けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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投稿日:2009/12/25(金) 04:38:35

軽音部の皆とのクリスマスパーティを終え、私と律は二次会と称し
律の家でお泊りすることになった。別に二次会なんて言わなくてもいつものことなんだけど
それで他愛もないことを話していると、
「なんかクリスマスっぽくないなあ。」
と律がつまらなそうに言い、少し考えた後ふと何かを思いつくと、部屋を出て下の階に下りていった
何がなにやらわからないまま、とりあえず帰りのコンビニで買ったチョコを一つ噛み砕く
手元が寂しくなり、律の本棚から適当に音楽雑誌を取り出し流し流し読んでいると、そのうち階段を駆け上がる音が聞こえてきて
部屋のドアが勢い良く開かれ、律が何やら小さめのダンボールを持って入ってきた
「何だよそれ?」
「へへ、クリスマスを彩る小道具だよ!」
何かと思っているうちに律が箱の中から何か取り出した。なんのことない、それはただの小さいおもちゃのクリスマスツリー
「うわあ、きたないなあ。ほこりまみれだぞー」
「うおっ、こりゃひどい!結構前に買ったやつだからなあ。待ってて!」
そういうとまた私を置いてけぼりにして下の階に下りていく。ホントにマイペースだなあ・・・
私がくつろいでいる間もせわしなく動き回る律、あわてんぼうのサンタクロースといった感じだ。
私が少しうとうとしかけたとき、また荒々しくドアが開かれ、おせじにも綺麗とは言えないながらも、
それなりに飾り付けのされたツリーを持って律が入ってきた。
「よーし!これで気分出るぞー」
「盛り上がってるとこ悪いけど私もう眠い・・・」
「はいっ?!けっ!つれねえお嬢さんだ!」
三文芝居で吐き捨てるようにそう言った律も、少し目がとろんとしていた
「律も眠そうだぞー。」
「お見通しですかい・・・そうだな。動き回って疲れた・・・」
そういって私の横に座って、抱きつくように私のほうに倒れこんできた
「うわっ!ば、ばか!せめてベッドで・・・」
「えっ?!ベッドなら一緒に寝てくれるか?!」
「・・・・」
調子良いこと言って・・・ただ、別にそれを拒む理由は、今の私の中にはない。
ゆっくり寝かせてくれるなら、むしろ律を抱きしめながらお休みと洒落込みたいところ
とても暖かいし、角のない柔らかく小さいその体は抱きしめるのにも適しているので

そんなこんなで二人でベッドに横たわり、毛布だけお泊まり用のを用意して二人でかぶさった
律は何を思ったか、電灯を消してもツリーの電飾だけは付けっぱなしにしておきたいと言う
「クリスマスらしいじゃん!なんか!」
よくわからん・・・しかしそう言っているときの屈託のない笑顔に、反論する術を見出せなかった
別にそこまで睡眠の邪魔にもなりそうにないし・・・
そう自分の中で片付け、私は早速律を抱きしめた
「ひゃっ!み、澪しゃん大胆!」
顔を赤くして縮こまる律。こういう反応は私にしか見せないから、妙な優越感を得てしまう



