Compressor

Compressor (コンプレッサー)


Compressor (コンプレッサー)は、標準的なコンプレッサーで音量のピークを抑えたり、ダイナミクス(音量差)をコントロールするためのDynamicsデバイスです。


概要

Compressor(コンプレッサー)は、音量のピークを抑えたり、ダイナミクス(音量差)をコントロールするための伝統的なダイナミクス系エフェクトです。
音に色付けやパンチを加えたい時や、ダイナミクスをシンプルにコントロールしたい時に最適なデバイスです。
主な特徴
標準的なコンプレッサー
  • しきい値(Threshold)、レシオ(Ratio)、アタック (Attack)、リリース (Release)、ゲイン (Gain)など、基本的なパラメータを備えています
  • しきい値を超えた信号を設定した比率で圧縮し、音量の暴れやピークを抑えます
キャラクター付加
  • 1176 FETスタイルのVCA設計を参考にしており、圧縮時にサチュレーションや倍音が加わることで、音にパンチや独特の色付けが生まれます
  • パンチ感や存在感を強調したいドラムやベース、リードなどに特に有効です
シンプルな操作性
  • パラメータがシンプルで直感的に扱いやすく、初心者から上級者まで幅広く利用できます
使いどころ
  • ドラムやベース、リードなど音にキャラクターやパンチを加えたい時
  • ミックス内で音の存在感を強調したい時
  • 音量のピークを抑え、全体のバランスを整えたい

類似するコンプレッサーデバイス
  • Dynamics: 色付けを行わずに音圧を上げる
  • Compressor+: より多機能なコンプレッサー
  • Transient Control: トランジェントシェイパー。キックのアタックやリリースを調整するのに向いています

機能

入力メーター
入力信号のレベルメーターです。
青線はスレッショルド値を示し、入力信号自体は通常グレーや白色などで表示されます。
Input (Input Gain)
入力信号に適用するゲイン(増減)です。
ヒストリーディスプレイ
入力信号や出力信号、ゲインリダクションなどの履歴を表示します。
明るいグレー
暗いグレー
青線
  • スレッショルド値(Thresh
白線

ゲインリダクション
現在適用されているコンプレッション量(どれだけ信号が抑えられているか)を示します。
Compressorにおけるゲインリダクションの詳細
Thresh (スレッショルド)
この値を超えた信号に対してコンプレッション(圧縮)が開始されます。
Ratio
Thresh (スレッショルド) を超えた信号に対して、どれだけ圧縮するかの比率です。
Attack
入力信号がThresh (スレッショルド)を超えたとき、コンプレッションが最大ゲインリダクションに到達するまでの時間です。
Release
入力信号がThresh (スレッショルド)を下回ったとき、ゲインリダクションがゼロに戻るまでの時間です。
Makeup (Makeup Gain)
コンプレッションによって下がった音量を補うために追加するゲインです。
  • ThreshRatio設定に応じて自動で適用される場合と手動調整の場合があります
出力メーター
コンプレッサー処理後の出力信号のレベルメーターです。
Output (Output Gain)
出力信号に適用するゲイン(増減)です。

追加説明

Compressorにおけるゲインリダクションについて
ゲインリダクション(Gain Reduction)は、「Compressor」デバイスにおいて、スレッショルド(Threshold)を超えた信号に対してどれだけ音量が抑えられているか(減衰されているか)を示します。
これはコンプレッサーの基本的な役割であり、設定したスレッショルドレシオ(Ratio)アタックリリースなどのパラメータに基づき、入力信号のピークを抑制します。
ゲインリダクションの表示
仕組みの概要
  • スレッショルドを超えた信号に対して、設定したレシオに応じて音量が圧縮されます
  • アタックタイムは圧縮が始まるまでの速さ、リリースタイムは圧縮が解除されるまでの速さを決めます
  • ゲインリダクションは、これらの設定と入力信号の強さに応じて常に変動します
補足
  • ゲインリダクションの挙動や表示は「Compressor+」とは異なり、標準の「Compressor」ではシンプルに「どれだけ圧縮されたか」を示します
  • メイクアップゲイン出力ゲインは、ゲインリダクション後の信号レベルを補正するために使われますが、ゲインリダクション自体の表示には影響しません

