CLAP (プラグイン規格)

CLAP (プラグイン規格)

CLAPは、Bitwigとu-heが共同開発したオープンソースの新しいプラグイン規格で、現代の音楽制作ニーズや技術進化に対応するために生まれました。
マルチスレッド最適化や高度なモジュレーション、MPE/MIDI 2.0対応など多くの強みを持ち、2025年現在、Bitwig、REAPER、Studio Oneなどで利用可能。今後も対応DAWやプラグインが増え、音楽制作の新たな標準のひとつとして成長が期待されています。


CLAP対応プラグイン (2025年現在)

u-he製品
  • u-heはCLAP規格の初期から積極的に対応しているデベロッパーで、Diva、Zebra2、Hive2、Reproなどの主要シンセサイザーやエフェクトがCLAPフォーマットで提供されています
Surge XT
  • 無料で高機能なオープンソース・シンセサイザー「Surge XT」もCLAPに対応しています
Vital Audio
  • 人気のウェーブテーブルシンセ「Vital」もCLAPフォーマットで配布されています
TAL Software
  • TAL-U-NO-LXなどで知られるTAL SoftwareもCLAP対応を進めています
FabFilter
  • Pro-Q 3やPro-L 2などの高品質エフェクトで有名なFabFilterもCLAP対応を開始しています
AudioThing
  • 様々なユニークなエフェクトやインストゥルメントをリリースしているAudioThingもCLAPに対応しています
Dragonfly Reverb
  • 無料の高品質リバーブ「Dragonfly Reverb」もCLAPバージョンが存在します
Linux Studio Plugins
  • オープンソース系のエフェクト群もCLAP対応が進んでいます
補足
  • 現時点では、Native Instruments、Xfer Records(Serumの開発元)、Wavesなどの最大手はまだCLAPに対応していません
  • u-heやSurge XTなど、先進的な機能やMPE/MIDI 2.0対応を重視するデベロッパーがCLAPを積極採用しています

概要

1. 経緯
開発の背景
  • CLAP(CLever Audio Plug-in API)は、ドイツのDAWメーカーBitwigとプラグインメーカーu-heが共同で、数年かけて開発した新しいオーディオプラグイン規格です
なぜCLAPを作ったのか
  • 既存のVST、AU、AAXといった規格は過去10年あまり大きな進化がなく、現代のCPUやマルチスレッド処理、MPEやMIDI 2.0など新しい音楽制作ニーズに十分に対応できていないという課題がありました
  • また、従来規格は企業による独占的な管理や法的な制約も問題視されていました
オープンソースへのこだわり
  • CLAPはオープンソースかつ無償で提供され、業界全体の協力や発展、透明性を重視しています
  • 開発者が自由に実装・拡張できることも大きな特徴です

2. CLAPの特徴
オープンソース・無償
  • 誰でも自由に利用・実装でき、ライセンスや企業独占の制約がありません
現代的なマルチスレッド・マルチコア最適化
  • ホスト側がマルチスレッド管理を担うことで、CPUリソースを最大限活用できる設計です
高度なモジュレーションとパラメータ管理
  • ノートごとのモジュレーション、MPE、MIDI 2.0、ポリフォニックな自動化など、従来規格では難しかった表現が標準で可能
高速な初期化・安定動作
  • プラグインの初期化や動作が高速かつ安定している点も特徴です
柔軟な開発環境
  • プラグイン開発者にとって扱いやすく、拡張性・互換性にも優れています
既存規格との共存
  • VST/AU/AAXの「置き換え」ではなく、「共存」を目指している点もポイントです

3. 各DAWのCLAP対応状況(2025年4月時点)
DAW名 CLAP対応状況 備考
Bitwig Studio ◎(完全対応) 共同開発元。CLAPの全機能を最大限活用可能
REAPER ◎(対応) 柔軟なDAWとしてCLAPを公式サポート
Studio One v7以降 ◎(対応) v7からCLAP対応。VST/AU同様に利用可能
MultitrackStudio ◎(対応) 公式にCLAP対応を表明
Ableton Live ×(未対応) 対応予定なし
Logic Pro ×(未対応) 対応予定なし
Pro Tools ×(未対応) 対応予定なし
Cubase/Nuendo ×(未対応) 対応予定なし
FL Studio △(対応中) CLAPの読み込みは可能。各種機能は対応中

  • 主要DAWのうち、Bitwig、REAPER、Studio One(v7以降)、MultitrackStudioがCLAPに対応
  • 他の大手DAW(Ableton Live、Logic Pro、Cubase、Pro Toolsなど)は現時点で未対応

4. 今後の展望
業界の反応と広がり
  • Avid (Pro Tools)、Arturia、FabFilter、Epic Games(Unreal Engine)、Image-Line (FL Studio)、Presonus (Studio One)、Xfer Recordsなど、多くの企業やプロジェクトがCLAPを評価・検討しており、今後の普及拡大が期待されています
CLAP対応プラグインの増加
  • u-heやSurge XTなど、CLAP対応プラグインが増加中。今後さらに多くのメーカーが対応を進める見込みです
既存規格との共存・選択肢の拡大
  • CLAPはVST/AU/AAXと共存するため、ユーザーや開発者にとって選択肢が広がります
MIDI 2.0やMPEなど新技術への対応強化
  • CLAPは今後の音楽制作の進化(MIDI 2.0、MPE、AI活用など)にも柔軟に対応できる設計です

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最終更新:2025年04月20日 12:29