けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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投稿日:2010/11/13(土) 22:11:25

いつも通り澪の家にいて隣に彼女がいると私はふと思う。
あ、キスしたい。
「みお」
隣にいる彼女に声をかける。
「なにー?」
何の気ない返事を返してくる彼女。パラパラと雑誌を読む手を止めない。
そんな彼女の肩に手を置き、ぐっと顔を近づけた。
「…りつ?」
流石に彼女も私が何をしたいのか気付き、顔を強張らせた。
相変わらず、綺麗な顔してるな。
女子高に通っているにも関わらず、澪以上の美人を見たことが無い。テレビの女優とか比べもんにもならん。
恋人効果かもしれないけど。しかも今赤面した顔を見ているのだ。もう、たまらない。
そんな彼女に、今からキスをしようとして

「あっ……い、や…!…」
拒否。小さくて口だけだけど、嫌って。
「…うん」
小さい声でそう呟いて、彼女から離れる。
「…りつ」
「ちょっとその雑誌読ませて~」
「……はぁ、もう。ほら」
「ありがと。んん~?…お前、高校生が”花とゆめ”ってお前…」
「な、なんだよ、文句あるなら返せよ!」
まぁ読んだらおもしろいよな。少女マンガって。スキップビート!!


そういうわけで。
澪と恋人同士になってから、私は自制を覚えた。
普段はちょくちょく澪をいじったりする。
けれど、こういうとき澪が嫌がると、私は必ず止める。
ほとんど無理矢理私の中の全理性を奮い立たせて我慢してる。
まぁ、家に帰ってから自分で発電してるところ、我慢しきれていないけどな。
別にキスしたことないわけじゃない。普通にしたことはある。
そういう雰囲気になったときだけ。澪に乙女フィルターがかかったときだけ。…なんだそれ。
私のキャラ的に、澪が嫌がってても「いいじゃ~ん、やろうぜ澪ちゃ~ん」って感じに強制的に事に至るだろうと思われるかもしれないが、実際そんな勇気は無い。
唯のあのセリフが聞こえてくるようだ。こなくそ。
何でかって、そりゃあ、澪に嫌われたくないから。キスといじるのは、違うだろ?
だからその時に澪が嫌がったら、そりゃあ本当に嫌なんだろうと。
っていう私の勝手な解釈。というか、怯えだ。
なんなんだろうな、この感情は。以前はできていたことが、突然怖くなる。
澪と離れたくないが故に、そこに壁ができてしまったような。
澪の恋人になって、私は弱くなった。

数日後、部室でティータイム。
「ねぇねぇあずにゃん、ここ解らないんだけどー」
「2年生の私に3年生の範囲を聞かないで下さいよ…」
唯の奴焦ってるなぁー。テスト近いからな。
私はと言えば、まぁ、澪に教えてもらってるんだけどな。
今度お礼に映画でも連れていくか。確か今話題のホラー物が…
「ほら、唯、梓が困ってるだろ」
「ぶぅー…じゃあ澪ちゃん教えてよー」
「ったく…どこだ?」
………あっさり教えてもらってるな唯め。
私は澪に教えてもらうのにプリンを犠牲にしたというのに。
プリンは犠牲になったのだ…
なんだこれ。嫉妬心か。
「成程!ありがとー澪ちゃーん!」
「お、おい!止めろよ唯…」
………抱きついたな唯め。
なんだよ。もう。どうしてだろう。
唯には私のできないことが簡単にできる。
そりゃあそうだ。唯のあのほんわりした笑顔で抱きつかれたりしたら、嫌だなんて言えないよな。
なぁ梓?そんな怖い顔してるんじゃないよ…唯も罪な奴。
澪も満更じゃない顔してるし。私が抱きつくとちょっと鬱陶しそうな顔するのにな。
唯は可愛いしな。そりゃ離れたくないよな。ちくしょう。
…だめだ。耐えられない。
「あら?りっちゃん何処行くの?」
お菓子と紅茶の用意をしていたムギが尋ねた。
「ちょっとトイレ」
早くここから逃げ出したかった。


結局、部室から一番遠くて、一階の人の少ないトイレまで来てしまった。
トイレの水道の蛇口を捻り、バシャバシャと顔を洗う。
すっきりしたと思った。
しかし、鏡に映ったのは、不機嫌そうな顔をしてる目付きが悪い女が映ってた。
はぁ。最悪だ。唯に嫉妬してる。いやな女だ。
…唯は可愛いなぁ。梓もその部類に入るか。
ムギやさわちゃん、和は美人だし…
澪は、まぁ…言わずもがなだ。
私は…特に可愛くもなく、美人というわけでもないだろう。
体だって、全然発達しない。
そりゃあ、嫌がるか。こんな女じゃ、面白くないもんな。
そもそも私と恋人でいること自体嫌なんじゃないか?
澪は優しいから…あぁ、他に相応しい人がいるのかも。
その人とだったら、嫌がったりしないのかな。
あぁぁ、頭が痛い。いつもの私だったら、「それでも私は澪がすきなんだー!」とか言って唯を押し退けて抱きつくんだろうけど、今の私はこんなにも臆病だ。
やっぱり、私は弱くなった。