Factoryプリセットの紹介

Factoryプリセット一覧

プリセット名 特徴 主な用途 推奨パート 推奨ジャンル Threshold Ratio Attack Release
Attack Killah 極短アタックでトランジェントを潰し、
輪郭を丸める。
リズム的エフェクトや質感変化向け
アタック抑制、
ポンピング演出、
Lo-Fi加工
キック、スネア、
パーカッション、
リズム素材
Lo-Fi、
エレクトロニカ、
実験音楽
●●●
Brick In Ya Face リミッター級の極端なコンプで大音量化。
自然さよりインパクト重視
音圧マキシマイズ、
Lo-Fi/過圧縮効果、
ピーク制御
マスター、ドラム、
ボーカル(特殊効果)
EDM、Dubstep、
Trap
●●●
Guitar Compression 高めのスレッショルドで自然に整音。
ピッキング感とサスティン維持
クリーンギター整音、
リードのサスティン強化、
コード安定化
クリーン〜軽い
クランチの
エレキ/アコギ
ポップス、ロック、
ジャズ
●●
Infinite Pressah 無限比でピークを完全制御。
常時均一で太い音に
音圧マキシマイズ、
ドラムループ潰し、
放送用安定化
マスター、
ドラムバス、
ループ素材
EDM、Dubstep、
Trap、配信
●●●
Kick Compression 1 パンチを残しつつ低域を
まとめる軽めコンプ
キック整音、
4つ打ち安定化、
サイドチェイン前処理
キック ハウス、テクノ、
EDM
●●
Kick Compression 2 短アタックで強めの効き。
形を揃えてタイト化
タイトなキック作り、
高速BPM対応、
サイドチェイン前処理
●●●
Mix Compression 1 穏やかな2:1圧縮で
自然にまとめるバスコンプ
マスター仕上げ、バス処理、
配信音量整え
マスター、
ドラム/楽器バス
全ジャンル
Mix Compression 2 やや強め3:1圧縮で密度感と
音圧を向上
マスター音圧アップ、
ドラム/ベースバス処理
マスター、低音バス EDM、ポップス ●●
Snare Compression 1 長めアタックでパンチ感維持。
自然な整音
生スネア安定化、
エレクトロスネア強化
スネア ロック、ポップス、
エレクトロ
●●
Snare Compression 2 短アタック&低スレッショルドで
タイト化
高速ロールや
ゴーストノート均一化
ヒップホップ、
ファンク、
ポップス
●●●
Soft Compression 高スレッショルド&低比率で
自然な仕上げ
マスター軽整音、
アコースティック楽器、
ナレーション
マスター、アコギ、
ボーカル
アコースティック、
映画音楽
Vocal Compression 1 中程度比率でナチュラルに声を安定化 メインVo整音、
ナレーション、配信
ボーカル バラード、ポップス ●●
Vocal Compression 2 高比率で密度感重視、
声を前に押し出す
主役Vo強化、
ラップ、実況
ポップス、EDM、
ヒップホップ
●●●

Attack Killar

「Attack Killah」は名前の通りアタック成分を“殺す”ためのプリセットで、音の輪郭を丸めたり、極端なコンプレッションによる質感変化を目的にしています。音圧稼ぎというよりは、トランジェント抑制やリズム的エフェクトを作る方向の使い方がメインです。

パラメータの特徴
Attack:ほぼ最小(極短)
→ トランジェントを即座に潰す設定。キックやスネアのアタック部分を削り、アタック感を弱める。
Release:やや早め
→ 短い音符ごとにリダクションが戻りやすく、パンピング効果やリズム感の強調が出やすい。
Threshold:低め設定
→ 入力信号の大部分がスレッショルドを超えるため、常にコンプレッションがかかる。
Ratio:高め(ハードコンプ寄り)
→ スレッショルドを超えた部分を大きく抑える。
Makeup:+6dB付近
→ 大きく潰した音を持ち上げ、音圧を稼ぐ。

