アレンジビューの基本的な使い方

アレンジビューの基本的な使い方



全般

クリップランチャーとアレンジャータイムラインの表示
トランスポートの下に、クリップランチャーの表示切り替えと、アレンジャータイムラインの表示切替ボタンがあります。

それぞれ初期状態でショートカットキーが割り当てられているので、慣れてきたらショートカットキーで操作できるようになると、作業が捗ると思います。
  • クリップランチャー:[L]キー
  • アレンジャータイムライン: [O]キー
クリップに名前をつける
クリップを選択した状態で、[CTRL+R] で名前を変更できます。
クリップのオフセットをスライドして調整する方法
サンプルを使うときなど、再生位置を調整したい場合、クリックの開始オフセットを調整することが可能です。
[ALT+左ドラッグ] (masOSの場合は [Cmd+ALT+左ドラッグ] ) で開始位置をずらせます。

なお、これはサンプル(オーディオ)クリップだけでなく、MIDIクリップでも可能です。
スライドのマウス判定位置ですが、対象のキーを押しながら「クリップの下半分」にマウスカーソルを移動させると、[◀ | ▶]の判定になるようです。

トラック

トラックの追加
トラックの追加は「+」をクリックします。

またはショートカットキーでトラックを追加できます。
  • [CTRL+T]: インストゥルメントトラック
  • [CTRL+SHIFT+T]: オーディオトラック
トラックのグループ化
複数のトラックをまとめたい場合には、[SHIFT+上下キー] などで複数選択 (離れた場所にあるトラックは [CTRL+クリック]) して、[CTRL+G] でグループ化できます。

グループ化したトラックは📁(フォルダー)アイコンクリックで表示切り替えができます。

また「dB値をまとめて変更」できるようにもなります。
特定のグループをフィルター表示する方法
グループ化してトラックを階層化すると、表示のフィルタリングができます。
例えば「Instruments」というグループのみの表示にするには、階段状のアイコンから対象のグループを選択。

トラック表示が対象のグループのみとなりスッキリしました。

元の表示に戻すには、この「戻るアイコン」をクリックする、またはグループフィルターから「Project」を選ぶと全体表示に戻ります。

オートメーションの使い方
オートメーションの使い方については以下のページにまとめています。
オートメーションの基本的な使い方

FXトラック

FXトラックにセンドする方法
FXトラックとは、複数のトラックのエフェクトをまとめて適用 (センド) する場合に便利なトラックです。
そしてFXトラックに送ったDry信号は Wetのみがマスタートラックに送られます。

ただセンドの値を設定する場合は、アレンジビューではなく、"MIXビュー" に切り替えて "Sends" のところから設定するのがおすすめです。

もし表示されていない場合は、このアイコンを点灯させると Sends が表示されます。

楽曲の途中でセンドの値を変化させたい場合は、アレンジビューのオートメーションから指定可能です。
FXトラックの追加方法
ショートカットキー [CTRL+ALT+T] で FXトラックを追加できます。
もしくは FXトラックを選択した状態で [CTRL+D] で複製する方法もあります。
グループとFXトラックの処理順序について
トラックをグループすると、各トラックに共通のエフェクトを適用することが可能です。
例えば、Track 1, Track 2, Track 3 を Group Aでグループ化します。

そして "Group A" にコンプをインサートすると、子のトラックすべてに同じコンプが適用されます。

では Track 1, Track 2を "FX 1" にセンドし、Track 3を "FX 2" にセンドすると以下のような処理順となります。

これにより、グループ化すると共通のエフェクトを適用でき、その後、異なるエフェクトを適用することが可能です。

オーディオファイルの扱い

外部オーディオファイルを追加する場合の注意点
オーディオファイルをプロジェクトに追加するには、ブラウザ以外に直接オーディオファイルをドラッグ&ドロップする方法があります。

注意点として、Bitwigではプロジェクトへの自動コピーは行わずにファイルパスのみを保持します。
具体的には、デスクトップにあるwavファイルをドラッグ&ドロップで追加した後、デスクトップからwavファイルを削除するとプロジェクトからも消えます。

プロジェクトに含めるにはメニューから「FILE > 集めて保存」を選びます。

「プロジェクトフォルダ外のファイルを収集」にチェックが入っていることを確認して「OK」をクリック。

保存したフォルダに外部のオーディオファイルが含まれました。
テンポが合わない場合の調整方法
オーディオファイルをインポートしたときにテンポ情報が正しく設定されれば特に問題ないです。
ですが、例えば Synthesizer Vなどで生成したwavファイルは正しくストレッチしてくれません。
正しくストレッチされない場合はインスペクタから以下の情報を見直します。
  • テンポ情報
  • 長さ (レングス)。場合によっては「ループ解除」で対応する

