シルフィーヌ2世とトルーヴ姉弟、そしてその一行はトリア市――かつて『海蛇』と対峙したその都市とはまた違う港湾都市に来ていた。
フローレンシア市は『銀行家』ガスペリ家の都市であり、トリア市は『政治家』ガスペリ家の都市。
フローレンシア市は『銀行家』ガスペリ家の都市であり、トリア市は『政治家』ガスペリ家の都市。
そう考えるのであれば、シルフィーヌには一つ気付きがあった。
「リリアーナは自分の本拠地にシルフィーヌ2世を呼び出さなくなった」と。
それはトルーヴ姉弟に向けたものか、はたまた己に向けたものか。或いは――
等と思考を巡らせていると、従者が「着きました、陛下」と現実に引き戻す。
「リリアーナは自分の本拠地にシルフィーヌ2世を呼び出さなくなった」と。
それはトルーヴ姉弟に向けたものか、はたまた己に向けたものか。或いは――
等と思考を巡らせていると、従者が「着きました、陛下」と現実に引き戻す。
そうして三人を迎えたのは共和国同盟海軍の軍楽隊。エルニア帝国時代からのものとされる歌を奏でるそれは何人かは不服そうに、また何人かは苛立ちながらも全員が真面目にやっていた。
その光景からして国家単位で何かあったことには違いなく、それは――
その光景からして国家単位で何かあったことには違いなく、それは――
「他国での交渉の結果じゃん?」
「はい。私もその可能性に思い至りましたが、それにしては……」
「はい。私もその可能性に思い至りましたが、それにしては……」
エイダの疑問に返答しながらも、豪勢すぎる、と思ったが言葉を飲み込む。そういう風土であるのかもしれないのだから。
その後はやれ「共和国同盟都市評議会議長」なる相手(一応国家元首らしい。一年交代だが)と話したり、式典をしたり、そして「仕込み」をしたりと慌ただしい数日間であった。
そして最終日、ようやくガスペリ銀行のトリア市支店の応接室に案内される。
そこに居たのはガスペリ銀行の頭取のリリアーナであり、その隣にはとても長身な天空人と小柄な天空人のメイドの二人を控えさせていた。
そして最終日、ようやくガスペリ銀行のトリア市支店の応接室に案内される。
そこに居たのはガスペリ銀行の頭取のリリアーナであり、その隣にはとても長身な天空人と小柄な天空人のメイドの二人を控えさせていた。
「おはようございます、女帝陛下。ご機嫌麗しゅうございますか。
そして、そちらのトルーヴ姉弟は初めまして。私がガスペリ銀行頭取、リリアーナ・ディ・ガスペリです。本日はよろしくお願いします」
「ええ、リリアーナ頭取。お久しぶりです」
「はい、初めまして。エイダ=トルーヴです」
「同じく、シグル=トルーヴです。ところで、そちらのメイド達は?」
そして、そちらのトルーヴ姉弟は初めまして。私がガスペリ銀行頭取、リリアーナ・ディ・ガスペリです。本日はよろしくお願いします」
「ええ、リリアーナ頭取。お久しぶりです」
「はい、初めまして。エイダ=トルーヴです」
「同じく、シグル=トルーヴです。ところで、そちらのメイド達は?」
そう、簡単な挨拶を済ませる一同であったが、ふとシグルはメイドについて問う。
「ああ、彼女たちですか……ジュリエッタ、説明を」
「……はい、私はカロリーナ・エル=トリア。お嬢様に遣えるメイドの一人、メイド達の取りまとめを行うメイド長の一人です。
そして、此度はお嬢様の護衛を任されています」
「同じく。カロリーナ御姉様の妹、ジュリエッタ・エル=トリアです。本日はお嬢様の護衛としても来ています」
「と、いうことです。つまるところ、矛には矛を。冒険者トルーヴ姉弟という武力を持ち込むのなら、此方も最低限の武力は用意する――ということです。単純でしょう?」
「……はい、私はカロリーナ・エル=トリア。お嬢様に遣えるメイドの一人、メイド達の取りまとめを行うメイド長の一人です。
そして、此度はお嬢様の護衛を任されています」