「りつ?なにボーっとしてんだ」
鏡に彼女の整った顔が映っていた。
「…澪、どうしてここに」
「お前を探してたんだよ…ったくなんで一階のトイレにいるんだよ」
探したじゃないかと言って溜息をつく彼女。
あぁまた迷惑かけちゃったなぁと思って。
「顔、びしょびしょだぞ、早く拭けよ」
「…ハンカチ忘れた」
「…だと思ったよ…ほら」
そう言ってハンカチを手渡してくれた。
ウサギがプリントされてる、かわいいハンカチ。
ほんと、乙女だなぁ。可愛いものが好きなんだなぁ。
だから、唯とか梓とかも。
……………

「先、戻ってていいよ」
「お前は来ないのかよ」
「あぁ、うん、もう少しくらいしたら、行くから」
「…律?調子悪いのか?」
「へ?いや、そうじゃないけどさ、ほら、髪のお手入れとか!」
我ながら酷い言い訳だと思う。でも、今澪と一緒にいると、嫉妬でいっぱいになっちゃうから。
「…待つよ」
「いや、待ってるのは唯とか梓だろ?早く戻って…」
あ、ちょっと嫌味っぽかった。私の中でだけだが。
でも澪は強情だった。
「待つ」
そう言って隣の洗面台に腰をつける彼女。
なんで。私の為に…?そんなことされると、自惚れてしまう。
そして、私は、ふと思う。
あ、キスしたい。
「みお」
隣にいる彼女に声をかける。
「なんだよ」
少し呆れ交じりに返事をする彼女。
そんな彼女の肩に手を置き、ぐっと顔を近づけた。
「…りつ?」
流石に彼女も私が何をしたいのか気付き、顔を強張らせた。
相変わらず、綺麗な顔してるな。
…って、この前の再現みたいじゃないか。我ながら芸がない。
そして、数日前のように、彼女にキスをしようとして顔を近づけて

「ちょっ…待って、りつ…!」
拒否。いや、今の私の心情的には、拒絶されたといった方が正しいかも。
…なんだ、ほんとにこの前の再現じゃないか。全然焼き増しされていない。
「………うん」
あー…なんだろ、心折れたのかも。
するりと澪の肩から手を降ろす。
もう、今日は帰ろう。そして、なるべく彼女に嫌われないように過ごすんだ。それが、明日からの私の生き方。
そうしてくるりと後ろを向き、その場から去ろうと一歩踏み出し
たかと思えば、澪に手を掴まれて、それは阻まれた。

「…お前は、ほんとに…」
ぽつりと、澪が言う。
「…ほんとに、焦らし上手だな」


「へっ?」
「いつも、途中で止めて」
「え、だってそれは…澪が嫌だって」
「…そういうときになると、私はつい拒否とかしちゃうんだよ」
「えっ?」
「ここまで鈍感だとは思わなかったぞ…ヘタレ」
「なっ」

「…律は、私の恋人なんだから、さ…」
「…おぅ」
「…私は、律にだったら何されても、嫌じゃない、よ?」
「…みお」
「…さっさと襲えよ、このヘタレ」

嫉妬心とか、怯えとか、壁とか。全部吹っ飛んで行った。
私は澪の腕を掴み、その場から連れ出した。
「ちょっ…おい、律?!」
歩きながらケータイを取り出し、部室にいるだろう皆にメールを打つ。
今日は、もう部活出れないな。唯にもなんか謝っとこうか。
「律!律ったら!」
財布の確認。…おし、今日はたんまり持ってきた。
なんせお年玉もらったからな。まだ余裕がある。
「どこ行くんだよ!?部室ならあっち…」
「ホテルだよ」
「はぁっ!?」
「もう我慢しないからな、私は」
「なぁぁぁ…馬鹿!馬鹿ばか!とまれ!」
「やだ」
「私の荷物、部室に置いたままなんだぞ!」
「ムギに持って帰ってくれって頼んどいた」
「…お金だってないし!だいいち、制服だぞ!?」
「私が出すし、なんなら一回澪んち寄るぞ」
「!な、なら私の部屋とか」
「おばさんがいるだろうが…そして私の家には今日は聡がいる」
「で、でもなんでホテルって」
「こんな時の為に、ムギから穴場を聞いてたから安心しろよ」
「なんだそのムギの多様性…やっやめろ!とにかく離せ!」
「やめない」
「…律!」
「絶対に、やめない」
そう言うと、澪はもう何も言わなくなった。
これが本気の私。


真夜中。
あるホテルの一室。
そこのベットに、私と彼女は寝転がっている。
身長差にも関わらず、腕枕なんかしちゃったりして。
「…明日が休日でよかったよ」
私がそう言うと、私の胸に顔を埋める彼女はむっと膨れて言う。
「ほんと、計画性の無い奴だな」
「うはは、いや~なんか私も無我夢中だったからさ~」
「…私は、キスだけのつもりで言ったんだけどな…」
「私もキスだけのつもりだったんだけどな」
「じゃあこんなところに連れてくるな」
「あれ?澪、嫌だった?」
「…………嫌なわけ、ないだろ」
うん、何事も、ちゃんと聞くべきだってことだ。教訓だぞみんな。
だから、澪の恋人になって弱くなった私は、
少しだけ強くなった気がした。

「で、明日はどうするんだ?」
「あ~…映画でも見るか?」
「…一応聞くけど、ジャンルは?」
「ホラー」
「……それはほんとに嫌だからな」

そう言った彼女の顔は、少し笑ってた。

END



  • りっちゃんはカッコ可愛い -- 名無しさん (2012-11-25 20:40:05)
  • このあと滅茶苦茶セ○クスしたと言うやつですね -- 名無しさん (2014-01-21 07:39:07)
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