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パディー・ディコン」

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匿名ユーザー

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「やはりナ、想像通リだ」
陥落した武装都市の内部な足を踏み入れたボリエ・ディコンは、短く感想を漏らす。
「殲滅は無シ、との指示が無かったからネ。『告げる者』が出向いたなら、当然結果はこうなるヨ」
パディー・ディコンは、傍らで頷き、血臭の立ち込める街中に闊歩する。

路上に。
壁に。
屋内の窓に。
破裂した人間の死体が散乱していた。
衣服や鎧に傷はない。
性別、年齢を問わず、皮膚が避け、眼球が破裂し、耳、口、から霧状に血液を吹き出した、惨たらしい死体だ。
内臓が破裂し内側から弾けた苦しみは、想像を絶する。
『告げる者』が発動させた戦略級上位奇跡。
気圧を瞬時に低下させ、真空裂傷と体内破裂。
この武装都市の住民は、戦闘員、非戦闘員の区別なく、文字通り圧殺された。

「悲しむべき事だナ」
「悲しい事ダね」
「戦士として、戦う名誉も与えられないとハ」
「明日の食事も食べられないなんテ」
ボリエ・ディコンと、パディー・ディコンは、それぞれ頭を下げ黙祷し、右手を胸にあてる
その身を包むコートは異常なまでの反り血に染まっていた。
「貴様にも責任があル、我らが『グリスヌの谷間集落』を陥落させた後、ただちに駆け付ければ、この地の優れた戦士達は、我らのテにより、価値のある死を遂げられタ。」
「それは思い上がりだヨ、調停者様が仰っていたじゃないカ、『価値なんてものに、価値はない』と」
なおも話を続けようとしたパディー・ディコンだが、鼻腔を拡張させ、足を止めた。
「・・・まだ、生きてる者がいル」

機密性の高い、穀物倉庫。
倒れていた騎士は、目、鼻、耳から血を流し、血液混じりの呼吸をしていた。
「咄嗟の判断か、偶然カ」
「しっかりしなヨ、助かったヨ」
「・・・か、かたじけない」
助け起こしたまだ若い騎士は、朦朧とした意識で呟いた。
「かんたんな止血はしておいタ、体力がある内に最寄りの村へと向かエ」
「日が暮れるまでは、あと二時間判はあル、運はまだ味方しているヨ」
「・・・重ね重ねかたじけない。私は・・・」
「喋るナ、我らは本来は敵同士」
「何も見なかったシ、何も聞かなかっタ」
「次会いまみえるのは戦場、礼ならその時受け取ろウ、戦士としての礼をナ」
「・・・心得た」
眼球からも失血しているため、瞼が鉛のように重かった。
情をかけられた以上、せめても『恩人』の姿を焼き付けようと、気力を振り絞って眼を開いた。
そして。
「うわぁぁぁぁ!」
絶叫を上げ、腰の剣を抜く。
だが、柄に手を掛けると同時に、その喉をボリエ・ディコンの放った槍が貫いた。
「・・・勿体なイ。どうせ殺すなラ、生きているうちに食べたのニ」
「剣を抜けバ、戦士の掟に従うのミ」
硬い鱗で覆われた表皮
巨大な頭部、そして大きな顎。
鰐とも蜥蜴ともとれる人貌の姿。
だが、瀕死の騎士を驚愕させたのは、それだけが理由ではない。
二人の頭部は一つの体から生えていた。
双頭の蜥蜴人(リザードマン)。
「そもそも貴様の責任ダ。お前の顔は怖すぎル」
「それは差別的な発言だヨ、調停者様がいつもいっているじゃないカ・・・」
『二人で言い争いを続ける一人』は、街の中心部へ消えたいった。

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