「同じく。カロリーナ御姉様の妹、ジュリエッタ・エル=トリアです。本日はお嬢様の護衛としても来ています」
「と、いうことです。つまるところ、矛には矛を。冒険者トルーヴ姉弟という武力を持ち込むのなら、此方も最低限の武力は用意する――ということです。単純でしょう?」
そう言いながら、応接室のソファーに腰かけるリリアーナ。
「ささ、どうぞ。ああ、ソファーに毒を塗っていたりはしませんよ。そこはご安心を。私、毒ガスを吸い込んだだけで死んでしまいますから」
「そこは理解しています。まさか貴女程の人材が『良き取引相手』をみすみす殺す程愚かでもないと信じていますから」
「……ほう。ですが、些か私を高く買いすぎているようにも思えますが」
「そこは理解しています。まさか貴女程の人材が『良き取引相手』をみすみす殺す程愚かでもないと信じていますから」
「……ほう。ですが、些か私を高く買いすぎているようにも思えますが」
そうシルフィーヌは淡々と、根拠を述べてから彼女のそれを切り返し、トルーヴ姉弟も座るように促す。
当然何事もない、が……それをリリアーナはなんとも言えぬ表情で見ていた。まるで採掘されたばかりの原石を品定めするように。
当然何事もない、が……それをリリアーナはなんとも言えぬ表情で見ていた。まるで採掘されたばかりの原石を品定めするように。
「さて。それでは……今回はどのようなご用件で?といっても私は一介の銀行頭取、出来る範囲は限られますが」
「シルフィーヌ様」
「……貴女程の傑物なら既に察しているでしょう?魔王テルミドール討伐に際し、ガスペリ銀行並びにガスペリ家に対して資金並びに物資の供与を私自ら『要請』する為に参りました」
「シルフィーヌ様」
「……貴女程の傑物なら既に察しているでしょう?魔王テルミドール討伐に際し、ガスペリ銀行並びにガスペリ家に対して資金並びに物資の供与を私自ら『要請』する為に参りました」
エイダがシルフィーヌを見て、シルフィーヌが断言する。
それを見たリリアーナは目を細めて一瞬だけ、ほんの一瞬だけ笑みを浮かべた。
それは普段メイドに向ける優しい雇用主の微笑みではなく、友人に向けるものでもなく。「ようやくこちら側に来たか」と喜色を向ける満足げな『プレイヤー』がそこにいた。
それを見たリリアーナは目を細めて一瞬だけ、ほんの一瞬だけ笑みを浮かべた。
それは普段メイドに向ける優しい雇用主の微笑みではなく、友人に向けるものでもなく。「ようやくこちら側に来たか」と喜色を向ける満足げな『プレイヤー』がそこにいた。
「成程、成程。ええ、成程……いや、前にお話しした時より格段に『わかる』ようになっていますね。士別れて三日ならばと劉帝国では言うようですが、まさにその通りなようで」
「お褒めいただきありがとうございます、が。それで……先の提案ですが」
「……ああ、失礼」
「お褒めいただきありがとうございます、が。それで……先の提案ですが」
「……ああ、失礼」
そう言うと、リリアーナは少しだけ考え込む素振りをした。シルフィーヌは過去の経験やここに来るまでの何人かのアドバイスで知っていたが、リリアーナがこうする時、それは何かしらのブラフであるとも。
「ふむ、『資金並びに物資供与の要請』ですね?ハッキリ言います。物資は提供可能ですが、資金は無理です。
共和国同盟の現状として、物資については市場には些か飽和的でもあります。需要に対して供給が多い、とも言えますね。
ですが、その余った供給分は輸出に回されています。そうして輸出によって得られた外貨は再投資に回されていく――これが現在の共和国同盟の経済状況です」
「つまり不景気は長く続かない、或いはアルミキアやシメオンの角の帝国等からもたらされる金によって通貨発行と金の数量は安定、物価高騰と貨幣価値の釣り合いによって経済成長が続いている。
その原資たる『金』は出せない、と」
「――その通りです。よく学んでいるようで……まるで、あの日と別の人と話しているように」