静まり返る部屋、遠くのほうから3,4人の男性のものと思われる声が聞こえてきた
本当に静かで、なんとなく怖くなってきて、抱きしめている律の頭を、鼻の頭で軽くつついた
「んー・・・澪、まだ起きてたのお・・・」
「ごめん・・・なんか静か過ぎてさ・・・お話しよ・・・」
お話しようなんて小学生のとき以来言ったことないかもしれない。
私の胸に顔を埋め、可愛らしい寝顔を晒す律に若干の親心を持ちながらも、自分も子供から抜け切れていない
「そうだな・・・じゃあもうちょい起きてよ!・・・サンタさん来るかもしれないし」
これは驚いた。割と現実主義になってきたと思っていたが、そんなことを律が言うとは。冗談だろうが
「ぷっ・・・なあんだ、律まだサンタさん信じてるのかあ?」
「い、いや!じょうだ・・・んー・・・でも、いないことも無いと思うよ」
まじめな顔をして言う律 ほう、これは詳しく聞きたいところだ
「あのね・・・」
話は小学生の頃にまで遡る。今日と同じようにクリスマスイブの夜中のこと
当時、既に律はサンタクロースとはどんなものかを知っていて、大抵は一般家庭の父親が
子供が寝ている間にクリスマスプレゼントを枕に置く、家によっては仮装するところもあるだろう
そういう認識で片付けていたという
その年のクリスマス、律の父親は間が悪いことに出張が入っており、母親と弟の聡君の三人でクリスマスを過ごしたという
プレゼントが一日先延ばし・・・それを残念に思い、特に何も期待せずその日は就寝したとのこと
しかし、寝ている間に信じられないことが起きた。何やら窓の外から鈴の音のようなものが聞こえてきて、それが徐々に近づき
窓のすぐ外にまでその音が達したので様子を見ると、トナカイの引くソリに乗ったサンタクロースがそこに居たという
そのサンタクロースらしき老人が袋の中を探り、プレゼントを取り出すと、それをこちらに差し出してきたと
「そ、それで」
なんだかんだ私は聞き入っていたが、続きはなんとも納得のいかないもの、そのあとの記憶はなく、気付けば朝だったという
「なんだよそれ・・・・結局夢の話じゃないか」
「ううん・・・でもね、しっかり枕元にはプレゼントが置いてあって、それもサンタさんが取り出したのと同じ包装がされてたんだ!」
母親が置いたのかと考え問い詰めるも、母親は知らないの一点張りだったという
「それでね・・・ああ、サンタさんってもしかしたら・・・本当にいるのかもしれないって。・・・少し考えてたんだ」
普通に考えればおそらく犯人は母親、口では何とでもごまかせるし、小学生を言い負かすことくらいは何のことないだろう
それを律も薄々感づいてるはず。・・・ただ、それでも、どこかでまだサンタクロースを信じているんだ
意外とロマンティックなんだなあ
そんな律の幼い部分を知ると、急に目の前の少女がとてつもなくいとしい存在に思え、抱きしめる力を強めた
(はあああ・・・かわいい・・・・)
「み、澪いたい」
「あ、ご、ごめん!」
あわてて力を緩めると律は少し頬を膨らませそっぽ向いてしまった
でも、なんか大分落ち着いたなあ。すごく・・・心のそこから暖かくなったような・・・
「律、ありがと・・・これでゆっくり寝れる」
「ふふん、澪しゃん怖がり克服かい?」
不敵な笑みを浮かべながらこちらに向き直り、私の頬を軽くつつく。
調子に乗るなというメッセージを込め、私は軽くおでこをつつき返した



そんなことをして二人で笑っていると、遠くから一つの音が響いてきた

「・・・・これ・・・」

「・・・・鈴の音?」

それは徐々にこちらに近づいてきたが、窓の外にとどまることなく、屋根の上を通り過ぎていった

「・・・・律、今の・・・」

「うん・・・・澪。」

これは夢かな、現実かな。小さいツリーの電飾の弱々しい光でライトアップされた部屋に、その体験が重なり

夢とも現実とも断定できない、不思議な時間が流れた

「・・・サンタさん、ここには来なかったね。」

「うん・・・もう大人だもんね」

なんて寂しい気持ちに浸っていると、律が思いついたように言う
「そうだ!サンタさんはいいこのところにしか来ないから、いつも理不尽に人を殴りつける澪に」
最後まで言わせず、唇を指でつまんだ。サンタに避けられる理由があるとしたらむしろお前のほうだ。
「ぷはっ・・・まあホントは澪いい子だから・・・きっと澪が一人でいれば来てくれると思うよ」
「ふふ・・・珍しく謙虚だな。・・・でも律だっていい子だよ、サンタさんが避ける理由なんてない」
律にいい子なんていうの初めてだ。そうかな~と照れくさそうに笑う律
…別にサンタさんがこなくても、その笑顔があれば私は幸せなのかもしれない。
そんなことを思いながらまた律を抱き寄せ、今度は律と共に、深い眠りに堕ちた
遠くから優しく響く鈴の音に身を任せながら・・・



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