オーディオファイルのテンポ情報はインスペクタの「テンポ」の項目にあります。

この値を元のオーディオファイルのテンポに変更します。

またテンポを変えたときにクリップの長さが合わないことがあります。
そしてクリップの長さを伸ばそうとしたときに、ループ扱いとなってしまうことがあります。

これはクリップのレングスの問題で、修正するにはインスペクタから数値を直接する、またはクリップ編集画面から修正する方法があります。

「クリップ編集画面」を開くには、対称のクリップをダブルクリックします。

後はタイムバーの区間をオーディオサンプルの終端まで移動させることで、正しく終端まで設定できます。

その他、ループ素材として使わないのであれば、オーディオクリップの「ループ」を解除することで、そのままクリップをループなしで延ばせるようになります。
プロジェクトで読み込んでいるオーディオファイルを確認する方法
プロジェクト内のオーディオファイルを確認するには右下にある「プロジェクトパネル表示アイコン」をクリック。

「ファイル」タブをクリックすると、プロジェクト内で使用しているオーディオファイルの一覧が表示されます。

さらに「外部」タブをクリックすると、プロジェクトに含まれていないファイルが確認できます。

外部ファイルをプロジェクトに含めたい場合は「収集して保存」によりプロジェクトに含めることが可能です。
オーディオクリップの簡易フェードイン・フェードアウト
オーディオクリップは左右の真ん中あたりに表示される「白い三角形」をドラッグ操作すると、フェードイン・フェードアウトができます。
ストレッチモードが適用されない場合
何か見落としがあるかもしれませんが、長いwavファイルだとストレッチが適用されない場合があります。

その場合、ナイフツールでカットしてバウンスインプレイス。

そして別トラックにドラッグ&ドロップで移動させると、タイムストレッチが適用されます。
インポート時に自動でテンポが合うようにする方法
BitwigはMP3のファイルなどをインポートしてテンポが合わないことがよくあります。(たいていの場合は合いません…?)

その場合、ファイル名に「_bpmXXX」というように直接テンポを指定します。
"_XXXbpm" という指定でも可能です


するとデータインポート時に自動でテンポが合うようになりました。

■2025.8.11追記
例えば "bgm_177.wav" という指定でもBPM177として扱ってくれるようです

アレンジャータイムライン

「オブジェクト選択」と「時間選択」
アレンジャータイムラインには「オブジェクト選択」と「時間選択」の2つの選択モードがあります。
具体的には、クリップの「上半分」をクリックすると「オブジェクト選択」状態となります。

そして「下半分」をクリックすると「時間選択」状態となります。

また何もないところをクリックしても「時間選択」状態となります。

「オブジェクト選択」と「時間選択」には [CTRL+T] (masOS環境。Win環境は[ALT+T]?) が割り当てられているので、それを使って切り替えることも可能です。

では「オブジェクト選択」は何ができるのかというと、選択しているクリップに対する操作ができます。以下はアレンジャークリップからできることの一例です。
  • [ALT+A]でミュートしたり[CTRL+D]で複製
  • オーディオクリップであれば、右クリックで「ノーマライズ」や「スライス」
  • インスペクタからも様々なパラメータを編集

それに対して「時間選択」はタイムラインでの時間に対する操作ができます。
白い縦の線が現在の位置で、例えば [CTRL+E]でクリップの分割、[SHIFT]を押しながら左右キーで範囲選択して[CTRL+X]で削除、といった編集ができます。

編集ツールを使ってマウス操作で、クリップの分割やクリップの消去をすることもできます。
  • 消しゴムツール [4]: 消去
  • ナイフツール [5]: 分割
クリップの分割と統合
クリップを分割したい場合は [5]キーでナイフツールに持ち替えて、分割したい部分をクリックします。
なお、編集ツールは長押しすると「一時的な持ち替え」となるので、[5]キー長押しでクリックして編集が終わったら [5]キーを離す、といった使い方がおすすめです。
クリップを統合したい場合は、統合するクリップを選択して [CTRL+J] で結合します。
ナイフツールに持ち替えずにクリップを分割する方法
ナイフツールを使わなくても、クリップの下半分をクリックして [CTRL+E] で分割することも可能です。
Bouce in Place
MIDIクリップをオーディオに変換したい場合は「Bounce in Place」が便利です。