共和国同盟の現状として、物資については市場には些か飽和的でもあります。需要に対して供給が多い、とも言えますね。
ですが、その余った供給分は輸出に回されています。そうして輸出によって得られた外貨は再投資に回されていく――これが現在の共和国同盟の経済状況です」
「つまり不景気は長く続かない、或いはアルミキアやシメオンの角の帝国等からもたらされる金によって通貨発行と金の数量は安定、物価高騰と貨幣価値の釣り合いによって経済成長が続いている。
その原資たる『金』は出せない、と」
「――その通りです。よく学んでいるようで……まるで、あの日と別の人と話しているように」
微笑むリリアーナとシルフィーヌ。一方、トルーヴ姉弟は流石に経済の話となると多少困るようで、少し理解の追い付いてなさそうな顔。
だが、エイダは心配する余裕もあるようでヒソヒソとシルフィーヌと話をする。
だが、エイダは心配する余裕もあるようでヒソヒソとシルフィーヌと話をする。
「……シルフィーヌ様。大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ、あくまで彼女は試しているだけですから」
「試している、って……まるで己が格上かのように」
「実際、格上ですよ。西マジョリア一の銀行家は彼女でしょうから」
「……今更だけどさ、大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。皆様がいますから」
「大丈夫ですよ、あくまで彼女は試しているだけですから」
「試している、って……まるで己が格上かのように」
「実際、格上ですよ。西マジョリア一の銀行家は彼女でしょうから」
「……今更だけどさ、大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。皆様がいますから」
とのやり取りをよそに、リリアーナはいつの間にか出ていた紅茶を一口。
よく見ると三人の前にも出されていて、シグルも飲んでいた。
よく見ると三人の前にも出されていて、シグルも飲んでいた。
「毒は入ってない、と言うことを二人で証明していました。ああ、メイドに用意させたものですから」
「一応飲んでみたが、普通に美味しかったぞ」
「……だ、そうで。遅効性か確かめてみるのなら、お二方は少し置いてからどうぞ」
「一応飲んでみたが、普通に美味しかったぞ」
「……だ、そうで。遅効性か確かめてみるのなら、お二方は少し置いてからどうぞ」
とまあ、少しばかりリリアーナのペースに戻される……が。話は続く。
「さて、リリアーナ頭取。話を戻しましょう。
貴女は先程『次の投資の原資たる金』は出せないという考えを露にしましたね?」
「ええ、その通りです。ガスペリ家、ガスペリ銀行にとって利潤は投資に回されるべき代物ですから」
「……で、あれば。私から一つ『商談』を持ちかけたいのです」
「ほう?」
貴女は先程『次の投資の原資たる金』は出せないという考えを露にしましたね?」
「ええ、その通りです。ガスペリ家、ガスペリ銀行にとって利潤は投資に回されるべき代物ですから」
「……で、あれば。私から一つ『商談』を持ちかけたいのです」
「ほう?」
シルフィーヌが仕掛け、リリアーナは『あえて乗る』。彼女のお眼鏡に適ったのかはまだシルフィーヌには判断がつかぬが、それでも――
「共和国同盟の農業政策について、エルヴン帝国と協力者で今一度検討をし直しました。
その結果、共和国同盟の農地改革ははっきり言って制度的には成功しているというのがエルヴン帝国とその協力者の結論でした」
「……ふむ」
「ですが制度的成功はしても、土地あたりの収量だけ増えていて農地面積は微増程度。そうですよね?」
「ええ、その通りですね。よく調べていますね」
「……お褒めいただきありがとうございます。
