XPAND! 2
「XPAND! 2」は、AIR Music Technologyの総合音源系プラグインで、2500以上のサウンドを搭載する4パートのマルチティンバー音源です。
Bitwigの弱点を補強する目的としての XPAND! 2
総合音源としてのXPAND!2の位置づけ
BitwigにはKontaktやHALionのような「総合音源」が標準搭載されていないため、XPAND!2をその代替として使うのは現実的で有効な選択です。
XPAND!2より高品質な総合音源を所有していればそれを使うのが良いです。
ただ、安価で軽量というアドバンテージは唯一無二だと思います。
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XPAND!2が、安価で軽量な総合音源として「唯一無二」と言えるほどの存在感がある理由 |
XPAND!2は、「安くて軽くて何でも鳴る」総合音源が必要なら、現時点でXpand!2が最有力の選択肢です。
その理由を以下にまとめます。
- 1. 圧倒的なコストパフォーマンスと汎用性
- 定価は良いお値段ですが、しばしばセール時には10~20ドル程度で入手可能です
- 2500以上の幅広いプリセット(ピアノ、ストリングス、ブラス、パッド、ドラム、民族楽器など)を収録し、ジャンルを問わず即戦力として使えます
- 追加音源や拡張パックを買わなくても、最初から幅広い音色が揃っているため、買ったその日から多様な楽曲制作が可能です
- 2. 軽量・安定動作
- CPU負荷が非常に軽く、古いPCやスペックが低いシステムでも快適に動作します (※ただしDAWとの相性によります)
- 4パートのマルチティンバー構成で、レイヤーや分厚いアレンジもストレスなく実現できます
- 3. 操作性と即戦力
- 直感的なインターフェースと「スマートノブ」により、初心者でもすぐに音作りやエディットが可能
- プリセットの質は高級音源に及ばないものの、「仮音」「レイヤー」「バッキング」「アイデア出し」など、実用面での使い勝手は抜群です
- プロの現場でも実際に使われており、Drakeなどのヒット曲でもXpand!2の音色が採用されています
- 4. 競合との比較
- 近い価格帯・機能の総合音源はほとんど存在せず、「安価」「軽量」「多用途」をすべて満たすものはXpand!2がほぼ唯一です
- 「Omnisphere」「Nexus」「Komplete」などの高級総合音源は高価かつ重い一方、Xpand!2は「貧者のOmnisphere/Nexus」とも呼ばれるほど、コスパと手軽さで突出しています
- 5. 欠点もあるが致命的ではない
- 一部プリセットはやや古臭い・チープな印象もあるが、レイヤーやエフェクト処理で十分補える
- プリセットブラウザの検索性やGUIの小ささなど、細かな不満はあるものの、価格と汎用性を考えれば十分許容範囲
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- XPAND!2はBitwig環境での総合音源代用として非常に有用
- アコースティック系は「仮音」「レイヤー」「雰囲気作り」に最適
- シンセリードやシンセベースはBitwig標準音源を優先し、XPAND!2は補助的に使うのが現実的
- 軽量・即戦力・多彩なカテゴリで、制作効率を大きく高めてくれる音源です
音質と用途について
- プリセットの豊富さと即戦力
- 2500以上のプリセットがあり、「とりあえず欲しい音」がすぐ見つかるため、作業スピードを重視する現場で特に重宝します
- 軽量で動作が安定
- XPAND!2は動作が軽く、多数のトラックで同時使用しても負荷が少ないため、仮アレンジや大規模なプロジェクトでもストレスなく使えます
- アコースティック音源の品質
- 最新の高級音源に比べるとリアルさやダイナミクス、細やかな表現力は劣りますが、「仮音」や「スケッチ」「レイヤー」用途であれば十分な品質です
- 特に、制作初期のアレンジやアイデア出し、後で本格的な音源に差し替える前提の作業には最適です
- レイヤー用途
- XPAND!2は最大4パートのレイヤーが可能で、例えばピアノにマレットやベルを重ねて音に厚みやキャラクターを加えるといった使い方も簡単です
- 「000 Soft Pads」や「015 Vocals」なども、雰囲気作りや空間演出のためのレイヤーとして非常に有効です
- リード系やシンセベースは基本的に使わない
Bitwig用のプリセット
XPAND! 2のプリセット選択の文字が小さくて選びにくいので、Bitwig用に作成したプリセット (使用するには XPAND! 2が必要)。
・個人的にお気に入りのカテゴリのみとなります
