1回目の挑戦では単独許可が出ずにガイドが栗城のすぐ後ろについて登っている(C2で敗退)。
2回目の挑戦では4人の隊を組んでいる。記録にはBCから1人で登っているように書いてあるが
単独にかなり厳しかった1回目からたった2年後に許可が出るとは考えにくく
1回目と同じように隊員が栗城のすぐ後ろについて登っていた可能性が大きい。
栗城が寄稿していた記事のC2とC3の写真には「栗城隊撮影」という説明があり、その傍証になっている。
2011年時点でビンソンマシフに4回登頂している山岳ガイドの倉岡裕之氏などが
「カメラマン」の名目で参加していたことが後に判明。
最初は他パーティの後ろをついて行き、その後は、ガイドが栗城とほぼ同行動。 アンザイレンしなければ単独であると考えている模様。
まずは標高2,500mのベースキャンプから3,20mのキャンプ1を目指します。
登り始めてから約2時間が経った頃、先を登っていたグループのガイドが、衛星電話を使って何やら相談を始めました。
どうやら僕のことのようです。嫌な予感がしたその時、そのガイドから強制下山命令が出されました。
やはり単独での登山は認められないとの理由です。ここでの登山は、お互いにザイル(ロープ)を身体に結び付け数珠つなぎの
形で進むアンザイレンが絶対条件。ですが、単独での登山にこだわった僕は、このザイルを拒否。
荷物もひとりで抱えていたため他のメンバーよりも断然多く、登山ペースが遅くなることで先のチームを
見失ってしまう恐れがあるとのことでした。単独登山に関しては、登山基地「パトリオットヒルズ」で
さんざん話し合った挙句、何とか認めてもらうことになっていましたが、現実問題としてやはり無理というのが
現場ガイドの判断でした。「You're crazy!」とのお言葉もいただきました。納得できないと抵抗はしました。
しかし、結局は泣きながら下山。いまはベースキャンプで待機しています。
ANI(南極登山のコーディネーター組織)では単独での登山は前例のないこと。
以前、僕と同様に単独での登頂にこだわっていた登山家も、結局はこの規定の壁を乗り越えられず、
グループでの登山になったとのこと。こういった障害もあるからこそ、これまでに単独で7大陸最高峰を
制覇した登山家がいなかったのでしょうか。
唯一の望みは、パトリオットヒルズにいるANIオーナーから再挑戦の機会を得たこと。
僕のことを「頭のおかしな日本人」と思っているこのオーナーから、「彼にもう一度、チャンスを
与えてやってもいいんじゃないか」という提案がベースキャンプにありました。
強制下山以来、僕のお目付け役となるANIのガイド・アンジーさんが下山してくるまで
2日ほどベースキャンプで足止めを食らっていましたが、何とか昨日昼、出発することができました。
交渉に交渉を重ね、これまで何とか単独で登って来ることができました。ただ、僕の後方からアンジーさんが目を光らせています。
明日は最大の難所、急斜面と大きなクレバスを越えて標高3,800mのハイキャンプを目指します。
しかし、ここでもアンジーさんと交渉が必要です。僕は難所であろうとも当然、独力で越えるつもりですが、
ANIとしては難所をたったひとりで登らせ、みすみす遭難者を出すわけにはいかないとのこと。
明日ばかりはザイルをつながざるを得ない状況になるかも知れません。
単独にこだわる僕としては、それだけは避けたい。でも、無理を通そうとすると、また強制下山命令を下されかねない。
そんな状況のなか、実は非常にモチベーションも下がっています。
(写真説明) 快晴、無風の中をアタックする別の登山隊隊員。山頂に近づき2年越しの思いに涙がこぼれ落ちた
前にはまったくだれの姿も見えず、ハイキャンプにいた隊の中で自分が一番最初の出発であることがわかった。
しかし、20分ほどすると、他の隊が一列でついてくるのが見えた。気にしてはいけないと思うのだが、
やはり先頭きって登りたい。足を少し速めてみるが、さすがに高所では息がすぐ切れてしまう。
ところで、昨夜「7サミッツ」の栗城君の感動のドラマを見てしまいました。
普段はめったにテレビ見ないんですけどね。山登りを超えた番組でした。かんどうです。NHK万歳。
南極のビンソンには栗城氏といっしょに行きました。まあビデオ係りということで。(中略)
それにしても栗城君のエベレスト北壁、成功したらこれはもう一般の視聴者を超えて登山界の「すごいこと」に属します。
がんばってください。他の山は彼にとっては「簡単」なんだと思います。
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