変換手順は対称のクリップを選択した後に [CTRL+B] を押すだけです。
ただ注意点として、元のMIDIデータは失われるので、消したくない場合はクリップランチャーにコピーしておくと良いと思います。
ループ区間の設定
タイムバーでも設定できますが、ループしたい区間を選んだり、クリップを選んだりして [CTRL+L] でループ範囲を指定できます。
タイムバーをマウスドラッグ クリップを選んで[CTRL+L]
なお、ループ機能は区間指定だけではなく、トランスポートにある🔁ループボタンを有効にする必要があります。
Cue Makerの設定
タイムバーから、Cue Makerを配置したい場所をクリック。右クリックメニューから「Insert Cue Maker」を選びます。

するとタイムバーにCue Makerが追加されます。
なお文字の部分をダブルクリックすると、マーカー名を変更できます。

削除は選択した状態で [DELETE] キーを押します。

なお「マーカー間の移動」に関するショートカットキーはデフォルトでは設定されていません。
設定が必要であれば、設定画面から「ショートカット」を選んで「キュー」で検索して、キーボードまたはMIDIコントローラーに割り当てます。
区間の挿入と削除
[2]キーを押すと「時間選択ツール」に切り替えられるので、その状態でタイムバーをドラッグして、挿入または削除したい区間を選択します。
ツール関連のショートカットキーは「長押し」で一時的なツール持ち替え(離すと元のツールに戻る)となります
後はタイムバーを右クリックして「挿入」で区間の挿入、「除去」で区間の削除ができます。

また、それぞれショートカットキーが割り当てられているので頻繁に使う場合は覚えておくとよいです。
  • [CTRL+SHIFT+P]: 挿入
  • [SHIFT+バックスペース]: 削除

なお区間はプリセットとして保存することもできます。

このようにグループ化されたプリセットとして保存されます。
ストレッチモードについて
Bitwigのデフォルトのストレッチモードは「Stretch (速度優先の低品質)」となっています。

品質にこだわらず速度優先であればこのままで問題ありませんが、例えばボーカル素材をテンポ変更して使うと Stretchでは音質劣化やノイズが発生します。ボーカル素材をテンポを変えて使いたい場合は「Stretch HD」「Elastique Solo」「Elastique Pro」がおすすめです。
逆にドラムのワンショット素材などストレッチ不要な場合は「Raw (そのまま)」を使用します。

各ストレッチモードの詳細は以下のページにまとめています。
ストレッチモード

クリップランチャー

クリップランチャーの用途
クリップランチャーはストックや切り替え、アイデアの整理、複雑なリズムの実験、テイク管理、ライブでの即興性向上など、幅広い用途で活躍します。
アイデアのスケッチブックとして活用
  • クリップランチャーは、思いついたフレーズやアイデアを即座に記録し、ストックしておく「スケッチブック」として非常に便利です
  • アレンジャータイムラインに縛られず、自由に複数パターンを保存・比較できます
複数パターンの即時切り替え・比較
  • イントロやサビなど、楽曲の各セクションごとに複数のバリエーションを用意して、ワンクリックで切り替えて試聴できます
  • アレンジャータイムラインよりも簡単に組み合わせや比較が可能です
ポリリズムやポリメーターの実験
  • クリップごとに長さや拍子を変えて配置できるため、異なるリズムパターンを同時に走らせてポリリズムやポリメーターを作るなど、複雑なリズム実験にも適しています
OKテイクの管理・編集
  • ループレコーディングの各テイクをクリップとして残し、後から気に入った部分だけを切り出して編集・組み合わせることができます
  • これにより、アドリブ演奏や複数テイクの管理がしやすくなります
「Next Action」や「Post Recording Action」などの自動化機能
  • クリップごとに再生後の自動アクション(次のクリップ再生、停止など)や、録音後の自動処理を設定できるため、ライブパフォーマンスや実験的なシーケンス作成にも役立ちます
シーン単位でのコントロール
  • クリップをまとめて「シーン」として管理し、ワンクリックで複数トラックのクリップを同時に切り替えることができます
  • これにより、楽曲構成の大枠を素早く切り替えたり、ライブで展開を即興的に操作できます
ジャンルによる使い方の違い
  • EDMやエレクトロニック系では、ライブでの即興的な展開やループの組み合わせにクリップランチャーを多用します
  • J-Popなどの楽曲制作では、アレンジャータイムライン中心になりがちですが、「アイデアのストック」や「フレーズの比較・選別」といった用途でクリップランチャーを活用するのも有効です


関連ページ

最終更新:2025年08月14日 23:42