・2025/5/2 時点の最新版 v2.3.1 での確認なので、それ以降のバージョンではパッチのズレが発生する可能性があります
1MBを超えてしまった (アットウィキは 1MB まで) ので、Google Driveにアップロードしておきました。
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パッチ化したカテゴリ |
パッチ化されているカテゴリは以下の通りで、合計576ファイルとなります。
- 000 Soft Pads
- 005 Polysynths (一部のみ)
- 009 Ambience+FX
- 010 Acoustic
- 011 Electric Pianos
- 012 Organs
- 014_Strings
- 015 Vocals
- 016 Brass + Woodwind
- 017 Mallets
- 018 Bells
- 019 Guitars
- 020 Ethnic
- 021 Hits
- 023 Basses
- 025 Percussion
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XPAND! 2のプリセット解説
000 Soft Pads
柔らかく、温かみのあるシンセパッド音色が揃っています。 バッキングやアンビエント、バラード、映画音楽などで雰囲気作りやコードの下支えに最適です。
- Massive Pad
- 徐々に大きくなる壮大なデチューンアナログ スタック
- Epic Pad
- 壮大で広がりのあるパッドサウンドで、「壮大さ」「厚み」「奥行き」を求める場面で活躍します
- コードを押さえるだけで楽曲に壮大な雰囲気を加えられるため、バラードやアンビエント、シネマティックな楽曲のバッキングに最適です
001 Bright Pads
明るく抜けの良いパッド系音色。ポップスやEDM、明るい雰囲気の楽曲のコードバッキングやメロディのサポートに向いています。
002 Action Pads
シネマティック、劇伴、ゲーム音楽向けの緊張感や動きのあるパッド音色。 ドラマチックな展開やサウンドスケープ、映画音楽のアクションシーンなどに最適です。
003 Pad Layers
複数のパッド音色やシンセ要素をレイヤーした厚みのあるサウンド。 一音で奥行きや重厚感を出したい場合や、トラックの主役級パッドとして活躍します。
004 Percussive
打楽器的なアタック感やリズミックな要素を持つシンセパッドやパーカッシブな音色。 バッキングやリズムの補強、エレクトロ系のグルーヴ作りに適しています。
005 Polysynths
ポリフォニック(和音)演奏に適したシンセサイザー音色のカテゴリです。
80sシンセポップ、EDM、ポップス、ファンク、フュージョンなど、幅広いジャンルのバッキングやコードワーク、リフに最適で、厚みのあるサウンドから、煌びやかで抜けの良い音色、デジタル系やFM系まで多彩なバリエーションが揃っています。
- FM Electro Grand+
- Belly FMスタック搭載のエレクトリックグランドピアノで、80sやシティポップにも合います
- Mult Harp+
- 異なるオクターブと音楽的な遅延を備えた 3 つのハープ パート
006 Synth Brass
シンセサイザーで作られたブラス(管楽器風)音色のカテゴリです。ファンク、ディスコ、シティポップ、EDM、ゲーム音楽などで、ブラスセクションの代用やリード、バッキングに活躍し、アナログ感のある太い音から、デジタルで派手な音色まで幅広く収録しています。
007 Soft Leads
柔らかく、滑らかな質感のシンセリード音色を集めたカテゴリです。
バラードやアンビエント、メロウなポップス、R&B、チル系トラックなどで、メインメロディやサブリードに向いており、アナログシンセ風の温かみや、エアリーな音色が特徴です。
008 Hard Leads
アタックが強く、存在感のあるシンセリード音色のカテゴリで、刺激的で派手な音色や、歪みやサチュレーションが効いた音が多いです。
009 Ambience + FX
アンビエント系のパッドや空間系サウンド、効果音(FX)を集めたカテゴリです。
映画音楽、ゲーム音楽、アンビエント、実験音楽、トラックのイントロやブレイク、サウンドデザイン全般に活躍し、空間的な広がりや幻想的な雰囲気、環境音的なプリセットが豊富です。
- Underwater Cave
- 深みと広がりのある幻想的なパッドで、巨大な共鳴音が響き渡るメタリックな雰囲気を持ちます
- 映画やゲームのシーン転換、アンビエントにも合います
- Ambient Droplets
- 水滴や環境音を思わせるアンビエントFXで、ピッチの強い共鳴ノイズです