さて、先進的で改革的組織運営も上手く行っている共和国同盟の農業政策が部分的成功に留まる原因は只一つ。魔王テルミドールとその部下による農村被害――そうですよね。リリアーナ・ディ・ガスペリ頭取」
その結果、共和国同盟の農地改革ははっきり言って制度的には成功しているというのがエルヴン帝国とその協力者の結論でした」
「……ふむ」
「ですが制度的成功はしても、土地あたりの収量だけ増えていて農地面積は微増程度。そうですよね?」
「ええ、その通りですね。よく調べていますね」
「……お褒めいただきありがとうございます。
さて、先進的で改革的組織運営も上手く行っている共和国同盟の農業政策が部分的成功に留まる原因は只一つ。魔王テルミドールとその部下による農村被害――そうですよね。リリアーナ・ディ・ガスペリ頭取」
シルフィーヌはここで初めて『ちゃんと笑った』。
それを見たリリアーナも笑う。
完全に腹の探り合い、交渉、そして水面下の殴り合いそのもの。トルーヴ姉弟もメイドもそっちのけの乱闘である。
因みに検討自体は本当である。エルヴンの長老も知識人エルフも、外部協力者も連れてきて共和国同盟の農業関係のデータを漁り、読み込み、そして結論を出す。まさにアカデミーである。
それを見たリリアーナも笑う。
完全に腹の探り合い、交渉、そして水面下の殴り合いそのもの。トルーヴ姉弟もメイドもそっちのけの乱闘である。
因みに検討自体は本当である。エルヴンの長老も知識人エルフも、外部協力者も連れてきて共和国同盟の農業関係のデータを漁り、読み込み、そして結論を出す。まさにアカデミーである。
「その通り。だからこそ、貴女は、シルフィーヌ陛下は考えたわけですね?」
「ええ。だから、ここで」
「「平和を買いませんか」と。成程……シルフィーヌ陛下。ハッキリ言って、私は満足です。
かつて歯牙にもかからなかった者が外部の助けもあってここまで来た――とても喜ばしいことです」
「ですから『商談』なのです。平和を買って内政
の時間を得るか、平和を買わずに内政で苦しむか」
「……ですね。その通りです。ですが、私一人で決めるには些か大きな話でもあり――」
「ええ。だから、ここで」
「「平和を買いませんか」と。成程……シルフィーヌ陛下。ハッキリ言って、私は満足です。
かつて歯牙にもかからなかった者が外部の助けもあってここまで来た――とても喜ばしいことです」
「ですから『商談』なのです。平和を買って内政
の時間を得るか、平和を買わずに内政で苦しむか」
「……ですね。その通りです。ですが、私一人で決めるには些か大きな話でもあり――」
そう、リリアーナが言葉を濁したところに「仕込み」が効く。
シルフィーヌの目を見たシグルが、荷から紙の束を出す。
シルフィーヌの目を見たシグルが、荷から紙の束を出す。
「ここにカルロ・ディ・ガスペリ他、共和国同盟の政治家のうち何名かの書状があります。これでも?」
「……ふふっ、及第点。及第点ですよ、シルフィーヌ陛下。
『共和国同盟』が買いたいものを売り込み、退路をしっかりと潰す。よく己で学習し、補佐する存在を得た証拠。私にとって本当に喜ばしいことです」
「そう、ですか。
であれば、資金を含めた支援をしてくれると?」
「勿論。ガスペリ銀行頭取として、或いはガスペリ家の一員として尽力します……が、一つ。約束して欲しいことがあります」
「……ふふっ、及第点。及第点ですよ、シルフィーヌ陛下。
『共和国同盟』が買いたいものを売り込み、退路をしっかりと潰す。よく己で学習し、補佐する存在を得た証拠。私にとって本当に喜ばしいことです」
「そう、ですか。
であれば、資金を含めた支援をしてくれると?」
「勿論。ガスペリ銀行頭取として、或いはガスペリ家の一員として尽力します……が、一つ。約束して欲しいことがあります」
そう、シルフィーヌとトルーヴ姉弟、三人を眺めてリリアーナは優しく微笑む。