想定される用途
1. アタックを完全に潰すエフェクト
  • キックやスネアの立ち上がりを抑えて、丸い音にする。
  • パーカッションの鋭さを減らし、背景的に馴染ませる。
2. ポンピング効果の演出
リズム素材にかけて、ビートに合わせた呼吸感(吸い込むような音量変化)を作る。
3. 特殊効果/サウンドデザイン
  • サイドチェイン的に使い、ミックス内の空間をリズミカルに変化させる。
  • Lo-fi化や質感変化のためのトランジェント抑制。

Brick In Ya Face

「Brick In Ya Face」は名前の通り耳や空間に“レンガを叩きつける”レベルでの極端なコンプレッションを狙ったプリセットです。自然さよりもインパクトと音圧を重視する場面で活きますが、常用すると音の息遣いが失われるため、効果的に使うなら短いパートや特定の楽器に限定するのがおすすめです。

パラメータの特徴
Threshold(しきい値):かなり低め
→ 入力信号のほぼ全域がスレッショルドを超えるため、常時コンプレッションがかかる。
Ratio(圧縮比):ほぼ最大(リミッター級)
→ スレッショルド超過部分はほぼ完全に押さえ込む。
Attack:非常に短い
→ トランジェントを逃がさず即座に抑制、ピークを徹底的に潰す。
Release:中速〜やや速め
→ 音の間でゲインが素早く戻り、常に高音圧を維持。
Makeup:+9.5dB程度
→ 圧縮で下がった平均音量を大きく持ち上げ、音圧を稼ぐ。
音の傾向
  • ダイナミクスはほぼゼロに近くなり、全体が均一な大音量に。
  • トランジェントも押しつぶされ、音が「カチカチの塊」のようになる。
  • 見た目通り“Brick Wall Limiting”に近い、極端な音量処理。

想定される用途
1. 音圧マキシマイズ
  • マスタリングで「限界まで音量を稼ぐ」場面。
  • EDMやDubstepなど、とにかくラウドにしたいジャンル。
2. 特殊効果
  • 音をわざと潰してLo-Fi/過圧縮感を演出。
  • ボーカルやドラムに入れて「押し付けるような質感」を作る。
3. 放送/配信用のピーク制御
  • 音量差を完全に潰してリスニング環境に左右されにくくする。

Guitar Compression

「Guitar Compression」は、自然さを重視しながら音量を整え、ギターのニュアンスと演奏感を保ったままミックスで存在感を増すためのプリセットです。特にクリーン〜軽いクランチ向けで、常時かけっぱなしでも違和感が出にくい設定になっています。
ギターの演奏を自然に整え、音量差を抑えてサスティンを伸ばすための比較的穏やかなコンプレッションになっています。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):高め
→ 大きなピークや強いピッキング時にのみコンプレッションが反応し、弱い演奏部分はほぼそのまま通す。
Ratio(圧縮比):中程度(約3:1〜4:1)
→ 強すぎず、自然な音量バランス補正が可能。
Attack(アタック):中程度〜やや長め
→ ピッキングのアタック感を残して、弦の歯切れの良さを活かす。
Release(リリース):中速
→ 音が不自然に切れず、余韻(サスティン)がしっかり伸びる。
Makeup:ほぼ+0dB(-0.1dBに合わせ)
→ 圧縮で削ったピークを補いつつ、出力をほぼ最大レベルまで押し上げる。
音の傾向
  • ピッキングの強弱差をなだらかに抑え、演奏全体が安定する。
  • アタックははっきり残り、コードや単音のニュアンスが生きる。
  • クリーン〜軽く歪ませたギターで透明感を保ったまま存在感を上げられる。

想定される用途
1. クリーンギターの整音
  • アルペジオやバッキングをミックスに埋もれないよう均一化。
2. リードギターのサスティン向上
  • 単音メロディやソロで音を長く響かせる。
3. コードストロークの安定化
  • 強いストロークでも耳障りにならず、全体が均一な音量に。