- カットオフでピッチをコントロールします
- トラックのアクセントや雰囲気づくり、空間演出に使えます
010 Acoustic Piano
アコースティックピアノのリアルなサンプル音色を中心に収録したカテゴリです。
ジャズ、ポップス、クラシック、バラードなど幅広いジャンルで仮ピアノやバッキング、コードワークに活躍します。 音質は専用ピアノ音源には及びませんが、アレンジやスケッチ用途、レイヤー用としては十分なクオリティです。
- Resonant Ambience
- リバーブに使用されるサステインレゾナンスを備えたナチュラルピアノ
- やや広がりのある響きで、バラードやアンビエントに最適
011 Electric Pianos
エレクトリックピアノ(ローズ、ウーリッツァー、FM系など)を再現したカテゴリ。
ソウル、ファンク、R&B、ポップス、シティポップなどで定番の音色です。 柔らかいクリーンな音から、歪みやコーラスが加わった音色まで幅広く収録されています。
- Wurli
- ウーリッツァー系のエレピ。ファンクやポップス、バッキングに最適
012 Organs
トーンホイールオルガン(ハモンド系)、パイプオルガン、シアターオルガンなど多彩なオルガンサウンドを収録。
ゴスペル、ロック、ジャズ、映画音楽など幅広いジャンルで使えます。
- Huge Cathedral
- 巨大な大聖堂のオクターブパイプオルガン
- 映画音楽や壮大なイントロに使えます
- Classic B
- ハモンドB-3などに代表されるクラシックなフルトーンホイールオルガン
- ロックやジャズのバッキングに使えます
013 Clavinets
クラビネット(主にHohner Clavinet D6を模した音色)を収録。
ファンク、ソウル、R&B、ロックなどでカッティングやリフ、バッキングに使われる独特の歯切れよいサウンドです。
- Wah Clav
- オートワウやフィルターが効いたクラビ。グルーヴ感のあるリフに
014 Strings
オーケストラストリングス、シンセストリングス、ソロバイオリンなど多彩なストリングス音色を収録。
リアルな音源に差し替えるまでの「仮置き用」音源、他の音源の「レイヤー用途」や「バッキング」、メロディの一部の「装飾音」といった使い方がおすすめです。
- Solo Violin+
- ソロバイオリン音源で、本番でリアルなストリングス音源に差し替える前提で、メロディやソロラインの仮置きに使えます
- レイヤー用途として、シンセパッドやストリングスアンサンブルと重ねて厚みやニュアンスを加える使い方も効果的です
- ギターやピアノ、他のシンセリードと絡めて、メロディの一部や装飾音として使うと、音色の粗さが目立ちにくくなります
015 Vocals
クワイアやボーカルパッド、ボイスサンプルなど、人声をシンセ的に加工した音色が中心です。
主に雰囲気作り、パッド、アンビエントや劇伴などでのコーラス的な使い方に向いています。リアルな歌唱というよりは、シンセパッドやテクスチャーの一部として使うのが効果的です。
- Female Aah Choir+
- パンを左右に振ったクワイアで、広がりのあるコーラス。バッキングや雰囲気作りに最適です
- 柔らかさを出したい場合には "Female Aah Choir Pad+" も良いです
- Female Aah Hi Pass Pad+
- ハイパス加工されたことで、抜けの良いボーカルパッドです
- コード弾きでTech HouseやG Houseなどクラブ系にも使えます
016 Brass + Woodwind
ブラス(トランペット、トロンボーン、ホルンなど)とウッドウィンド(フルート、クラリネット、サックスなど)のアコースティック音色やシンセ加工音色が収録されています。
オーケストラ、ポップス、ファンク、映画音楽など幅広いジャンルのバッキングやアクセントに使えます。ブラスヒットやレイヤー向きの音色も多いです。
- Brass Hard Layer
- ブラスヒット系サウンド。Bass HouseやPsytranceなどで後ろで鳴らすアクセントとして使いやすい
017 Mallets
マリンバ、ビブラフォン、グロッケン、シロフォンなど、マレットで叩く鍵盤打楽器の音色が揃っています。
ポップスや劇伴、アンビエント、エレクトロニカなどでメロディ、アルペジオ、リズムパートに活用可能です。柔らかい音色から硬質な音色までバリエーションがあります。
- Marimba
- 明るく抜けの良いマリンバ音色。メロディやアルペジオに最適
- Vibraphone
- 柔らかく幻想的なビブラフォン。バラードやアンビエントにおすすめ
018 Bells
チャイム、グロッケン、カリヨン、シンセベルなど、さまざまなベル系音色を収録。