「私に物を売る以上、契約違反は許されません。つまり――テルミドール討伐失敗なんて真似をして、私との契約を破ることになれば。エルヴン帝国もどうなるかはわかりませんよ」
そう言い切るリリアーナは『南方の海蛇』でもなんでもない、年頃の女性のようにシルフィーヌには見えた。
「約束しますよ、リリアーナ」
「期待していますよ。シルフィーヌ」
「期待していますよ。シルフィーヌ」
こう言い終わるとクスクスとどちらからともなく笑い、トルーヴ姉弟もメイド達も釣られて。
会談は円滑に終わる。
会談は円滑に終わる。
そうしてキチンと契約書を作り、写しをガスペリ家と共和国同盟政府、原本をエルヴン帝国が持つことにして全ては終わり――
数日後、フローレンシアでもトリアでもなく、共和国同盟の北側、温泉地の一つにシルフィーヌ一行はいた。
何故か数ヵ月間の休みを取ったリリアーナを連れて。
何故か数ヵ月間の休みを取ったリリアーナを連れて。
「ところでリリアーナ。ここまでついてきて良かったのですか?家のことや仕事等、色々抱えているのでは」
ふと、湯に浸かりながらシルフィーヌが問う。
シミ一つなくキメ細やかな肌は(エルヴンのことを考えれば)高価な手入れ等されていないはずなのにとても美しいものであり、それと乳白色に濁った湯の組み合わせはなかなか凄いものがあった。
シミ一つなくキメ細やかな肌は(エルヴンのことを考えれば)高価な手入れ等されていないはずなのにとても美しいものであり、それと乳白色に濁った湯の組み合わせはなかなか凄いものがあった。
「大丈夫ですよ。そのあたり、家政はメイド達が、仕事は銀行の部下が、政治は叔父や――それこそメイド達がなんとかしてくれます。それに、元々予定していた休みの旅程の往路と『たまたま』貴女達の旅程が重なっただけですから」
リリアーナもまた乳白色の湯に浸かっているが、日頃は真っ白な肌が湯の熱によってほんのり赤みを帯びていた。それがまた髪と合わさり非現実的にも見える。
「……それって、結局全部こちらの手札から旅程まで読んだ上であの契約を飲んだ――ってコトだよね。リリアーナ……今更だけど様付けした方がいいかな……って化物?」
エイダはかけ湯と身体を洗うのを終えてか、二人の方に歩む。
その肢体は素晴らしいものがあるが、割愛する。
その肢体は素晴らしいものがあるが、割愛する。
「化物も何も、私より頭が良い人間が西マジョリアに、マジョリアに。いや、世界に――まあいいでしょう。兎に角、私はシルフィーヌと貴方達の努力に微笑ましさを感じ、主張に先のコトと違い合理性を認めたから契約した。それだけです。あと様付けはご自由に。今この瞬間は、一人の何処にでもいる女性でしかないので」
やけに自信満々な主張をしかけたリリアーナであったが、流石に打ち切って話をする。といっても、それもまた傲慢なのだが。
「はー、よくわからない世界だけど。とりあえず。リリアーナの頬触るよ!」
そうエイダは言うと、ずいずいと湯船に歩んで、リリアーナを持ち上げ、自分に座らせるようにしてから頬を小突く。体格差や筋力差もあって、リリアーナは無抵抗でそれを成される。
という流れを叩き切る声が一つ。
「……ところで、なんで温泉は混浴なんだ?頭取が手配してくれたのはいいけれど」
「おや。混浴ではないところを選んだはずなのですが、何処かで手違いでも起きたのでしょう……ところでシグルさん、でしたか。見ましたか?意中の人の裸は」
「何の話!?あー、もう。とりあえずまだ着替えてない以上、部屋に戻ってるから!三人とも出た後で入るぞ!」
「おや。混浴ではないところを選んだはずなのですが、何処かで手違いでも起きたのでしょう……ところでシグルさん、でしたか。見ましたか?意中の人の裸は」
「何の話!?あー、もう。とりあえずまだ着替えてない以上、部屋に戻ってるから!三人とも出た後で入るぞ!」
とまあリリアーナの軽いイタズラかお節介で、シグルが少し困ったのは語るには少し余白がたりない。