Infinite Pressah

このプリセットはほぼリミッターに近い極端なコンプレッションで、音のピークを完全に押さえ込み、音圧を最大限まで均一化するためのプリセットです。
「Brick In Ya Face」よりもさらにピーク抑制寄りで、ほぼリミッターのように動きます。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):かなり低め
→ 信号の大部分が圧縮対象となり、常時コンプレッションが働く。
Ratio(圧縮比):ほぼ無限大(∞比)
→ スレッショルドを超える部分を完全にカットし、ピークを通さない。
Attack(アタック):中程度
→ トランジェントをわずかに通しつつ、すぐに押さえ込む。
Release(リリース):やや速め
→ 次の音に影響を残しすぎず、テンポの速い音源にも追従可能。
Makeup:+1.7dB程度
→ 圧縮で下がった音量を補って全体の音圧を維持。
音の傾向
  • ダイナミクスがほとんどなくなり、常に均一で太い音になる。
  • アタックはやや残るが、全体は強く押し固められた質感。
  • 自然さよりも「密度感」と「音量感」を優先。

想定される用途
1. 過激な音圧マキシマイズ
EDM、Dubstep、Trapなど、ラウドさ重視のジャンル。
2. ドラムループの潰し加工
パンピング感や過圧縮感を演出して存在感を増す。
3. 放送・配信用の音量均一化
  • 音量差を完全に抑え、リスナー環境に依存しない出力を実現。
注意点
  • 常用するとニュアンスや表情が失われやすいため、短いパートや特定トラックへのポイント使いが望ましい。
  • マスターバスで使う場合は、後段にピークリミッターを追加してクリッピングを防ぐのが安全。

Kick Compression 1

「Kick Compression 1」は、極端な潰しではなくキックを引き締めつつパンチを残すことを目的にした、汎用性の高いプリセットです。特にハウスやテクノなどでキックを主役にしたい時に向いています。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):やや低め
→ キックのピーク部分は確実にコンプレッションがかかるが、余韻部分は軽めの処理。
Ratio(圧縮比):中程度(4:1前後)
→ ハードすぎず、自然な締まり感を作る。
Attack(アタック):やや長め(数ms〜10ms程度)
→ キックの立ち上がり(トランジェント)を通してパンチ感を残す。
Release(リリース):中速〜やや速め
→ キック1発ごとにゲインが戻り、次のキックに影響しにくい。
Makeup:+2.2dB程度
→ 圧縮で下がった音量を軽く持ち上げ、全体の存在感を確保。
音の傾向
  • アタックはしっかり残るため、キックが前に出てくる。
  • サスティンや低域のブーミーさが抑えられ、タイトな低音になる。
  • ラウドすぎず、自然に音圧を稼げる。

想定される用途
1. キック単体の整音
  • ミックス内で埋もれないようパンチ感を強調しつつ、低域をまとめる。
2. 4つ打ちやビートメイク
  • 各キックが均一な音量で並び、クラブ系のタイトなリズム感を作る。
3. サイドチェインとの併用
  • ベースやパッドをサイドチェインで引っ込ませる場合、その前にキック自体を整音しておくと効果的。

Kick Compression 2

このプリセットは、キックの形をきっちり揃えて低域を安定させたい場合に特に向いています。
Kick Compression 1よりも強めに効く、パンチと音量の均一化を重視したキック用設定になっています。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):Kick Compression 1より低め
→ より多くの信号が圧縮対象になり、全体的に均一な音量に。
Ratio(圧縮比):中〜やや高め
→ しっかりと音量差を抑え、キックの存在感を安定させる。
Attack(アタック):短め
→ トランジェントをある程度潰し、音のアタック感を少し丸めつつも存在感は残す。
Release(リリース):中速〜速め
→ 次のキックまでにゲインが戻り、テンポの速い曲でも対応可能。
Makeup:+3.5dB程度
→ 圧縮後の音量をしっかり補填し、音圧を稼ぐ。
音の傾向
  • Kick Compression 1よりもコンプ感が強く、アタックがやや抑えられたタイトなキック。
  • 全体の音圧が均一で、ミックス内で安定して前に出てくる。
  • EDMやハウスなどのクラブ系ジャンルで、重心の安定したキックを作れる。

