卒業後潜入が出来るようになる。
もしわたしがお色気を出来るくらいに成長したのならその胸で迫ったって男はイチコロで騙し討ちだって出来た。
でも、姉が愚姉になったことで、駒にならない者を生み出さないべく、その可能性は閉ざされた。
だから、姉に本当に呆れて言葉も出ない。
朽葉以外の人形、それ以下を朽葉と同じ人と思うなんてことに。
殺せない要らないゴミの暗殺者に成り果ててしまったことに。
そのせいで、わたしを見る目も母を見る目も変わったことに。
期待しない目、愚姉の二の舞、同じになるかもしれないという視点。
わたしは愚姉は違う。
違うと言っても異母姉妹ではない。
だから、血は同じでそれゆえに似ると思われている。
そして似るのだから、姉が持つ朽葉以外を人として見れてしまう残念極まりない価値観を持ち得ると判断される。
落第を押されないために努力に努力を重ねている。
それでももう、半分その血が同じということが落第だった。
言葉巧みに誘惑してその首を狙う。
地味な子供。
秋津ならどこにでもいそうな子供。
どこにいても違和感のない特徴のない顔。
その容姿だけは愚姉と同じ血でも取り柄になった。
だからわたしはそれを磨いた。
子どもの使う言葉を覚え、秋津各地の方言を覚え、男を誘う言葉を、女を誘う言葉を覚えていった。
さらに、化粧だって各人の職業の匂いだって暗記してそれぞれの調香も作れるようにした。
どこでも偽装しつつ違和感無く対象と接せられるように。
それでも朽葉家からはあの愚姉の妹として見られ、いつかの再来を恐れられる。
だからわたしは姉が愚姉が嫌いで、元々愚姉が好きだった幼少期の自分という存在が、吐き気がするほど大嫌いだ。
あれは、殺せない失敗作。
本当にみっともない。
あれを良い姉だと思っていた自分にすら軽蔑してしまう。
見ていて思う、わたしはああはなりたくない。
極東機関「睡蓮」への入学も取り消された。
わたしと愚姉は、母が同じだ。つまり血が同じ。
それゆえに父いや、叔父は恐れた。
愚姉の再来になることを。
わたしが
使い物にならない
同じ使い物にならない
だから朽葉家は、できる限りその可能性を閉ざした。
わたしもそうはなりたくないと思っている。
それでも、極東機関「睡蓮」へ入学すれば言葉巧みに騙す、油断させる技能で信用を勝ち取り、卒業後潜入が出来るようになる。
もしわたしがお色気を出来るくらいに成長したのならその胸で迫ったって男はイチコロで騙し討ちだって出来た。
でも、姉が愚姉になったことで、駒にならない者を生み出さないべく、その可能性は閉ざされた。
だから、姉に本当に呆れて言葉も出ない。
朽葉以外の人形、それ以下を朽葉と同じ人と思うなんてことに。
殺せない要らないゴミの暗殺者に成り果ててしまったことに。
そのせいで、わたしを見る目も母を見る目も変わったことに。
期待しない目、愚姉の二の舞、同じになるかもしれないという視点。
わたしは愚姉は違う。
違うと言っても異母姉妹ではない。
だから、血は同じでそれゆえに似ると思われている。
そして似るのだから、姉が持つ朽葉以外を人として見れてしまう残念極まりない価値観を持ち得ると判断される。
落第を押されないために努力に努力を重ねている。
それでももう、半分その血が同じということが落第だった。
言葉巧みに誘惑してその首を狙う。
地味な子供。
秋津ならどこにでもいそうな子供。
どこにいても違和感のない特徴のない顔。
その容姿だけは愚姉と同じ血でも取り柄になった。
だからわたしはそれを磨いた。
子どもの使う言葉を覚え、秋津各地の方言を覚え、男を誘う言葉を、女を誘う言葉を覚えていった。
さらに、化粧だって各人の職業の匂いだって暗記してそれぞれの調香も作れるようにした。
どこでも偽装しつつ違和感無く対象と接せられるように。
それでも朽葉家からはあの愚姉の妹として見られ、いつかの再来を恐れられる。
だからわたしは姉が愚姉が嫌いで、元々愚姉が好きだった幼少期の自分という存在が、吐き気がするほど大嫌いだ。