メロディックなフレーズやアルペジオ、パッド的な使い方、イントロやアクセントに便利です。クリスタルのような澄んだ音色から、幻想的なパッド風ベルまで幅広い。
- Brigt Bells
- J-Popに使えそうなきらびやかなチェレスタのベル音源
- Hi Bells+
- Digi Buzz Bells / Digital Spectral
- J-Popに使えそうなきらびやかなデジタルベル音源
- Glockenspiel 1
- 軽く調整可能なコーラスを備えた豊かなグロッケンシュピール。どことなく悲しげな印象を持ちます
- Pretty Chimes
- Tubular Bells
- チューブラーベル。教会の鐘やシンフォニックな場面を想起させます
019 Guitars
アコースティックギター、エレキギター、ナイロン弦ギター、ミュートギター、ハーモニクスなど、ギター系音色を幅広く収録。
バッキング、リズムギター、メロディ、レイヤー用途など、ジャンルを問わず活用できます。サンプルベースのためリアルさは限定的ですが、仮音やレイヤーには十分。
- Nylon String Ac Harmonic
- ナイロン弦ギターのハーモニクス。Future Houseなどのリズム補強や、控えめなギターパートにおすすめ
- Short + Long Heavy Chords+
- ディストーションギターのパワーコード。EDMでギター風のフレーズを入れたいときなどに
020 Ethnic
世界各地の民族楽器やエスニックなサウンドを集めたカテゴリです。
和楽器(琴、三味線)、インド楽器(シタール)、中東系、アジア系、アフリカ系など、多彩なワールドミュージックの雰囲気を手軽に演出できます。民族音楽だけでなく、ポップスやEDM、映画音楽でのアクセントや雰囲気づくりにも最適です。
- Koto+
- 日本の琴。和風だけでなく、アラビックなプラック音色としても使えます
- Shamisen+
- Sitar
- インドのシタール。エスニックな雰囲気を加えたい時に
- Soft Bottle
- 瓶に息を吹きかけたような柔らかい音色。物悲しい雰囲気やアンビエント、劇伴などに
021 Hits
ブラスヒット、オーケストラヒット、インパクト音など、楽曲のアクセントや盛り上げ、トレーラー音楽、ダンスミュージックのブレイクなどで使われる「ヒット系」サウンドのカテゴリです。
一撃でインパクトを与える音色が多く、サビ前のブレイクやイントロ、フィルイン、映画やゲーム音楽の効果音にも最適です。
※目立ちすぎるとチープに聞こえるので、レイヤーで重ねるのがおすすめです
- Brass + Horns Hit
- ブラスとホーンによるパワフルなヒット音。オクターブ構成で迫力あり
- Brass Hit 1+
- 曲の転換点や盛り上がりの強調として、サビ頭の「ジャン!」といった使い方、またはアクセントとしてリズムや展開の区切りを明確にするなど
- 効果音としてトラックの装飾として使用する
- Orchestra Hit
- クラシックなオーケストラヒット。ノブ1 + 2を使ってピッチトラッキングとピッチを調整します
- 80s~90sポップスやダンス、劇伴に
022 Synth Basses
シンセサイザーで作られたベース音色のカテゴリ。アナログ、デジタル、FM、モノシンセ系など多彩なシンセベースが揃っています。
023 Basses
エレキベース、アコースティックベース、アップライトベースなど、主に「生楽器系」のベース音色を集めたカテゴリです。
ポップス、ロック、ファンク、ジャズ、R&Bなど幅広いジャンルで仮ベースやバッキング、レイヤー用途に使えます。指弾き、ピック弾き、スラップ、シンセ加工などバリエーションも豊富。
- Finger Bass
- Slap Bass+
024 Drums
アコースティックドラムセット、エレクトロニックドラム、パーカッションなど、幅広いドラム音色を集めたカテゴリです。
025 Percussion
- Thunder Drums+
- インパクトのあるシネマティックなドラムサウンド
- 1オクターブにマップされており、すべてのオクターブで繰り返されます
- イントロやブレイク、劇伴などで効果的です
- Bongo Menu 1, 2 / Conga Menu 1, 2 / Djembe+ / Dumbek+ / Khol Drum / Tablas+
- "Thunder Drums+" と同様に、1オクターブ内のそれぞれに異なるニュアンスの音があります
- そのため1オクターブ内にランダムにノートを置くだけでも、リズミカルなフレーズになります
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最終更新:2025年05月08日 00:43