想定される用途
1. EDM/テクノなどの4つ打ちキック
タイトで安定感のある低音を作り、クラブ環境でも抜けるキックに。
2. 高速BPMの曲
短いアタックと速いリリースで、連続するキックでもコンプが追従。
3. サイドチェインとの組み合わせ
ベースやシンセを引っ込ませる前に、キックの音量を安定化して効果を最大化。

Kick Compression 1との違い(要約)
項目 Kick Compression 1 Kick Compression 2
アタック やや長め(パンチ感重視) 短め(タイトさ重視)
スレッショルド 高め(軽めの効き) 低め(強めの効き)
音の印象 パンチ感・抜け感 タイト・安定感

Mix Compression 1


このプリセットは、パラメータ設定から見てマスターやサブミックス全体のダイナミクスを軽く整えて、音圧とまとまりを加えるための汎用的なバスコンプレッション設定です。
自然なダイナミクスコントロールを目的とした透明感のあるバスコンプ設定で、マスターやバスに常時かけっぱなしにしても破綻しにくく、仕上げの「ノリとまとまり」を作るのに向いています。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):比較的高め
→ 入力信号のピーク時のみ圧縮が働き、常時潰しすぎない。
Ratio(圧縮比):低め(約2:1前後)
→ 穏やかな圧縮で、自然な音のまとまりを作る。
Attack(アタック):遅め寄り
→ トランジェントを逃がして、ミックス全体のパンチ感を保つ。
Release(リリース):中速〜やや速め
→ 圧縮からの戻りがテンポ感に合いやすく、ポンピングを避ける。
Makeup:+4.0dB程度
→ 軽く圧縮した分の音量を補い、マスター出力レベルを引き上げる。
音の傾向
  • ミックス全体が軽く引き締まり、まとまり感が出る。
  • アタック感は残しつつ、ピークが滑らかになり耳あたりが良くなる。
  • ラウドネスが上がり、ミックス全体が前に出てくる印象。

想定される用途
1. マスターバス処理
完成ミックスの最終段階で全体を軽く整える。
2. ドラムバスやステム処理
各楽器グループの音を一体化させる。
3. 配信・ライブ用ミックス
音量差を自然に抑えて聴きやすくする。

Mix Compression 2

このプリセットは「ミックスのまとまり+音圧感」の両立を狙うときに最適です。
Mix Compression 1よりもやや強めの圧縮で、ミックス全体の密度感と音圧を高めるバスコンプレッション設定になっています。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):Mix Compression 1よりやや低め
→ より多くの信号にコンプレッションがかかり、音量差をしっかり抑える。
Ratio(圧縮比):中程度(約3:1前後)
→ 適度に強い圧縮で、まとまりと音圧の両立を狙う。
Attack(アタック):速め
→ トランジェントをやや抑え、全体をなめらかに。
Release(リリース):中速〜やや速め
→ 次の音に素早く追従し、ポンピングを防ぐ。
Makeup:+3.2dB程度
→ 圧縮で失った音量を持ち上げ、ラウドネスを稼ぐ。
音の傾向
  • Mix Compression 1よりもコンプ感が強く、音が前に張り付くような印象。
  • トランジェントがやや抑えられ、全体が密度高くまとまる。
  • ラウド感が増すが、過度な潰れは避けて自然さを保つバランス。

想定される用途
1. マスターバスでの音圧アップ
EDMやポップスなど、迫力ある仕上がりにしたいジャンル。
2. ドラムやベースを含むバス処理
パート間の音量差を均し、タイトなまとまりを作る。
3. ライブ配信・放送
聴感上の音量差を減らし、安定したラウドネスを確保。

Mix Compression 1との違い
項目 Mix Compression 1 Mix Compression 2
スレッショルド 高め(軽く効く) 低め(しっかり効く)
アタック 遅め(パンチ感維持) 速め(なめらかに)
圧縮感 穏やか やや強め
用途 ナチュラルなまとまり 密度感・音圧重視

Snare Compression 1

このプリセットは、スネアドラムのアタックをしっかり残しつつ、全体の音量を整えて前に出すためのコンプレッション設定です。
スネアの“パーン”という立ち上がりを活かしながら、音量と余韻をコントロールするため、自然な効きなので、ジャンルを問わず幅広く使えます。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):中程度
→ スネアのピーク部分でしっかり効くが、余韻部分は軽めに処理。
Ratio(圧縮比):中程度(約4:1前後)
→ 音量差を安定させつつ、潰しすぎない自然な効き。
Attack(アタック):やや長め
→ スネアの立ち上がり(トランジェント)をしっかり通し、パンチ感を残す。
Release(リリース):中速
→ スネアの余韻が自然に減衰するタイミングでリリースし、テンポに馴染む。
Makeup:+2.4dB程度
→ 圧縮で下がった音量を補って、存在感を増強。
音の傾向
  • スネアのアタックがはっきりして、ミックス内で抜けが良くなる。
  • 余韻が整い、低域の膨らみや不要な響きが抑えられる。
  • パンチとタイトさのバランスが良い。

想定される用途
1. アコースティックドラム録音のスネア処理
生スネアのバラつきを抑えて、存在感を安定化。
2. エレクトロ系スネアのパンチ強化
打ち込みスネアにアタック感と立体感を付加。
3. ループ素材のスネア強調
ドラムループ内のスネアを目立たせたいとき。

Snare Compression 2

このプリセットは、スネアを楽曲の中でしっかり固定し、音量のブレを減らしたい場合に特に効果的です。
Snare Compression 1よりもさらにタイトで強めに効くスネア専用コンプレッションで、アタックをしっかりコントロールしつつ音量を安定化させる設定になっています。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):低め
→ スネアヒットのほぼ全域でコンプレッションがかかり、音量差を強めに抑える。
Ratio(圧縮比):やや高め(4:1〜5:1程度)
→ 明確なコンプレッション感でタイトな仕上がりに。
Attack(アタック):短め
→ アタックの立ち上がりを早めに押さえて、鋭さをコントロール。
Release(リリース):やや速め
→ 次のスネアヒットまでにゲインを戻し、連続するヒットでも潰れすぎを防ぐ。
Makeup:+4.2dB程度
→ 圧縮後の音量を持ち上げ、ミックス内での存在感を確保。
音の傾向
  • Snare Compression 1よりもさらに均一でタイトな音。
  • アタックのピークが抑えられ、ミックスに馴染みやすい。
  • 連打や高速パターンでも音量が揃い、安定感が出る。

想定される用途
1. タイトなスネアサウンドが必要なジャンル
ヒップホップ、ポップス、ファンクなど。
2. 高速スネアロールやゴーストノートの均一化
ライブ感を保ちながら、録音のムラを補正。
3. ループやサンプル加工
ドラムループ内のスネアを目立たせつつ安定させる。

Snare Compression 1との違い
項目 Snare Compression 1 Snare Compression 2
スレッショルド 中程度 低め(強めに効く)
アタック やや長め(パンチ重視) 短め(タイト重視)
音の印象 パンチ感+自然さ タイトさ+均一感

Soft Compression

このプリセットは、透明感を損なわずに音量を整えるための“かけっぱなしOK”なコンプです。
自然で穏やかなコンプレッションを目的とした設定で、音の表情やダイナミクスを極力残しながら全体のまとまりを作るタイプで、過度に潰すのではなく、音楽の息遣いを保つ方向に最適化されています。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):高め
→ 大きなピークだけを軽く抑え、小さい音にはほとんど触れない。
Ratio(圧縮比):低め(約2:1〜3:1)
→ 穏やかで目立たない圧縮。自然な聴感を保ちやすい。
Attack(アタック):やや遅め
→ トランジェントを残し、音の立ち上がりを損なわない。
Release(リリース):中程度
→ 音の余韻を自然に保ちつつ、圧縮からスムーズに戻す。
Makeup:+1.3dB程度
→ ピークを抑えた分の音量を軽く補い、全体の存在感をアップ。
音の傾向
  • 音の立ち上がりや余韻が自然に保たれる。
  • 大きな音は少し抑えられ、小さい音はそのままなので、音楽的なダイナミクスが残る。
  • 「かけている感」が少なく、透明感のある仕上がり。

想定される用途
1. マスターバスでの軽い音量整え
曲全体のバランスを崩さず、聴きやすさを向上。
2. アコースティック楽器やボーカル
演奏ニュアンスを生かしながらピークだけをコントロール。
3. ポストプロダクションでの自然な音圧調整
映像音楽やナレーションで、音質変化を感じさせない圧縮。

Vocal Compression 1

このプリセットは、ボーカルの音量差を滑らかに整え、言葉の粒立ちと存在感を前に出すための標準的なボーカル用コンプレッション設定です。
ボーカル処理の入門的なベースとして使いやすいナチュラル系ボーカルコンプで、声の特徴を残しつつ安定感を与えるため、追加でEQやディエッサーと組み合わせるとさらに効果的です。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):やや低め
→ ボーカルの大部分でコンプレッションが働き、声量差をしっかり均す。
Ratio(圧縮比):中程度(約3:1〜4:1)
→ 強すぎず、自然さを保ちながら明瞭度を向上。
Attack(アタック):短め
→ 声の立ち上がりをすぐに抑えて、耳に刺さるピークを防ぐ。
Release(リリース):中程度〜やや速め
→ 言葉の切れ目で自然にゲインが戻り、フレーズ感を保つ。
Makeup:+3.5dB程度
→ 圧縮で下がった全体音量を補い、ミックス内での存在感を確保。
音の傾向
  • 声の強弱が均一化され、聴き取りやすさが向上。
  • 子音やアタックが適度に抑えられ、耳に優しい響き。
  • 小さい声は持ち上がり、大きい声は自然に抑えられるため、全体が安定して前に出てくる。

想定される用途
1. メインボーカルの整音
レコーディング素材をミックスで安定させる。
2. ナレーションやセリフ
聴き取りやすさを重視し、声の粒を揃える。
3. 配信や放送の声処理
声量差を最小限にして安定した音量を保つ。

Vocal Compression 2

このプリセットは、Vocal Compression 1よりも強めにかかる設定で、声をより前面に押し出し、密度のある安定したボーカルに仕上げるためのコンプレッションです。
この設定は声の存在感を最優先する場合に向いていますが、過剰にかけると息遣いや表情が減るため、ジャンルや曲調によってはVocal Compression 1と使い分けるのがおすすめです。

パラメータの特徴
Threshold(スレッショルド):低め
→ ボーカルのほぼ全域でコンプレッションが働き、声量差を大きく抑える。
Ratio(圧縮比):やや高め(約4:1〜5:1)
→ よりしっかりとダイナミクスを制御し、音の密度感を増す。
Attack(アタック):短め
→ 声の立ち上がりをすぐ抑えて、耳に刺さるピークを防ぐ。
Release(リリース):中程度〜やや速め
→ 次のフレーズや単語に素早く追従し、なめらかな聴感を保つ。
Makeup:+7.0dB程度
→ 圧縮で削った分を大きく補い、声を前に出す。
音の傾向
  • 声が常に安定して前に出る、密度の高い仕上がり。
  • 小さな声や弱い部分がしっかり持ち上がり、歌詞が明瞭になる。
  • Vocal Compression 1よりコンプ感が強く、ナチュラルさよりも存在感を優先。

想定される用途
1. ポップス・EDMのメインボーカル
ミックス内でしっかり主役として前に出したい場合。
2. ラップや早口ボーカル
音量差を抑えて言葉をはっきり聴かせる。
3. ライブ配信や実況
常に一定の声量をキープして安定感を出す。

Vocal Compression 1との違い
項目 Vocal Compression 1 Vocal Compression 2
スレッショルド やや低め 低め(ほぼ全域で効く)
圧縮比 中程度 やや高め
音の傾向 ナチュラルで安定 密度高く前に出る
向き バラード・自然な歌声 ポップス・ラウド系

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最終更新:2025年08月15日 09:04